2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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ひ:まぁ家まで来てくれたら、わざわざ来てくれたし、受けるぐらいはいいかなっていう。
池:せっかく来てくれたんだし、いい先生じゃないかという事で受けられたんだと思います。まぁ人のよさそうな先生なんで。
ひ:まぁひきこもるぐらいですから、気の弱いいいやつですからね。割とヤンキー気質な人ってひきこもんないじゃないですか。モノを殴って解決するような人って。
池:真面目でデリケートな人が多いので、気を遣うんですね。取材してても、ものすごい気を遣って話を合わせてくれたりとか、そういう人も多いんですね。だから、わざわざ来てくれたというのが非常にありがたいと。だから受けてみようかという事で、何となく自分の状態がわかるんですね、原因とか。
ひ:具体的にはどういった原因が?
池:先程の精神疾患との因果関係にも共通していますけども、何らかの疾患を持っていたりとか、あるいは疾患のない人たちもいます。それによって対処法がまた違ってくるらしいんですけども。
ひ:統合失調症だよってなったら家に居ても治らないから、さっさと病院行こうぜっていう。
池:そうですね。それ以外の人たちは薬で不安を取り除きながら、アミーゴという人たちがまた家庭訪問をして、何回か行った時に仲良くなるんですけども。最初はなかなか出てこないんですけど、本人は聞き耳立てて(親と話しているのを)聞いているらしいんですけど。大声で世間話をするのを聞いてると、楽しそうにやってると。そうすると親子関係をとって代わられるんじゃないかと。そうすると危機感を持つんですね。
ひ:その親がアミーゴを気に入ってしまって、自分に対しての愛情が減るんじゃないかという。
池:はい。そういう事です。で、そのうちアミーゴの人たちと外出するようになるんです。ただ外出するだけではダメで、居場所というものが必要になってくるんですけども、その居場所の役割としてラテンアメリカ研究会っていうのが……。
ひ:え、アミーゴとかラテンアメリカとか、スペインにこだわるんですね。
池:まぁ中米ですから。
ひ:ああ、陽気な向こうの人たちですね。
池:それは先生の個人的趣味だと思うんですけども。部屋でアミーゴの人たちとゲームをしたり雑談をしたり。そこに時々カウンセラーのような専門家が顔をのぞかせると。そういう事をやっているうちに、だんだん社会性を身につけるトレーニングをやっていくんです。それは電話のかけ方だったり……。
ひ:電話のかけ方を大学生に教えるんですか?
池:そうですね。そこまでやります。
ひ:電話のかけ方を知らないんですか?
池:基本的に大学生なんで社会性がないという事でやるんですけども。話それましたけど、大学生だけでなく、国立大学なんで地域の一般のひきこもりの人たちに対しても、そういう事をやりはじめたと。
ひ:たまたま近所に居るひきこもりの人にも。
池:はい。申し込みがあればなんですけど。
ひ:1時間1500円でしたっけ?
池:そうですね。はい、結構安く。
ひ:で、その復活率というのは?
池:9割とかですね。ものすごいいいですね。
ひ:それ、なんで他の地域とかでもやんないんですか?
池:それはなかなか人材とかお金とか。たまたま試験的にやられていると思うんですね、和歌山大学のは。それなりの人材をかけなきゃいけないし。
ひ:それはやっぱり精神科医の先生が優秀なんですか? それともアミーゴが優秀? それともラテンアメリカ研究会が優秀?
池:優秀というか、先生もズボラな感じの、気のいい先生で、なんとなく付き合いやすいんだと思うんですね。
ひ:優秀な精神科医の先生っていうのは感謝されないっていうのがあるんですよね。例えば何かしらの問題があると思って精神科にいくじゃないですか。で、話しているうちに「あれ、俺なんも問題なかったわ」ってなって帰ってしまうというのが、実は一番優秀な精神科医で。でもみんなが感謝する精神科医って長い時間をかけて治していくから感謝されるんですけど、本当に優秀な精神科医って気づかないうちに治してしまうから感謝されないっていう。まぁその話は置いといて(笑)。
宮:じゃあ歴史いきますか。
池:ひきこもりという言葉自体は91年に旧厚生省の、ひきこもり・不登校なんとか事業って所で、初めて言葉が登場するんですね。たぶん官僚の人が考えたんだと思うんですね。
ひ:それは不登校って事なんで、小学校・中学校に行かない人たちのひきこもりって意味?
池:はい。延長っていう位置づけだったと思いますね。恐らくその前は、パラサイトシングルだとか、色んな呼ばれ方はしていたと思うんですけども、それが初めてそういうネーミングがされて、その存在が明らかになったと。そういう存在だったと思いますね。
ひ:それまでは言葉がなかったわけだから、社会的には存在しないという風にみんな思っていた? 特に問題視もされてない?
池:そうですね。特に問題視もされてなかったですね。
ひ:でも不登校は昔からありましたよね?
池:はい。不登校は登校拒否という言葉であったんですけども、それも最近だと思うんですよね。最近というか80年代ぐらいからじゃないですかね?
ひ:へー。じゃぁ登校拒否って僕の世代ぐらいから始まった言葉なんですね。
池:たぶんその前はなかったんじゃないですかね。
ひ:え、じゃあみんな学校行っていたんですか? 70年代の子供たちは。どうですか、70年代の子供たち風な人たちは?(ここで傍聴席にいた岡田さんに話かける)
岡田(以下、岡):精神科医の岡田です。いや、あるでしょ。社会が緩かったから、あまりスポットが当たらなかった。で、注目されなかったんだと思う。
ひ:じゃぁ話を戻して、その辺からひきこもりが登校拒否と一緒に現れ始めたと。
池:そうですね。その前からあったと思うんです。江戸時代は穀潰しという言葉があってですね、そういう人たちが家にいて、その人たちは恥さらしだという事で隠していた。なので表に顕在化するという事は、あまりなかったんだと思うんですね。ただそういう言葉は昔からあったと。
ひ:まぁ昔からダメな奴はいますからね。
池:まぁメカニズムを抱えてしまった人たちって昔からいますから。
ひ:働けない人たちっていうのは昔からいて、色んな理由で働かない人たちっていうのはいたんですけど、最近は病気で働けない人と働かない人たちがごっちゃになっている。病気で働けない人っていうのは、精神疾患の場合は和歌山大学の人たちように、ちゃんと回っていけば実は問題ないんじゃね? っていう気がするんですけど。
池:まぁだから全国にそういう方法が普及すると、かなり効果があるかもしれないですね。
ひ:あとは予算の問題じゃないですか?
池:まぁ恐らく膨大な予算が必要になりますよね。あとは人材育成をしていかなければいけないというのもありますし。
ひ:でも精神科医カウンセラーという人たちは増えているんですよね?
宮:まぁ一般化されましたよね、カウンセラーに行く事が。
ひ:昔はカウンセラーに行きましたってなると、うわこいつ大丈夫か? みたいな。まぁコメントにもありますけど、昔は異常な人っていう扱いだったんですけど、最近はなんか友達が鬱病になりましたとかで、あぁ仕事大変だよねみたいな。
池:普通に言ってますね、みんな。
宮:そこらあたりだと思うんですよね、今の問題っていうのは。元々病気の種を持ってる人っていうのはいるとは思うんですけども、社会人になって途中から会社に行けなくなった人が増えているという状況が今あるんですけども、やはりコミュニケーションの問題だったり、社会の問題だったり、会社の問題だったりっていうのは、10年前、20年前と今はちょっと違うんじゃないかと。
個人的には、そこにひきこもりを生んでいる要素があるんじゃないかと思うんですけどね。コミュニケーションの問題ですよね。生きにくい世の中というか、コミュニケーションが上手くできなくて、ひきこもっている人が増えているとは思いますけどね。
ひ:ちょっと話がずれてしまうかもしれないんですけど、なんで現代社会はコミュニケーションスキルを過剰に要求して、コミュニケーションのレベルが上がっちゃったんですか?
池:んー、上がったんですかねぇ。
ひ:その、電話のかけ方みたいなやり方を教えてないと、社会の一員になれないっていう。昔は生まれて歩いていたらいいんじゃね? っていう。なんでそんなにハードル上がってしまったんだろうっていう。
池:コミュニケーション至上主義みたいになっていますよね。だけどそうでもないと思うんですけど。そういう事が出来なくても、例えば動画コンテンツの制作とか、コミュニケーション能力がなくても、専門性があればできる事もあるわけで。
岡:極論を言えば、地域の共同体が崩壊したという事ですよ。今まではそういう人を地域で支えてたわけですね。それが崩壊したために、ダイレクトに個人が投げ出されてしまった。社会の側の方にそれを包摂的に取り組む余裕がなくなってしまったために、ギスギスした社会になってしまった。
ひ:じゃぁ昔は「フラれちゃったんだけど、どうしたらいいの?」ってなったら、それは周りの人が教えてくれた。
岡:そう。いいも悪いも共同体があったわけで、そこで○○さんの子供が困ってしまったけど皆でお灸でも据えるかとか、ご意見番みたいな人がいて、やんちゃかもしれないけど鍛え直したりだとか。そういう封建的かもしれないけども、地域のシステムが生きていたって事ですね。それがなくなってしまったために問題が出てきたと。でもそれを膨大なコストを使って国がやろうとすると……だから今矛盾が発生していて。ひきこもりを支えるのって膨大なコストがかかるんですよ。だったら厚生省なんかが病気ですよって事にして精神科医に預ける方がコストが下がるから、そういうような報告書を出すわけですよ。
池:確かに、ひろゆきさんの言ったように「おせっかい」っていうのがなくなった気がしますけどね、会社も社会も。先生の仰ったように地域も家族も。共同体ですよね。
ひ:まぁダメな奴はダメな奴って切りますからね、最近。
岡:昔はダメな奴も支えていたわけですよね、ある程度。
ひ:うちの会社でアスペルガー症候群の子がいるんですけど、説明がすごいヘタで、運が悪くて、プログラマーとしてはすごい優秀なんですけど。ある時に仕事でサーバーにアクセス解析のソフトを入れるって事をやっていて、そのサイトがアダルトで、ある日ピンポーンって鳴ったから、何だろうって思ったら警察がいて「あなたこのサーバーの管理者権利を持ってますよね?」って聞かれて、ソフトのインストールをしたんで「はい。持ってます」って答えたら、そのまま逮捕されて、一生懸命説明してるんだけど、しどろもどろで警察もよくわかってないし、結局23日間拘留しようっていうんで、23日間拘留されて出てきたら、自分の会社もクビになっているし、家賃払ってないから大家にも追い出されてホームレス寸前だったっていう友達がいるんですけど。プログラマーとしては優秀なんですけど、コミュニケーション能力に難があるから、そうなっちゃう。
池:象徴的な話ですね。
ひ:うちの会社に居る分には、みんなわかっているから放っておくんですよね、変な事言ってても。ただプログラムをやってくれっていう関係が作れればいいんですけど。一般の会社だと、こいつ何言ってるかわかんないから切って、まともな奴入れようぜってなっちゃうと思うんですよね。
池:警察もそうだし、社会、会社の上司、同僚もそういう事を理解できていないから、結局正に今のような事がきっかけでひきこもっていって、潜在化していって、優秀な人が埋もれていくという風になっているんじゃないかと。
ひ:あと池上さんの本で気になったのは、ホームレスになる若者っていう。
池:はい。これも今の会社、家族、地域の崩壊と同じように、まず会社自体が余裕がなくなってきていますから。今までは企業が家族主義っていう状況で、どんなダメな奴でも支えていたと思うんですね。だけど今はそれが支えきれなくなってきている。そういう企業からアウトされて、家でも経済的に余裕がなくなってきていて、家から追い出されたりとか離婚されたりとか。
ひ:本に書いてあった実例で、お母さんが病気で借金を負って、その借金が返せなくて、お金がなくなって生活保護に行ったら断られたとか、そんなんでしたっけ?
池:そんなのありましたっけ?
ひ:あれ、違う本でしたっけ? 違う本です。すみません(笑)。
池:でも生活保護っていうのは、同居していたらもらえないんですよね。ですから、そういう意味で同居しているひきこもりの人たちって貰えないんですよね。だからセーフティネットがないっていう。そうすると、外に出て一人暮らしをして生活保護をもらうのか、路上に出ていってもひきこもってしまうという人たちが増えていっている。あと消えた高齢者の話ともリンクしていて、当事者の人に聞くと、親御さんの年金が全ての支えですと。だからこの前の豊田の一家5人殺しの事件なんかを聞くと、ありえないと。
ひ:親を殺してしまったら、食えないじゃないかと。
池:はい。年金を貰えなくなるじゃないかという風に言うわけですよね。だから親には生きていて貰わないと困るわけですよね、どんなに年老いても。まぁこれは消えた高齢者の問題にもなっていくんですけども。
ひ:死んでも死んでない事にするっていう。
池:ですけど、結局親が亡くなった時に、色んな事情で家を手放さなくてはいけなくなったりですね、餓死するという人もいます。自殺するという人もいますけど。路上に出て行って話さなくても生きていけるらしいんですよね。市の支給を受けたり。それは精神科医でホームレスの支援を行っている人が、そういう調査をしていて、そういう実態の話を聞いているんですけども。
ひ:最近は熱中症で老人が亡くなられて、老人の年金で息子48歳が暮らしてたっていう。電気代ないからクーラーもガスも通ってなくて、氷かなんかを買いに行ったらダメだったって話で。ひどいなぁと思うんですけども。
池:そうですね。報道ではひきこもりという言葉が出てこなくても、働いていない、家に居たという状況からすると、なんとなくこう。
ひ:たぶん何かしらの疾患的なひきこもりで、息子は働けないんだろうなっていう予想はつくんですけども。それもちゃんと手助けが入っていたら息子に生活保護が出るなり、病院とか、なんかあったと思うんですよね。だって家に電気とガスがないで暮らしてるって、頭ちょっとやられているじゃないですか。だからそういう所で、なんで気付かなかったのかなと。
池:まぁ気づいていても、経済的に余裕がないというのがあるのかもしれないし。
ひ:でも世間の人と話をしていて「うち水道と電気ないんだよね。10年暮らしてるけど」ってなると絶対おかしい! ってなるじゃないですか。それ変だから役所行きなよって話になると思うんですけど。そういう役所に行くっていうのも、誰かと話をしていたらわかってたと思うんですけど、そういうのもしないで、2人きりで生活していたっていうのが問題だったと思うんですけど。
池:孤立しているんですね。家族が地域や社会と孤立しているから。でも誰か相談できる人がいれば、的確なアドバイスができたりとかしたかもしれないんですけども。
ひ:でもひきこもりの人を抱えている人は、ひきこもりを知られたくないわけですよね?
池:知られたくないですね。基本的には知られたくないし、本人も自分をひきこもりだと思ってない人が多いし。
ひ:さっさとカミングアウトして解決していった方がいいと思うんですけどね。そういう考えになっている時点で、あんまりひきこもりにはならないんだろうなっていう気もしますけどもね。
宮:引きこもりの人の意識傾向という事で、コミュニケーションが苦手。
池:そうですね。対人関係の薄さというのがあって、そういう中でなかなか対人緊張とか視線恐怖とか。
ひ:暗黙の領域がないっていうのは?
池:暗黙の領域っていうのは、働く価値とか意義とか一般の人が持っている……。
ひ:空気が読めないとか、行間が読めないとかいうやつですか?
池:そういうのとはちょっと違うんですよ。暗黙の領域って言うのは、当たり前のもの、当たり前の価値観っていうんですか。そういうものが解体されてる。
ひ:解体?
池:はい、自分の中で壊してしまっているっていうんですかね。やっぱり地域とか家族とか、そういう会社の中で体感として育んでいくものが……。
ひ:じゃぁさっきので当てはまる数字のものを、コメントで書いていってもらいますか。1から5のどれに当てはまるかっていう。僕他人に電話するの本当に苦手で、電話の発信ほとんどしないんですよ。だから電話の料金って3,500円ぐらいですよ、毎月。無料通話分も毎月余る。
池:緊張しますよね、電話。
ひ:相手の人忙しそうじゃないですか。そこに割り込むのが嫌で。
池:人に会うのより電話の方が苦手って人多いですよね。
ひ:4が結構ありますね。
池:当事者の人に共通しているのが、真面目な話はできるんですけど世間話ができない。世間話というのが実は高度なテクニックでして、やはり相手の興味のある事を理解して話をできるかって事なので。
ひ:めっちゃわかるわかる。世間話は苦手っていっぱい(アンケート結果に)出ていますが。世間話のどこらへんが難しいんですか?
池:やはり相手が興味ないと、相手は食いついてこないわけですし、やはりそれを理解させないといけないっていう中で……。
ひ:相手がどんな話に興味があるかっていうのを理解して話をするっていうのが、かなり難易度が高い?
池:そうですね。テクニックだと思いますね。真面目な話っていうのは自分の話だったりとか、政治経済の話だったりっていうのが。
ひ:テーマ設定があって、このテーマに沿って話すよっていう分には間違いがないと。世間話の場合は正解じゃない場合があると。確かに正解不正解で言うと世間話ってかなり難しいですよね。
宮:仕事の話なんて楽なもんですからね、決まってますから。
ひ:15歳の女の子と話せってなっても、共通の話題、何出していいかわからないじゃないですか。
池:世間話というのは、人間関係の駆け引きみたいなものが出来るかどうかだと思うんですよね。やはり自分の話をしていく分には政治とか経済の話とかをするんですね。セカイ系とも言われているんですが。自分と世界しかなくて、真ん中の対人関係が抜けちゃっていて、でも自分と世界はあるんですよね。
ひ:ネット右翼ってそんな感じですよね。日本経済とか日本国家の話はするけど、近隣の話はわかんないっていう。
池:よく政治経済とかサッカーの話をする人が多いですよね。サッカーとかは昼夜逆転するので、よく観てますよね、欧州サッカーとか。
ひ:でも南米の人って人種に関わらず自分の話ばっかしますよね。そういう意味で自分の話を強引にするっていうのが、まぁアリっちゃアリなんですけどね。
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