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第5回 SHOWROOM株式会社 前田裕二(全5記事)

敵はFacebookとディズニーランド? キンコン西野、前田裕二が本気で嫉妬する理由

芸人界のはみだし者西野亮廣氏が、各業界のはみだし者と対談する番組『ハミダシター』。第5回目のゲストには、ライブストリーミングサービス「SHOWROOM」を立ち上げた、前田裕二氏が登場しました。本パートでは、前田氏と西野氏が本気で嫉妬して倒したいと思っている相手について語り合いました。(『ハミダシター』の過去作品および新作はフジテレビオンデマンドで配信中!)

Facebookの時価総額30兆円を超えるには?

前田裕二氏(以下、前田):でも、本当に僕は世界一を目指しているので、どういうふうに考えているかというと……。たぶん、その世界一になってる状態を定量的にというか、ちゃんとゴールを定義しないと、そこに到達できないんじゃないかと思っています。

それでいくと、資本市場だと時価総額があって。例えば、Facebookは30兆円ですと。「30兆円になるのにどうやったら到達するんだろうか?」というところから逆算して到達するというアプローチを取っています。時価総額というのをすごい意識しています。

西野亮廣氏(以下、西野):すごいな、時価総額を意識してるんですか?

前田:Facebookは30兆円で、親会社のDeNAが今2500億円なんですけど……もうなんか、圧倒的にちっちゃいじゃないですか? それはなんでなんだろうかというのを、すごい考える日々という感じですね。

西野:時価総額、意識するんですか?

前田:時価総額だと思いますね、きっと。並べたときに順位がつくのは。

西野:それはおもしろいですね。

前田:そこを越えていくというのが。本当はもっと違う価値観もあるかもしれないですけど、資本主義が続く限りはわかりやすくて。

西野:わかりやすくていいですよね。

前田:時価総額って「利益×人からの評価」ということなので、市場からの評価がつくんですけど、利益をそこに追いつくくらい上げなきゃいけないし、資本市場からの評価というのもそこに追いつかなきゃいけないしというので、やるべきことが明確になるので。

ふわっと「世界一」と言うだけだと簡単なんですけど、具体的になにをやらなきゃいけないかを考えるために、僕は必ずゴールを設計するようにしています。

「ウォルト・ディズニーを倒したい」と思った理由

西野:それ考えるとアホみたいですわ。僕の「ウォルト・ディズニー倒す」って。

前田:(笑)。「なにをもって倒したとするのか」という状態の定義ってけっこう大事だと思っていて。

西野:僕はあるんですけど、その話のあとにこれを言うのが恥ずかしすぎて(笑)。僕は女の子が好きなんですよ。これで絶対倒そうと思ったんですけど、好きな子を喜ばせたくて、車に乗ってデート行くじゃないですか。

ディズニーランドに行ったらすごい楽しそうにしてて、連れてきてよかったなと思うんですけど、次の瞬間「あれっ?」と思って。「今、この子のことを楽しませてるの、僕じゃなくてウォルトだ」と思って。

前田:(笑)。

西野:ウォルトがこの子のことを知ってたらいいですよ、この子のことを好きだったらまだいいですけど、あいつはもう亡くなって、銅像みたいになってるじゃないですか? ぜんぜん知らないじゃないですか。

なんで俺、あんなおっさんの斡旋業みたいな、「ウォルトいいでしょう?」みたいなことを。これは「まずディズニーランドを超えないと、この嫉妬はなくならない」と思って。これは別にディズニーだけじゃないですよ。

たぶん僕、ちょっと嫉妬深いんだと思うんですけど。例えば野球を観に行って、僕は別に野球選手でもなんでもないのに、女の子が野球を観て「楽しかったなぁ」ってなった帰り道、絶対に「あっ!」て思うんですよね。

「今、この子のことを喜ばせているのは、僕じゃなくてあのときホームランを打った○○選手だ」と思ったら、結局一番おもしろくならないと、この嫉妬はなくならないと思って。

だから僕、時価総額というのは……。単純に女好きが高じてこうなっちゃってるんですけど(笑)。でもね、好きなんですよ。

彼女とか、「自分が一番好きな人を、なんで自分が一番楽しませてないんだろう」みたいなのがすごく強くて、だから女の子に「ディズニーランド行きたい」とか言われたら「あっ!」と(頭を抱える)。「なんで俺がディズニーランドを作ってないんだ」って。

前田:おもしろい視点ですね。

インターネットは歪んだ流通の仕組みを破壊する

西野:そっちなんですよ。僕の中で完全に、ただただ下心なんですけど。時価総額ってすごいですね。

去年、一昨年だったっけな? 後輩に相談されたんですよ。後輩芸人が単独ライブをやってて、そのDVDを会社が出させてくれないって言ってたんですよ。

ファンの人たちが「出たら絶対買う」みたいな署名をして800人ぐらい集めたんですかね。それで集めて「どうだ」って言ったんですけど、結局無理だったんですよ。

出したいやつがいて、買いたい人が800人もいて、出せないってなんか変じゃないですか? 「これなんでなの?」って会社に聞いたら、「DVDって3000枚売れないとペイできないんですよ」みたいなことを言ってて、「そうなんだ」と。「だから800人じゃ無理なんですよ」と。

でも「変だなぁ」と思ったんですよ。提供したい人がいて、提供されたい人が800人もいるのに、ここがつながらないって変だなと思ったときに、まず「3000枚ってほんまか?」と思ったんですよ。

前田:原価として。

西野:気になって。例えば3000枚だったら、1枚3000円で売っていたとしたら、900万円ですよ。「DVD作るのに900万かかるかな?」と思ったんですよ。

単独ライブのDVDだったら、(ステージの)セットとかは、単独ライブの費用で全部組んじゃってる。「それを録画してかたちにするだけで、900万かかるか?」と思ったんですよ。

気になって工場に電話して、「西野と申します」って言って。それで「DVDを3000枚刷って、ちゃんとプラスチックケースに入れて盤にするのにどのくらいお金がかかるんですか?」って聞いたら、27万円なんですよ。

「27万円……あれっ?」と思ったんですよ。800万くらいかかるものだと思ったのに、たった27万円。

27万円だったら、あとの残りのお金が何に使われてるのかといったら、つまり流通だとか、販売委託したりするから、そこに持ってかれるって言うんですけど、でも27万円ですよ。

27万円ということは、1枚3000円で売ったら、90枚売ればペイじゃないですか。「90枚だったらそもそも流通に乗せる必要がなくない?」みたいな。手売りでいい。ライブの終わりに手売りしたらいけるじゃないですか。

そういうのを見ると、仕組みを壊したくなりますね。「すげえ困ってる人がいて、助けたい人がいるのに助けられない」みたいになってたら、ああいうの壊したくなるんですよね。

前田:それがけっこうインターネットのおもしろいところで。

西野:そこをつなげるっていう。

前田:インターネットでメスを入れるとすぐ壊せてしまうっていうところがありますね。

「SHOWROOM」が提供する特別な購入体験

西野:SHOWROOMはそうだと思うんですよ。つまり、聞いてほしい人がいて見たい人もいるけど、これまでずっとテレビに出れないとそこが届けられなかったのに、そこをつないじゃったというのは。それ、おもしろいよな。

前田:あと、おもしろい仕組みとしては、バナーを貼れるんですよね。CDを購入するためのリンクを貼って。

ここからがおもしろいんですけど、そこでCDを買うと配信してる演者さんに対して買ったことが伝わる仕組みがあって。それでこの間、5000枚くらいCDが売れて。先ほど申し上げた、我々がプロデュースしているグループなんですけど。

西野:へぇー!

前田:それがいわゆる販売とか流通の仕組みを壊すかもしれない、1つの仕組みなんですよね。

西野:へぇー、おもしろ!

前田:いろんなところにエンドユーザーがCDを買う販売店があるわけなんですけど、そこで買っても誰もほめてくれるわけじゃないじゃないですか? ここ(SHOWROOM)で買うと、本人に対して買ったことが伝わって、感謝されてっていうやりとりが生じる。

西野:超おもしろい! なるほど。

前田:さっきのDVDもたぶんそうで、インターネットが流通の仕組みにメスを入れてディスラプトを起こす1つの事例になると思ってるんですけど。

西野:画面上にあるんですか? バナー。

前田:あります。ゆくゆくはそれをもっと単純化しようとしていて。例えば、さっきのDVDの話だったら、この中にDVDがあってもいいかもしれないんですよ。

押すと、もうそれを買ったことになる。あとあと住所とか入れてもらわなければいけないんですけど、住所も中に入れておいたらもう関係ないんで。

西野:むっちゃいいやん、それ。

前田:そうするとDVDを買うことのハードルがすごい下がると思うんですよ。みんな、SHOWROOM上の仮想通貨をすでに持っているし。

西野:むっちゃいいやん。

前田:そういう「なにかこんなことできたらいいな」という、ふわっとした僕らのアイデアがあるじゃないですか? インターネットはそれを実現できる、本当に魔法みたいなもので。すごくいい。

西野:超楽しみ。

前田:「インターネット、ラブ」というか、もう本当に大好きです。

西野:なるほど。すげー、おもしろ。楽しみです。超おもしろい。

前田:今日お話していて、西野さんは天才的に斬新な視点やおもしろいアイデアをお持ちだなと感じました。

そういった「種」を、僕らだったり、インターネット界隈の人たちにどんどん投げかけてみると、見たことのないおもしろい花が咲き乱れるかもしれません。

西野:超おもしろい。

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