2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
Saving the Elephants with Carbon Dating (全1記事)
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オリビア・ゴードン氏:これまでに象牙でできた美術品などを見たことがありますか? 象の牙でできた彫刻やピアノの鍵盤、なかにはほかの動物の牙でできたものもあるでしょう。
現在、象牙の輸出入はほとんどの国で禁止されています。アメリカにおいても今年の前半ごろ、完全に違法なものとされました。しかし残念ながら、密猟によって毎年何万頭もの象が命を奪われています。
ユタ大学の研究者チームは、炭素年代測定法を用いて、いつ頃採取された象牙なのかを調べる研究結果を発表しました。同時に、象のグループごとの遺伝子情報と突き合わせて、採取された場所も調べました。
これによって、野生動物を保護するための組織が、違法な象牙が採取された場所をピンポイントで特定し、効果的な密漁対策が行えるのです。
象牙は私たちの歯と同じようなものです。
象牙質とよばれる硬い組織でできており、ほとんどが炭素と無機質のミネラルです。内部には人間と同じように、象牙質を作り出すドロドロとした細胞質があります。
象牙の頭蓋付近、象牙質が薄い部分からサンプルを取って炭素年代測定を行うことで、象が死んでどれくらい時間が経っているのかを調べることができるのです。
20世紀半ばに行われた核実験によって、炭素14と呼ばれる弱い放射性の炭素が空気中に放出されました。炭素14は植物に吸収され、さらにその植物を動物や人間が食べていきました。
さらに炭素14の量を測定することで、研究者たちは遺骸などからその年代を推測しやすくなりました。こうした研究の結果、いいことと悪いことの両方がわかったのです。
違法な象牙を検査したところ、そのほとんどはこの3年の間に採取されたものでした。これはつまり、過去に政府が公式に備蓄している象牙は盗まれていない、ということを意味する一方で、現在でも密猟が多発しているということも示しています。
研究者たちはさらに、同じ象牙の遺伝子情報とも突き合わせました。象牙に残っているDNA組織と、野生の象のDNA組織を比べたのです。
その結果、象がもっとも危険な状態にあり密漁をまっ先に阻止しなければならないのは東アフリカだとわかりました。
願わくば、こうした研究によって、象の個体数の現象に歯止めがかかり、さらには毛皮などを狙ったほかの動物の密漁も阻止できればと思います。
悲しい動物の話はこれぐらいにしておきましょう。話は変わって、まわりに遠視の人はいますか? 老眼や遠視は、年を重ねると誰にでも起こる症状です。
目が老化すると、生体反応が変わったり筋力が衰えたりし、レンズが固くなってピントをきっちり合わせられなくなるのです。大抵の場合、近くのものにピントを合わせづらくなりますが、遠く離せばピントが合います。レストランでメニューを見ている人が、トロンボーンを吹いているかのようにメニューを前後に動かしているのを見たことあるのではないでしょうか。
最近発行された『Current Biology』誌には、こうした症状が人間固有のものではないことが掲載されていました。私たちに近い霊長類であるボノボを取り上げてみましょう。
大抵の霊長類と同じように、ボノボも、虫やゴミを取り除くためお互いに毛づくろいをします。
そうすることで体を清潔にするだけではなく、お互いの絆も深めるのです。
普通に考えれば、これは相手に近づいて行うはずだと思われます。しかし研究者たちは、年をとったボノボであるほど、毛づくろいをする時に距離を取って座ることに気づきました。これまでこの点に着目した研究はありません。
研究者たちは14のボノボのグループを数ヵ月にわたって追跡調査しました。なかには45才という、ボノボではかなりの高齢の個体もいました。
ビデオや写真を用いて、彼らが毛づくろいをする際の距離を注意深く測定します。
すると、40才を超えた5体のボノボは、ほかの若い仲間より明らかに距離を離していたのです。2009年に毛づくりをする様子が撮影された1頭のボノボは、その時に比べて後ろに体をずらしていました。
老眼になれば生き残っていくのは難しくなるはずですが、ボノボは社会生活を営むことで協力しあい、目が悪くなった老齢のボノボを気遣うことができるのです。
研究者たちはさらに、ボノボの視力の低下の仕方も、人間とよく似ていることに気づきました。遠視や老化の過程が似ているということは、言い換えれば、人間のほうが長生きしたり、目のピントの合わせ方が異なっているとは言え、両者は生物学的に一層近い存在だと言えます。
このことからわかるのは、遠視の原因が、暗い部屋でPC画面を見るといった現代的なライフスタイルのせいとは限らない、ということです。むしろ老化の一部なのです。
人間にも、人間に近い霊長類にも起こることを考えれば、遠視は人間が誕生する前から存在したのでしょう。
サルたちの老化を調べれば、人間の老化の具合が進化の過程でどのように進んできたのかもわかることでしょう。
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