2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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乙君氏(以下、乙君):ということで、やっぱりリンクレイターからいきますか?
山田玲司氏(以下、山田):つうかね、しみちゃんちょっと手を見せてごらん。
しみちゃん氏(以下、しみちゃん):はい。
山田:いやそうじゃなくて。さっきから気になってるんですけど、先週も言ってたんだけど、人には赤い糸みたいな、赤い糸が……って話あったじゃないですか?
乙君:誰かと赤い糸で結ばれてるってことですか?
山田:はい。
山田:はいはい。仕込み仕込み。はい。みんないいよ。盛り上がってるよ、コメント。
乙君:しみちゃんちょっとこれ引っ張って。
山田:でも茶番を続けるよー。
乙君:誰だ誰だ。
山田:どうしたんだろう。
乙君:俺の椅子にひっかかってるな。おーっと!
山田:おーっと! 出た! フウッフウッ!
久世孝臣氏(以下、久世):こんにちは、よろしくお願いします。
乙君:言わなくていいの?
久世:おまえさー、会いに来るの大変だったんだぜ。すげー遠い所いるんだもん。
(会場笑)
乙君:ぐったり。
山田:スーパー茶番タイムでした。
乙君:そんな感じで久世孝臣先生です。
久世:よろしくお願いします。
(会場拍手)
山田:今日はこのメンツでだらだらやらせてもらいますよ。
乙君:そうですね、いつものメンツでわいわいやっていこうかなと思ってますけれども、とりあえずあの赤い糸。
山田:(コメントにて)「来ると思った」「キスしろ詩人」。
(会場笑)
久世:言い方!(笑)。
山田:(コメントにて)「結局久世」。
(会場笑)
久世:“結局枠”になってしまった!
山田:(笑)。「安心のメンツです」。ありがとうございます。安心のメンツでお送りします。
久世:これ(赤い糸)もう外していい?
乙君:いやそりゃ、あんただめでしょう。
久世:ほんまかいな!
乙君:本番終わるまでは。
久世:えーっ。
乙君:ということでいきますか。
山田:『エブリバディ・ウォンツ・サム!!』からいく?
乙君:どっちでもいいよ、赤い糸の話からいきますか。せっかく赤い糸で結ばれてるし。
久世:結ばれてない! お前が結んだんや!
乙君:(笑)。
久世:笑い方!
山田:リンクレイター特集はあらためてみたいな感じで、やりたいのはやまやまなんだよなとは思うんですけど。せっかくなんでリンクレイターからやっちゃおうか。
乙君:せっかく直々に監督からオファーがあったらしいんで。
山田:監督から(笑)。
乙君:ということにしちゃいます。
山田:あのー、宣伝監督から(笑)。そうね、リチャードリンクレイターの話からしましょうか。
これ乙君は全然知らないんだよね。
乙君:いや、全然知らないことないですよ。薦められたのは見ましたよ。『ウェイキング・ライフ』から『ビフォア』シリーズ。
山田:『6才』(『6才のボクが、大人になるまで。』)も見た?
乙君:『6才』は見てないです。
山田:『6才』は見てない。しみちゃんはぜんぜん?
しみちゃん:僕はぜんぜん通ってないです。
山田:君は?
久世:僕も見ましたよ。『ビフォア』シリーズと、あとはなんだっけ……『スクール・オブ・ロック』と、『スキャナー・ダークリー』も見たのかな。
山田:それ見てるの? けっこう多くない?
でね、この人、みなさんご存知の『ビフォア』シリーズ(の監督)。『ビフォア・サンライズ』暗唱するほど見てます、これ。
乙君:そんなに?
山田:うん、これが一番有名。あと『スクール・オブ・ロック』。ジャック・ブラックがロックの先生として有名校に乗り込むというね。あれは脚本はリチャード・リンクレイターじゃないけど、リンクレイター節っていうかみごとな監督さばきというか。
それでハリウッドの方でもやれるし、それでインディペンデント的なこともやるっていうか、両方できるっていう器用な監督で、俺のオールタイムベスト3に必ず入ってしまうという、ベスト2にどうしても入ってしまうという『ウェイキング・ライフ』。
ですけど、(乙君に)だめなんだよね、『ウェイキング・ライフ』。
乙君:だめっていうか、ちょっと個人的な事情でだめですねこれは。
久世:どういうこと?
乙君:まあまあ。
山田:これ見てない?
久世:これ見ました。大好き。
山田:みたいなことをやっている映画監督で、この人、これ(『ビフォア・サンライズ』)が一番有名で、この映画を見てない人はいないと思いたいんですけど、意外と見てないのかも。
乙君:でもまあヤンサン見てる方は。
山田:そう。ヤンサン見てる人なら、まず見ているだろうなと思うけど。これは、大学出たてくらいのアメリカ人の男がヨーロッパ旅行に出ていて、実はスペインに彼女がいるんだよね。でもスペインにいる彼女に会いに行ったら、彼女には男がいて、で完全にヤバいことになって結局失恋してアメリカに戻らなきゃいけない。
これよくあるパターンだよね。だから彼女と遠く……。よく聞くパターンだよ。僕のアシスタントなんかにもけっこういましたけど、彼女とちょっと遠恋になってしまったと。
それで「俺、夏休みになったら会いに行くからさ」とか言って行ったら、もう男がいたみたいな。それで雰囲気変わったねみたいな感じになってぎくしゃくして、居場所がなくなって戻る。そこから始まる映画。
それで、傷心で、でもせっかくヨーロッパ来たから、ちょっと電車に乗ってチューリッヒから飛行機に乗ってアメリカ帰ろうかなみたいな感じになって、電車の中で本を読んでると、隣にいた綺麗なフランス人のセリーヌって女がいて、その2人の横で大喧嘩している夫婦がいるんだよね。その大喧嘩している夫婦が喧嘩しながら車両を替える。
それで、いなくなって変な空気になった時に、2人の目が合うんだよね。それで「あんなふうにはなりたくないよね」みたいな雰囲気から「一緒に話そうか」って話になって、それで男のほうが「明日まで時間があるんだ」と。明日の飛行機に乗らないといけない、だから僕はチューリッヒの町を一晩ふらふら、あっチューリッヒじゃないんだ。
乙君:花の都ウィーンです。
山田:ウィーンだ。「ウィーンを一晩ふらふらしようかなと思っているんだけど付き合わない?」と彼女に言うと、彼女は「こうやってアメリカ人がフランス人をナンパする典型的なパターン」みたいな。で、彼はそこで言うんだよね、覚えてる?
乙君:いや、覚えてないっす(笑)。
山田:なんでそれを覚えてないの。そこがザッツリンクレイターなんだよ。リンクレイターのキモが詰まっているその瞬間に。だって電車で会った女子大生はフランスのおばあちゃん家に帰りに行くんだよ。だから用があるんだよ。そこでちょっと話しただけのアメリカ人の男と一緒に1晩過ごすってけっこうハードル高いでしょ?
久世:高い。
山田:で、しかも帰っちゃうんだよ、そのあと僕たち付き合おうっていうんじゃないんだよ。終わりが見えているんだよ。それなのにナンパして落とせるっていう。その時に彼がなにを言ったか覚えてない?
乙君:覚えてない。
山田:けっこう大事な話ですよ。
乙君:そんなすごまれても。
久世:すいません、僕1度しか見てない(笑)。
山田:1度しか見ていないの、これを!?
乙君:言ってくれれば予習してきたのに(笑)。そんな問題出ると思ってない(笑)。
久世:とにかく許してほしいです(笑)。
山田:で、彼が彼女に言うんだよ。「じゃあ今から想像してみて、今から20年後に飛んでみて」。30年後だったかな、とにかく「未来の世界に飛んでみて」って。
「そのとき君はつまらない男と結婚して、最初の頃は楽しかった夫婦生活もだんだんつまらなくなって、このままつまんない男とつまんない一生を送るのかなと思っている、中年女性になっているんだよ。今、君はね」って言って、「その時に思い出すんだよ。あの時あの夏に電車の中で知り合ったアメリカ人の男性、今頃どうしているかな、もしあの時一緒に電車を下りたら私の人生は変わったんじゃないかな、なんて思っているその君が今タイムスリップをして、この時間に戻ったって考えてみて」って言うんだよ。
で、「しょうがないわね」って言って一緒に下りていく。そして、このシリーズはなんと8年後の2人を描き、そしてさらにその8年後を描くという。つまり、その時に言った、この先の未来みたいなものに向かって、このシリーズは3部作で続いて行くという。
乙君:そうなんです。それにびっくりして。
山田:すさまじい話で。
乙君:主人公がイーサン・ホークなんですけど。同じキャストなんですよね。8年後もこの2人で、実際の時間8年たったあとに撮って、またその8年後にって『ビフォア・サンセット』『ビフォア・ミッドナイト』もあるんですよね。この3部作で同じキャストで、同じ時間軸のなかで物語を紡いでいくっていう。
山田:で、ここは「また会おうね」で涙のお別れ、再会の約束みたいな流れになって、いい感じに見える……うるせーうるせー! ブヒブヒ。ネタばれするわ! これくらいみとけや! 常識だっつうの。
(会場笑)
山田:まあいいや、そんなふうに終わるわけですよ。それで再会するのかなって俺たち8年間待たされたわけだよ、そしたら2人が再会しないまま8年たっていたっていう続編が待っているわけですよ。奥野さん。
乙君:いや、知ってますよ。
久世:見てはいるのね(笑)。
乙君:セリフのいちいちまでは覚えてないですけれど、非常にいい作品でした。
山田:そんな夕方、飛行機たっちゃうんだよ。
乙君:そうですね。
山田:パリですよー。どうすんだよ。それぞれの生活があるんだよ。だけどここで離れていいのか……。
乙君:それは『サンセット』の話でしょ?
山田:『サンセット』の話、しかも『サンセット』の終わり方。
乙君:全部言う気?
山田:まあいいんですけど。そして『ミッドナイト』ですよ。その2人が、まあなんていう男と女の残酷な結末に向かっていく、しかしそれが本当の絶望かどうか、みたいところにフワフワ言いながら冒頭のセリフに戻る、このシリーズの冒頭のセリフに戻るんですよ。なんてことしやがんだリンクレイターと。すさまじい三部作ですよこれは。
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