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ゲストによるトークセッション(全4記事)

パパとの協力体制、そして“3歳児神話”--保活当事者らは立ちはだかる壁とどう向き合った?

「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログエントリから約1年。保活問題の今はどうなっているのでしょうか。2017年3月1日、“フリーランスの保活”にフォーカスしたイベント「#フリーランスが保活に思うこと」が行われました。主催はプロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会とハフィントンポスト。保活とともにママたちが頭を抱えがちなのが、パパとの協力体制や周囲からの“3歳児神話”など。本パートでは登壇した3名がそれぞれの課題とどう向き合い、解決したのかを語りました。

なぜ保活に「パパの姿」が見えにくいのか

司会者:そうですね。なにか、ご質問いかがでしょうか?

質問者3:貴重なお話をありがとうございました。私は民間でベビーシッターサービスの事業をやっております。実際にフリーランスのお客さまからのご依頼というのも、すごくあります。

例えば、職場にシッターが出向いたりですとか、自宅でお仕事をされている方であれば、隣の部屋で保育をしたりというような、柔軟な保育というかたちで提供しているんですけれども。ちょっと、その話は置いておいて。

この保活の話をするときに「ママしか出てこないな」というのを実感として持っています。でも、今日はパパもいらしているんですけれども。お3方は、パートナーシップという点ではなにかご協力されたりということがあったのかな、というのをうかがいたいです。

竹下隆一郎氏(以下、竹下):すごくいいポイントですね。ありがとうございます。

菊地加奈子氏(以下、菊地):私は専業主婦からスタートだったので、夫はもう本当にバリバリのサラリーマンだったんです。キッチンの水の出し方もわからないような夫だったんですけれども、今は予防接種から授業参観もすべて行ってくれる夫に変身しました。4月からPTA会長までやるという(笑)。

なぜそういうふうになっていったかというと、フリーランスってサラリーマンと違って、どんどん収入が増えていって、仕事も忙しくなっていくんですけれども。夫は会社員なので今までとぜんぜん変わらない。

そこで言われたのが、「どんどん変わっていくのが怖い」。「どうなっちゃうんだろう? この先」って言われた時に、「ちゃんと話し合っていかないとね」ということで、その都度その都度、物を投げたりすることもあるんですけど、ちゃんと向き合うようになりました(笑)。そうやって話し合いながらやっています。

最初、夫はサラリーマンで、私が収入がまったくなかったときに、両立という壁で、共働きの壁というのにものすごく何度もぶちあたって夫も会社で嫌な思いたくさんしました。その時は、私の収入少なかったから「我慢して」としか言えなかったんですけれども、ある一定のところに立った時に「辞めていいよ。一緒にやろうよ」と言えるときが来たんです。それが2〜3年前ですかね。

2人でがんばってきて、いろいろ嫌な思いもしたんですけれども、協力し合ったり、会社とのやり取りをしながら、乗り切ってこれてよかったなと今は思っています。なので、本当に対等に、一緒に出勤して一緒に働くというスタイルを作っています。

子育てとともに夫との協力体制を作る

新倉暁子氏(以下、新倉):我が家はちょっとその点では……実はわりと近いところに、電車で10分ぐらいのところで働いているんですけど、朝5時台に出ていくんですね。もう激務のサラリーマンでして、平日は手伝いとかはもう一切できない状態です。

だけども、最初は同じように、箱入り息子だったので、洗濯もできないし、掃除も「トイレ掃除のやり方を教えてください」というような人だったんですけれども、徐々に話し合いをしました。

あと現状。「今、私がこういうことに困っていて、こういうふうな手伝いをしてほしいんだ」というのを上手に伝えることで、ファイトじゃなくて、うちは議論じゃなくて、「こう困ってるんだよ」という、伝えるタイミングと伝え方を、毎日のように上手に上手に開いた時間、疲れていないときおうかがいをして。

今では実は、5時台に出ていくんですが、洗濯を干しているのは夫です。あと朝の食器洗浄機から食器棚に戻すのも夫。コーヒーを入れて出勤していくのも夫なんです。そこまでだいぶ子供が生まれてから変わってもらいました。ありがとうございます。

吉野ユリ子氏(以下、吉野):うちは、私がだいぶマネジメント能力が低くて。そもそもそういう組織で働くことができなかったので、フリーランスをやっているようなところがあって、人を育てたりとかする能力が本当に低いので(笑)。

うちも夫がサラリーマンなので「融通が利くのは私かな」と思っちゃうところと、そもそもやっぱり子供が生まれたときって母じゃないとできないこと、授乳とかが多かったりしたこともあって、どうしても私のほうが責任意識がどんどん育ってしまう。そんな中で、彼を教育することのストレスから逃げてしまって、もう全部自分でやっているんです。

うちの場合は、月に2回ぐらいゴミ捨てをしてくれるぐらいの関わり方です。あと「おむつ濡れてるかもしれないから、ニオイ嗅いでみて」と言ってくれるとか、その程度の関わりです。あとは、機嫌がいいときに抱っこしてくれるとか(笑)。

でも、やっぱりたまに主人が出張に行ってると、なんか楽なんです。ごはんもたいして作らなくていいし、「いないとすごい楽」って思うんですけど「でも、やっぱり家が静かで寂しいね」って娘と言っていて、「1人じゃないほうがやっぱりいいな」というふうに思います。

事前にスケジュールを共有し、緊急時を乗り切る

竹下:ありがとうございました。ほかに……あ、どうぞ。

質問者4:フリーでライターをしています。私が子供がもう認可保育に入って、この3月で卒園をする、非常にフリーにしてはかなりラッキーな状態であったんですけども。

子供を保育園で預けているなかで、一番私にとっての大きな心配事というかネックというか。先ほどお話あった、子供が熱を出した時にどうやってみなさん乗り切ったのかというところと、お仕事に連れて行かれたということもなかなかそういかない状況もたくさんあって。どういうふうに乗り切られたのかということと、乗り切る方法が今あるのかを知りたいなと、すごく切実なところで思っています。

そうですね、できれば、みなさんにうかがいたくて。

竹下:どういうふうに乗り切ったのかと……。

質問者4:なにか術はあるのか。それが一番聞きたいです。

菊地:今も昔もカレンダー共有して、熱を出してもなにしても「絶対にここだけは手伝ってね」と事前の共有をしている。セミナー・講演が私は多いので、そのときは、もう夫にはそこは対応してもらうようにしてて。

それでもダメなときは、今は職員さんもいますし、あといろんな人を頼る、連れて行くとか、とにかくいろんな方法をやっています。

1回私も、今の一番上の子が小学校1年生のときにインフルエンザに突然かかって、夫も仕事へ行ってしまって、どうしようもないというときに、車の中で毛布に包んで待たせたことがあったんですけれども。本当に、今だから言える話です。

でもやっぱりつらくて。その時は私も本当泣きながら仕事をしました。でもやっぱりそういうときもありました。本当に。

絶対に誰かが見てくれるということを確保できなかったときもあります。でも、そこをうまく綱渡りをしながら乗り切ったなというところで。それは失敗談なんですけれども。

新倉:私も病児保育・病後児保育というのには登録してあるんですけれども、実際、当日の朝とかってもうバタバタで。あと、かけてみても、どこもあふれちゃってる状態です。親にも頼れない状態の時に、同じようにどうしても外せないセミナーが入ったりとかして、別室で、子供に「ごめんね」って言いながら、待ってもらった記憶があるんですけれども、うーん……予防をするしかないところ。

あと、小学生になってきたらだんだん強くなってくるので、「強くなれよ」と言って、今は過ごしています(笑)。

吉野:私も2ヶ月から保育園預けていたので、本当にまだ免疫が不安定な頃とか、けっこう熱を出しましたけど、病児保育・病後児保育などを利用するなどしていました。そもそも「病後児保育って、あれ、いったいいつのタイミングでみんな使うんだ?」ってすごい謎なんですけど。実際、病児保育しか使ったことないんですけどね。

私は住んでる目黒区と、保育園が港区なので、港区の保育園も使えるようになっていて、その両方に常に電話をしていました。まあ5人待ちとかだいたいいつもなりますけど、わりとそういうところを、夜からとか朝からの熱だったら、そういうところを使っていましたね。

途中で呼び出しが来たときは、シッター会社さんは4〜5社契約していて。本当にいわゆる良いところというか、10万とか5万とか年会費を払って「絶対100パーセント保証です」みたいなところは、一応登録待ちしているんです。でも、ぜんぜん入れないので、今のところ子供が生まれて1年間待ってるところも何社かあります。そんなに高くないところは入れるけど、それでも必ず受けてもらえるわけじゃなくて。

そういう5社ぐらいシッター会社さんと、あとはもうSNSで呼びかけて、フリーランスの友達とかが助けてくれて。本当に阿佐ヶ谷とかに住んでる人が日本橋まで来てくれて、そこで喫茶店で2時間子供を見てくれたりとか。そういう無謀なことをときどきやって。「みんな、やさしいな」と思いながら、ただ感謝しかできないという感じで(笑)。「私が誰かに頼まれたらやろう」って思いながら、人の力を借りています。

自分はどう働きたい? 子供とどう向き合いたい?

竹下:では、最後の1問ぐらい、もしあれば。ちょっと時間がないので、どなたかお1人指名していただいて。すみません。

質問者5:ありがとうございました。フリーでWebメディア運営と、あとアジア圏と日本の共同ドラマを作ってるという、2つのパラレルキャリアをしています。

菊地さんに、保育園経営者の目線でおうかがいしたいんですけど。私は今、妊娠7ヶ月目で、6月に出産予定です。まさに今保育園に電話をし、営業みたいな状態です。できるだけ早く、0歳児で保育園に入れたいなと思って今いろいろ動き回っているんですけど。

とはいえ、ちょっと感情論になってしまうんですけど。例えば、母の世代とか周りの母親とかの声でいうと、「やっぱり0歳児は今しかないから、子供の側にいてあげないと」と声もぜんぜんやっぱりあって。

私自身も、「今まさにいろいろ自分で行っている仕事を精一杯やりたい」という気持ちと、かたや子供のずっと側にいれない状況にするのは自分自身なので、「そのバランスをどうすればいいんだろう?」というのはすごく悩んでいて。

まだ生まれてもいないし、保育園、ベビーシッターに預けるという状態ではないんですけど。いわゆる社会の声で「側にいてあげないといけないんじゃないか」って声もぜんぜんあるじゃないですか。

なにかそういうことに関して、先ほどおっしゃっていた、保育士さんと働くママがいろいろ話しあって状況を共有しているなかで、どういう声とかがあるのかをうかがえればと思います。よろしくお願いします。

菊地:私は最初1人目の時は、「保育園なんかなくなってしまえ」「なんでお母さんが見ないの? 馬鹿じゃないの?」と思ってたんですね(笑)。

3人目の時に社労士として復帰した時、「私はもうバリバリのキャリアウーマンになってやる」って思って、「この3歳神話、なくなってしまえ」って、逆転して180度考えが変わったんですけれども(笑)。

そして、3人目4人目を産んで。4人目の時は、出産した病室でも仕事をしてるような、当日まで働いて、産み終わってすぐまた働くみたいなことをやったんですけれども、やっぱりその時に「バランスって大事だな」って思いました。

女性の体の問題だったりとか、母乳で育てる良さというものを感じたり。どんな働き方をしていても、どんな生活をしてても、女性の体の仕組みって変わらない。「子供はちゃんと育つよ」ってみんなは言ってくれるけれども、でも、自分の体のこととか、いろんなことを考えると、「バランスってすごく大事だな」に落ち着いたのが、ようやく5人目だったんですね(笑)。

いろんな変遷を経て最終的に落ち着いたのが、「全部預けっきりとか、極端はよくないな」ということ。「じゃあ自分がなにをしたいのか? どんな働き方がしたいのか? この子とどう向き合いたいのか?」っていうふうに思った時に、私はとりあえず「母乳育児を軸にしよう」となりました。

別に「母乳じゃなきゃダメだ」ってわけじゃないんですけれども。母乳だとどうしても時間になったときに密着する時間というものができるので、それをリズムにしようと思ったんです。

「じゃあその授乳時間というものを作って、そこでスキンシップを図ろう」「集中する時間は仕事に集中できるようにしよう」ということで、事務所で働いているときは、保育園に行って授乳をする。遠くに出張するっていうときは連れていこうとかしました。というように、自分のなかで軸を決めて働き方を作っていったんですね。

そこをちゃんと保育士さんにもわかってもらって。例えば、母乳よりもミルクのほうが、保育士さんとしては、安定、リズムがつくのでやりやすいかもしれない。でも、そこの「母子の生活リズムというところを考えて一緒に保育を考えてください」を保育士にお願いをして、配慮してもらって。お昼寝の時間とかがずれちゃったとしても、ちょっと配慮してもらいながらやり切りました。

自分の保育園だったらというわけではなく、認可保育園だったとしても、そういう要求はリクエストしていいと思うんですね。どんどんわがままは言っていいと思う。いかに保育士さんたちとコミュニケーションを取るかで、自分の働き方も変わってくると思うので、楽しんでほしいと思います。

質問者5:ありがとうございます。

竹下:5人出産を経験されてるので、説得力がありますね(笑)。ありがとうございます。まだまだご質問あると思うんですけれども、時間の関係で前半はこれで終わらせていただきたいと思います。改めまして、菊地さん、新倉さん、吉野さん、本当ありがとうございました。

(会場拍手)

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