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8 Strange New Deep Sea Creatures(全1記事)

近年新たに発見された、深海に潜む奇抜な生物たち

深海にはロマンがあります。まだまだ人間が探索できていない部分も多く、いまだにしばしば新種の生物が発見されるのです。太陽の光が届かない過酷な環境の中で生きる生物たちは、みな地上の常識からはかけ離れた生態を持っており、時に美しく、時にグロテスクに私たちの目に映ります。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、2009年以降に発見された新種の深海生物8種を紹介します。

深海に住む新種の生物たち

マイケル・アランダ氏:今年も世界海洋デー(6月8日)がやってきました! SciShowでは今週1週間、海シリーズでお届けします。

海には興味がそそられる事柄で満ちていますし、海底にはまだまだわかっていないことがあります。人間がおいそれと調査できない深海に至っては、生態系について地球上でもほとんどかわかっていません。

真っ暗で恐ろしいのはなんとか我慢できるとしても、海面と比べて数千倍もの水圧がかかる深海は人間の体ではぐちゃぐちゃに潰れてしまいます。ですが、そんな場所であってもたくさんの生物がいるのです。

ROVという、長い網が付いた遠隔操作できるマシンを使って、そうした生物を調査できるようになりました。

ほとんどが深海をすみかとする、目をみはる新種が毎年発見されているのです。2009年以降に見つかった、変わった深海生物を8種類ご紹介しましょう。

(1)ニンジャカラスザメ

最初にご紹介するのは、中央アメリカの深海から引き上げられたニンジャカラスザメです。

海洋生物学者のビクトリア・バスケスが率いる調査チームが、2015年に公式発表しました。8歳から14歳のいとこたちに、新種の英名を決めるよう頼んだところ、「ニンジャカラスザメ」と決まりました。ぱっと聞いただけでわかりやすい名前ですね。

カラスザメの肌には生物発光を行なう発光器官が備わっており、不気味な緑色に光ります。異性へのアピール、仲間との交信、エサをおびき寄せるといった用途に使うのでしょう。

ですがニンジャカラスザメの変わった所は、発光器の数が少なく、真っ黒な鱗で覆われているので隠密行動に適しているのです。

手裏剣こそ持っていませんが、上下非対称の鋭い歯を持っています。上半分はすりつぶすため、下半分は噛み切るためです。

ニンジャカラスザメと遭遇してしまって咬まれたらどうしようと心配する必要はありません。猫よりも小さいサイズで、ワームや小魚をエサとしているからです。

くたびれた靴下のような生物

(2)靴下ワーム

深海生物はニンジャカラスザメのように目立つ生き物だけではありません。洗濯のし過ぎでくたびれた靴下のように、見ていて悲しくなる生き物もいるのです。それが「靴下ワーム」、珍渦虫です。

5つの種が確認されていますが、そのうち4種は2016年カリフォルニア湾でモントレー湾水族館研究所がROVを用いて行なった調査で発見されました。見た目通り単純な生き物です。口はありますが、目も脳も肛門もありません。

実際あまりに奇妙な生き物なので、系統樹のどこに位置するのか研究者たちを悩ませ続けました。初期のDNA検査では、いくつかの器官を失った軟体動物の仲間だろうと考えられていました。ですが、「靴下ワーム」が食べた二枚貝の卵が混入していたせいで研究者たちはさらに戸惑います。

新しく発見された個体によって「靴下ワーム」についての理解が深まり、左右対称の単純な生物と考えられるようになりました。

表面のヒダがチュロスのパイ生地のように見えたため、研究者たちは「チュロス珍渦虫」と呼んでいます。……チョコレートソースに付けて食べたいと思ったのかどうかはわかりませんけどね。

(3)ホフ・クラブ

昨年、南極に近いスコシア海の端に位置する冷たい深海で、毛を持つカニの興味深い生態が解き明かされました。

2009年に最初に発見された時、胸毛が特徴的なデビッド・ハッスルホフ(アメリカの俳優)にちなんだ「ホフ・クラブ」という通称で呼ばれていました。

ですが、その毛は体温を保つためのものではありません。毛の中でバクテリアを育てて、クシ型の口で「収穫」していたのです。

イギリスの研究者チームは南極地方の深海にROVを投入し、ホフ・クラブが海底でどのように分布しているかを調べ、生態をつぶさに観察しました。主に熱水噴出孔の近く、水温が暖かい場所でオス・メス共に群れをなして生息していました。

バクテリアを育てながら、心地よく感じているんでしょうね。想像ですが。

噴出口の近くでは1平方メートルにつき4000匹のホフ・クラブが生息できます。ですが、中には噴出口から離れた冷たい海の中で暮らすホフ・クラブもいます。離れて暮らすのは丸まったお腹に子ガニを抱えた母ガニです。

研究者たちは、噴出口からはカニの成育を阻む毒素が噴出しているからではないかと考えています。母ガニたちは安全で心地いい場所と群れを、子ガニのために諦めているのです。

2009年に発見されたホフ・クラブは海面から2.5キロメートルの地点で生息していました。めちゃくちゃ深いですね。

チョウチンアンコウにも新種が

(4)目のないエビ

ですが、その1年後、イギリスのサウサンプトンの研究者チームは、さらに2倍の深さの場所にある噴出孔を見つけました。深さ5キロメートルで、知られている熱水噴出口では世界一の深さです。そこは生物で溢れかえっており、なかでも目のないエビの宝庫でした。

「中央ケイマン・ライズ」と呼ばれる、海底プレートがぶつかってできた巨大な爪痕から発見されました。ホフ・クラブと同じようにこのエビたちにとっても噴出口がもたらす温水は魅力的で、うじゃうじゃと群れていました。

噴出口近くの水温は400度にも達しますが、水圧のせいで茹で上がることはありません。人間が焚き火で暖をとる際やけどをしない距離を保つように、エビたちも安全に距離を取る必要があります。

間違っても噴出口に飛び込んでしまってはいけません。ですが、あたりはススで真っ黒で、噴出口が光を出しているわけでもないので目視は頼りになりません。

生まれたばかりのエビは海面近くで暮らすせいもあって、多少光を検知できる目を持っています。

ですがおとなになると目は完全になくなり、代わりに赤外線、つまり熱を検知できる器官が背中にできるのです。バーベキューにならずに済むんですね。

(5)チョウチンアンコウ

深海の恐ろしさを語る上でこの魚を避けて通るわけにはいきません。チョウチンアンコウです。

200種類以上のチョウチンアンコウがいますが、この新種は……かわいくないですね。歯並びも悪い獰猛そうなこのチョウチンアンコウの発見は悲しい事故とともに始まりました。

2010年、沖合に浮かぶ石油掘削施設、ディープウォーター・ホライズンで起きた爆発事故により、500万バレルもの石油がメキシコ湾に流出して生態系に深刻な被害が生じました。その地域の生態系、とりわけ深海の状況についてはほとんど知られておらず、流出した石油の回収や回復は困難を極めました。湾内の広範囲にわたって生物の救出が行われた際に、この醜いチョウチンアンコウも発見されたのです。

実は前面についているトゲは歯なのです。

上顎が大きく動くので、おびき寄せられて近くに来た獲物を引き寄せて捕らえることができます。

メスのチョウチンアンコウは疑似餌を使ってオスにアピールしますが、パートナーにしたいのは同じチョウチンアンコウだけです。そこで、このチョウチンアンコウたちは、暗い深海でも相手の姿がわかる独自の疑似餌を持っています。その疑似餌のおかげで、研究者たちもつがいを見つけたかどうかを観察できます。

この新種のチョウチンアンコウの疑似餌には、光ファイバーのように光を伝える、突き出た指のような部分があります。その先端には2本の糸状の部位があり、ピクピク動く小魚に似せています。

いつかチョウチンアンコウのパートナーを探すことになったら、まずはこの疑似餌の仕組を解明しなくてはいけませんね。

(6)ハープのような海綿生物

2012年、モントレー湾水族館研究所のROVが調査したカリフォルニア湾からは、海底に生息する優雅な見た目のコンドロクラディア・リラが見つかりました。

一見すると植物のようですが、実際は海綿状のシンプルな生物です。名前のように綺麗な音色を奏でることはありません、実はしめしめと獲物を待ち構えているのです(リラは英語でこと座の意味)。

6本の羽状の部位が本体である中心から扇状に広がり、獲物を最大限捕まえやすくしています。

「ストリング」と呼ばれる部位にはトゲ状のフックが付いていて、優雅に揺れる羽の間をすり抜けようとした獲物を引っ掛けるのにちょうどいい形です。コンドロクラディア・リラは捕まえたごちそうを薄い膜で覆って消化してしまいます。海綿生物の多くは、バクテリアや食べ物のカスといった栄養分を濾し取りますが、食べ物が少ない深海では別の戦略が求められたんでしょう。

20年前までは肉食の海綿生物は知られていませんでした。ですが、海洋生物学者たちはこうした発見を踏まえて、今では多くの新たな肉食海綿生物を発見しています。

先端の膨らみはなんでしょうか。

実は精子が詰まっているのです。他のコンドロクラディア・リラの卵と出会えるよう膨らみから海流に精子を撒き散らします。

キャスパーのようなタコ

ここまでご紹介してきた新種の生物たちは、2009年以来発見されてきたものです。しかしほんの数ヶ月前に発見された新種もいます。研究者たちも厳密な説明を公式にはまだできていません。

(7)タコの「キャスパー」

このタコの仲間は、ハワイの近くの水深4,000メートルからアメリカ海洋大気庁の深海探査ROVを用いて発見されました。

完全に新しい属にあたる大きな発見です。正式な名前はまだ付けられていませんが、愛くるしい幽霊のようで中々見ることができないため「キャスパー」と呼ばれています。

軟体動物は独特の色素細胞を持っているため派手な色が多いので、この目立たない薄い色は軟体動物の中でも特別です。大抵は色素細胞を操って周囲から目立たせたり逆に溶け込んだりしますが、キャスパーは幽霊のような青白い色をしています。

別の興味深い点は、大抵のタコは1本の触手に2列の吸盤がありますが、キャスパーには1列しかないことです。こうした特徴が、キャスパーが生き抜いていく上でどのように役立っているのかは謎に包まれており、まだまだ研究しなくてはいけません。

(8)クロクラゲの新種

さらに最近である2016年4月に発見されたのは、アメリカ海洋大気庁の探査船「オケアノス・エクスプローラー」のチームが捕まえた見たこともないクラゲです。

チームは地球でもっとも深いマリアナ海溝周辺の探査をしていました。海溝の地質から年代を詳細に調べるなど多くの任務の中には、生物を探すという任務もありました。

任務開始からわずか数日しか経っていない6月10日、彼らは深海に浮かぶ宝石のようなクラゲを見つけます。見たこともない全くの新種でまだ名前は付いていませんが、ヒドロクラゲの一種でクロクラゲ属ではないかと考えられています。

「放射管」と呼ばれる赤い線が体の各部位をくっつけており、生殖器と思われる黄色い球体も繋がっています。このクラゲについてはわかっていませんが、クロクラゲは待ち伏せをするハンターなので、このクラゲも同じような生体を持っていると思われます。

そうだとするとこのような行動を取っている理由もわかります。

触手を広げて漂いながら、獲物が引っかかるのを待ち伏せるわけです。

海中探査は今でも続いていて深海の調査も新たに世界中で行われているので、波間の生物たちの知られざる生体が次々と明らかになるといいですね。

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