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Why is Indigo in the Rainbow?(全1記事)

なぜ虹は7色なのか?

虹と言えば、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の7色。しかし実際に虹を見てみると、色がはっきりとわかれているわけではなく、境界は非常に曖昧なものです。国によっては虹が6色や5色だとする場合もあり、厳密に決まっているものではありません。虹が7色であるとする説の起源は、かの有名な物理学者ニュートンの時代まで遡ります。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、虹の色について解説します。

虹に藍色が入っている理由

ハンク・グリーン氏:足元を見てください。あなたはジーンズを履いていますか? 今のところは履いているのがジャージでも、ジーンズなら持っているという方は大勢いることでしょう。

身の周りに、これほどジーンズが溢れていると忘れがちですが、自然界では実は、藍色は稀な存在なのです。人工染料により、藍色は一般に普及しましたが、実際にはそうではありません。

何世紀にも渡り、その希少さゆえに、人々はさまざまな文化や宗教を超えて、藍色に夢中になりました。藍への需要は貿易戦争の火種となり、奴隷貿易が、大西洋を越えて盛んに行われました。一時期は、藍の染料が、実際に通貨として流通したこともあるほどです。藍に対する熱狂は、「ニュートンの円盤」にも影響を与えました。

現在の色彩の専門家は、藍は虹でみられる7色に含まれているとは考えていません。実は藍は、ごく一般的な青と、そう違いがないからなのです。

青の天然染料が取れる直物はたくさんありますが、深く豊かで、耐久性のある鮮やかな青を発色させる藍の染料は、熱帯および亜熱帯地方の、コマツナギ属の低木から採取されます。この語源も、この木から来ているものと思われます(「コマツナギ属」は英語で“indigofera genus”)。

この染料の製法は、まずコマツナギ属の植物の葉をすり潰し、長時間水中で発酵させます。次に水を捨ててアルカリ液を入れ攪拌し、型にはめて乾燥させ、砕いて粉状にします。染師は、こうしてできた藍の粉と、その他の原料を樽の中に混ぜ入れ、望んだとおりの深い紫がかった青色を手に入れるのです。

ユーラシア大陸で、最初に藍の商業生産を始めたのは、インドだと考えられています。藍は、グレコローマン時代には、ヨーロッパの交易ルートに乗り各地に運ばれました。「インディゴ(藍)」という言葉そのもが、古代ギリシア語の「インディコン」、つまり「インドの染料」という単語から来ています。

「青い金」とも呼称された藍は、文化的にも重要な地位を占め、広くヨーロッパ、日本、西アフリカにおいて強く希求されました。

やがて藍は、アメリカ大陸の植民地において作られるようになり、その栽培と交易は、アメリカ独立戦争の大きな資金源となりました。

20世紀初頭、人工染料が開発され、天然染料を市場から駆逐しました。

さて、ここでみなさんは、「これがニュートンと何の関係があるのだろう?」と思っているかもしれませんね。話は17世紀にまで遡ります。

リンゴが好物のアイザック・ニュートンは、白色光が色彩のスペクトルでできていることを証明したいと考えていました。他の科学者が過去にプリズムを用いて行った実験により、プリズムを通った光が虹色に分裂することはわかってはいましたが、それは単に、ガラスでできたプリズムのヒビが原因だと考えられていました。

ニュートンが2つ目のプリズムを使うと、虹色の光は一筋の光に戻ったので、光のスペクトルはガラスのヒビとは無関係であることがわかりました。そして白色光は、複数の色彩の光からできていることがわかったのです。

さらにニュートンは、カラーチャートや学校の教育要綱に対し、何世代にもわたり影響を及ぼすことをしました。可視光線のスペクトルを、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫という、よく知られた7色に分けたのです。いわゆるRoy G. Biv、虹の7色ですね(Red, Orange, Yellow, Green, Blue, Indigo, Violetの覚え方として、それぞれの頭文字を順番に並べて Roy G. Biv という名前にする)。

しかし実際には、スペクトルの色は連続しており境は曖昧で、はっきりと区別はされていません。

世界中の人々には、色盲でない限り、色彩は同じように見えているはずですが、スペクトルの色の名称と分類とは、文化や歴史により異なることが多々あります。つまり、色彩というものは、多分に任意によるともいえますね。

一方でニュートンは、虹を7色と定めました。なぜならニュートンは、「7」という数が宇宙において重要な意義を持つものだと考えていたため、主要な色を、7つの音階や、その他の広く知られている7という数字と、対応させたのです。

しかし実際には、大抵の場合は藍色のスペクトルは1つの色として認識されず、一般的に使われているカラーチャートには、藍色を入れない6色を主としているものが数多くあります。

色彩の専門家によれば、色彩を示す言葉が、時代により少し変わって来ており、ニュートンが当時「青」と言っていた色彩は、現代で言うところの「シアン」や「青緑」を指していて、当時の「藍」は、現代で言うところの「青」に近いものであったのではないかとされています。

いずれにせよ、ニュートンが無理やり色を7つに定めようとした際に「青緑」ではなく「藍」としたことは、当時の藍染料の貿易における地位と重要性を物語っているのかもしれません。

今度ジーンズを買う時には、ちょっとこの話を思い出してみるのもよいかもしれませんね。

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