2024.10.10
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The Future of 3D Printing(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:3Dプリントはものづくりに革命をもたらしました。そしてその技術はものすごい速さで進歩し続けています。
3Dプリント技術の進歩のおかげで、これまで製造不可能だったもの、例えば極小電池や超高性能の水のフィルターなども製造できるようになりました。それどころか、もしかしたら3Dプリント技術を利用して、月をはじめとするほかの惑星に移住することだって可能になるかもしれません。
3Dプリントは“積層造形法”と呼ばれることもあり、この名称は3Dプリンターの仕組みを的確に表しています。というのも、3Dプリンタは、プログラミングされたデザインに忠実に、物体の断面層を下から上に無数に積み上げていくことで三次元のオブジェクトをつくりだすからです。
だからこそ、3Dプリンタで小さなものを製造するのは至難の業です。500分の1ミリの小さな物体を3Dプリントする場合でも、一寸の誤差さえ許されないからです。
しかし3Dプリンターの精密性は日々向上しています。2013年には、アメリカの研究チームが、砂粒の大きさの超高性能電池を3Dプリントすることに成功しました。
この極小電池を3Dプリントするために、研究チームはリチウムイオンのナノ粒子が入った特殊インクを開発しました。
この名前、なんとなく耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。なにしろリチウムイオン電池は、今やスマートフォンからハイブリッドカーまで、日用品のありとあらゆるものに用いられているからです。
ほかの電池と同じように、このリチウムイオン電池も電極と電解液でできています。電流が電解液にのって電極の間を流れることで、電力が生み出されるのです。
開発された特殊インクと特別仕様の3Dプリンタを用いることで、ひとつひとつが髪の毛1本分よりも細い電極の層を製造できるようになりました。
この極薄の電極層を3Dプリンターによって幾重にも積み重ね、電流の媒体となる電解液に入れれば完成です。こうして、お店で買える電池となんら遜色ない性能をもった極小電池ができあがるのです。
このナノプリントテクノロジー(ナノは10億分の1の意味)によって作り出された電池は、近い将来ミニカメラや極小医療インプラント、ナノボット(細胞と同じほどの大きさの小さなロボット)といった超小型テクノロジーに応用されていくはずです。
3Dプリント技術が可能にした新発明はほかにもあります。
超高性能の水のフィルターです。水のフィルターは、薄膜に水を通すことで、有害な病原菌や不必要な粒子を除去する仕組みになっています。
しかしこれには、除去した粒子がすぐに薄膜を詰まらせてしまうという欠点があります。
2014年、シンガポールの企業が、二酸化チタンからつくられたインクを用いて、この薄膜を3Dプリントすることに成功しました。
この薄膜は、日光などに含まれる紫外線にさらされると病原菌を殺菌します。つまり紫外線にさらされたこの薄膜を水が通過すると、そこに含まれる有害な病原菌はすべて死んでしまうのです。
さらにこの薄膜は有機物質を分解することもできるため、除去された粒子が薄膜にたまって詰まりを引き起こすこともありません。
このように、科学者たちは3Dプリント技術を用いて、この世界でありとあらゆる新しいアイディアを生み出しています。それどころか、この世界にとどまらず“あっちの世界”、つまり宇宙でも同じようなことが起きています。
実は国際宇宙ステーションにも3Dプリンタが設置されているのです!
2014年、3Dプリンターを宇宙空間で用いる史上初の実験が行われました。
合成樹脂と呼ばれるプラスチックの一種を素材として、宇宙飛行士の身の回りのものを3Dプリントする実験です。この実験を通してNASAのエンジニアたちは、宇宙でのミッションに必要な道具などを宇宙空間で3Dプリントできるかどうか確かめようとしたのです。
もしこれが可能であれば、宇宙飛行士たちは宇宙に滞在しながら、必要なものはおおよそなんでも製造して入手できるようになります。研究者の懸念点は、無重力状態で3Dプリントされた合成樹脂が、従来のものと同じ強度をもつかどうかという点でした。
国際宇宙ステーションに滞在するメンバーたちは、レンチ、容器、スペアのパーツなど20個の物質で3Dプリントの実験を行い、製造されたものは地球に送られてテストされました。
その結果、宇宙で3Dプリントされたプラスチック製品は、地上で3Dプリントされたものとまったく同じ強度をもつことがわかったのです。これによって、宇宙ステーションでも3Dプリンターは利用可能であることが実証され、もっといえば将来の長期ミッションにおいて、必要な代替パーツはなんでも宇宙空間で製造できることがわかったのです。
宇宙での長期滞在の可能性をうけて、ヨーロッパの某宇宙斡旋業者は、3Dプリンターを用いて月に居住地を建設する計画をすすめています。彼らの計画はまだ超初期段階ではありますが、概要は次のようなものです。
まず居住地の材料となる月面表土、これは簡単にいえば月にある岩のことですが、それを回収するロボットを月に打ち上げます。次に巨大な3Dプリンターを打ち上げ、月面表土を材料に、建設に必要な道具から居住地そのものまで3Dプリントしようという計画です。
サイエンスフィクションのような話ですが、研究者はすでに、3Dプリント可能で、かつ放射能や小さな隕石にも耐えうる建造物をデザインし始めています。
それどころか、彼らはすでに人工の月面表土を用いて、1.5トンの建築ブロックを3Dプリントすることに成功しているのです。彼らの本気は実証済みです。
人類初の月の住人は、3Dプリンターによって作り出された世界で生きていくことになるかもしれませんね!
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