
2025.02.06
ポンコツ期、孤独期、成果独り占め期を経て… サイボウズのプロマネが振り返る、マネージャーの成長の「4フェーズ」
Immortal Cells Turn 96 – YouTube(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:ヘンリエッタ・ラックスは今日からちょうど96年前の1920年8月1日に南ヴァージニア州で生まれました(注:動画投稿日は2016年8月1日)。彼女は癌により31歳で亡くなりました。彼女は貧しいタバコ農家で5人の子を持つ母でした。
しかしそれだけではありません。彼女は間接的に、医学史上最大の躍進において大きな役割を担うことになったのです。なぜなら彼女の一部は現代においてもなお、細胞の形で生き続け、世界中で研究に用いられているからです。そして近年になり科学者たちは彼女の細胞の一部がなぜこれほどまでに特別であるのかを解明することができました。
1951年、ラックスはジョンズ・ホプキンス病院へ行きました。
この病院は当時彼女の住む区域で唯一の、アフリカ系アメリカ人の患者を診てくれる病院でした。彼女はそこで進行の早い子宮頸癌の治療を受けに行きました。検診をした時その医師は自身の研究のために彼女の腫瘍から細胞のサンプルを採取しました。彼は彼女からその許可を得たり、彼女の遺伝的サンプルが使用されるかもしれないことを伝えたりすることはありませんでした。
しかしインフォームドコンセントは当時普通のことではありませんでしたから、これは驚くべきことではありませんでした。そして彼は彼女の細胞をジョンズ・ホプキンス病院の細胞の専門家に渡しました。この専門家は彼女の細胞を顕微鏡で見て、自分が何年にも渡って探していたものを見つけたのです。
ほとんどの細胞は死ぬ前に40回ほど分裂します。しかしラックスの細胞は分裂を続けました。研究所の管理された環境の中で、彼女の細胞のいくつかは衰えることなく分裂し続けたのです。当初この細胞は「不死身」の細胞列、つまり非常に長い間成長し、生きる続けることができるように突然変異した細胞の塊と見なされました。
65年後、この細胞は未だに分裂を続けています。
このほかにも不死身の細胞列とされるものが開発されています。その中のいくつかはラックスの細胞のように、自然に突然変異を起こしたものもありますし、目的を持って開発されたものもあります。このオリジナルの細胞はラックスの姓名のはじめの二文字ずつをとり、HeLa細胞(ヒーラ細胞)と名付けられました。
この細胞は大量生産され、何世代にも渡り科学者たちが細胞生物学においての実験や重要な研究のために用いられました。それにより彼らが実際の生きている人間を用いる必要がなくなりました。このことは当時も、そして現在においても非常に大きな意味を持っています。
この細胞は癌に侵されていて、典型的な人間の細胞とは遺伝的に異なりますが、HeLa細胞は重要な状態において通常の細胞と同じ働きをするため、バクテリアやホルモン、とくに細菌などの研究をする際に非常に便利なのです。
1950年台前半から、研究者たちはHeLa細胞を対象にしてさまざまな細菌の実験をして、その細胞がどのような反応をするかという研究、そして命を救うワクチンの開発のための両方でこの細胞が用いられてきました。
例えばポリオを例にしてみれば、HeLa細胞の前研究者たちはアカゲザルの細胞をポリオに感染させて測定したり抗体を取り出したりしていました。
しかし、十分な時間内に新しいワクチンのテストをして正確な結果を出せるほど猿の細胞を手に入れるのは不可能でした。そこでジョナス・ソークは代わりにHeLa細胞を使い、後に彼の有名なポリオワクチンを製造し、試験し、大量生産することが可能となったのです。
それ以降膨大な量のHeLa細胞が作られてきました。その細胞で少なくとも地球を3周できるほどの量が生産されたのです。この細胞は他のワクチンを作るのにも貢献してきました。そしてヘルペス、パーキンソン病、特定の癌の治療を開発するのにも使われました。そのほかにも、クローン、遺伝学、放射線の影響を研究するのにも用いられてきました。
HeLa細胞に関係する論文は何十万件も報告されています。しかし何十年もの間研究者はなぜHeLa細胞が止まることなく分裂し続けてこられたのかを解明できずにいました。彼らはラックスの癌の原因の一つにHPVと呼ばれるヒトパピローマウイルスが関係していたことはわかっていました。研究者の中には彼女のDNAがそのウイルスに反応したことにより、または彼女が感染していた梅毒が細胞を暴走させたのではないかと考える人もいました。
しかし1950年代には多くの人がHPVや梅毒、癌などにかかっていましたが、HeLa細胞のような反応をした細胞はありませんでした。しかし2013年になってワシントン大学の研究者たちがHeLaゲノムの配列をした際、その答えのいくつかが得られたのです。
論文の発表は少し遅れてしまいました。なぜなら研究者グループはまず、今まで一度もHeLaの研究に関わったことがなかったラックスの家族に、発表の許可を得られるよう手続きをしたからです。研究者たちはごちゃごちゃになったHPVゲノムの一部が実際にラックスのゲノムと合わさっているということを発見しました。
独自の癌ゲノムを持つウイルスが変異すると、がんを引き起こす遺伝子であるラックスの癌遺伝子の隣を陣取っているのを発見したのです。HPVが主にその癌遺伝子のスイッチを入れてしまうようでした。
その癌遺伝子はラックスの体内で大量の癌細胞を生産してしまっていたのです。少なくともこの理論により、なぜラックスの癌と不死身の細胞列が頑固に継続しているのか、そしてなぜそんなに便利なのかという疑問の答えの一部が解明したと言えるでしょう。ヘンリエッタ・ラックス、お誕生日おめでとう。そしていろいろありがとう。
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