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The Psychology of Emojis(全1記事)

日本で生まれた“絵文字”について、サイバー心理学者たちが本気で研究

ふだんなにげなく使っている絵文字。実は元々は日本で生まれた文化で、今や世界中の人が当たり前のように利用しています。最近になり、「Trends in Cognitive Science」という科学誌で、イギリスとオーストラリアのグループからなるサイバー心理学者たちが、絵文字を研究すべきだと主張しました。これから数年の間に、絵文字を使ったコミュニケーションにおける心理学が発達することが期待されています。今回のYouTube科学系チャンネル「SciShow」では、今月科学誌に掲載されたもののなかから、絵文字と人間の心理にまつわる科学と、動物の狩りに関する研究を紹介します。

絵文字からわかる人間の心理

ハンク・グリーン氏:あなたももしかしたらいつもたくさん絵文字を使う人かもしれませんね。「カリフラワー、ナス、タコにクマ!」なんて具合に。または私のように、たまにしか使わない人もいるでしょう。ちょっとウインクした顔の絵文字くらいしか使いません。

しかし、なぜ、どのように絵文字を使うのかを考えたことはありますか? 他人との人間関係にどんな影響を与えるかということについてはどうでしょうか?

「Trends in Cognitive Science」という雑誌に今週掲載されたある論文では、イギリスとオーストラリアのグループからなるサイバー心理学者が、絵文字は今よりもっと多くの研究をされてしかるべきであると発表しました。彼らは、ありふれたアイコンが、人間の習慣を覗くことのできるユニークな窓のようであり、私たちがオンライン上で交流するにあたってより理解をするための大きなデータを与えてくれると述べています。

もしあなたが地下室に引きこもっていたり、昔の絵文字しか知らない場合のために説明しますが、絵文字は人が自分のEメールやショートメッセージやオンラインの投稿の内容を強調するために使う、小さな絵のことです。それにはもちろんウンチの固まりや、笑った猫の目がハートの形になっているものや、喜びの涙を流した顔もありますし、もちろん、ベルギー国旗もあります。

日本で1990年代に生まれてから、絵文字はすべてのソーシャルネットワーク上に現れ続けています。今となってはみなさんもお気づきと思いますが、絵文字はメッセージに強弱や感情を付けることにおいて、とくにコミュニケーションをはかる時に便利です。

あなたが面と向かって誰かと話すときはもちろん強弱や感情は声のピッチや声量、顔の表情により伝えることができます。しかしチャットをしているときは、相手が「GREAT JOB!」と言うのと、「great job」と言う違いを感じるのは難しいです。そのような時に絵文字の「ウインクの顔」や「上下逆さまのスマイル顔」が役に立つかもしれません。

では、あなたのスマホに表示されるメッセージを読んでいる時のあなたの脳にはなにが起きているのでしょうか? 相手が嫌味を言っていたり、薄ら笑いを浮かべているのを直接聞くのと、なにか違いはあるのでしょうか? あなたもそれに対して同じ感情の反応を示しているでしょうか? もしそうでなかったとして、それは問題でしょうか? これらの質問こそが、サイバー心理学者たちが答えを知りたいと思っている事柄です。

方法としては、被験者を脳の画像を撮影する機械に繋げ、彼らに絵文字のメッセージを送ったり受け取ったりしてもらうというものがあります。脳内の血流を測ることにより、神経科学者は絵文字コミュニケーションにおいて、脳のどの部位が反応しているかを見ることができるのです。そして、それを、実際に人と話している時のものと比較するのです。

ほかのケースでは、研究員たちはソーシャルネットワークのサイトを使い、絵文字のついた会話を観察することにより、私たちがオンライン上でどのように振る舞うのかを詳しく研究しました。

すでにこの研究で発見されたことがあります。例えば、人は状況に合わせて絵文字の利用も変えるということがあります。これは道理にかなっていますよね。自分の上司宛に、たくさんの親指を立てた手の絵文字や、下を突き出した顔の絵文字を送るのはあまり良くないかもしれませんね。

しかし、あなたのSnapchat上での親友なら、それにより気分を害することはないでしょう。サイバー心理学者にとって、このような行為について知ることはただの始まりにすぎません。可能性として、私たちは続く数年の間に新しい絵文字科学の幕開けを目撃することになるでしょう。

肉食動物の狩りにおける神経回路が解明

脳やその働きについてお話ししましたが、イエール大学の科学者たちは先週、肉食動物の狩りにおける神経回路が解明されたと発表しました。彼らはスイッチ1つで、ただのネズミを飢えた捕食動物に変えてしまったのです。ネズミは元々コオロギなどを狩る生き物です。

しかし、脳内の特定の神経を活発化させることにより、殺し屋に変えてしまうことができるのです。そうすることで、このネズミは生き物でもない、食べられないもの、ボトルキャップや小枝に対してまで襲いかかったり、噛み付いたりしました。簡単に言うならば、科学者たちはオンデマンドの殺し屋ネズミを作ってしまったのです。

このチームは光遺伝学と呼ばれる技術を用いてこの発見をしました。この技術では、遺伝子工学を使って光に敏感なタンパク質を特定の脳細胞に送ります。そして、レーザー光線を使ってその神経を活発化させるのです。この場合、中央扁桃体、脳の深い中央部分にあるアーモンド型の部位にあたります。

この部位は通常恐怖や不安と関係がありますが、同時に積極的感情や学習とも関わりがあります。今のところ、狩りの衝動は扁桃体にある2つの働きが異なる細胞の固まりと関係がありそうです。一対の神経が中脳まで伸び、獲物を追求するのをコントロールします。もう一対は脳幹に入り、噛み付くために首と顎の筋肉を調整します。

生物学者たちはネズミをエンジニアリングすることによりこれを解明したのですが、そうすることにより、どちらか、または両方の細胞集団を活発化させることができたのです。

これらの細胞集団が狩りにおける異なる分野での働きをすることを明らかにするため、いくつかのネズミには細胞集団の片方にダメージを与え、もう一方のネズミにも細胞集団のそれとは異なる一方にダメージを与えました。そして、すべてのネズミにコオロギを与えました。

研究員がいずれかの神経にダメージを受けたネズミの扁桃体を活性化したところ、狩りのなかでも1つの行為しか行いませんでした。獲物を追求する神経を破壊されたネズミは、ターゲットを追いかけ始めるのに10倍も長い時間がかかりました。そして噛み付くための神経が欠けているほうは、主に自分の手を使って獲物を押さえつけましたが、顎を使った方法より成功率はずっと低くなりました。

また、両方の神経集団が正常で活発化した場合、そのネズミは昆虫を捕まえるのが早くなるだけでなく、木の枝やボトルキャップまで攻撃したのです。そのようなものには通常は近づきもしないにもかかわらずです。しかし彼らは通常より多く食べることも、他のネズミを襲ったりもしませんでした。

ですから、イエール大学のチームは狩りのための特定の脳回路を見つけたのであって、飢えや攻撃に関係するものを発見したわけではないと言えるでしょう。絵文字で言うとすれば、ネズミや雷を合わせてドクロマークを作り出した、と説明できるかもしれませんね。

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