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『誰がいちばんエロいんだ選手権!〜漫画家・大井昌和と語るクリエイターとリビドーの物語』(全9記事)

日本人はソフト拷問が大好き? 『源氏物語』から『ワンピース』まで、エロの歴史を紐解く

ニコニコ生放送の人気番組「山田玲司のヤングサンデー」。今回は10月29日放送の第54回『誰がいちばんエロいんだ選手権!〜漫画家・大井昌和と語るクリエイターとリビドーの物語』の内容を書き起こしでお届けします。

『ワンピース』のエロの歪み方

山田玲司氏(以下、山田)あとこれ限定になってからもちょっとやりますけど、あとで誰が一番エロい漫画家かというかエロい作家。作家ね。

乙君氏(以下、乙君):そう、今日タイトルが「誰がいちばんエロいんだ選手権!」なので。

山田:エロいコンテンツを作っているというので、アニメーターから画家から、いろんな奴から、このバトルしますので、みなさん参加してもらえれば。

乙君:え、画家もありなの?

山田:画家もちょっとね。1人。

大井昌和氏(以下、大井):あ、僕が画家入れちゃいましたよ。

乙君:まあ大丈夫です。OKです。

山田:でも、広く取ったほうがいいかなと思って。

乙君:うんうん。

山田:そうそう。ただ、すごく00年代から顕著だなと思うのが、やっぱり『ワンピース』のエロの歪み方というのがやっぱり……。

大井:あいつの体型ですか?

山田:体系じゃなくて、基本ビジュアルではおっぱいなんだけど、セックスに絶対に近づかないというアンビバレンスの……。

大井:性的じゃない、あのデフォルメ感ということですか?

山田:だからその、あの世界には恋愛はあっちゃいけないのに……。恋愛はサンジの子供エッチのレベルだけで止めなきゃいけないのに、ビジュアルはめちゃめちゃメスという。あの軸の歪みみたいなのね。

大井:あいつのあそこのいびつさというのは確かに。まあ、そこがおもしろいっちゃ、おもしろいんですけど。

山田:あれが顕著だなと思って。この日本の今の状態に。

大井:確かに。あれをあいつら下品だと思って描いてない節もたまにありますからね。

山田:のびのび描いてるんじゃない?

大井:そうのびのび描いてる。後ろめたさがないですからね。

山田:そうそう。

乙君:ウェスト20センチぐらいですか?

大井:確かにこれぐらいですね。

乙君:バスト100センチぐらい。

ディズニーと鳥山明に影響を受けて

山田:でも、あれはもとはルパンの不二子でしょう?

大井:いや、あいつもともと影響受けてる人はディズニーなんですよ。

山田:ああ、じゃあ、そっちか。

大井:そう、そっちなんですよ。

山田:なるほどね。だとすれば、人体ゴム人形なので、手塚経由のディズニーだね。

大井:あいつはディズニーと鳥山明のみしか影響を受けていない。

山田:でも、鳥山明はすごくある。「外にトーンは貼りません」という。

大井:そう鳥山明はわかりやすく、そこはわかりやすくあるんですけれどもね。

山田:そうそう。

大井:みんなあそこのディズニー感を意外に読んでないから。ていうか、あいつ自分で言ってますからね(笑)。

山田:ディズニーだと?

大井:「僕はディズニーと鳥山先生、あと任侠映画が大好きで」みたいな。

山田:あ、任侠はずっと出てる。

大井:あのお話は任侠ですからね。

山田:確かに。

大井:あいつ、ビジュアル、そこの2点しかないから、逆にそれしかないから強いんだと思うんですよね。いっぱい見てると、いっぱい影響されて、たぶんごちゃごちゃ難しくなっちゃうのね。

山田:ああ、なるほどね。それはそうかも。

大井:あいつはシンプルに力強い。

山田:ありがたいね。今日ね。

乙君:なるほどね。

大井:ありがとうございます。

山田:よかった。こういう謎が解決する。

大井:(笑)。

日本人が大好きな水責め

山田:という感じかなと思って。で、次なんですけど、ちょっとクロニクルを。限定になる前に、あとでバトルやるので、ざっくりなんだけど。

日本のエロってなにが生んでるのかっていうと、俺はざっくりと「タブー」っていうものがありきで始まってるなという。だから、源氏物語も「そんなところで?」みたいな話でやっぱりワクワクするだろうし(笑)。

大井:当時はだって顔見るだけでエロいという時代ですからね。

山田:そうそう。それなのにあんなことまで、みたいなさ。

で、そこから江戸時代になって、(井原)西鶴なんかも出てきて、けっこう牧歌的なものにもいくんだけど、結局やっぱ乱歩。また文芸いきますけど(笑)。

大井:乱歩はいいんじゃないですか。

山田:で、俺思うのがね、これ合ってるかどうかわからないけど、時代劇のくのいちもの。それから拷問シーン(笑)。捕まって……。

大井:ああ、無駄にあるやつでしょう?(笑)。

山田:無駄にあるやつ。

大井:水責めとかですね。

山田:大好きだよね。日本人。

大井:俺らは子供の頃よくそういうシーンあった記憶があるけど……。

山田:あるある。

大井:最近はまったく見ないですよね。

山田:今回、あとで「君エヴァ」の話しますけど、ドリルがだんだん降りてくるという、あれは俺たちのコンテンツだと、回転ノコギリがだんだん近づいていって、間に合うかも……。

大井:そうそう、あれですよね。

山田:あれは消えましたね。

大井:うんうん。ないですね。今。

山田:だから、ビジュアル的に「あとこれぐらいで死んじゃいますよ」というのをすごいわかりやすくするやつで。あれの元は、やっぱり捕まったくのいちが拷問を受けるという。

大井:ろうそくでロープをあぶって「いつ切れるのかな?」みたいな、そういうやつですよね。

山田:そうそう。それが複雑化していくというのが、乱歩以降の流れみたいな感じであって。

俺はやっぱりそれは基本的に日本……やっぱり恥というものがすごく大事な観念があって。恥中心のクロニクルがエロのクロニクルというか。だから、コレがなくなると危険なんだっていう。

大井:でも、恥っていうのは抑圧ってことですよね。

山田:抑圧なんだよ。だから、その抑圧がないと、エロくないっていうところだよね。日本のエロは。

大井:うん。そうそう。全部オープンにすると……。

山田:そうかなとはという気はします。

日本のコンテンツはソフト拷問大好き

それで、おもしろいのが、だから俺なんかね、日本のコンテンツってソフト拷問大好きだよね。

大井:そうですね。いっぱいありますよね(笑)。というか、人がもう拷問と気づいてないんじゃないかというものまでありますよね(笑)。

山田:だからその、あからさまな拷問だと引くので、なんちゃって拷問的なやつが大好きというか。

大井:今すごいですよ。だって、スマホのゲームで『ユバの徴』っていう、もう「女の子が拷問受けてるキャラを集めましょう」みたいなゲームとかありますからね。

山田:すっげー。

大井:やばいですよ。それが普通のニュースサイトにバナーが貼ってありますからね。

山田:えっ、そんなことになってるんだ(笑)。

大井:それ見た時、さすがに引きましたよ。

山田:そうなんだ(笑)。

大井:「狂ってる……」みたいな(笑)。

山田:(笑)。

大井:だから、そのとおりだと思いますよ。

山田:で、おもしろいのが、たぶんウルトラマンなんかにも出てくる感じがあって、ウルトラマン、十字架にかけられたりとか。

大井:そうですね。かけられましたね。

山田:あと仮面ライダーも、改造シーンからもう拷問(笑)。だから、本当に時代劇の拷問から、団先生が言ってたんだけど、「ああいうの好きだったんだよね」って言ってるの。

大井:うん。

山田:団先生はSM小説の系譜でいくんだけど、団塊世代はウルトラマンにして、そこからすべてのコンテンツに流れていくという。拷問の系譜が。

大井:だから世の中ラバーフェチとかいますからね。それはやっぱりウルトラマンで目覚めたって言いますよね。

山田:ウルトラマンからのラバーフェチというのはすごい。

乙君:ああ、あのあれね。

大井:体がピッチリ、ラバーに包まれて、みたいな。

山田:なんか最近観たエヴァンゲリオンというアニメのなかにも……。

大井:あ、僕も聞いたことがあるやつですね。

乙君:(笑)。

山田:けっこうそういう感じ。

乙君:いいっすよ。そのノリ(笑)。

(一同笑)

乙君:なるほどね。

子供えっちの乱入

山田:で、このあたりから、「子供ためのなにかを作ってるんだけど、実はやばいことやってる」ということが歴代続いてきてる歴史なんだよね。そうだよね。

大井:うん。

山田:だから、実は非常に悪いことやってる(笑)。

大井:そうか、乱歩もそうですよね。もともとは少年向けですよね。

山田:少年探偵団とか言ってるの(笑)。

大井:もともとはそうですもんね(笑)。

山田:そう。だけど、実は覗きだったり縛りだったり。『人間椅子』とかもそうだよね。だからその、ド変態というか。

大井:うんうん。

山田:で、あれ、『家畜人ヤプー』になり、そして、サガノヘルマーになってくるんだと思うんだけど。

大井:あー、ヤプーからサガノヘルマー。

山田:ヤプーからだと思うんだよ。それで、また当時に、ここで言っちゃっていいのかな、子供えっちの乱入というのが80年代にあって。

大井:子供えっちってなんですか?

山田:だから、永井豪が無邪気にやっている子供のえっちのというのが、鳥山明あたりにまで流れていくというか。

大井:エロをエロとして遊ぶみたいな、さっきの恥とかいうのじゃなく。

山田:そうそうそう。だからマチコ先生。

大井:ああ、そうそう、そういうことですよね。

山田:だから無邪気に「わーい、おっぱいだ!」とか「スカートめくりしちゃおう」って。

大井:5歳ぐらいのやつだよね(笑)。

山田:そう。あれ最初『ハレンチ学園』は、最後バイオレンスものになっていくけど、無邪気な子供えっちだったんだよね。

大井:最初はそうですよね。

山田:あれで抑圧したもんだから、永井先生ブチ切れて、全員殺す(笑)。

大井:そうそう(笑)。

山田:永井先生、怒らせたらダメだよ! 全員殺すから(笑)。

乙君:そうなの?

大井:そうそう。

(一同笑)

山田:なにするかわからないから。

大井:『デビルマン』も最終回思いつかないから全員殺してるわけです。

山田:全員そう。

乙君:はあ。

大井:「どうやったらまとまるんだろうね?」(笑)。

山田:だから、永井豪問題もいきますけど、そのあとね。

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