
2025.03.28
AIにUIデザインの大半を任せる時代が来たら──先駆者が語る、人間ならではの「コミュニケーション」の価値
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乙君氏(以下、乙君):ということでまず『タラレバ娘』の話からいきますか。
『東京タラレバ娘』実写化、吉高由里子が3年ぶりの連ドラで、榮倉奈々、大島優子が主演。この3人で基本的に。この話はみんな知ってるから説明する必要ないな。
(会場笑)
山田:『ジョジョ』も映画になるんでしょ?
乙君:『ジョジョ』は映画ですよね。
山田:あとほかになにがあるの?
乙君:『鋼の錬金術師』。
山田:『ハガレン』映画になるの? それにみんな怒ってるんでしょ。
乙君:そう。
山田:なんで怒ってんの? 「ジョジョ立ちが違う」とかなるの?
乙君:人間的にできない動きだし、あとまあビジュアルですよね、単純に。漫画のビジュアルが好きな人にとっては「え、そいつじゃねえだろ」っていう。
山田:「ジョジョとハガレンは無理」っていうコメントが。そうだよね。
乙君:そう、日本人にはダメでしょとか。だってね、あれアルフォンスとだれだ?
スタッフ:エド。
乙君:エドガーか、エドワード? とか外人なんだよあれ完全に。
山田:そうなんだ、うん……。
(会場笑)
山田:ごめんごめん漫画あんまり読んだことないんだよね。
乙君:等価交換なんですよ。
山田:そうなんだ、よくわからない。
乙君:失うんですよ、なにかをね。
山田:はいはい。
乙君:けっこうおもしろいですよ『鋼の錬金術師』。
山田:そうなんだ。なんだっけ『銀の匙』描いてる人だよね。
乙君:そうそう。『銀の匙』のほうが僕は好きです。
山田:え、読んでるの? お前漫画好きだよなあ、俺より好きだよ。
(会場笑)
乙君:あれ農業漫画なんですよ。あれのほうがドラマ化……、もうされたのか、してないのか。
スタッフ:映画化した。
乙君:映画化したのか。ということでとりあえず『タラレバ娘』実写化問題について玲司さん。
山田:昔からよく言われているんだけど、俺は『ドカベン』の実写化版という伝説的な映画を映画館で観たことがある……。
乙君:『ドカベン』の 実写化あるんですか?
山田:世代なんで、あれを1発食らっている人は、だいたいなにが来ても怖くないんですよ。
(会場笑)
山田:だからみんななにかの手段で『ドカベン』の実写版を観てほしい。そうするとすごいワクチンが1発入った状態で、なにが来ても「あれよりもましだな」みたいな、そんな感じになるくらいすごい。
乙君:ちなみに主演は、山田太郎はだれなんですか?
山田:詳しいことはぜんぜん覚えてないけど、これは『ドカベン』なんだ『ドカベン』なんだと思い込もうとがんばった小学生でした、僕は。今でも実写化の話になると『ドカベン』の話になるくらい。
乙君:どこにもなってないですよ。玲司さんしか言ってなくないですか。
(会場笑)
山田:お前ふざけんなよ! 違うんだよバブル世代はみんなあれを食らってきたんだよ。今は“この世界の片隅に”なってるけどな。それで、あの原作レイプと言われることが、なんで起こるのかって話でさ、これいろんな人がおっしゃってますけど、代表的な、町山(智浩)さんなんかがよく言ってるけど、「金のために映画作ってるからだよ!」っていう左っぽい熱い叫びがあって。
俺もそれを言ったらおしまいなんだけど、結局のところそれに尽きるよね。「結局儲けるために作ってるからそうなるんだよ」ってこの話終わりなんだけど……。
(会場笑)
山田:これじゃつまんないんで、なんでかっていうと、もうシステムがすべてしょうがないんだよ。キャピタリズムっていうか、もう利潤のために生きてるんだよ。俺たちはこの世界でさ。だけど「そうじゃねえだろう」と。
最初なんで映画撮ろうと思ったんだよ、なんで漫画描こうと思ったんだよ、だれかの作品に打たれたんだろ、誰かの作家の魂に触れたんだろ、心を動かされたんだろ、その結果俺もやりてーって思って立ち上がって、これをやらなかったら死ぬ、みたいな感じで作られたものがコンテンツなんじゃないか。で、漫画家っていうのはさ……。奥野さん聞いてます?
乙君:聞いてます聞いてます。
(会場笑)
山田:戻ってきてください。
乙君:ちゃんとコメントも回収しつつやってます、大丈夫です。
山田:もう、お前な(笑)。そんな俺たちのね、俺漫画家なんで、漫画家の商品ってなにかっていったら“心”なんだよ。
乙君:おー。来ました。
山田:そう、それをかたちにして、「わかってくれよ」って思って全力でやるわけだ。で、打ち切られたら即失業ですよ。どうすんの。そこからの暮らしでバイトに戻るやついっぱいいるからね。だからアシスタントをやっていてデビューしました、連載しました、「おめでとう」っていってたら3ヶ月で打ち切られました、「お帰りなさい」みたいなことがあるから。
そういう世界なんだってってことはね。当たる当たらないはわからないんだよ。全力でやってんだよ、漫画家たちは。だけど、そのなかで当たったやつを拾ったスーツ着た人たちがいて、「これを使えば最低限読者が観るんじゃね」っていう計算からたつから、漫画原作っていうのは、そこのラインでリスクは漫画家がとってるのね、要するに。
「ふざけんな」って話なわけ。漫画家から言わせてもらうと、それプラスいろいろあって、ただここではっきりわかりやすく言いますと、「駄作がちょいちょできますよ」「良作もちょいちょいできますよ」。で、駄作が確率高いんですよ。なんでかっていうと、金儲けのためにやってるから、無いんだよ心が。作り手にだけどそうじゃない場合もありますから、その話をちょっとあとでしますけど。
駄作が生まれてしまう確率が高い理由が3つあると思うんだよ、まず第1にみなさんご存知のケインズの美人コンテストですね。ご存知ですか?
乙君:ケインズっていうのは経済学者のケインズですよね。
山田:うん。美人コンテストの話知ってる?
乙君:美人コンテストの話は知りません。
山田:ケインズが言ってた美人コンテストの話というのがあって、5人の美人コンテストします。だけどここで俺たちが投資するわけ。1位になったやつに投資したやつにお金が入る。そうすると、自分が好きだと思っている美人に入れないで、みんなが好きだろうなと思っているふわっとしたやつのところに投資するっていう。そうすると、そこには好きっていう気持ちがなくなって、「みんなはどう思っているの?」っていう実体のないなにかに支配されてしまう。
これが落とし穴。これで漫画から映画とか作ろうとすると、非常にふわっとしたものになる。「今の若い人、こういうの好きでしょう?」みたいな、実際そうかどうかわからないんだよ。
でも、漫画家って最初にスタートする時点で「俺がこれ描かなきゃ死ぬ」みたいなやつがいるわけだよ。そいつが命かけて人生かけてやってるやつが当たったりするわけ、それは一応パワーがあるわけ。
でも、「こういうの好きでしょ」っていって漫画家でやろうとしても、これはなかなか当たらないよ。ほとんど当たらないんじゃないかな。マーケティングでやる人いるんだよ、何人か。だけどバレるね。それは読者をバカにしているから。
読者が一人ひとり人間で、「今日いくら金あるから買うかな」って、わざわざなけなしの金出して漫画買うって、それで読んでる人の気持ちをバカにしてるんだよ。「おまえら一般的にだいたいこういうの好きだべ?」みたいな「こういうキャラ好き」、これは完全にバレる。これがケインズの美人投票理論で映画なんか作ると、うまくいくわけないんだよ。あと原作があって、原作のファンが付いているのに“俺病”にかかった人。
乙君:俺病とは?
山田:俺を認めろ病の人が製作に関わってくる場合があるんですよ。わかりやすい例で言うと、葉加瀬太郎って人いるじゃない。あの人芸大でバイオリンをやってた人なんだけど、ずっとクラシック畑にいたんで、途中で入ってからパンクに目覚めるの。
乙君:入ってからパンクに目覚める?
山田:入ってから。パンク超かっこいいって思って。で、あの人パンクを聞きながらクラシックをやってた時期があるんだよ。それでパンクってわかりやすいじゃん。ワーってビジュアル的にも激しいし。だけど「ずっと座って演奏していたら、俺はたぶんこのままだ」と思ったらしくて、葉加瀬太郎オーケストラのオケにいるのに、意味なく立ち上がったらしいんだよ、弾く時に。
(会場笑)
山田:俺病です。俺病。
乙君:俺を見ろと。
山田:「俺を見ろ!」っていう。こういう人が製作の中に入っていると、原作よりも俺が目立ちたいって仕事をするんだよ。これもけっこうな駄作になる可能性が高くて。
乙君:バランスを崩しちゃうわけなんですね。
山田:そもそもお前の作品じゃねえから。
乙君:なるほどね。
山田:なのにお前が名を上げるために今回この機会を利用しようとしてんだろ、ってやつが……。
乙君:それで葉加瀬太郎なんだ。クラシックは別に自分が作ったわけじゃないのに。
山田:そうそう、指揮者のものだし、葉加瀬太郎はソリストなんだよ。だからいいの。この人が立ち上がって名を上げちゃって、それでよかったんだけど、その場のコンサートは台無しだよね。
乙君:そうですね。
山田:あいつだけ得をしたんだよ。だからそうなりたいやつがいるっていうやつよ。
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