2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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西野亮廣氏(以下、西野):ここで言うのもちょっとアレかもしれないですけど、この間「LINE LIVE」やったんですよ。なにをやったかっていったら、LINE LIVEで鬼ごっこをしたんですよ。僕が逃げて、視聴者が全員鬼になるんですよ。
国民全員が鬼で、LINE LIVEって「いいね!」みたいなハートマークを何回でも連打できるんですね。
視聴者の「いいね!」を合法的に押す方法がなにかないかなって考えて、「いいね!」連打しまくって、僕を捕まえたときの「いいね!」の数が、そのまま懸賞金として捕まえた人に払われると。
つまり、追いかける人も、懸賞金をもらいたいから「いいね!」しながら追いかけるみたいな。
結局僕、すぐ捕まっちゃって24万くらい持っていかれたんですけど。そのへんの地元のヤンキーがやってたから、コメント欄で看板が映ろうものなら……。
都内のどっかにいるとは言ってるんですけど、コメント欄でみんながやりとりして、「あそこのどこや」って、地図がバーッと出てきて「西野あのへんにいる」みたいな。
バイクとか車がバーンときて、「西野ー!」って追いかけられて怖いんですよ。それで捕まって。そのへんも超リアルだと思うんですね。本気で逃げるじゃないですか。
カメラさんも本気で追いかけて(僕が)逃げるから、ヤンキーに「待てー!」とか言われて追いかけられて、僕が「うわー!」って逃げてるときに映像が飛んじゃって、画面は「しばらくお待ちください」みたいなのが出て。
たぶん10分ぐらい映像飛んでたんですけど、この飛んでる間、なんにも映ってないんですよ。音も出てないですよ。単純にコメント欄で、お客さんが「どうなってるの?」って。
このときに、お客さんが離れなかったんですよ。クオリティとしては最低じゃないですか? なにもやってない。最低なんですけどやっぱりドキドキして、「こっちのほうが見るなぁ」と思って。
クオリティが高いというのが必ずしも、お客さんを寄せることとはイコールじゃないなと。それよかリアリティのほうが。クオリティがちょい落ちようが、(突然)オヤジが出てくるみたいなほうがドキドキしますよね。
テレビが整いすぎているのかもしれないです。テレビの歴史がすごく長いから、あれやったらあかんな、これやったらあかんなっていう、全部が効率化していって。
たぶん照明とか音とかも、全部キレイにするようになって整いすぎてるから、クオリティは上がったけど、そのことがもしかしたらお客さんを離しちゃってるのかもしれないです。
だから、生放送おもしろいんですよね。やっぱりこういうのがいいですよね。
前田裕二氏(以下、前田):そうですね。たぶん、もっと増えていくと思います。それこそ、さっきのネットが整っていけば、どんどん生放送が出てくると思いますね。
西野:そうなったときに、どういうやつが出てくるんでしょうね? (たぶん)生放送に対応できる人がスターでしょうね。
前田:ものすごいインタラクションというか、双方向のやりとりができて、生で即興でリクエストに応じて、おもしろいことができるような人が、どんどん出てくるだろうなと思いますね。筋書きがない、おもしろいコンテンツがどんどん出せる人が出てくると思いますね。
西野:例えば、震災があったときの義援金ってどうなんですか? 日本人特有のアレなんですかね。
どこかにすごく不幸があったとき「これを応援しよう、助けてやろう」みたいなときって、お金がすごい集まるじゃないですか?
みんな「義援金やろう」とか、あるじゃないですか。例えば、僕もクラウドファンディングを何回かやってるし、自分はたぶんうまくいっているほうだと思うんですけど。でも、クラウドファンディング全体でいうと、とても根付いているとは思わないです。
これは国民性なのか、「日本人は、人の夢にお金を出す生き物じゃないんじゃないか?」みたいな。
人の不幸にはお金を出すけど、人の夢にお金を出すというのはあんまり……。アメリカには「あいつの夢を応援してやろうぜ」みたいなイメージがあったんですけど、そこのブレーキはかかってないんですか?
前田:そこは明確に違う部分があると思っていて、クラウドファンディングと生放送、SHOWROOMの違いというのは、やっぱり繰り返しになるんですけど、「そこに人を感じるか感じないか」なんですよ。
クラウドファンディングって、1枚ペラのページがあって「こんな活動を頑張るんで、お金くださいね」って言ってるんですけど。
それはたぶん、既存のアイドルの子たちでいくと、アイドルの既存のファンの方々が応援して、という図式はあるんですけど、新しくそのペライチのページにファンがついて熱量が高まって、「応援してこの子の夢を叶えてあげよう」みたいなことにはならない。
すでにファンを抱えている方や、もう有名な方にとってはすごくいいツールかもしれないですけど、「これから夢を叶えよう」という人にとっては、新しいファンを増やせる場所ではないので。
すごい単純に考えると、例えばクラウドファンディングで1万円とか応援したときに、「目の前でボロ泣きして『ありがとう』って言ってくれる場所」と、「ただ単にクレジットカードの画面を見つめてる自分」みたいなところだと、どっちがいいかっていう。
西野:なるほどね。
前田:それはたぶん前者のほうが、人間を感じるから感情移入しますよね。
西野:それはそうだわ。
前田:SHOWROOMであれば、叶ったあとに「どんな感じで叶っていくのか」みたいなことも生で見れて行くわけなので。
それに加えて「自分が応援して夢が叶ったんだ」ということも、いわゆるある種、承認欲求みたいなところがあって、それも充足することができるというのは。
けっこう人間の深い欲求の部分に根ざしているのが、やっぱりSHOWROOMの1つの強みだとは思っているんですけど。
だから、新しいファンがちゃんと濃く付いていくっていうのが、デカイんじゃないかなと思いますね。
西野:おもしろいな。
前田:そのあとはいくらでも、たぶんリアルのライブをやれば足を運んでくれるファンがたくさん増えるし、さっきみたいになにか物を売れば、たくさん売れる状況になるしとか。
必ずしも、それはいわゆる投げ銭というものだけじゃなくって、いろんな、あらゆる360度の方向性で、マネタイズをしていけるだろうなと思いますね。
西野:僕が今、本当に一般の中学生の男の子だとして、SHOWROOMをやろうと思ったらどういう手続きを踏んだらいいんですか?
前田:ぜんぜんすぐにできます、それこそツイキャスみたいな感じで。
西野:けっこう簡単な感じですか?
前田:登録さえパッてしてもらうと、これで配信できてしまうので。
西野:これでもうできるんですか?
前田:これで配信開始してもらえると、すぐ配信始まるので。
西野:これだけでいいんですか?
前田:すごい簡単ですね、こんな感じでできるんで。さっきのちづるさんもここから出てきて、「すごいこの子おもしろいね」ってなって、芸能事務所にも所属してるんですけど。
事務所とか業界側からすると、おもしろい子たちがたくさん集まっている、スカウトするための場所みたいになってますね。
西野:むっちゃいいじゃないですか。
前田:そうなんですよ。
西野:どこまで見越してやってたんですか?
前田:いや、ぜんぜん見越してなかったです。
西野:「こういうのもあるんや」みたいな。
前田:全部トライアンドエラーというか。もちろんぶれない……例えば芸能界って、いまだに歪んだ人気の獲得の仕方というか、あり方があるだろうなと思っていたんです。「必ずしも努力が報われない」というのをひっくり返したいなという思いは、ずっと変わらず。
西野:そもそも、なんでそういうふうに思ったんですか?
前田:やっぱり自分でやっていた経験がデカイですね。例えば、大学生のときもバンドを自分でやってたんですけれども、ものすごいうまいし、見た目もいい人たちがまったく売れないのを見ていて、「なんでなんだろうな?」ってすごい考えていたんですよ。
お客さんの増やし方とかまったくわからないみたいな子たちで、一方で、うちのバンドは、見た目もぜんぜんそんなでもなかったし、いわゆる音楽的な芸術性も低かったんですけど、けっこうファンが多くて。
それはマーケティングというか、お客さんを増やすための施策をメチャメチャやってたからなんですけど。でもこれって、必ずしも世の中にとっては幸福なことじゃないなと思ったんですね。
西野:そっち側の人が思うってすごいですね。
前田:そうですね。
西野:報われてない側の人が、なにくそでいくんだったらあれだけど。
前田:「僕らが世に出ていくっていうのは、必ずしも世の中にとってはハッピーなことじゃないんじゃないか」というのが。
西野:そっち側が思うってすごいですね。うまくいってる側がなかなか。
前田:こんなにすごい楽曲性があってっていう子たちが世の中に出ていかないのは、そもそも間違っているんじゃないかって思っていたのもあったし。
西野:仕組みがね。
前田:一方でプロデューサーと仲のいい人がどんどん人気になってしまって、「あの人たちぜんぜん楽器も弾けないのにね」みたいなことがやっぱりあって。それをなにかうまく変えられたらおもしろいなって思ったのが、原体験としてあったんです。
西野:そこおもしろいですね。「なんであいつらがうまくいってんねん」って思われてた側でしょ。それがこいつらのために仕組み作っちゃうって。
前田:世の中の人たちに対して、与える広さも深さもそうですけど、与える影響ってすごい考えるんですけど。
自分たちがそれこそビートルズみたいになれるんであれば、ものすごい数の人たちに対して深く影響を与えられるんだろうなと思うんですけど、それはないなというのはけっこう早めのタイミングで見切ってて。
とすると、ビートルズが生まれる場所を作ったほうが、なんなら自分が死んだあとにもそうやって残っていくわけなんで。
だから単純に、ぜんぜん前職は違う仕事をしていたんですけど、自分で事業をやっていこうと思ったのは、すごいそれは大きかったですね。
その死生観というか、死んだあとも残るものを作っていきたいっていうのはすごいありましたね。
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