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Cupid and Psyche Love Story | Valentine's Day | LittleArtTalks(全1記事)

神と人間 神話に描かれた禁断のラブストーリー

プシュケーはとある王の一番下の娘で、この世の者とは思えないほどの美女でした。その美しさは人々の信仰心にも影響をあたえるほどで、それにより神の怒りを買ってしまいます。美の神アフロディーテは嫉妬し、彼女を醜い男と結婚させようと、1人の使いを出します。それこそが、愛の神エロスだったのです。エロスとプシュケーの物語は、これまでさまざまな絵画のモチーフになってきました。今回は、そのストーリーを世界の名画とともにお送りいたします。YouTubeのアート系チャンネル「Little Art Talks」が、神話と名画の世界へご案内します。

エロスとプシュケーの愛の物語

カリン・ユエン氏:みなさん、バレンタインデーおめでとうございます(動画投稿日は2015年2月12日)。美術表現の中で最もよく取り上げられる、エロスとプシュケーのラブストーリーをお話しして、お祝いしようと思います。

この物語は、ラテン語の小説『転身譜』に由来しますが、この小説は別名『黄金の騾馬』として知られています。紀元2世紀にアプレイウスによって書かれました。非常に長い物語ですが、要約すると若く美しい少女プシュケーと、ヴィーナスの息子であるエロス、別名クピドが恋を成就させる経緯が語られます。

エロスはヴィーナスを母親とする神で、一方のプシュケーは人間でした。さて、どうなったのでしょう。物語は、とある都市から始まります。王と王妃の間に目立った美しさを持つ3人の娘がいました。一番若いプシュケーが最も美しく、彼女の美しさは、その崇拝者たちいがそれぞれの愛の神への礼拝をおろそかにするほどでした。もちろん、これはヴィーナスを怒らせました。

神でもなく、いつか死んでしまうただの人間と、最も美しい女神を、よりにもよって比べることができましょうか? その結果、女神は息子エロスに命じて復讐しようとします。しかしそれは果たされることはありませんでした。なぜならばエロスは彼女と恋に落ちてしまい、彼女を自分のものにしたくなってしまったからです。

一方、プシュケーの父親は、末の娘がまだ結婚相手を見つけていないことを気にかけていました。そのため預言者のアポロンに助言を求めに行きました。その結果は深刻なものでした。神託は、王に対して「いかなる人間の義理の息子を期待してはならない」と告げました。その代わりに花婿となるのは炎と鉄の爪で世界を苦しめるドラゴンのような生き物であり、全知全能の神ゼウスですら恐れさせる存在であると述べたのです。

王は相当落胆したに違いありません。プシュケーは花嫁衣装を身にまとい、山に運ばれまてしまいました。しかし、神の風によって飛ばされた彼女は、気がつくと宮殿の前にいました。中に入っていくと、どこからともなく声が聞こえ、自分の家のようにくつろぐように言いました。しかし、新郎は暗がりの中にいて、その姿を見ることができませんでした。いずれにせよ彼女は彼と結婚したのです。

姿を見せない夫の真の姿

彼女は夫のことを野獣と思っていました。なぜならば、夫は自分の姿を見るのを禁じていたからです。彼は、夜が明けるまえに寝床を出て、彼女はまもなく妊娠しました。ある日、プシュケーの姉妹たちが訪れ、彼女の新しい家の豪華さをほめそやしました。嫉妬の混じった姉妹たちは若干辛口に、彼女の夫は恐ろしい怪物なのだから、殺さねばならないということを思い出させました。

ある夜、彼女は夫が寝ている時を見計らい、オイルランプと短刀を手にします。ランプを灯した際、彼女が見たのは、神託で告げられたような怪物ではなく、今まで見たこともないような美しい生き物でした。つまりエロス、いつも寝床から抜け出したのはエロスだったのです。

エロスのあまりの美しさに心を打たれたプシュケー、思わずエロスに油を垂らして起こしてしまいます。エロスは姿を見られてしまったため、窓から飛びだしてその場から逃げます。長くドラマティックな物語の末に、ついに愛すべき人を見つけたのです! 彼女はあちこちを彷徨い歩き、神々にとるべき方策を尋ねます。

プシュケーの3つの試練

彼女はデメテルとヘラの厚意を得ます。しかしながら、ヴィーナスのもとに行く必要がありました。ヴィーナスは彼女を疎ましく思っていたことを思い出してください。女神は彼女を支配下に置くために目の前で痛めつけ、不可能と思われるような大量の苦役を命じます。しかしながら、プシュケーは若く自立した強い女性であったために、その仕事を自分自身で完了させます。いいえ、実際には、途方に暮れあきらめかけ、自殺しようとまで考えました。

そのとき遣わされた神々は彼女を憐れみ、仕事を完遂できるように手伝います。ヴィーナスが課した最後の任務は冥界に行き、ペルセポネーから美を分けてもらうことでした。世界の果てまで行ったプシュケーは、今度こそ身を投げようと高い塔に上ります。このとき、塔から声が聞こえ、いかにして冥界に辿り、どのようにして目的のものを手に入れるか、指針が告げられたのです。

彼女は案内通りに冥界に行き、ペルセポネーからひとつの箱を受け取ります。しかし、彼女が陽の光を浴びるとすぐ、箱の中にはどのような美の秘訣が入っているのか、好奇心を抑えられなくなります。そして彼女は箱を開けてしまいます。

いつも神話の女性たちは、この好奇心のために難儀にあうのです。彼女は深い眠りについてしまいました。一方、回復したエロスはヴィーナスのところに行き母親に許しを請います。そして再び、窓から羽ばたいていき、眠っているプシュケーを発見します。そして眠りをかき集めて箱に戻し、プシュケーを矢で突いて目覚めさせました。そして、箱を母親のヴィーナスのもとに届けます。

彼はゼウスのもとにいって承諾を求めます。そして、ゼウスは彼の未来の結婚に協力することを約束します。プシュケーの美しさに納得したからです。ゼウスはヴィーナスの主張を退け、プシュケーに不老不死の霊薬を与えます。2人は対等な神の存在として晴れて結婚します。素晴らしいですね。

美術作品では、2人は非常に知られたテーマです。そしてプシュケーは蝶のような羽をもった姿で描かれます。文学的な物語では、一言も蝶のような羽があるとは描写されていません。しかし美術作品においては、プシュケーは霊魂や精神と同一視され、性的な目覚めの前の無垢な魂の状態を示す寓意として考えられています。

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