2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
The Science of Men(全1記事)
リンクをコピー
記事をブックマーク
ハンク・グリーン氏:今週のSciShowでは、現代の男性の進化について取り上げましょう。「俺たちのことを、科学的に考えよう」と、そういう話です。
まずはY染色体が地球上でどのように進化していったのかを取り上げましょう。今週の『ネイチャージェネティクス(遺伝子関連の論文ジャーナル誌)』にある論文が掲載されました。
42人の世界中の科学者による、ヒトのY染色体にどのような変化が見られるかについての膨大な研究についての論文です。その研究の目的は、過去数千年にわたる男性の歴史をモデル化することです。
父親から、生物学的な息子へのみ受け継がれていくY染色体を調べることで、遺伝子学者は男性の人口動態の変化を予想したり、どのように広がってきたかを調べるのです。
DNAの塩基配列からさらには、人口爆発、人類の移住、共通の祖先といった人類の進化に関するほかの点についても理解が深まります。
科学者たちは色々なDNAを用いて、人類の歴史がその進化とどう関係してきたかを解き明かそうとしています。彼らはY染色体に着目しました。最終的には、26の人種から採取した1,200のDNA塩基配列を分析したのです。
とりわけ、塩基配列のコードが繰り返されたり、なくなっていたりといった、わずかな変化を持つDNAを探し出そうとしています。
そうした変化を記録していくことで、同じY染色体を持つグループで分類し、さらには同じ祖先を持つグループで分類しようとしているのです。この分類はハプログループと呼ばれます。
このハプログループを基に数学モデルを用いることで、進化の系統樹を描こうとしています。系統樹を描くことで、異なるグループの男性がどのように進化しながら、Y染色体の変化も受け継いできたかがわかるのです。
彼らのデータはY染色体に関するこれまでの研究を裏付けるとともに、系統樹の枝分かれの仕方についても多くを明らかにしました。
例えば、突然変異の起こる確率を計算に組み込んでみると、1人の男性のY染色体を19万年もさかのぼることができたのです。
さらに人口爆発が特定の時期、場所で起こった証拠も見つけました。こうした人口爆発は、5万年ほど前に人類がアジアやヨーロッパに移住したような、人類が世界中に広がって新しい大陸で集団生活をするようになるのと関係があります。
さらにはその時代ごとの新しい技術、例えば戦争のやり方や効率的な移動などですが、そうしたものも家族構成のあり方やどこで暮らすかといった事柄に影響を及ぼします。
こうした関連性は今のところ仮説にすぎません。DNAの突然変異の確率、人類の歴史、憶測の域を出ない研究などに基づいているからです。それでもこうした研究は、人類がどのように進化してきたかについて鮮明なイメージをもたらします。
さらに幅広い期間に渡って、とくに高齢の人など、数多くの種類のDNAを解析することで、さらにイメージを明確にしていくことができるでしょう。
一方で、遺伝子研究は人類がどのような進化を遂げてきたかについてだけではなく、私たちの特性も色々なことを教えてくれます。なかには、オス・メスそれぞれ固有の特性もあります。
オスのクジャクは鮮やかな羽を広げてメスにアピールするのに対し、メスのクジャクは茶色っぽく小さいですよね。こうした違いは性的二型という現象の例です。
今週発表された、「王立協会会報:シリーズB(生物科学)」では、性的二型の研究グループが、とくにヒトやサルの声に注目した内容が掲載されていました。
そこで取り上げられていたのは、低い声はただ男らしさを表すだけでなく、よりよい免疫機構を持っていることを示しているという点でした。
多くの霊長類は、オスの方が大きな声帯を持っており、そのおかげでメスより低い声を出すことができます。低い声をあげることでオスは自分の体の大きさをアピールすることができ、さらにはメスに言い寄るほかのオスを威嚇することもできるのです。
さらにヒトの場合であっても、低い声を出している男性は女性を引きつける要素があるようです。これはただの直感ではありません。
今の世の中で、力が強いこと、体が大きいこと、低い声で威圧することなどは、生きていく上で必要な能力ではありませんが、なぜ女性は低い声の男性に心惹かれるのでしょうか。
研究者たちは、その理由を生物学的に説明するために、3つの研究を行いました。はじめの2つはすでに過去の研究によっても裏付けられています。
1つ目は、競争相手のオスが多いほど性的二型が一層進んで声が低くなった。
2つ目は、低い声の男性ほど魅力的に感じられた。
ところが3つ目は、声の高さがホルモンと関係している、というものでした。
低い声の男性はテストステロンという男性ホルモンのレベルが高かったのです。さらに研究者たちは、テストステロンが高いと同時に、コルチゾールというメタボやストレスへの反応に関係するコルチゾールが低いことも突きとめました。
一般的に、血流のコルチゾール量が増えると、感染に対する反応のようにテストステロンのはたらきは抑制されます。つまりテストステロンが多いということは、コルチゾールが少なく、その原因となるストレスや病気も少ない、ということを意味しています。
ホルモンは健康に影響を与えるので、ホルモン状態や免疫機構をいい状態に保つことが進化の上でも役に立ち、その結果低い声の男性ほど魅力的に映る、というわけです。
みなさんもこれからは、「俺は健康だぜ」と低い声で周りにアピールしていきましょう。
関連タグ:
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.12
自分の人生にプラスに働く「イライラ」は才能 自分の強みや才能につながる“良いイライラ”を見分けるポイント
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.11
気づいたら借金、倒産して身ぐるみを剥がされる経営者 起業に「立派な動機」を求められる恐ろしさ
2024.11.11
「退職代行」を使われた管理職の本音と葛藤 メディアで話題、利用者が右肩上がり…企業が置かれている現状とは
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.12
先週まで元気だったのに、突然辞める「びっくり退職」 退職代行サービスの影響も?上司と部下の“すれ違い”が起きる原因
2024.11.14
よってたかってハイリスクのビジネスモデルに仕立て上げるステークホルダー 「社会的理由」が求められる時代の起業戦略