2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
Jimmy Carter's 'Cancer Cure'(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:2015年の8月、元アメリカ大統領で91歳のジミー・カーターは、肝臓と脳にがんを患っていると公表しました。
診断では良好だと伝えられましたが、それはつまり「あまり良くない」ということです。
しかしその数ヶ月後カーターのがんは、一部ではありますが「免疫療法」によって消滅したと発表されます。さらに翌年の3月には、これ以上治療を受ける必要はないと医師が宣言するほどになりました。
どうしてこれほど早く回復できたのでしょうか。またその治療法は将来のがん医療にどんな影響があるのでしょうか。
がんの治療法について考える前に、まずがんそのものについて考えてみましょう。
体内の細胞は通常、分裂しながら増殖していきます。がんというのはこの細胞分裂に異常が起こって、制御不能な状態になってしまうことなのです。
がんはその種類ごとに違った遺伝子変異を起こし、がん細胞は急速に増殖しながら全身のあらゆる組織に転移していきます。
このため、がんの種類ごと、患者ごとに治療の効果は異なってしまいます。たとえ同じがんを患っていたとしても、ある患者に効果がある治療も別の患者には効果がないケースがありうるのです。
そのため医師らは通常、がんの種類、ステージ、がんの場所、患者の健康状態に応じて複数の治療法を併用します。例えば、外科的手法はがんの腫瘍を直接取り除きますし、放射線治療は変異した細胞のDNAを高エネルギー粒子によって破壊します。
抗がん剤治療は複数の薬を血流に乗せることで、がん細胞の増殖の阻害を狙っています。
ところが近年、ジミー・カーターの命も救った免疫療法という新しい手法が注目を浴びています。
免疫システムは、臓器や細胞に特化した化学物質によって感染や病気から体を守るいわば専属のボディーガードです。正常な状態であれば、免疫システムは味方の細胞と、菌のような外敵とを見分けることができます。
しかしがん細胞が広がるだけで、免疫システムは混乱してしまうのです。変異して増え広がったがん細胞や、通常は丸見えの外敵も見分けられなくなってしまいます。それだけではなく、がん細胞の中には免疫システムを弱めてしまうものもいるのです。
免疫システムが「非常事態! がん細胞を見つけたぞ!!」と言っても単独ではがん細胞を殺せなくなってしまいます。
そこで研究者たちは人工のタンパク質によって免疫システムを助けて、がん細胞を見分けて撃退できるような研究を続けています。
免疫療法自体は目新しいものではなく、過去20年にわたって医師たちは他のいろいろな治療法と組み合わせて使ってきました。ところがこの数年急速に注目を浴びています。
2014年9月にFDA(アメリカ食品医薬品局)は、致死的なステージに到達したがん患者への、有効な新薬への認可を加速することを決めました。例えばカーターのように、悪性黒色腫のような進行したがんへのあらゆる治療を試した患者です。
通常健康な細胞はPD-L1というタンパク質を発現していて、免疫システムのPD-1が侵入できないようにしています。しかし悪性黒色腫もPD-L1を発現してしまうため、免疫細胞から隠れて同じように侵入されないようにしているのです。
「キイトルーダ」という商品名で知られるペンブロリズマブは、PD-1阻害薬の中でFDAが最初に承認した薬です。これによって、免疫細胞はがん細胞を見分け腫瘍を攻撃できるようになりました。
キイトルーダを用いた悪性黒色腫への治療は思ったほど効果が見られない患者もいましたが、ジミー・カーターのように数ヶ月で劇的に腫瘍が小さくなり、ついには消えてしまう患者もいました。
多くの見出しで「奇跡の治療」と取り上げられましたが、その言い方は軽率なばかりか危険もはらんでいます。カーターや他の患者はあくまで普通に「治療」されただけです。検査でがんがなくなったと言っても、わずかに残っている可能性はありますし、再発しない保証はありません。変異した細胞は生き残っていて、増殖を再開する可能性があるのです。
カーターを担当した医師は、治療をしなくていいとはいえ定期的に脳と肝臓を検査する必要があると言っています。がんが完治したというより、「寛解した」というのはこのためです。
それでもキイトルーダはとても有望な薬です。研究者たちは、免疫治療の効果を他のがんに対しても広げられるように開発を続けています。リンパ腫、乳がん、膀胱がんに対してはまさに開発途上にあります。
個人的には、免疫治療はがんに有効な武器の中でも、実際に使える有望なものだと思いますね。
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