2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
The Future Of Back To The Future(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:さあ、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』の時代に戻りましょう。なぜなら、私たちは今『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』の時代にいるからです。今日、2015年10月21日は、あの大ヒットした映画『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』の中で、マーティ・マクフライがドクとともに彼の科学の結晶であるタイムトラベルカーで数十年後の未来に到着した日なのです。
なんだかとても歳をとった気分にさせられますし、なんだか悲しい気分にもなります。なぜなら、まだ私たちは空飛ぶタイムトラベルカーを持っていないのですから。
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は現在までにどんなテクノロジーが可能になるのかを実現されたのかを予言していました。一体どうなったのでしょうか?
すべての分野が同じように進化したわけではありませんでした。いくつかの分野では、映画よりも先を行き、それ以外ではそれほどでもありませんでした。例えば、核融合エネルギーによる空飛ぶ車です。
まずはマーティの未来の道具で、私たちが持っているものから始めましょう。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が多くの道具を予言していたということは、とくに驚くようなことではありません。映画が作られた1989年には、存在していたのですから。ある共通の基礎的なテクノロジーのもとで扱われていた、洗練されて、高速な情報によって実現可能になったのです。
例えば、シリコンのマイクロチップ。Google Glass、携帯電話、生体認証スキャナー、テレビにもマイクロチップが内蔵されています。
それにインターネットのビデオ電話。もしもコンピューターのパワーが十分ではなく、早くもなく、そして仕事でも家でも使われることがなければ、こんなに毎日の生活に入り込むことはなかったでしょう。
現代には、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の世界では予期していなかったものもいくつか存在します。携帯電話やインターネットなどは1989年頃に現れました。最初の携帯電話が一般に売られるようになったのは1983年でした。2ポンドほどの重さがありましたが、この時に発売されたのです。
1969年から、そして1980年代には研究者たちはすでにARPANETを利用していました。これは、ポケモンの初期版のようなもので、後にインターネットに組み込まれるようになったものです。2015年の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の楽観主義版を超えるものがあるならば、それでしょう。このテクノロジーを実現させるために必要なたった1つのことがこれなのです。
ビデオ会議を例にとってみましょう。現在のように、手ごろな価格で、広く使用されるようになるためには、ハードウェアの問題を解決するだけではありませんでした。十分なパワーを持つマイクロチップを作ったり、衛星を設置するだけではなく、2つのコンピューターの間で膨大なデータが双方に流れるライブ映像や音声データを送る方法など、ソフトウェアの問題も解決する必要があったのです。
これは1973年のネットワークボイス協定の創案と共に起こりました。この協定は最終的にはVOIP、もしくはVoice Over IPに発展しました。現在でもビデオ会議で使用されているシステムのことです。
これはとても巨大で、回線交換を通る従来型の操作です。基本的に、電話をかけるときには、実際のワイヤーを通って電話と電話の間に接続がされます。
電話中はずっと繋がったままになります。双方に向かって2点で繋がるので、回線ができるのです。以前は赤茶色のワイヤーが使われていましたが、今では光ファイバーケーブルが使われています。
しかし、どちらともとても無駄なものです。なぜなら、誰も喋っていない時でさえ、電話は繋がっているからです。ただ無音が送られ続けるだけなのです。NVPとVOIPは代わりにパケット交換をします。これは送るべきデータがあるときにだけ、データを送るということです。
なにも言わなければ、通信は切れますし、動かなければ、新しい動画情報も送られません。なにか喋れば、新しいデータのパケットと呼ばれるものが作られ、それを送るのに十分な時間だけ接続されるのです。そのほうがより効率的で、より少ないデータを扱えばいいだけになります。ビデオ電話はパケット交換の技術がなければ不可能だったでしょう。
そして携帯電話やウェアラブルコンピューターグラスのような物を使用するためには、効果的な動力源を開発する必要がありました。Private Eyeのコンピューターグラスは1989年に発明され、バックパックに入れて持ちあるけるようにバッテリーが必要なものでした。しかし、それが実現することはありませんでした。
現在ではGoogle Glassがリチウムポリマーのバッテリーを使用しています。
これはヘッドピースの中心に組み込まれています。最高級のリチウムイオンバッテリーは他のどんなバッテリーと比べても2倍のエネルギー密度を持っています。
しかし、リチウムはどんな環境でも爆発しやすいため、21世紀になるまで人気を得ることはありませんでした。揮発性金属なので、リチウムイオンバッテリーを安全に使用するための保護回路開発に、数十年に渡ってテストをする必要がありました。
現代のリチウムイオンバッテリーはサージ防護機器や過充電保護、爆発性のガスの蓄積を放出するための通気口などに組み込まれています。小さなバッテリーの中にそれらを設置することは、技術的に最大の壁でした。何度も何度も爆発が起きたのです。しかし、それこそが私たちが今使っているものと同じものなのです。
では、マーティの未来に戻って、映画の世界よりも遅れてしまっている分野について見てみましょう。
ほかのどの分野も、電子工学やコンピューターテクノロジーほど早く成長はしてきませんでした。過去26年の間に、私たちは多くの進化を遂げました。しかし、その進化は均整がとれたものとは言えません。
映画では私たちの住む世界のすべての部分で1989年よりも進歩している様子を映し出していました。ガジェットやコンピューターに関して言えば、進化したかもしれませんが、それ以外の道具ではそれほどでもありません。
いつかは空飛ぶ車を手に入れるでしょう。しかしまずは、医療技術についてお話ししましょう。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』では若返りクリニックと呼ばれるものがあり、ドクはそこに行き自分の血を交換して、30~40年ほど寿命を伸ばしていました。これは実現しているものでもあるのです。
2014年、雑誌『Nature Medicine』で若いネズミの血を年老いたネズミに注入すると、学習や記憶を司る脳の接続部分であるシナプス可塑性が劇的に改善されたという研究が発表されました。
年老いたネズミの脳細胞の成長は増幅し、歳とともに低下する脳の一部である海馬を通る活動も同様に増加しました。また、血を注入された年老いたネズミは、されていないネズミと比べて3倍から4倍ほどの新しいニューロンを持っていました。
ほかの実験では、若い血は年老いたネズミの幹細胞を活性化させるという結果も得られました。これにより、若いネズミのようにキズを早く治すことができました。同時に、若いネズミには年老いた血を注入され、反応が遅くなり、記憶することが難しくなり、傷を治す能力も低くなったのです。
これらの結果は、血の中のある種のタンパク質の増加や減少によるものです。年老いたネズミは、年老いた人間のように、血の中にハイレベルなCCL11と呼ばれるタンパク質を持っています。もし、若いネズミにCCL11を注入したら、彼らの学習能力も記憶能力も低下するでしょう。年老いたネズミや人間の血中でピークを迎えるB2Mというタンパク質は、若いネズミの記憶能力を低下させました。
老化を研究する科学者たちは、血中で発見された数百もの物質の中には、細胞組織を若く保つタンパク質や、逆に老いさせるタンパク質があると考えています。そして科学者たちは、人間は生まれた時には、血中には細胞組織の成長や治癒能力を手助けするタンパク質がたくさんあり、年老いるとそれらのタンパク質のレベルは落ちると発表しました。おそらく、タンパク質を作り出す細胞組織が消耗されるのでしょう。
どんな理由であっても、若者が血からタンパク質を使うほど、身体は劣化します。つまり、血の交換は若返るには交換的と言えるでしょう。しかし、血液細胞は常に交換されるので、新しい血液を注入し続ける必要があります。これは全く新しい科学なのです。
今のところ、ネズミにしか実験が行われていません。年を取ったからと言って、若者の血を探し回って買おうとなんてしないでくださいね。科学が映画の中の未来に追いつくためには、もう数十年は必要です。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のなかの未来では生体移植が一般的になっています。目に異常がないのに透視能力を持つ目を移植したり、メジャーリーグのピッチャーが不適切な目盛りがついた義手をつけて解雇されるかもしれません。
Bionic(人工的な)という意味は、Biology(生物学)とElectronics(電子工学)、もしくは生物を模倣しようとする技術と結びつけるということです。
マーティがタイムトラベルをしてから30年の間に、先進的な人工装具が生み出されました。思うままに操れる義足や、脳に音の情報を与える耳の蝸牛の移植や、医者が患者の血液循環を促す為に胸に接続した人工的な心臓なども可能になりました。しかし映画で聞いたような洗練された人工装具はまだありません。なぜでしょう?
現在利用可能で、もっとも革新的な人工装具に使える技術は、標的化筋肉再神経分布と呼ばれる手法による神経の回路再設置です。もし義手がほしいと思えば、肩を手術して主要な上腕細胞を取り除き、それを胸に戻します。
義手は脳からの信号を受けるために再配置された神経に適合する電極を持ちます。腕がもうなかったとしても、脳はその神経がまだ腕の中にあると考えるのです。脳に肘を曲げるようにという指令が出れば、その信号は胸に行き、電極に受け取られます。そしてその情報が義手まで伝わっていくのです。
しかし、これは主要な筋肉運動にしか作用しません。私たちは思考がどのように機械的なデータになれるほど小さくて複雑な動きになるのかをまだ理解できていません。次のステップは神経の移植でしょう。つまり脳にセンサーを取り付けるということです。それは危険でとても複雑であり、いまだに実験段階です。しかし、実験はされているのです。
2012年の12月、ピッツバーグ大学の病院で四肢麻痺の52歳の患者が、頭の中の運動皮質に2つのコンピューターチップを移植し、ブレインコンピューターインターフェイスの技術を使って、ロボットの腕の動きをコントロールすることに成功しました。しかし、まだ研究が必要です。この技術を一般に広める前に、それが安全であるということを確信しなくてはなりません。
そして、空飛ぶ車です。そう、空飛ぶ車のことですよ。2種類の車が現在開発されています。Terrafugia TFXとAeroMobilです。
TFXは折りたたみ可能で、発進するために内臓のバッテリーの力を使う動翼を持っています。そして扇形のガソリンで動くプロペラで前進します。車の状態の時には、2つの折りたたみ可能なプロペラは車の下にしまわれています。
車の状態でない時には、ヘリコプターのようなおかしな車に見えます。いいニュースとしては、TFXを運転するときにはパイロットの免許は必要ないということでしょう。なぜならそれ自体で飛ぶことができるからです。そして悪いニュースとしては、販売されるのに最低でもあと10年は必要ということです。
AeroMobilは整備されたプロペラを持つヘリコプターというよりかは、小さな飛行機のように見えます。
TSXに使われていたヘリコプターのプロペラの代わりに、収納できる2つの翼をもっています。開発者によれば、AeroMobilは2017年にはたったの数十万ドルで購入できるようになるかもしれないとのことです。
どちらの車も小さな飛行機やヘリコプターのようになっています。道を走れるようにもデザインされており、走っている間には車のように見えます。地上での平均的なスピードはどちらも大体時速160キロほどであり、飛行スピードは大体時速200キロほどです。そして600~700キロほど飛行可能です。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で見られるような空中浮遊できる推進ジェットを持つ車のようなものではありません。しかし、ここから始まるのです。
まとめると、私たちは結構頑張ってきたと思います。過去の歴史を見てみれば、科学の進歩はいつでも均等ではありません。大昔を考えれば、マイクロチップや、マイクロスコープ、印刷技術でさえ大躍進を遂げました。小さな突破口から新しい可能性を広げたのです。
ほかの躍進から利益を得た分野もあります。例えば、マイクロチップはコンピューター関連技術をかなり前進させました。では次の大きな躍進は一体なにになるでしょうか?
私にはわかりませんが、1989年からの26年がそうであったように、次の26年で世界が変わったならば、それはとてもかっこいいですよね。
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