2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
第60回『とにかくこれだけは抑えとけ!〜レイジなシネマアーカイヴ・第一幕「ざっくり映画史編」開帳!!』(全10記事)
リンクをコピー
記事をブックマーク
山田玲司氏(以下、山田):それで、このカンブリア紀にまずできあがって、最初ずっと見世物でショートフィルムなんだよ。で、そこから、出ますね。グリフィス兄さん登場です。
このグリフィス兄さん、これ、町山さんとかが一番得意なやつなんだけど、『國民の創生』とか『イントレランス』とかそういう映画でさ、ここで実はとんでもないことが起こってるの。なんでかというと、カンブリア紀って、生物が大爆発して生物の基本設計ができる時期じゃん。地球の歴史でいうと。
久世孝臣氏(以下、久世):うんうん。
山田:ここから陸上に上がるじゃん。このタイミングで陸上に上がります。これ陸地の世界です。だから、ここは陸という。大陸に入っていくのが27年。1927年なんだけど。これがなんでかというと、ここまでの間に、このグリフィスのおっさんが映画の手法の基本をほとんど作っちゃったの。だから、いわゆるバッハです。この人。
乙君氏(以下、乙君):じゃあそいつはもう、映画の父みたいなこと?
山田:映画の父です。これ。「映画の父」って言われてるの。それで、一番有名なのがクローズアップ。だから普通、今までの映画は、最初できるとどうなるかというと、舞台を中継していたの。そのまんま。とか、止めでずっとやるという。だけど、劇的な心理描写をするために、「こいつ犯人かな?」っていうときにグーって寄っていったのは、このおっさんがはじめてなの。
あとカットバック。いろんなことが同時に起こってるじゃん。だから、『スター・ウォーズ』なんかもそうじゃん。「あっちでハン・ソロが……」「こっちでルークが……」とか「こっちでオビ=ワンが……」みたいなのをやって、こう繰り返すじゃん。カットバックされるじゃん。どんどん。
いろんなシーンをモンタージュしていく。カットバック、モンタージュみたいな、そういう手法も全部このおっさん。なんとこのおっさんがもうほとんどやっちゃったの。
乙君:へえー。なに人ですか? グリフィスって。
山田:グリフィス、なに人だっけ?
久世:なに人かわからないな。
山田:たぶんアメリカ人だね。そうだと思うね。クローズアップとか、映画の父って言われているという。この時期がまず第1期にあって。だから、この人が作った『國民の創生』ってすごい映画あるんだけどさ。あれだよね、KKKのことを白人側から書いてるでしょ?
久世:うん。そうそう。
山田:とんでもないヤバイ映画だよね。だから、なかなかその後なんか言われなくなって。
乙君:(ニコニコ動画コメントにて)「さすがゴッドハンド」って。
山田:あと『イントレランス』もわりと有名なんでしょ?
久世:『イントレランス』もわりと有名ですね。代表作の1つで。
山田:そうだよね。問題はここからここまで、わりと見世物のものとそれから芸術映画、いろんなものがごっちゃになって。あと、プロパガンダでも使われるよね。あと、ダダイズムの連中が合流するの。
久世:ああ、やっぱりな。新しいもの好きの。
山田:そう、新しいもの好きが。だから、このあたりに第一次世界大戦があるんだけど、ダダイズムってまさにその頃じゃん。これ、合流するんだよ。で、いろんなことをやるんだけどさ、この頃強いのはソ連ですよ。
乙君:ソ連?
山田:それで、ここからがあれですよ。ポチョムキンですよ(笑)。
久世:(笑)。
乙君:それモンモンで読んだけど、「ポチョムキン」って名前がもうおもしろいよね。
久世:『戦艦ポチョムキン』ね。
山田:ソ連が「モンタージュ理論」って、グリフィスが作った理論を理論化するんだよ。「こういうふうに映画作るんだ」っていってモンタージュ理論というのを作って、ここで。で、すぐに学校作っちゃうの。すごいでしょ? 社会主義。
久世:世界初の国立の。
山田:そう。国立の映画学校作っちゃうんだよ。
乙君:早っ!
山田:そこで名を上げるのがエイゼンシュタイン。エイゼン兄さん。この人がポチョムキンなんだよ。
乙君:今日、兄さんめっちゃでてきそう(笑)。
久世:兄さんばっかりだよ。今日は。レジェンド兄さんばっかり。
山田:だから『戦艦ポチョムキン』というのをエイゼンシュタインが作るんだけど、これがいわゆるこの時代のピークというか、トップ・オブ・トップというか。非常にすごかった。
乙君:へえ。
山田:ここで虐殺のシーンとか出てくるの。「オデッサの階段」というのが有名なんだけど。オデッサの階段というのはどういうシーンかというと、階段でめちぇめちゃ人が殺されるシーンなんだけど。
乙君:階段で?
山田:階段で。すごいでかい階段を。そこに赤ちゃんの乗ったゆりかごがカタンカタンって落ちてくるの。それで赤ちゃんのクローズアップ。バッ。ゆっくり降りてくる。タイヤが見える。撃ってる人が見えるという。それをモンタージュでバババって見せてくる。「どうすんの? やばいでしょ」っていうシーンがあるわけ。
乙君:「ああ、赤ちゃん撃たれちゃうよ」。
山田:これをみんながオマージュする。この後にね。これは一番有名なのは『アンタッチャブル』でまったく同じシーンが出てくるんだけど。あと『未来世紀ブラジル』とか。いろんな人が。
乙君:みんな「『アンタッチャブル』だ」って?
山田:そう。『アンタッチャブル』がものすごいまんま……え?
乙君:『アンタッチャブル』ってデ・ニーロだっけ?
山田:えーと、出てたかな……適当なこと言えねえや。
久世:パッとは出てた。
山田:パッとは出てくる。ただ、それぐらいインパクトのあるシーンだったのね。オデッサの階段。だから、さっき言ってた、ポチョムキン、オデッサ。
乙君:とりあえずポチョムキンとオデッサ?
山田:オデッサの階段で有名なベビーカーが落ちてくるというのが、とにかくこの話をみんな知ってるから。映画好きは。映画好きは『國民の創生』とこのポチョムキンの話を知ってて。
で、同時に、ここからまたおもしろいんだけど、26年なんだけど、『メトロポリス』ですよ。
久世:来た。SFの。
山田:これがSFの超元祖。要は、なんつーのかな……。
乙君:それは作品名のこと?
山田:そう。アンドロイドみたいのが出てくるの。まだサイレントなのにめっちゃかっこいい。これがいろんな人のSFのかっこいい映像の原型みたいになってる。この映画に影響を受けて、たぶん『スチームボーイ』とかまでいくんじゃないの?
乙君:ええっ?
久世:そこまでいっちゃいますね。
山田:たぶんいくと思う。大友もこれは絶対入ってるし。
乙君:先生!
山田:はい。なんですか?
乙君:ここまでまだぜんぜんサイレントってことですか?
山田:そうなんだよ。実はサイレント。
乙君:そのポチョムキンもオデッサもサイレントなの?
山田:そう。日本だと活弁士がいるし。だから間に……チャップリンがそう。チャップリンまさにそうなの。チャップリンここにいるの。
乙君:あ、チャップリン出てきてない。
山田:そう。書いてないけど。なんでこれ27年というと、ここでトーキー登場なんだよ。
乙君:トーキー?
山田:要するに……。
久世:音声が入ってる。
乙君:はいはい。
山田:それまでは「フィルム映してる。そこで生演奏してる」っていうのが映画の見方だったんだけど、それで活弁士と生の演奏もなくなっちゃうんだけどさ。という感じになりますね。そう(笑)。
この『メトロポリス』がまたおもしろくて。これさ、『メトロポリス』から、いわゆるみんな大好きな特撮の流れが始まってくる。
「こんなのも観てないんだ」映画のハラスメントに負けないための“ざっくり映画史”
彼女と映画を観た後、なにを語るべきか? 余裕のあるウンチクの話し方を伝授
ハリウッド誕生の影にエジソンあり 山田玲司が“映画のカンブリア紀”を語る
“映画の父”からSFの元祖まで 発明だらけのシネマ創生期を振り返る
知っておきたい映画の歴史--トーキーの始まりとディズニーの『蒸気船ウィリー』について
映画史総ざらい--ハリウッド黄金期とテレビの登場、娯楽としての映画の終幕
ゴダールはなぜすごいのか? 映画史における“ヌーヴェルヴァーグ”の功績を解説
ベトナム戦争は映画史にどんな影響を与えた? モテるためのシネマアーカイブ
スピルバーグとルーカスは映画史をどう変えた? 1977年の革命に迫る
スピルバーグたちがドリームワークスを設立して“大人”を殺した?
2024.12.20
日本の約10倍がん患者が殺到し、病院はキャパオーバー ジャパンハートが描く医療の未来と、カンボジアに新病院を作る理由
2024.12.19
12万通りの「資格の組み合わせ」の中で厳選された60の項目 532の資格を持つ林雄次氏の新刊『資格のかけ算』の見所
2024.12.16
32歳で成績最下位から1年でトップ営業になれた理由 売るテクニックよりも大事な「あり方」
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
PR | 2024.12.20
モンスター化したExcelが、ある日突然崩壊 昭和のガス工事会社を生まれ変わらせた、起死回生のノーコード活用術
2024.12.12
会議で発言しやすくなる「心理的安全性」を高めるには ファシリテーションがうまい人の3つの条件
2024.12.18
「社長以外みんな儲かる給与設計」にした理由 経営者たちが語る、優秀な人材集め・会社を発展させるためのヒント
2024.12.17
面接で「後輩を指導できなさそう」と思われる人の伝え方 歳を重ねるほど重視される経験の「ノウハウ化」
2024.12.13
ファシリテーターは「しゃべらないほうがいい」理由 入山章栄氏が語る、心理的安全性の高い場を作るポイント
2024.12.10
メールのラリー回数でわかる「評価されない人」の特徴 職場での評価を下げる行動5選
Climbers Startup JAPAN EXPO 2024 - 秋 -
2024.11.20 - 2024.11.21
『主体的なキャリア形成』を考える~資格のかけ算について〜
2024.12.07 - 2024.12.07
Startup CTO of the year 2024
2024.11.19 - 2024.11.19
社員の力を引き出す経営戦略〜ひとり一人が自ら成長する組織づくり〜
2024.11.20 - 2024.11.20
「確率思考」で未来を見通す 事業を成功に導く意思決定 ~エビデンス・ベースド・マーケティング思考の調査分析で事業に有効な予測手法とは~
2024.11.05 - 2024.11.05