2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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竹下隆一郎氏(以下、竹下):なるほど。確かに多様性に合わせるのも大事ですが、一定のリズムをもってお子さんが育つというのも大事かもしれないですね。そこが難しいところだと思うんですけど。やっぱり突発のお仕事とかもありますよね。
吉野ユリ子氏(以下、吉野):そうですね。だから土日にお仕事が入ったときなんかは本当に大変。平日だったら、ざっくりした時間で預かってもらって、普通に今まで対応してきていました。でも、クライアントさんはそれと同じ感覚ですから。
例えば「じゃあ2〜5時でお願いします」と言われて、念のため12時半から6時半まで保育園予約したり、シッターさんを予約したりしていました。でも「ちょっと押しちゃって、1時間後ろになります」と前日に言われると「もうダメだ……」と思っちゃったり。
あとは私の場合、ファッション誌の撮影とかで、モデルさんのヘアメイクで2時間待ちとかも同席していたりするんですけど。その時も「ああ、1時間2,500円……」って思いながら(笑)。なんか切ないな、っていうのはありますけどね。
竹下:私の妻もフリーランスでライターをしていた時期あったんですが、本当に土曜日の朝、突然いなかった日があって。急に呼び出されて行ったとか、本当に突発的なお仕事が多いなと思いました。
次、新倉さんにうかがたいんですけど。今お子さんが学童だそうですが、同じ問題がやっぱり起きているのか、どんな状況なんでしょうか?
新倉暁子氏(以下、新倉):私が住んでいるのが中央区なんですけれども。中央区はマンションが乱立し始めて、本当に人の数が増えているんですね。それで、区立学童に預けてるんですけども、やっぱり押し出し方式で1年生が優先になるので、「2年生のあなたの子供は入れませんよ」という知らせを受けたばかりなんです。
2年生はちょうど多様性が出てくる時期でもあるので、お留守番はできる子はそのままお家でという方もいらっしゃいますし。
あとは 私立学童ですね。区立の小学校によっては、「放課後遊びみたいなもので中央区は対応しますよ」と連絡を受けたんですけども、せっかく1年で慣れた学童で、ようやくこの秋ぐらいから「僕、(学童)好きだよ」って言ってくれたのに、「また4月からか……」というのはあります。
竹下:保育園の時も転園というか、変えた経験がおありだということで。
新倉:あります、あります。
竹下:それはどういうご経験だったんですか?
新倉:まず最初に、認証保育園に預けていたんです。認証保育園って、もともと小さなお子様を対象に作られている場所が多くて、年中ぐらいになると、1人抜け、2人抜け、ぽつぽつ抜けていくんですね。
実は、もちろん認可保育園も出してるんですけれども、ちょっと対策が鈍くて、のんびり構えたら、最後の1人になってしまったんですね。「これちょっと、私、申し訳ない」と思って。
でも、1人になったからといっても、すぐに認可には入れてくれないんですよ。当たり前ですけど。なので、そこから認可をまた探して、見学に行って、なるべく合う保育園を探す。ちょっと贅沢なんですけどね、みなさん必死に探していらっしゃる方にとっては。
だけど、認証保育園がかなりよかったので。せっかく1人になっちゃったんだから、もう諦めて合う保育園を探しいました。そして、年中(ねんちゅう)の秋ぐらいに無事認可に入れました。
竹下:そうですね。保活の難しいところって、どこでもいいわけじゃないんですよね。
新倉:そうなんですよね。
竹下:わからない人は「どこでもいいじゃないか」という人がいると思います。私も学童に子供を入れたとき、ある日迎えに行ったら、テレビの前で子どもがぼーっとして過ごしていただけで「これは早く抜け出さないといけないな」と思った経験があるんです。まあ、贅沢っちゃ贅沢なんですけど。
新倉:そうですね。わかります。贅沢っちゃ贅沢なんですけど。よりいいところに預けたいのは親の本心だと思うので、望んでもいいんじゃないかなと、私は思うんですけどね。
竹下:今度、菊地さんにうかがいたいんですが。実際、保育園を経営されていて、いろんな問題があると思うんですけど、どんな工夫をしたら、もう少し日本の保活あるいはフリーランスの保活って良くなると思いますか?
菊地加奈子氏(以下、菊地):やっぱり保育って聖域だなと。専門職の世界なので、どうしても「保育とはこういうもの」がありすぎなのかなと思います。今、少しずつこの保育や預かりの仕方も変わってきているようにも感じます。コワーキングスペースのなかに保育スペースがあったり。
働くお母さんと近い場所で預かる方たち、保育士さんたちが見てるなかで、「こういうふうにしていけばいいんだ」と気づき始めている保育士たちもいる。そういう働く人たちと保育がもう少し結びついて、一緒に考えていけるようになるといいと思います。
竹下:そこがけっこう難しいと思うんですけど、どうしたらもう少し結びつくようになるんですかね?
菊地:私のところはまさに企業内保育なので、常にどんなお母さんお父さんがどんな働き方をしているのかを、保育士さんと働くお母さんたちが一緒になって考えているんです。そこが、認可保育園にはまずないところだと思います。
なので、うちも、私がいろいろしょっちゅう出歩いているところもわかっているので、子供がちょっと熱を出したりしたとき、仕事を中断したりするのが難しい……ということもわかっていて。
そこの細切れをどうやって結びつけるかを、保育士さんなりに今までの保育観を少し視点を変えて考えてみようとしてくれるので、そこはお互いに話し合う機会を作っていくといいのかなと思います。
竹下:そうですね。今までだったら、朝と夜に会う存在だったのが、どんな働き方してるかわからないですもんね。
そのへん吉野さんはいかがですか? どういうふうにしたら、「こんな工夫があれば、日本の保活は変わる」、あるいは「こんな工夫をしたら、もう少し保活やりやすくなるのかな」があれば。
吉野:保活、そうですね……保活のやりやすさ……(笑)。
竹下:あるいは保育でもいいですよ。
吉野:働き方……ああ、難しいな(笑)。先ほど出た「働き方の多様性」のお話に戻っちゃうんですけど。それこそフリーランスか会社員かということは別としても、今、いろんな時間帯で働いている方とか。なんて言いますか、 動き方が本当にいろいろだと思うんです。
私自身は、自治体というか政府ができることはもうこれでよくて、民間のサービスがもっと充実して、いろんな働き方の人たちに対応できるようになるといいなと思っています。
やっぱり政府だと画一化しなきゃいけない部分がどうしてもあると思うんです。小さなサービスがたくさんできて、それに対する規制やルール、補助金というかたちで、外からのサポートを政府・自治体がやってくれるのが望ましい。
行政や自治体に保育の現実全てを見せるのは無理です。そこでなにか問題をリアルに感じている人たちとか、解決策を想定している人たちが生み出したシステムが増えていくことがいいんじゃないのかなと思います。
普通のほかのサービス、例えば今ヤマトさんの件でいろいろ問題になっています。宅急便だって、郵便局の配達だけじゃなくなってから、いろんなサービスが増えてきている。それは国が守ってくれているからできていることだと思うんです。そういうかたちで「なにも認可じゃなくても」っていう気持ちはあります。
竹下:確かにそうですね。どうしてもメディアだと「政治家しっかりしろ」って言っちゃうんですけど。実際にはけっこうやってるというか、限界に近いというのがお考えですかね。わりともう充実はしていて、あとは民間の出番だということだと。
吉野:正直、私の働き方とかも、認可保育園の申請のときに、自分で1日のスケジュールとか全部表組みで書いて「ここからここは移動時間で、ここは家で原稿を書く時間で、ここは打ち合わせの時間で、この打ち合わせの結果がこの原稿です」ってコピーを渡して。「その原稿の結果がこの収入です」と通帳をつけてリンク付けしたり、一生懸命に提出しましたけど。
私はたまたま紙媒体なので実証できるけど、例えば、講演活動とかコンサルティングされてる方はそこまでできないでしょうし、証明できないからといって、自治体の人たちがみんな「そうですね、やってるんですね」とOKしちゃったら、誰が働いている人だか働いていない人だかわからなくなっちゃうし。「もうこれが精一杯かな」と思っちゃいます。
竹下:確かにそういう面はありますよね。そのへん、新倉さんいかがですか?
新倉:私も、政府とかには頼らず、やっぱり民間がどんどん参入しやすいような、もう少しやわらかい制度、政府の方はそういう制度に作り変えるほうがいいのかなって思います。
私もそうですね。保活の時は、同じような資料を提出するんですけれども、「これどこまで見てるのかな?」っ「これ1ヶ月の私のスケジュールを押さえて、でも、また1ヶ月後はどうせ違うのに」「これは形だけだな」とはすごく感じました。
竹下:ありがとうございます。今、お2人から、仕事の証明の難しさはすごく大事なテーマだと思うんですけど。もう少しくわしく、どういうふうにされていますか。フリーランスの方って本当に難しいと思うんですが。
新倉:タイムカードというものがないんですよね。なので「いや、ないですよ」っていう話し合いからなんですよ。
まだだいぶ昔だったので、話し合いで「じゃあ一覧表にして、何月何日1ヶ月間もしくは3ヶ月あればいいですよ」というやわらかい感じで、「えー、追うの?」みたいな感じで、「エクセルで出して、それを紙媒体でください」というね。
あとは、私はブログなどを書いているので、「じゃあブログのURLが載っているような広告があれば……」とか、全部紙での提出なんですよね。「広告!?」みたいな(笑)。
竹下:広告ってどういう意味ですか?
新倉:私がチラシを配ったりするので。いや、確かにあるんですけど、けっこうポーズとか決めてて、それをお役所に出すときの恥ずかしさ。かたーい感じに「新倉暁子です!」みたいなのを出すときに、「ちょっと恥ずかしいんですけど……」とか言いながら出したのを覚えています(笑)。
竹下:例えば、FacebookとかTwitterは活動として認められないんですか?
新倉:その時はホームページが一番強くて。でも、ホームページとブログもやっているので、「じゃあブログも一応」みたいな感じでしたね。
竹下:大変ですよね。吉野さんはいかがですか? 仕事の証明の難しさ。どんな工夫をされているか。
吉野:先ほどチラッと申し上げたように、私はわりと紙媒体のお仕事が多いので、打ち合わせの行った時間とか撮影に行った時間とか。
あと、私はわりと取材モノのお仕事がたまたま多いので、家で書くライターさんとかはもっと大変だと思うんですけど。実際、本当にほとんど外にいるので、その時間を番号つけて、1週間の事例で「この1番のやつが、この1番の記事です」「私の名前である証明はここに1番が書いてあって、その振込がこの1番です」というリンク付けをして、20例ぐらいかな、ペーパーをつけて出したりしました。
私、(子供が)2月生まれで、申請したのが2月5日だったんです。本当は1月中旬ぐらいまでかなりフルで仕事をしていたので出せたんですが、これがちょっとずれてたら、たぶん子供を生んだ直後、本当の1〜2ヶ月とかだったら、本当にほとんど休んでいたと思うので、直近の仕事の状況が出せなかったと思うんですよね。
フリーランスって、急に会社員の方みたいに、今日でぱたって仕事を辞めたりとか、明日からぱたっとフルで仕事始めたり、なかなかできなくて。辞める前にはもう何ヶ月か前から「この仕事は、じゃあ年内いっぱいで終了にします」「この連載はじゃあ切れ目でここで」と終わっていって。再開するときも「そろそろ吉野さん復帰されたのかな?」とうっすら思っていただいたなかで再開するという、徐々にみたいな感じなので。
けっこう半年ぐらいかなり勝手に失業状態みたいな感じになっていたので、そのタイミングで提出しろって言われたら、きつかったなと思いますね。
竹下:資料を作るのに時間かかりましたか?
吉野:資料はそんなに。わりとあてずっぽうで(笑)。
竹下:それよりタイミングの問題が大きいですよね(笑)。
吉野:私は本当ぎりぎりで、むしろよかったなと思います。本当に休んでた時期が1ヶ月ぐらいはずれてたかもしれないですけど、収入とのリンクがギリギリできていたので。
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