
2025.02.18
「売上をスケールする」AIの使い道とは アルペンが挑む、kintone×生成AIの接客データ活用法
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鈴木:ちょっと話を変えますと、2~3ヶ月前かなぁ。ナウシカの漫画のほうを読み返してみたんですよね。そしたら、いろんな意味でおもしろかったんですよ。その1つが、さっきから「主人公の見た目からいろんな情報が手に入る」っていう話をしてるけど、途中から変わるんですよね。
朝井:主人公の、見た目がですか?
鈴木:俯瞰の話。その中でナウシカはどう行動するかって。
川上:あれ完全に違いますよねぇ。ナウシカが出てこなくなりますよね、途中から。
鈴木:途中までそうなんですけど、途中から変わるんですよね。あの人、そういうところはおもしろいですね。
朝井:確かに途中から、4巻ぐらい以降、ナウシカが出てこないところが長いですよね。
鈴木:これは立花隆さんに指摘されたんだけど、実は自分の周りにもナウシカファンって多くて、特に原作はみんな読んでいる、と。ところが4巻めぐらいから難解になるので、そこでストップする人が多いと。僕はそれを聞いて、なるほどと思ったんですよ。その前にちょうど読んでたんでね。
漫画の描き方が違ってきたことと、みなさんが読まなくなったってことと、本の売れ行きとが、全部関係があるんです。やっぱり、主人公の見た目で情報をつかんでた時までが売れてるんですよ。
朝井:RPG的に読者も一緒に楽しんでた時ですね。
鈴木:そうそう、ロールプレイングゲームですよね。
朝井:敵対関係も、最初はわりとはっきりしてるじゃないですか。でも途中からもっと大きな話になってきて、敵対関係とかそういう話じゃなくなってくる。勉強でもするかのようにしないと、ついていけなくなりますね。
鈴木:まぁ、一種の哲学ですよね。
川上:登場人物も増えて、いろんな敵対関係が出てきちゃって。
朝井:初めはわかりやすく一本化された、誰もが見ても悪、っていう人がいて。
鈴木:宮さんの話で、こんな言い方があるんですよ。非常に大きな話なんですけれど、「歴史の中で、人間というのは不遜に生きてきた。それによって馬鹿なことをいっぱい繰り返してきたんだろう」っていう。それが根底にあるんでしょうね。
川上:映画じゃなくてテレビで見たいですけどね。NHKの大河ドラマで見たい。
朝井:あー! 大河ドラマ、近い。
鈴木:テレビでそんなことできるんですかねぇ……。
朝井:また電話がいっぱいかかってきちゃうかもしれないですけど。
鈴木:大河ドラマって、NHKがやってるでしょ? どんな話もホームドラマにしちゃうでしょ? ホームドラマにするから、日曜日の夜8時に見ることができるわけじゃないですか。ところが、あの原作をあのままやったら、みんな見ないですよ。
朝井:確かに、明日から月曜日だ、って時にあれは見れないですね(笑)。
鈴木:嫌になっちゃうでしょ。
朝井:大河ドラマ的にやってほしいっていうのはすごいわかります。
川上:長い時間でやってほしいですね。
鈴木:言っちゃいけないことや、やっちゃいけないことを心得てるっていうのか、やっぱりそういう範囲で作られたもの、見る側もそういうほうが好きですよね。
朝井:見る側は許容範囲を決めて見ていて、そこからはみ出すと結構動揺しちゃいますからね。だからナウシカは原作でみんな動揺したんだと思います。
朝井:例えば『何者』をテレビでやったら、みんな見ますかね?
朝井:いや、あれはどうでしょうかね……私はもちろん見てほしいですけど、現実的に考えるとどうなのかなと思います。
鈴木:ねぇ。みんなで明るく見るやつじゃないですよね。
朝井:ビールとか飲みながら見るような感じじゃないですね。
鈴木:あるとしたら映画なんですよね。
朝井:テレビで、自分の好きな環境を整えて、ゆったり背もたれにもたれて……って感じじゃないですよね。
鈴木:昔の、ある時代のNHKの日曜夜にやってたドラマなんかは、けっこうそういうものを含んでいたんだけどね。
朝井:そういう攻撃的なもの、相手のキャパシティを超えるような?
鈴木:うん。それはウケてた。向田邦子なんていう人もある領域へ踏み込んでいたし。人間のいい面・悪い面。あの、朝井さん、関係ないんですけど……。
朝井:何言われるんだろう?(笑)
鈴木:僕はそういうことに詳しくないんですけど、Twitterでアカウントを2つ持って云々っていうのは一般的なんですか?
朝井:一般的だと思います。今『何者』っていう僕の作品の話をしてくださってるんですけど、その中のキャラクターが本名のTwitterアカウントと、もう1つ全然違う、素性を隠したアカウントを持ってるっていうシーンが出てくるんですよね。
鈴木:それがアドレスから辿れると?
朝井:アカウントを2つ持ってるっていうのは、けっこう僕の中では普通で。鈴木さんの年代の方から感想をいただくと、「アカウントを2つ持ってることに驚きました」「最後にひっくり返されてびっくりしました」って言われることが多いんですよね。でも僕の同年代の子からすると、「大どんでん返しでも何でもないじゃん、普通じゃん」っていう感想が多いんですよ。受け止め方が全然違うなあっていうのは思いましたね。
鈴木:なるほどねぇ。ネットが好きな男の子たちに説明すると、すっかり内容が入るんですよ。「(アカウントを2つ持つことを)知ってる?」って聞くと、詳しいやつは「知ってますけど」なんですよ。ただアドレスから辿れるっていうと「えっ?」って言い出すんですよ。それを聞いて突然、読みたくなりましたって。
朝井:それは嬉しいですね。
鈴木:つまり何が言いたいかというと、そこへ浸透してませんよ、と。それを宣伝に使うべきだってことを言いたかった(笑)。
朝井:あっ、今新潮社の人も来てるから……。新潮社の人見てますか? POP作ってくださる方見てますか~?(笑)
鈴木:そこに落ちてないんだよね。感心してるのはおじさん、おばさんばっかり。
朝井:知らないものに触れたっていう感覚で、びっくりされる方が多いですよね。すいません、ナウシカの話をした方がいいですよね? ごめんなさい、僕の作品の話とか……。
川上:いや、全然(笑)。
鈴木:はい、司会。
川上:司会ですか? 司会と言われても、ちょっと困っちゃいますよねぇ……。なんかいろいろ作ってくれたんですよ。こういういろんなやつを……。これ裏もありますね。
朝井:裏は川上さん用ですね(笑)。
川上:じゃあ1枚目から。久石さんって、ナウシカで初めて音楽を作ったんですね。
鈴木:そうですね。映画音楽はたぶん初めて。それまでCMしかやってないから。
朝井:ナウシカの時、確か初めにナウシカっぽい音楽をイメージした曲をかけながら作られていたと。コンピレーションアルバムみたいなのを先に作ったっていう話を伺ったような……イメージアルバムですね。すでにそれがあって新しいものを久石さんに頼むって、結構難しいことじゃないですか?
鈴木:でも、それ(イメージアルバム)は久石さんがやったんで。日本映画ってね、それこそ朝井さんが生まれる以前はいちばん貧弱なの、音楽が。いわゆるオーケストレーションで映画をやるなんて、誰も考えなかった。
朝井:そうなんですね。
鈴木:ナウシカはオーケストレーションでしょ? なぜそんなことが起きたのかというと、徳間書店がナウシカをやるということになって、その系列の会社に徳間ジャパンっていう音楽の会社があったんですよ。これが幸い。普通だと音楽費って、実はいまだにそうらしいんだけど、削られて削られて、本当に貧弱。そういう時代に(徳間ジャパンから)レコードを出したいって言うんです。 それを聞いた高畑さんが思いつくわけですよ。久石さんを選んだ後に、「イメージアルバムっていうのをやりませんか?」と。ナウシカの原作を読んでもらって、久石さんが自由に作る。まずそれを作ったら、それを聞きながら良い悪いを話し合って、それで本番に臨む。これは贅沢ですよ、と高畑さんが言って。それで突然ナウシカはそういう作り方で、オーケストレーションでやることになったんですよ。
朝井:じゃあそういう意味で、音楽的にも日本を変えた?
鈴木:日本映画は変えたと思いますね。
朝井:「ジブリといえば音楽がいい」っていうのはもうすでに常識的な話ですよね。
鈴木:今となれば音楽にお金をかける映画って当たり前になってきたけれど、当時では非常に珍しい。そういう偶然が重なったんですよね。
川上:イメージアルバムっていうのは、イメージボードっていうのがあるから音楽でもそういうのがあるはずだ、っていう発想なんですか?
鈴木:そういう発想で作ってみようと。レコード会社にとっては、それもナウシカの名前で売れるんだというメリットがあったわけですよ。そこに高畑さんは目をつけたんだよね。
川上:イメージアルバムっていう概念自体は日本だけのものなんですか?
鈴木:だと思いますけどね。当時、若干そういうのが始まってたんですよ。勝手に「タッチ」のイメージアルバムを作っちゃうとか。いろんな作品に対してそういうのを作ると、それが売れたりしてたんですよ。映画にはならない、アニメ化、テレビ化もされない、しかし音楽だけあるということもあった。
川上:それを逆転させて、アルバムから落としたっていうことですね。
川上:じゃあ、いっぱいボードあるので。だんっ。
朝井:「宮﨑駿監督は号泣!?」っていうのが気になっちゃったんですけど。
鈴木:これは何でしたっけ?
朝井:何でしたっけ? って……(笑)。
川上:完成して号泣したと、そういうことですね。
朝井:(笑)。流れていきますね~。「好きな名言・セリフ紹介」とかありますね。
川上:「世代間ナウシカ論」。これは世代によってナウシカが違うっていうことですかね。
朝井:やっぱ受け止め方が違うっていうことですかね?
鈴木:それはそうですよね。
朝井:「好きなセリフ」。
川上:うーん……。まぁ、まぁ……。まぁどんどん……。特に思いつかず(笑)。
鈴木:これ、おもしろくなかったら川上さんの責任なんですよ。
川上:はい、すいません。
川上:このへんが庵野さんの描いた原画ですよね。巨神兵はこれ1人で描いてるんですか?
鈴木:そうですね。右上は関係ないけれど、他の3点がそうですよね。
川上:これ(右上)は庵野さんじゃなくても誰でも……ってことですよね。
鈴木:このシーンを庵野が作れたのは、ナウシカにとっては幸福だったと思いますね。ベテランがやると、いい意味でも悪い意味でも手抜きをするから、あんなに粘っこいシーンにはならなかった。
朝井:肉が垂れていくところとか、すごい大変だったんじゃないかな……。
鈴木:ああいうのが描けるっていうのは、やっぱり新人だったから。新人だと頑張るじゃないですか。
川上:でも、庵野さんは今でも手抜きしないですよね。そうでもないですか?
鈴木:うーん……大人になったんじゃないですか?
朝井:「大人になった」とキレイな言葉で言い換えていただきましたが(笑)。
川上:イメージイラストで、こういうのもありますね。
鈴木:これは全部文春ジブリ文庫『風の谷のナウシカ―シネマ・コミック』からの紹介ですね。今日は文春の方もいらっしゃってるんで、何かあれば……。
朝井:普通の一般のファンからしたら、見たことない制作現場の写真とかも入ってたりしておもしろかったです。びっくりしました。機械とか今と全然違うじゃないですか。
鈴木:それは撮影台なんですけど、今はコンピューター上でやっちゃうから。
朝井:こういう状態だったってことも全然知らなかったので新鮮でしたね。例えばイメージカットをたくさん使ってますけど……。
鈴木:約30年前かな? そのぐらいですよね。映画を作り出したのが、1983年なんで。
朝井:公開の1年前?
鈴木:そうですね、なんだかんだで。春からでしたよね。
朝井:結構作らせてくれる拠点を見つけるのも大変だったって、そこの話も全部書かれてますもんね。
鈴木:取材を受けたんですけど、これまでしゃべってないことをしゃべる努力はしたんですよ。
川上:そもそも、このシリーズを出そうとした理由っていうのはどういうところなんですか?
鈴木:これはねぇ、建前は、ジブリのいろんな出版物があるじゃないですか。いろんな出版社でやってる。それをどこか1つの出版社で、形は文庫でも集めていくと、お客さんにとってもいいかなぁと思ったわけですよ。
朝井:「建前」は?
鈴木:建前は。実際はですね、ジブリの「熱風」っていう月刊誌があって、その中で古澤利夫という人が映画について連載をやっていて、この連載を本にしようと。それでどこがいいかなぁっていう時に、いろんな出版社があるんだけど、僕がずっと思ってたのは、映画を大事にしてくれるのはやっぱり文春さんなんですよ。ちょうど僕の知り合いもいたんで、その方に相談して。それでやってくれることになったんですよ。
ただし細かい話、これ本当……。編集費とか印税の話とかいろいろあるじゃないですか。なかなか条件が合わなくてね。
朝井:誰の本か? っていうこともありますしね。
鈴木:いろんなことがあったんですよ。文春の方が、印税をもし多く払うとしたら、将来のことを考えなきゃいけないと。それじゃあ、ジブリのいろんな物を文春でやっちゃったらどうですかね? っていうアイデアをくれてね(笑)。
朝井:一括してやってしまえばいいと(笑)。
鈴木:そう。それがきっかけでね、やることになっちゃったの。
川上:でもこれは新しく作ったものですよね。
朝井:シネマコミック嬉しいですよね。
鈴木:それでやっていくうちに、これをやろうって。文春さんっていろんな方とお付き合いがあるでしょ? そういう人たちがナウシカをどう見てるかっていうのはちょっと知りたいなっていうのがあったんで。
朝井:いろんな人の寄稿文がめちゃくちゃおもしろいですよ。
川上:いろんな人が見たナウシカ論が1冊にまとまっているという。
鈴木:大人の人の意見も聞いてみたかったんだよね。なかなか今、批評って難しい時代だと思うので。
川上:単純なアニメファンとはちょっと言えないぐらいの、立派な人たちの解説ですよね。
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