2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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乙君氏(以下、乙君):そして?(笑)。
山田玲司氏(以下、山田):あと「運命の人に出会える」ってことと、もう1個、最大なのは、やっぱり、みんな思ってる、誰もが思ってる、「震災前に戻りたい」っていう気持ちを正直にぶつけた、というね。
乙君&しみちゃん氏(以下、しみちゃん):あー。
山田:みんなが体験した、あれ以前とあれ以後ってことを、しっかりと避けずにぶつけたってことが、やっぱりそのときの気分。あの後、いろんなことがはっきりしちゃうんだよ。みんな、夢から覚めちゃった。
だから、なんとなく、「このまま、80年代以降の幸せが続いていくんじゃないか」って思っていたら、あそこでバーンって1発カタストロフが来ちゃって、目が覚める。やらなきゃいけない。処理しなくちゃいけなくなっちゃう。いろんなものを解決しなきゃいけない。
モヤモヤしてる状態は終わらせて、はっきりさせなきゃいけないから、『(マッド・)マックス』が、「希望を持つな」と。
乙君:なるほどね。
山田:ってことになるわけだ。それで、(『アナ雪』の)「寒くてもへっちゃらよ」って、そういうタフな方向に行こうとしたんだけど、「やっぱりあの頃がいい」って戻しちゃうわけよ。
乙君:あー。
山田:そうすると、そういうふうに「がんばろう」って思ってたんだけど、「やっぱりあの頃がよかった……」っていう泣きが入るわけだよ。
乙君:あー! そっかそっか。
山田:だからもう、これは仕方ないよな、と。俺なんかだと、「いやいや、先に行こうよ」「あの頃のままだったらまずいよ」って思う。
乙君:うん。
山田:多くの人が思ったはず。そういう人にとっては、「逆効果だ。モヤモヤするわ」って思ったのも、すごくよくわかる。
乙君:なるほどね。
山田:うん。
乙君:なるほど。わかった。
山田:それで、そうなってくると、最終的にこの映画がどこに着地するかというと、もう一方的に、赤い糸神話、「誰か運命の人に必ず会うことができる。運命の人はいるんだ。そして、会うことは可能なんだ」って。もうほぼ、「ネッシーはいるんだ」みたいな。
(一同笑)
山田:「UFOはいるんだ」「MJ-12は本当なんだ」みたいなレベルで、運命を信じる人たちで。これが、いわゆる勅使河原くんが持っていたのはなんですか? 『ムー』ですね。
乙君:あー、そうだ。
山田:あいつは『ムー』を読んでるから、あんなわけのわからないことに乗ってくれるわけじゃん。
乙君:そうですね。
山田:あれを、いわゆる「ムーの一族」って言うんですよ。
しみちゃん:(笑)。
乙君:「ポー」じゃなくって?(笑)。
山田:はい。
(一同笑)
乙君:「ポー」じゃなくて、「ムーの一族」。
山田:樹木希林さんの『ムーの一族』。つまり、これは「あ、そうか」と。僕が大好きな『ブック・オブ・モルモン』に近いっていうか。
(一同笑)
山田:まあ、モルモンの方は「I Believe」ですから。
しみちゃん:はい(笑)。
山田:「I Believe」ですから。信じる人のことを言ってるわけで、「信じるんだよ」っていう。だけど、泣きながら目が覚めるんですよ。奥野さん、これがなぜか考えました?
乙君:はい。
山田:信じてるのに、泣きながら目覚めるのはなぜかというと、現れないんですよ(笑)。
山田:現れないからですよ、本当は(笑)。
乙君:ムンクが(笑)。
山田:現れてないんですよ。ほとんどの場合は、信じてるのに現れない、という。それは、目覚めて、朝、泣きます。
乙君:そうだったのか!
山田:そうですよ。そこからのスタートで、会えましたってところまでいくから、みんな、「あー、よかった」って。
乙君:夢がかなわないってことを、無意識に浄化作用として涙が流れて起きてる、ってところから、夢がかなうまでが。
山田:そうです。
乙君:の落差なんですね。……落差というか、まあ。
山田:何回も何回も観れば、何回も何回も「うん、会える」「うん、会える」って思って帰ってこれるから、これを10回観たら、もう10回分、「I Believe」になれますから(笑)。
しみちゃん:(笑)。
山田:よく言うじゃないですか、女の人が「これだけ待ったんだから、絶対いい人が出てくるはずだよ」みたいなことを(笑)。
乙君:あるある。「生きてりゃいいことあるよ」みたいな意味でね。
山田:いや、違う。「これだけ待った以上、そのへんの男じゃ満足できない」とか言い出す人がいるじゃない(笑)。
乙君:どんどん、あれが高くなっていく、っていうの。
山田:そういうことが起こりがちじゃないですか。男もそうだよ。
乙君:そうですね。
山田:いいおっさんになって、まだ「20代前半の……」とか言って、ふざけんなよ、バカヤロー(笑)。そういうことって、起こりがちじゃないですか。そうなると、そりゃ泣きますよ、朝目覚めて(笑)。そんなことを信じてるのに。
乙君:じゃあ、もう、ほとんどの人が実は朝泣いてますよ。泣いてることすら、忘れてるのかもしれない。
しみちゃん:(笑)。
山田:基本的に、赤い糸信者さんというのは、今、限りない一人旅の途中にいるんです(笑)。
乙君:それでーー!
山田:だから、朝目覚めてなぜか涙が出てた、みたいなところで、もう、反射的に泣いちゃうんだよ。「私だ」みたいな。そりゃ、しょうがないでしょ。泣いてもしょうがないです。泣いていいんです。泣きましょう(笑)。
乙君:あー。
山田:そうなんですよ。ただ、これ、ちょっと気になるのが勅使河原くん。
しみちゃん:うん。
山田:ちゃんとね、付き合ってました。
しみちゃん:はい。
乙君:あの子と?
山田:東京来てました。
しみちゃん:そうですね。
山田:田舎には、赤い糸がある、みたいな言い方なんですよ。なにそれ、ヤンキーはすぐ結婚する、みたいな感じですか? 田舎のヤンキーは。
(一同笑)
乙君:そんなこと、俺に言われても。
山田:マコト・シンカイ、そういうことですか? それは、手近ですましちゃいます、みたいなことですか?
乙君:まあ……。
山田:これ、ちょっと違うんじゃないですか?
乙君:でも、あの女の子が、たぶん積極的だったんじゃないんですか?
山田:でも、いい子です。勅使河原くんもすごくいい子です。
乙君:うんうん。
山田:それで、ちょっといろいろ考えたんですけど。これ、糸守町。糸を守る。赤い糸伝説を守っている町。そこで、組紐やってる。そして、時空のねじれ、みたいなことを、そこで引っかけて表現している。糸守町とはなにか?
しみちゃん:はい。
山田:これはやっぱり、ジブリと、かつての旧ディズニーですね。そして、かつての少女漫画じゃないかな。だから、「私なんか……」って言ってる女の子が、「遅刻しちゃう!」って言って、たまたまぶつかったイケメンが、「あんな奴、ムカつく!」って言ってたのに、必ずくっつくっていう。
乙君:あー。
山田:必ず保証された出会い、と。女の子は空からゆっくり降りてくるんです。必ず、僕のもとへ(笑)。
(一同笑)
山田:降りてきますから。
しみちゃん:はい。
山田:「それが、俺たちが信じてた世界じゃねーか」と。そこに、いわゆる隕石が落っこちて、終わりにしちゃおうとするわけです。エルサ登場ですよ。
「そんなん嫌だ。あそこに住んでた人たち、どうするの? 滅びゆくジブリ、旧ディズニーをどうするの? そこに住んでいた架空のキャラクターたちをどうするの? 助けなきゃいけないでしょ。やっぱり助けましょう」っていう話。
それで、そこで助けて、「やっぱりあのままがいいんだよ」「信じたいんだよ」って。これにツッコミ入れてたら、あのへんから楽しめるわけがねー、って。(笑)。
乙君:そうそう。いや、それは本当にそう。
山田:ツッコむ人は見るな、っていう(笑)。
(一同笑)
山田:だから、それは「そうだよな」って思いながら、「ダメじゃないかな」って思うんですけどね。
乙君:うんうん。
山田:ただ、まだ問題があるんですよ、この作品。
乙君:まだあんの?(笑)。
山田:あれを作った男たちって、どういう男たちなのかなというのと、三葉は本当に幸せになれるのか問題を、ちょっと考えたほうがいいんですよ。
乙君:どういうこと?
山田:だって……。
乙君:三葉は幸せに……。
山田:三葉は出会った後にも、人生があるわけじゃないですか。
乙君:そうそう。
山田:「会えたね」の後の話ですよ。やっぱり、そこにも想像をめぐらさなきゃダメじゃないですか。
乙君:ダメなんですか?
山田:うん、クリエイティブ・チルドレンとしては。
乙君:はいはい。その後ね。
山田:あれを作ったのは、いわゆる宇宙系男子じゃないですか。
乙君:……うん。
山田:宇宙の人たちじゃないですか、マコト・シンカイは。
乙君:そう……なんですかね。
山田:古くは、レイジ・マツモト……松本零士先生とか、石ノ森章太郎先生とか、ホリエモンとか、イーロン・マスクとか。
乙君:はいはい。
山田:これを男のロマンと言う、少年とも言うわけだよ。それで、その視点から作ってる映画だから、生活はできないんじゃないかな、って(笑)。あの人たち、たぶん、オムツとか買えないと思うんだよね(笑)。
イーロン・マスクとか、ホリエモンとかが、オムツ買えないんじゃない。「俺、行くから」って、たぶん行っちゃうじゃないかな、って思って。
乙君:ほうー。
山田:「俺、建築の下見に行くから」とか言って、三葉は1人で子育てする感じになるんじゃないかな、みたいな(笑)。
乙君:そんな現実なの? 待ってるのは。
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