2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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卍LINE(窪塚洋介)氏(以下、卍LINE):なんでしょう。そのフォーメーションをどんどん研ぎ澄まして、時代は新しくなったような気がしています。
とくに今年からは私事なんですけれども、芸能活動を個人事務所で始めたり、このアルバムを出したり。それから、今までは「卍LINE」という名前でアルバムを出していたんですけれど、それは今回で最後になります。
もちろん、音楽活動をやめるとか、そういうものではないです。名前を変えようかなと思っているんです。「とうとうハマチがカンパチになるよ」みたいな感じで。11年後にはブリになる予定がありますので、もうワンチャン(ワンチャンス)、変わるのが来るとは思いますが。今年はそういう節目の年です。
Appleさんとの出会いもそうですが、なにか大きなステージ、次のステージに向かっていくところなので、非常にやる気がみなぎってまして。冒頭で「スティーブン・セガールです」とか言ってましたけどね。ジムにも行きだしたりしています。
もう1回、描き直すというか。もう1回、未来を自分の中で再構築して、そこに歩き出しているタイミングなので、とてもみなぎってます。非常に。
とはいえ、落ち着いています。1周目、2周目くらいなので。1周目の浮ついた感じは、遺伝子的に入っているものなのでしょうがないですけれども。でも、だいぶないです。
僕がハングリーじゃなくなったかなとは思いますけれも。ハングリーの向く先が、世の中というよりも自分自身だったり、自分のフォーメーションだったり。自分の目に見える、手の届く世界を、愛で、ポジティブな力で満たしたいなと。
僕らレゲエミュージックは、レベル・ミュージックでもあります。(今は)バビロンシステムという、ざっくり言っちゃうと、いわゆるお金中心の資本主義経済システムですけれども。「罪を憎んで人を憎まず」「システムを憎んで人を憎まず」という感じで。
例えばですけど、お金って汚いものみたいな感じに思ってしまいがちな国民だと思うんですよ、俺らって。親にもそう教えられるし、清貧みたいな「湯水の如くあると思うなよ」な感じで言われて。「お金が汚い」というような感じで言われたりしますけど、すべては使い方じゃないですか。
例えば、100万円を手に入れました。これを「恵まれない子どもたちに使いました」というのと、「一晩で高級シャンパンを何本も飲んじゃったよ」「いや、キャバクラで……」「風俗へ行っちゃった」とかね。そういう使い方をすると、それはもう使い方の問題であり、お金にはなんの罪もない。こっちの、僕らの心の問題なので。
まぁ、「なんでこの話をしてたのかな」という気がしています。これを僕、インタビューの時によくやっていて、最後に「なんていう質問でしたっけ?」と聞くと、わりと出口が見えてくるんですけれども。
今日、質が悪いのは、俺が一方的にしゃべってますから。迷い込んだら、もう迷い込みっぱなし。もしそれから出してくれるような質問がなんかあったら、受け付けますけれども。あ、いらっしゃいました。
質問者2:トラックメイカーしている者です。よろしくお願いします。
卍LINE:お願いします。
質問者2:たぶん隣の人も、Appleのトラックメイカーの制作に参加してたんですけど。まあ、トラックの話じゃなくて。今回のアルバムは27曲あると思うんですけど、「これは聴いとけ」っていうリリックとか、今でもイメージに残ってるやつなど。ソロでもコラボしてるやつでもあったらと。
あと映画の話ちょっとだけ、「これは印象に残ってるよ」っていうのあったらお聞かせいただけたらと思います。よろしくお願いします。
卍LINE:ありがとうございます。いい質問をしていただいて、光が見えてまいりました。
あのですね、これは27人の子どもなんですね。例えばですけど、長男と次男と三男で「誰が一番好き? お母さん、お父さん?」っていうね。……お子さんいらっしゃいますか?
じゃあ、想像してください。目を閉じて。自分に子どもが3人いるとします。長男は、スポーツがとても得意。次男は、勉強が得意。三男は、スポーツも勉強もだめだけど本当に心が優しい。誰が一番好きですか? 選べないですよね。
(会場笑)
誰か答えた人いますけど、なんて言ったんですか?(笑)。
参加者2:長男。
卍LINE:長男。ピンポイントですね(笑)。その意思の強さ、リスペクト! ハンパないです。
まあ、俺は中途半端な人間なので選べないんですよ。そういう思いがまず湧いてきちゃいます。
「今まで出会った映画の中で一番好きな映画なんですか?」。いや、同じように答えてるんです。でも、「一番観てるのは『ピンポン』です」「一番肩肘張ってたのは『GO』です」とか、その時その時の切り口はあるんですけど。
なので、1曲1曲すべてにエピソードもあるし、思い入れがあるからこそ、みなさんの目の前にあるものなので。なんとも中途半端な答えを言いますけど、「選べません」になってしまうんですが。
「中途半端な」というついでに、18歳ぐらいの時に「俺はなんて中途半端な人間なんだろう?」という、自分のことを思いまして。「こっちでもねえし、あっちでもねえし」「いや、コンビニの前の友達もいるけど、図書館にも友達いるし、俺は誰なんだろう?」「俺はなんなんだ?」といなったことがありまして。ちょっと落ちてたんですけど。
家も本当に普通の家庭だし。10年後20年後、自分が有名になったときに話せる子ども時代のおもしろいエピソードが1つもない。「いや、幸せだったんです。普通に……」ってしか言えない状態を、「これ大丈夫なのか。俺はこの先、役者になろうとしてるのに」と勝手に思ってたんです。
「だったら、この中途半端な自分を極めたらいいわ」と思ったんですよ。そうしたら、4次元空間というか、エアポケットのように風穴が空きまして。なにか未来が開けていくような。開き直るという感じもあったかもしれないですけど。
まさかその、バーンと描いた未来の中に、マンション転落とか、マーティン・スコセッシと映画をやるとか、そういうことはぜんぜん入ってなかったので。その時に自分の描いた未来のもっと遥かずっと先に来て、みなさんとこうやって対面してる感じですけれども。それがこいつです。
(会場笑)
今の話は後の卍LINEの話であって。ただ、やっぱり自分が描いて前に踏み出すことって、本当にエネルギーを生む。もっと言うと、それがなかったら自分が描いてる未来は起こらないから、まず言葉ありきじゃないですけど、思いありきで生きていきたいなと思います。
それがなんかこう、「マーティン・スコセッシの……」と言ったんですけど、トークの冒頭で僕がなんでセガールを名乗ったかわかりますか? 沈黙シリーズということだったんです。なんと。
(会場笑)
そして、それが二転三転してマーティン・スコセッシの『沈黙』に行き着くという。最初から言ったらやらしいかなと思ったんですよ。「あのハリウッド映画に出た、マーティン・スコセッシにべた褒めされました窪塚洋介です」が、憚ったんです。それがセガールになってしまった経緯だったんですが。
7月15日の『アリーキャット』の話なんですけども。Kjと……降谷建志くんはお父さんがね、みなさんもご存じの古谷一行さん。降谷くんの奥さんがMEGUMIちゃんということで。
MEGUMIちゃんは、女優さんもずっとやられている人で。かなり本気で女優さんやられてる人なので、彼自身のライフスタイルの中に芝居をするという、役者であることの空気がとても近くにあると思うんですね。
子どもの頃から見てきたことだし、やっぱり言葉の端々に親父さんへの敬意というかリスペクトを感じるので、どこかでずっと興味があったのかなと思いますけれども。
現場で本当に、彼のストイックさだったり、ピュアさだったり。結局、Dragon Ash、Kj、全部をかけて、この瞬間に、この映画に、この時期に臨んでくれてるというのが、みんなが伝わって。みんなの気持ちも熱くなっていたし、いいものを本当に作ろうという想いが加速したというか。
「おいっ、新人俳優!」とかね、言われながら。まあ半分ギャグですけど。品川祐さんも出てるんですけど。品川さんもそういう感じで「おいっ、Dragon Ashを出してるんじゃねえよ」とかね、よく言われてましたけど。「すんませんっ」とか言ってる建志くんのその姿勢。もちろんさっきも言ったけど、半分ギャグで半分本気なんですけど、でもそこで「すんません」って頭を下げられるこのロックスターがいいなと思って。みんなが熱くなって。
品川さんなんか、クランクアップした日に豚汁を作ってくれたんですよ。こんなでっかい鍋で豚汁を自分で作って。夕方、それをタクシーに乗せて現場のほうまで来たんですけど、ちょっと遠いところで降りちゃって、その鍋をすごい重い鍋をなんとか現場まで運んできてくれて。それをみんなに分けてくれて。
というようなエピソード1つ話すと、どういう感じの現場だったのかが伝わるかなという気もするので。今ちょっとその品川さんのエピソードも話してみましたが、とてもピュアな2週間でした。
2週間で撮ったんですよ。雪の日で。1月だったので雪のシーズン。渋谷での集合なのに「渋谷まで来れない」「今日は中止だ」とかって言いながら、みんなで燃え尽きた2週間だったんです。
「電車で朝すっげえ並んじゃったよ」とか言いながら建志くんが現れてね。「え、電車で来たの?」「そうだよ」「グラサンはしてねえのかよ?」みたいな。リュックを背負って。
(会場笑)
顔はシュッとしてますけれども、変な色の髪してね、すげえ目立つんですよ。このへんまでタトゥーが入ってますし。
電車でふらっと来て、すごい自然体で。俺もそういうほうで、電車も乗りますし。今日も日比谷線でここに来てるように、僕は電車が好きなんで。みんなを観察してね、こっそり自分の芝居の肥やしにみなさんされてるわけですけど。電車に乗るのが好きで。そういうタイプのロックスターというか、Kjもそういうタイプだったので、すごく気が合って。
でも20年、2車線横ぐらいをずっと並走してる感じがありました。Dragon Ashと。向こうはそうやって言ってくれんだけど、ただ1回も会ったことなかったんですよ。今まで。
2年前に「グランドキャニオン」というブランドをやられている熊谷隆志さん、カメラマンもやられたりしてますけれども。その方の結婚式の会場で初めて会ったんです。共通の知人とか仲間がいっぱいいますので、もう最初から知ったような気になってたから、「あ、Kj来たな」と思って、俺の後ろ通り過ぎる時に「おっす」とか言って。まあレゲエでいうヤーマンをしました。
そうしたら、たまたま席が僕の横だったんですよ。彼がふっと座って「ふぅー」って言って。「あれ、俺ら、これ初対面だよね?」「あ、そうだよね」「じゃあ写メール撮ろう」とか言ってね。写メールを撮ったりして。
その2週間後に映画の話が来たんですよ。これもう音楽の神様なのか、トイレの神様なのかわからないですけど。ガイダンスというか。これもレゲエミュージックの言葉ですけど、ガイダンスといって、お導きがあったなと思って。
もう前のめりに台本を読んで。台本と共演者と監督と、それ以外のこともありますけれど、1回すべて頭の中ぶっこんでみて、直感でやるかやらないか決めるんです。そして、たいがいやらないんですね。
でも、2つ返事とまでは言わないですけども、それぐらいの気持ちになって、前のめりにこの『アリーキャット』に取り組めたのは、そういう建志くんとの出会いという、建志くんとの引力が一番大きいかなと思います。答えになりましたでしょうか。ありがとうございます。
トラックメイカーさんなんですね。……すいません。このあとの話が続かなくて。
(会場笑)
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