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7 Amazing Origami-Inspired Inventions(全1記事)

NASAやハーバードが「折り紙」を本気で研究した結果

子どもの頃に折り紙で鶴を折ったり、紙飛行機を飛ばしたりして遊んだ経験があると思います。大人になると、なかなか折り紙で遊ぶ機会はなくなりますが、折り紙が持つ構造的な特性やたたんでサイズを変化させることができる点が本気で研究されているのをご存知でしょうか。NASAのソーラーパネルに使われるかもしれない「ミウラ折り」や、ハーバード大学が研究している立方体型のロボットなど、折り紙の可能性にさまざまな研究機関が注目しているのです。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、折り紙の技術が活用されている事例や、これからの可能性について解説します。

さまざまな技術に活用される折り紙

ハンク・グリーン氏:もしあなたがクーティーキャッチャー(パックンチョなどとも呼ばれる、指を入れてパクパクさせる折り紙)や紙飛行機を作ったことがあるなら、紙を有効に折ることは建設的な技術が求められることをご存知かもしれません。それにより学校の先生を困らせることもできたかもしれませんね。

しかしもし折り紙であなたが作れるものが、紙を丸めた「岩」だけだとしたら、それをゴミ箱に向けてフリースローの練習をする前に、ちょっと止まってその「岩」を見てみてください。その紙でできた「岩」にはさまざまな興味深い物理的特性があります。

まず1つに、それは非常に頑丈です。通常のプリンター用紙を素手で圧縮した場合、その90パーセントは空気を含んだままなのです。それに少し弾力性がありますので、丸めた紙は物を包装する時中に入れるのに最適です。

このボールの強さは紙の平面部分が互いに重なり合って厚い壁状になることにより可能になります。その壁はさまざまな方向にボールを支える硬い隆起によりサポートされています。このすべてが、適当に紙を丸めるだけでできてしまうのです。

もしちゃんと計画して折るなら、もっと多くのことができます。例えば大きな物体を小さく収納したり、簡単に形を変えたりすることができるのです。

それが最近の膨大な数の研究につながっています。物を折りこんだり、畳んだり、広げたりする技術を、折り紙からインスピレーションを受けて研究が行われているのです。

折りこむことにより、大きな物体を小さな空間に、構造を大きく崩壊させることなく入れることができます。

その技術を使って、たどり着きにくい場所にものを運ぶことができるようになります。例えば、自然災害が生じた場所、宇宙空間、さらには人間の体内にものを運び込むことができるのです。

自然災害は道路や橋などの交通基盤にダメージを与えてしまいます。しかも一番必要な時に使えなくなってしまいます。危機的状況にあるなかで、被災者は緊急援助を受けられなくなってしまうのです。

それを念頭に置いて、2015年に日本の広島大学の研究者たちのチームが、トレーラーに収まるほどコンパクトに収まる緊急用の橋をデザインしました。それはトラス橋の種類で、梁が三角形の強力な形につながって形成されています。もしあなたが、スパゲッティーとマシュマロを使って橋を作ったことがあるとしたら、トラス橋を作ったことがあるということです。

この種類の橋はスパゲッティーの束のような梁が、その長さに沿って圧縮されたり引っ張られたりする時に有利な原理があります。しかしもしそれが折り曲げられることがあれば、折れてしまったり、変形してしまったりするでしょう。

梁を折り曲げる力を回避するために、トラス橋の連結部分はピンジョイントのように動かす、つまり、ひざ関節のように自分の流れに沿って前後に動くことだけできればいいのです。

ピンジョイントはトラス橋で用いられます。そうすることにより、もし梁に横からの圧力がかかった場合、真ん中から曲がってしまう代わりに関節の部分が回転できます。通常では、トラス橋の梁は回転しすぎないように設計されていますから、橋は安定感を保つことができるというわけです。

しかし、この折りたたみ式の橋は橋が畳まれたり広げられたりする時には、すべてのジョイント部が自由に回転できるようにデザインされています。一度橋の基の部分を安定させると、橋の横の部分には三角形が形成され、それがピンジョイントの回転を抑制します。それにより、交通可能な、安定した強い橋ができ上がります。

1時間以内にこの橋は20メートル以上の長さにまで伸びます。動いている車くらいなら余裕で支えることができるほど強いのです。それにこの橋はしっかりとした形に広げられるので、誰でも安全に組み立てることができます。複雑に組み立てる必要はないんですね。

NASAで使われる折りたたみ方

NASAも折りたたんだり、広がったりできるものを必要としています。例えばソーラーパネルやアンテナなどは、打ち上げられるときはコンパクトに、しかし一度宇宙空間に出たなら大きく、安定していないといけません。これこそ折り紙に最適の分野です。

ソーラーパネルを折りたたむことは少し前から行われてきましたが、最新の技術ではさらに進んだ材料を使って、薄いパネルを作ることができるようになっています。薄いパネルを作ることにより、エンジニアたちはそれをさらに小さく畳むことができる技術を利用したいと思っているのです。

そのなかのいくつかの折り方、例えば「ミウラ折り」はすでに宇宙にて最初のテストを行なっています。この折り方は、山折と谷折りが交互に繰り返されているので、2つの端を引っ張るだけでシート全体を広げることができるのです。

よりよい折り方はまだまだ研究途中です。2014年には、NASAのジェット推進研究所のエンジニアたちが、折り紙の専門家たちと協力して、ソーラーアレーがコンパクトな円筒形から大きな平らなデスク上に簡単に広げられるようにする試作品をデザインしました。

この円筒形シリンダーはスカートのように宇宙船の周りに巻きつき、その宇宙船の回転を利用して広がるのです。

小型のロボットも折り紙で進化

折り紙の技術は、体内のように込み入った場所にものを入れるのにも役に立ちます。

216年5月、MITのコンピュータ科学・人工知能研究所の研究者たちがカプセル型にたためるロボットの試作品のデモンストレーションを行いました。そのロボットはカプセル型になり飲み込まれると、お腹の中で元の形に戻ります。これは主に胃壁から異物を押しのけるために用いられます。つまり、子供がボタン電池を飲み込んでしまったときなんかに利用できるのです。

電池は胃の中にそのまま放置されていれば胃壁を溶かしてしまうかもしれません。そんなときにこのロボットがあれば、医師が危険を伴う手術をしないでもよくなるように手助けをしてくれるというわけです。

このロボットの体は折りたたまれた豚の内臓でできているので、胃の中の酸から守られ、また磁石が組み込まれています。研究者は体外から磁界を操ることにより、胃壁に沿ってロボットを動かすことができるのです。

今のところは、このロボットが豚の胃から安全に物体を取り除くことができることを実演するにとどまっており、研究者は次回は生きている動物で実験したいと考えています。そして将来的には、ロボットをデザインし直して、体外で磁石を使うことなく体内で動き回ることができるようにしたいと思っているのです。

折り紙はほかの新しいロボットにも適用されています。

ハーバードの研究者たちは「スナポロジー」と呼ばれる折り紙の技術を使って実験を行ってきました。それは、たくさんの折られたシート状の物体を幾何学状の形にするやり方です。

この技術は地図の折り方、先ほどお話しした、ソーラーパネルを折るのに使われるミウラ折りに似ていますが、それが1枚のシートしか使わないのとは異なり、何層もの層が重ねられます。

2016年3月、その研究者たちはそのコンセプトを実演するため、さらに小さな立方体を使って立方体型のロボットを作りました。圧縮された気体を使って、研究者たちは全体的なブロックの立方体の折り目をそれぞれ別々に操作します。それによりそのロボットがさまざまな形や大きさに変形することができるのです。

まったく平らになることもできます。そしてそれと同様の技術が将来的に利用され、構造的な材料を折りたたんだり組み立てたりすることにより、例えば仮設シェルターなどに利用することができるかもしれません。

ライトで自在に物体を“折る”最新テクノロジー

ここまでで、モーター、磁力、空気圧を使って折りたたむことについてお話しいたしました。

しかし折ることのメカニズムの創造性に関する賞はノースカロライナ州立大学の研究者チームに差し上げたいと思います。今年の3月に雑誌『The Journal Science Advance』に乗せられた論文によると、このチームは色のついたライトを用いて特定の順番に折る方法を見つけたというのです。

彼らはプラスチック製の白いシートの上にさまざまな種類の色の線を印刷し、そのプラスチックのシートに明るい、さまざまな色のついたライトを当てました。するとそのライトはほとんど白いプラスチックに反射しますが、色のついた線には吸収されてしまいます。

例えば赤い線なら、赤ではない色を吸収します。そして黒い線ならすべての色を吸収できます。線がライトを吸収するとき、その線は暖かくなりますので、色のついたプラスチックは縮小し、それによりその線は蝶番に変形します。それらの蝶番は特定の色に印刷されているので、異なる色のライトを当てることにより、そのプラスチックを特定の順番に折ることができるのです。

特に複雑な折り目のパターンはよく、特定の順番に折られますので、科学者たちはこのシステムを用いてさまざまな新しい形や機能を持ったデザインを生み出すことができるようになるのです。

折り紙のもう1つの利点は、紙が安いということです。そのため、特に軽量のものや生物分解性の物体を必要とする、離れた場所において仕事をするのにはとても有効なのです。

ニューヨーク州立大学ビンガムトン大学の研究者チームはバクテリアによって力を得る、折り紙の電池を開発中です。

2016年、彼らはそれを1枚の紙を使って作る方法を発見しました。このタイプの電池は「微生物燃料電池」と呼ばれ、微生物が食べ物をエネルギーに変換することにより動きます。ほとんどのバクテリアは「電子伝達系」と呼ばれる連続する科学反応を通して電子を動かします。

このプロセスの最後で、彼らは電子を放出し、それは通常酸素分子により吸収されます。しかし電池の中央にバクテリアを引き寄せることによりこの酸素を取り除くと、その電子はほかのものに捕まってしまいます。ちょうど電池の電極の一方のようなものに捕まってしまうのです。

ですから、この紙の折り方はバクテリアが孤立するようにデザインされていて、それにより電池の電極が分かたれるのです。それはたった数マイクロワットの電力しか生み出しませんが、そのような微量の電力も小さな規模の実験や電力へのアクセスがない場所での医療テストなどで用いることができます。

ほとんどのバクテリアでこれが適用できるため、ほとんどすべての汚水一滴でこの電池は稼働することができます。それに紙は生物分解性で、通常の電池より廃棄方法が簡単です。

ほかの種類の紙の材料も開発中です。2016年、スタンフォードのチームはくるくる回るおもちゃから着想を得て、紙製の遠心分離機を作りました。

小さな円盤を、紐を引っ張ることで高速回転させるおもちゃです。遠心分離機も高速回転させることにより可能になります。向心力を使って密度の異なる物体を分離させるというものです。

その有効な活用法の1つが、血液から血漿を分離させるというものです。

これは多くの血液検査において重要なステップの1つです。通常の研究用遠心分離機は700ドルもするうえ、2キロ以上の重さがあります。つまり、発展途上国にいる、特に孤立した場所にいる多くの人たちには手の届かないものなのです。

しかしこの紙製遠心分離機はたったの70セントで、2グラムの重さしかありません。にもかかわらず、同じような結果を出せるのです。このチームはこれを使ってマラリアや睡眠病などの病状を割り出すことができると述べています。次のステップは臨床実験で実際のテストをしてみるというものです。

ですから宇宙空間から胃の中に至るまで、折りたためたり、小さくなったり、広がったりするものは、将来の科学分野において重要な一部となってきています。それに、いつの日か、エンジニアリングの学位を取るのに折り紙のクラスを取らなければならなくなる日が来るかもしれませんよ。

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