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SUMMER OPEN CAMPUS 2016(全4記事)

夢を追わない生き方は「自分の魂に失礼だ」 “かめはめ波”を手に世界を目指す、男の信念

「バカにされよう。世界を変えよう。」をキャッチコピーに開催されたデジタルハリウッド大学の夏のオープンキャンパス。本パートでは、株式会社meleap CEOの福田浩士氏とデジタルハリウッド大学学長の杉山知之氏が、デジタル化が必須の社会、起業すること、魂を燃やす生き方などをテーマにトークを繰り広げました。

デジタルなしでは成り立たない世界に

杉山知之氏(以下、杉山):今、バーチャルリアリティというところでいろいろ見せてもらったんだけど。例えば、建築は一番昔ながらのやり方で仕事をやってるようなところなんだけど、そういうところにもこういうデジタルコミュニケーションというか、コンピュータとネットワークみたいな波って、今後どんどん来ちゃうもんなんですか?

福田浩士氏(以下、福田):そうですね。間違いなく来ると思っています。建築ですと、その建築をつくるプロセスのなかでVRとかARというのがどんどん入ってきているという印象があるのと、あとはその建築を使った生活を行うシーンがどんどん増えてくるかなと思いますね。

今、ウェアラブルという、人の体にどんどんセンサーとかアウトプットデバイスが装着されるというようなビジョンがあって。それとは別の路線で、建物にセンサーやプロジェクターみたいなものが普及しているだろうというビジョンがあり、建築できることももっとたくさんあるだろうと思います。

杉山:そうだよね。だから、みなさんが考えているより応用範囲が広いというより、ふつうにこういう学校を見たときに、パンフレットに全面的に出てくるのは、CGだったり、ゲームだったり、グラフィックデザイン、そういうものが出てくるから、美術系のなかで少しデジタルが強い学校なのかなと見えちゃう人も多いと思うんだけど。

そうすると、社会の一部な感じ、一部に特化した専門家みたいに見えやすいんですよね。だから、保護者の方とかも、この学校に進学しちゃうと、専門性が高すぎて、つぶしがきかない人になっちゃうんじゃないかと。

だけど、事実はまったく逆で。これからこういうことを知らずして、どんな産業も成り立たない。現実問題、もうデジタルコミュニケーションなしに成り立っていないんですけど、もっとそうなるんですよ。

20年間、僕がいろいろな社会人の方にこの学校を利用していただいたりして、ありとあらゆる産業にいってるわけですよ。でも、デジタルとかネットとか使わない産業なんかないし、そこを使いこなせなかったら、売上なんかまったく上がらないそうですね。

大企業をやめて起業、不安はなかった?

だから、はっきり変わってきているので、むしろこういうところで勉強したら、どこの会社でも入れるという感じです。あとからまた説明あるかもしれないけど。だから、当然この大学に4年間通っても、いわゆるコンテンツ産業じゃなくて一般企業に入る人もいるわけですよね。

でも、デジタルハリウッドから採るということは、「ひと通りこういう世界のことをわかってるだろうから、いいな」っていって採ってくれるわけです。

だからもう、それがわかってる企業は先進的な企業が多いんですよね。先進的っていうのは、簡単にいえば、生き残っていく会社ですよね。変わらない大きな会社というのはたぶん危ないわけですよ。

だから、この何年間で、絶対揺るがないと思ってたような大きな会社が次々と揺らいでるじゃないですか。ソニーもそうだったし、シャープもそうだし。

だから、ああやって電化製品なんて、一番先端的なものを扱っているように見えていても時代は揺らいじゃったなって思うんです。

福田さんはいわゆる大きな企業にずっといることもできたけど、自分で会社始めるってときは怖くなかったですか? 「自分の人生大丈夫かな?」って。

福田:少し不安はありましたけどね。やっぱりお金が続くのかとか。やっぱり不安はありますね。今も不安はあります。

杉山:そうね。経営してたら常にそうだよね。

福田:そうですね。

ビジョンへの共感者は多数

杉山:でも、実際問題どうですか、意外と助けてくれる人は多いもんなんですか? 少ないもんなんですか?

福田:僕の場合は、むちゃくちゃ多かったですね。ビジョンに共感してくれる方もけっこういましたし。バカにされることも多い一方で、共感も多いんですよ(笑)。

「かめはめ波打ちたいよね!」って言うと、だいたい「打ちたい!」ってみんな共感はしてくれるんです(笑)。それを勧めはしないですけど。なので、応援してくれる人はそこそこいたかなと思います。

杉山:でも、少なくとも、今、こういう方向に関しては、世界的にそうだけど、出資者に困るようなことはあまりないですよね。ちゃんとした計画を立てれば。

福田:そうですね。出資はしていただけるんですが、やはり誰でも出資してもらいいたいわけではなくて、こっちも選びたいですよね。

杉山:もちろん、そうですね。

福田:誰がお金を出してくれるのかというのは。

杉山:会社経営ではそこも勉強のしどころですもんね。

でも、そういう感じなんですよ。だから、やりたいことがあるのに、誰もお金出してくれなくて、自分がやりたいことができないとかって状態じゃなくて、「ちゃんと未来が見えてるな、この子」という人には、けっこうみんな出したがるんですよね。

だけど、みんな出したがるけど、よく選ばないといけない。どの人からお金もらうかによって……。間違った出資者もいるのでね。支配したりとか、すぐ儲かると思ってるとか。そういう人は困りますよね。

福田:そうですね。怖い大人、いやらしい大人、たくさんいますので(笑)。

杉山:(笑)。でも、ちゃんとした目を持っていれば、まったくバックグラウンドがなくて、一文無しからでも、始められるんですよ。

昔と違うのは、パソコン数台から始められるんだもんね。パソコン数台とスマートフォンが何台かあればいい。すごいよね。

福田:スタートするのにお金はとくにいらないですよね。

若者にチャンスが与えられる時代に

杉山:そこはまったく昔と違って。昔は会社を作ろうと思って、社員も最初から雇おうなんて思ったら、数千万円とか持ってないと、なにもできないじゃないですか。だけど、まったく違うし。

最近は都内なんかだとシェアオフィスとか、時間いくらで貸してくれるような場所もあるから、そういうところを利用したら、自分でオフィスを借りなくても、とりあえず会社は始められるんじゃない? そんな時期ありました?

福田:僕たちも会社設立して1年半ぐらいは、ずっとコーワーキングスペースとかシェアオフィスだったので、自分たちの自社オフィスはなかったです。

杉山:そこの家賃みたいなものはけっこう安く済んだ?

福田:そうですね。タダで使わせてもらっていたこともありますし。僕たちはKDDIに支援いただいていて、KDDIのオフィスをずっと借りてたんです。

杉山:そうやって、意外と若者にはすごいチャンスを与えてくれてるんですよ、今。そういう大きな会社で余裕あるところが、「じゃあ、半年間はタダでいいよ。芽が出るかどうかまで、タダで使っていいよ」とかって条件があるんですよね。そういうところが、いくつも。

福田:そうですね。

杉山:なので、やっぱりちゃんと学んで、ちゃんと技術があって、それで、こういうことをやるんだ。これはきっと世の中の人に役立つ、喜んでもらえるというのがはっきりしていれば、本当にチャンスはありますよね。だから、福田さんもすごくいい例ですね。

今、いわゆるスタートアップという言葉で最近言われるようになったけど、周りに会社つくってがんばってる人は多いんじゃないですか?

福田:多いですね。

杉山:そういうの見てどうですか? 増えてるなって感じはする?

福田:増えてるなって感じはしますね。ただ、すみません、すごい失礼なこと言いますけど、「小粒だな」って思うこともすごいたくさんあって。「こいつらちっちぇえな」とか「目指してるところがしょうもねーな」っていうのもよくあります(笑)。

杉山:(笑)。

福田:やはりどうせやるなら、でかいことを成し遂げたいですよね。

誰もやっていないことを先んじてやる

杉山:そうだよね。小粒でいいなら、簡単にできちゃうんだよね。自分たちが食っていくぐらいはなにかおもしろいことができるんだけど、「それでいいのかな?」というのもあるわけですよ。やっぱり、やる以上は。

とくにデジタルコミュニケーションなんていうのは、ネットでつながってる人って今40億人ぐらいいるわけですよ。今ここからだって40億人とつながろうと思ったらつながれるわけですよ。だから、すごい人数を相手に仕事ができるんですね。そんなのトヨタとかだってありえないですよ。40億人相手に仕事してるなんてないでしょう?

今、Facebookはアクティブユーザーが16億人近くなってきたんですよね。もうぜんぜん昔の、例えばハーバードとかスタンフォードとか、2000年になってしばらくぐらいまで教えていたビジネススクールみたいなところが想定していたものとはまったく違うんだよね。

そういう、大企業をケーススタディして理解して、自分のビジネスをつくっていきましょう、みたいなものがもう役立たない。FacebookとかGoogleがやったことを見るとね。

だから、福田さんがやってるようなこともあっという間にたぶん広がって。けっこうもう、そこら中から問い合わせとかあるんじゃないですか。

福田:あります。大企業もやっぱり自分たちだけで新しいイノベーションを起こせるとはあまり思っていないので、ベンチャーと協力してなにかやっていくとか、そういう志向が強くて、常に新しい種やベンチャー企業を探してる会社も多いですね。

杉山:でも、ある意味、「福田さんたちに頼まなきゃな」といつも思わせておくためには、けっこう研究開発とか、そういう勉強みたいなことも、ずっと重要なんじゃないの? 会社のコアとして。

福田:そうですね。競合がいると意味がないと、僕は思っているので。同じことをしていてる会社を2つつくっても意味ないので、誰もやっていないものを先んじてやる。それで、圧倒的にワクワクさせる、というのが大事かなと思っています。

卒業したらぜひ入社してください

杉山:それをやり続けるんだよね。でも、人が足りなくて……。だから、みなさんもぜひこの学校を出たら、彼の会社がけっこう大きくなっている頃だと思うので、入ってほしいよね。ここで勉強して。

福田:ぜひ入ってください(笑)。常に人材募集してます。

杉山:さっきのHADOでやっている基礎みたいなものは全部あるので、本当ぜひ。トップクラスはみんなmeleapに入るでしょうね。

福田:そうですね。

杉山:そういうような会社もたくさんあって、みんなの思っているのとすごく違うと思うんです。就職というのも、大学にいるうちからいろんなところで、インターンシップとかさせてもらってるうちに力がついて、「君、うちに来て一緒にやろうよ」とか、こういう若い社長にいわれて、一緒にやるみたいなことが多いですね。

だから、他大学みたいに3年生になったらいきなり髪の毛が茶色かったのを真っ黒に染めて、紺色のスーツを全員で着て、同じようなトークして、20社も30社も回って、いつも落とされてみたいな、つまらない目に遭うわけですね(笑)。インターンシップなどでスカウトされて入社するそういう子が多いんですね、ここの学校は。

だけど、みんな小さな会社行くと、「なんか小っこいな〜」とか思うかもしれないけど、ぜんぜんそうじゃなくて。小さい会社のほうが、みんなで協力していろんな仕事やらなきゃいけない。だから、若いうちに力がつきやすいんですよね。大企業だと会社でやってるほんの一部しかやらしてもらえないけど、福田さんの会社行ったらけっこういろんなことやるんじゃないの?

福田:そうですね。僕は自分が成長したいとか、どのぐらい成長してきたかというのはあんまり興味がないんですけど、やらなきゃいけない幅はものすごい広いので。

杉山:そうだよね。やらざるを得ない。

福田:経験値はたまると思います。

空を飛びたい、と思うAIはいない

杉山:たまりますよね。やらざるを得ない場所にいくと、やれるようになるんですよ、人間は。それはすごくありますよ。本当はやれるんだけど、そういう環境にいないとやれないんです。こういう環境にいないから。でも、ベンチャー行くとやらざるを得ないからやれるようになっちゃうというか、やらなきゃしょうがないんだよね。

福田:そうですね。

杉山:やらないと会社回らないから。という意味でも、やっぱりそこの経験値というのは誰からも得られないわけじゃないですか。だから僕は、30歳ぐらいまででものすごい大変な経験してほしいと思うんですよ。

なぜかというと、このままいくとみなさんは100歳ぐらいまで平気で生きる世代なんです。このなかに、今から100年間生きる若者がけっこういるわけです。働く時間とか十分にあるし。だから、最初に十分にいろんな経験をして、自分のやることを増やしていって、それで30歳ぐらいから本気で取り組むことをやっても、ぜんぜん間に合うんですよね。

22歳から、なにも安い月給でこき使われる必要はなくて。どうせ安いんだったら、いろんな経験といろんなすごいことできる会社にいたほうが絶対いいと思います。

そしたら、その40歳、50歳になってから、「この人、なんかもう今の社会についていけないから、役立たないんじゃないの?」とか言われることはないわけですよ。

それは、本当に真剣にこの技術、僕も何十年もコンピュータ見てるから、さっき言ったように30年間で100万倍は強くなるんですよ、彼らコンピュータは。そういう世界を見ているので、やっぱり人間にしかできないこととか。それから、人間だからこそ夢見ること。だって、AIはどんなに頭よくなっても、「俺、かめはめ波うちたいな」と、たぶん自分からは思わないんですよ(笑)。わかるかな? そこがたぶんAIと人間の違うところなんですね。

夢を見る力。夢を見たものを実際に作ろうとする力です。だって、鳥を見て「俺も飛びたいな!」と思うわけじゃん。「この肉体のままで、飛べるはずないじゃん」というところじゃないですか。そここそ、人間らしいんじゃないかな。月を見て、「いつか月の上に立ってやるぞ」と。火星を見て、「いつかあの火星の上を走るぞ」とか思うやつが、やっぱり人間だと思うんですよね。

そういう意味では、福田さんは僕らにそういうことを地球上で体験させてくれようとしてるんだよね。

福田:そうですね。

成しとげたい目標を持つことが大事

杉山:時間がきたので最後、福田さんどうですか? この16歳とか17歳とかいう若者に向けて。

福田:僕自身なにも成しとげていないので、別にたいした人間じゃないですし、すごいしょうもない人間なんですけど。常に僕が考えてることとしては、なにか強烈な欲といいますか、成しとげたい目標を持つことが大事だなと思ってます。なにか目指したいものを具体化していくべきだなと思っているんですね。

「こういう人間になりたい」でもいいですし、「こういう世界を作りたい」でもいいですし、「この技術極めたい」とか、なんでもいいんですけど、なにか持つことが大事だなと思ってます。

それをとことん追求していくと。それに深く入り込んで、とうてい無理だと思われることを成しとげるというのが、やっぱりおもしろいわけで。そこになって、初めて世界が変わるんじゃないかなと思っています。

自分から根源的になにかを発信……、例えば自分の原風景とか、そういった根源からくる、欲望みたいなものを持って、それを追い続けるというのが、生きてるうえで非常に大事だなと。それをしないと自分の魂に失礼だと思ってるので、常に死ぬまでやり続けていかないといけないと思っています。

僕は、大学のカリキュラムとか授業とかどうでもいいと思ってるので。それを成しとげるために大学なり、企業なりを使い倒せばいいと思います。ここにはどんどん使えるようなアセットがあると思うので、そういったところを積極的に巻きこんで、自分の夢を実現していっていただきたいなと思います。

杉山:ありがとうございます。まさに、僕がやっている学校の精神を言ってくれて。僕、いつも学生がくると言ってるんですよ。「うちの大学を使い倒してください。ずうずうしく使い倒す人が勝ちなんですよ、ここは」と。だから、もう遠慮なくいろいろ言って。

それで、なんでここはマンガ学科とかゲーム学科とかCG学科とか分けないかというと、迷っていいと思うんですよ。いろんなものを試したいと。「これだ!」と思ったら、ガッといける。福田さんはアセットと言いましたけど、用意してあるものが十分あるんですよ。そして、産業界にも全部先輩がいて。

だから、本当に4年間思いっきり暴れてもらえば、その魂をかけてやるべき道が、その4年間で見えれば十分間に合うし。さらに、ビジネスをやりたければ大学院があって、そこでもう会社を作れちゃうというようなところなんですね。ですから、ぜひ我々のことを信じて、この学校を受験してくれるとうれしいなと思うんです。

普通の見方をしたら、「大学ができてから12年しかたってないじゃないか」とか、いろいろ思う人がいるかもしれないし、「やたら学校小さいじゃないか」とか思うのかもしれないけれど、今の世界、そういうことはあんまり関係ないんじゃないかと思います。それなりに準備は万端なので、ぜひ受験してほしいということで終わりたいんですけれども。じゃあ、福田さんに拍手!

(会場拍手)

福田:ありがとうございます。

司会者:福田さん、学長、ありがとうございました。盛大な拍手でお送りください。

(会場拍手)

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