
2025.02.06
ポンコツ期、孤独期、成果独り占め期を経て… サイボウズのプロマネが振り返る、マネージャーの成長の「4フェーズ」
Metal vs. Bacteria(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:この数百年の間で、薬は大きく変化してきました。問題を発見するためのテクノロジーは進化し、問題を発見したときにはほぼ解決に結びつけることができるようになったのです。
近年でもっとも重要な問題解決は、有害なバクテリアを殺す優秀な働きをする抗生物質を手に入れたことでしょう。現状では、あくまでも「効果的」という話ですが。
しかし、抗生物質の使用が増えれば、抗生物質に耐性を持つバクテリアが登場することになり、私たちはさらに効果の高い抗生物質を発見しなければなりません。そのため科学者たちは、私たちの対バクテリアの手段として金属を復権させる可能性を探っています。
数千年の歴史では、銅や銀などの金属がバクテリアを殺すために使われてきました。バクテリアがなんなのかを、まだ誰も知らなかった時代です。
例えば、世界最古級の本、エドウィン・スミス・パピルスと呼ばれるエジプト医学書では、胸の傷の感染を防ぐものとして銅に言及しています。
古代の文化では、銅や銀の容器が飲み水を長く安全に保つと信じられていました。
しかし1928年、アレクサンダー・フレミングという人が研究所でいくつかの嫌な匂いのするカビを発見し、すぐさま歴史を一変させてしまいました。彼が発見したのがペニシリンで、初の抗生物質でした。それを発表したとき、世界は大騒ぎになりました。
抗生物質は“奇跡の薬”としてもてはやされ、医療品としての金属は忘れられました。しかし、そんな単純な話ではありませんでした。バクテリアの進化は早く、高い耐性を持つバクテリアは新薬の開発より早く登場したのです。
抗生物質は矢のように働き、ターゲットの弱点を正確に射抜くことができます。バクテリアが耐性を持つなどで弱点をカバーするまでは、抗生物質はすばらしい働きを見せます。
今日の抗生物質が矢のようだとすれば、バクテリアの複数の箇所に強力な同時攻撃をする金属は、まるで手榴弾のような働きだと言えるでしょう。そうすることでバクテリアが耐性を持つことが難しくなります。
1980年代、研究者は銅、もしくはブロンズや真ちゅうなど銅を含む合金の表面にあるバクテリアが、通常数分から数時間で死ぬことを発見しました。これはコンタクトキリングで知られるプロセスで、最近ではヘルス関連のプロフェッショナルが自身の“売り”として活用し始めています。
世界中の病院では、ステンレス製のドアノブやベッドレールを銅や真ちゅう交換したらどうなるかを調査しています。
2010年英国バーミンガムでの研究では、銅や真ちゅうによる抗バクテリアの特性を調べました。結果、たとえ半年後でもステンレス製の表面より、銅や真ちゅうの表面は90~100パーセントもバクテリアが少ないことがわかったのです。
さらに、時には死に至らせる複数の耐性を持つバクテリアのMRSAは、鉄の表面だけにしかいませんでした。
科学者は銅のコンタクトキリングについて詳細に判明することはできていませんが、電荷との関係性が疑われています。正の銅イオンが表面から分解し、バクテリアの膜のマイナス電荷に引き寄せられます。イオンは膜の穴を埋め、胴の侵入が進み、細胞内に入ってしまうと、メタルイオンがバクテリアに混乱を引き起こします。
銅イオンは、不対電子で水素に結びついた酸素がほかの物質と強くつながりを求める高エネルギーのヒドロキシルラジカルなど、さまざまなリアクションを起こします。そしてDNAやプロテイン炭水化物を含む、ほとんどの生体分子に反応するため、バクテリアへの高い殺菌効果を持つのです。
それだけの致死効果を持つとしても、少量の銅はほかの金属と同じように生命に重要な意味を持つ。
例えばプロテインのなかの銅は、肌の弾力を保つ、肌の色素メラニンを生成する、酸素からエネルギーを作るなどの働きをします。バクテリアはまた銅を必要としており、バクテリアがどのように銅を処理しているのかを理解することが、バクテリアに対処する銅のベストな活用法を知るために重要になります。
バクテリアに対抗する上で使えるほかの金属が、銀です。銅とは違い、細胞内で銀がどのように機能するのかはわかっていない。しかし、僅かな量でも侵入させれば死滅させることができます。
あなたが今、ジュエリーを怖がって眺めている場合、銀は塊であるときは無害であることを言っておくべきでしょう。反応が起こらないからです。
一方で、10億分の1メートルのナノレベルの銀は、未来の薬として重要な働きを持ちます。ナノレベルの銀は、異なる特性を発揮します。より広い表面積を提供し、反応をより容易にするのです。
ナノシルバーはすでに、メディカルインプラントの表面コーティングに利用されており、メタルイオンを繰り返しリリースすることで、バクテリアを殺菌しています。また抗バクテリアの担い手として、歯科や目の治療、外科、薬剤などのフィールドで研究が進められています。
だからといって、感染を防ぐために銅や銀の錠剤を飲めばよいと考えないでください。金属の表面を利用するのと摂取することは大きな違いがあり、研究者たちはそのような金属がどのようにバクテリアや人体の細胞と反応するのかについて研究を進めています。
ですがそれは、古代エジプト人が見たようなものになるでしょう。
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