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The Truth About Gingers(全1記事)

赤毛の人は痛みに弱い? 髪の色からわかる人体の不思議

赤毛の人たちは「ビッグ・レッド」や「錆つき」や「化け物」などと茶化されたり、ギリシャ神話では死ぬとバンパイアになると言われたり、エジプト人は赤毛の処女を火あぶりにしたりと、長い間差別を受けていました。なぜ同じ人間でこうも髪の色が違うのでしょうか。それにはある遺伝子が関係しているのです。

赤毛の民は死ぬとバンパイアに?

ハンク・グリーン氏:なにかと話しの種になる赤い髪の毛。赤毛の人たちは「ビッグ・レッド」や「錆つき」や「化け物」と茶化されるだけではなく、そのそばかすだらけの肩にさまざまな誤解の歴史を背負っているのです。

ギリシャ神話では赤毛の民は死ぬとバンパイアになると言われていました。エジプト人はの赤毛の処女をこぞって火あぶりにしていたくらいです。

錬金術師たちは燃え盛る炎の髪を持つ巨人を召還させようと呪文すら唱えたのです。

そんなに赤毛の人が珍しいのなら、数年の間で赤髪の人は影も形もなくなり、今世紀中には完全にいなくなってしまうのではないでしょうか。

赤い髪のひとたちの知られざる話はたくさんあります。赤毛の人はとくに珍しくもない、というのもその1つでしょう。赤色は髪の色としてはとても一般的な色です。

とくにアイルランドやスコットランドではハリーポッターのロン・ウィーズリーの家族会でも開催しているかのように赤毛の人たちが多く存在します。

赤毛は全世界の人口の1~2パーセントしか存在しないと言われています。髪が赤いのは、地獄の炎を盗んだからでも、月経中に妊娠したわけでも、狼人間に噛まれたからでもありません。

髪の色を決めるMC1R遺伝子

赤褐色の髪の色はメラニン色素によるもので、私たちの髪に色がつくのと同じ理由に過ぎません。髪の色はメラノコルチン1受容体、MC1R遺伝子と関係のある遺伝形質によって決まります。

私たちはみな16番染色体の横にこの遺伝子を持っていますが、赤毛はこの遺伝子の変化によって生じるのです。この遺伝子はメラノサイトに存在し、プロティン受容体をつくり出すように促す働きを担っている、メラニンを生産する特別な細胞です。

メラニンは目や髪や肌をはっきりと色づけするもので、ユーメラニンとフェオメラニンの2種類が存在します。ユーメラニンを多く生成する人は、髪や肌が日焼けのできる、黒っぽい色になります。肌や髪を黒っぽい色にすることで、太陽からの遠紫外線照射の被害から身を守るのです。

フェオメラニンが多く生産されると、赤みがかった髪やブロンドの髪、色白の肌を持つようになりますが、太陽の光から身を守ることができなくなりますので、やけどしやすくなってしまいます。

色白の人たちの方が皮膚がんになる可能性が高いのはそのためです。

どのメラニンを受け取るのかを決めるのはMC1R遺伝子です。MC1R遺伝子が活性化するとユーメラニンの生産が止まり、黒っぽい色になることが決定されますが、活性化しなければ、細胞がフェオメラニンを引き上げ、色白になることが決定されます。

赤毛の遺伝子には地理が影響している

今のところ、なにが特性を決めるのかははっきりとわかっていません。しかし、最近になって科学者たちはネアンデルタール人が赤毛であったとする赤髪の遺伝子を、2体のネアンデルタール人から抽出しました。

2体とも異なる遺伝子を持っていたのにもかかわらず、です。

つまり、現在の人類に見られる特徴のひとつとしてではなく、収束進化の例におけるひとつの例として、独自に進化したことが示されたのです。

ところで、なぜ人類とネアンデルタール人の遺伝子が日焼けしやすい肌質をわざわざ永続させ続けるのか疑問に思ったことはないでしょうか。

そこには地理が関わっているのです。赤道付近の地域に住む人々が色黒の肌と髪をしているのは太陽の遠紫外線照射から身を守るためです。

太陽の光が弱い北部地域にすむ人々はその必要がないため、色白の肌と髪をしているのです。

ちなみに、肌や髪の色を変えたいからと言って、赤道から素早く移動したとしても、MC1R遺伝子は一度決めた遺伝子を覆すことはありません。

ですから、赤毛の人たちも全世界に広がっているのですね。そうです、やあ、スコットランド!

スコットランドような北部に赤毛の人たちがたくさんいるのは、色白の肌が燃える様な赤色の髪の原因となるビタミンDの生成をしやすいことによるのでしょう。

赤毛の人は痛みに弱い?

赤毛の人たちが赤ちゃん並みに痛みに弱いという話を聞いたことはないでしょうか。そんなことは言いたくないのですか、それはどうやら真実のようなのです。

国立衛生研究所の研究結果によると、赤髪の人たちはそうでない人たちよりも熱痛や、極端な暑さや寒さに敏感で、黒髪の対象者の平均よりも20パーセントもの高い割合で麻酔薬の使用を求めた、という結果が出ているのです。

どうしてそうなるのかは研究者たちにも定かではありません。しかし、ある仮説によると、くせ者のMC1R遺伝子と疼痛耐性とのつながりによるものなのだとか。

MC1R遺伝子は色素生成ホルモンを管理していますが、似通った分子である、痛みを抑制する働きのあるエンドルフィンも管理していますから。

さて、赤毛はこの世から消えてしまうのでしょうか。断言できます。それは真っ赤な嘘です。

確かに、赤毛の原因である変異遺伝子は劣性遺伝子です。赤い髪を持つ子孫を残そうとするのなら、対立遺伝子や異なる遺伝子を持っていないといけません。

しかし、全人口の4パーセントは赤い髪の毛の人たちですし、30パーセントは赤毛を生み出す遺伝子を持っています。それも、イギリスだけに限った話ではありませんから。

隠れ赤毛たちは遺伝子を伝え続け、日焼け止め産業を長きにわたって栄えさせているのです!

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