2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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西野亮廣氏(以下、西野):石川さんはファッション(業界)の方ですよね? 始めたのはいつからですか?
石川涼氏(以下、石川):もともとは静岡で、高校卒業してそのまま販売員になっているので、業界的にはもう23年ですかね。
それで20年前、20歳で東京に来て、自分の会社は24歳からやってるので、17年目ですね。
西野:僕は本当にファッションに疎くて……。僕は服をぜんぜん持ってないんですよ。もう(いつも)同じ服。
石川:いや、そっちのほうがいいですよ。
西野:いや「そっちのほうがいいです」って。そういうことを言うと(笑)。だって、石川さんのお仕事は服を提供する側の……。
石川:いやいや(笑)。だから、入れ替えたらいいんですよ。
西野:家に同じジャケットがずっとあって、もう本当に同じ服を。選ぶのが苦手で、いつも同じ服をパパッと着ちゃうんですよね。
石川:なるほど、いいですよ。
西野:昔はたぶん、「今日これ着たい、あれ着たい」ってあったんですけど。途中からなくなって。
石川:僕もそうです。やっぱり昔はいっぱい買って、いろんな服を買ったりしてたんですけど。最近はそんなに買わないですね。
西野:そうなんですか。でも、作られる側ですもんね。
石川:そうです。でも、やっぱりどこかのタイミングで、これは世界のみんな一緒だと思うんですけど、写真中心のコミュニケーションになっちゃったので。
だから別に、10万円のシャツでも3000円のシャツでも変わらないんですよね。写真中心なので。
西野:写真の中では。
石川:だから、いかに生活の中に入り込めるかのほうが重要で。それこそ、キャンプに行くときの服とか。そういうものになり得ないかぎりは、もう残っていけない業界だと思うね。
西野:ファッション業界に疎くて本当に申し訳ないんですけど。
石川:いえいえ、ぜんぜんいいです。
西野:今はどうなってるんですか? 例えばテレビで言うと、なんかもう頭打ちしてる感じがするんですよ。視聴率はずっと下がってるし、上にいる芸能界の先輩の順番もぜんぜん変わりないし。
ちょっとおもしろいことを仕掛けようとする人は、テレビの外でやるようになり出してるんですけど。ファッション業界はどうなってるんですか?
石川:いや、同じ感じですよ。
西野:そうなんですか。「このままいってもしゃあないな」みたいな?
石川:そうですね。僕もあんまりファッション業界に友達がいないので。
西野:そうなんですか?
石川:ぜんぜんいないですよ。
西野:誰と付き合ってるんですか?
石川:外の(業界の人)。同じ業界の人は、もう本当に数えるくらいしかいないです。
西野:それはなんでなんですか?
石川:嫌いだから(笑)。
西野:(笑)。
石川:ファッション業界の人って嫌いなんですよね。だから、ファッション業界の人は僕のこと嫌いだと思いますよ。僕が嫌いだから。
西野:マジですか。腹割って話してくださったんで僕も言いますけど、芸人としゃべってても興奮しないんですよ。
石川:(笑)。
西野:なんか、空気読むんですよ。
石川:ああ、話しててね。
西野:芸人はすぐに空気読んだり、「あいつイタいな」みたいなことをやるんですよ。空気読む方が、すごい上位のほうに来てるんですね。これがあんまり価値ないなと思ってて。
みんなでいるところの「空気読む」って、「多数派にまわる」ということを「空気読む」としてるじゃないですか。
おっきい船とちっちゃい船があったときに、みんなすぐおっきい船のほうに行くことを、「空気読む」って言ってるんです。でも、このおっきい船が目的地に着くかどうかはまた別の話で。
もしかしたら底に穴が開いてるかもしれないし、積み荷のバランスがちょっと悪いかもしれない。タイタニック号に乗ったって仕方ないわけじゃないですか。
空気読むということにはそもそも価値がないのに、いつまで経っても「空気読め」とか「イタい」って言うから。だんだん飽きてきて……。
この間、高校の講義みたいなのに行ったんですよ。男連中を集めて、「お前ら将来なにしたいの?」って。
大阪の高校だったんですけど、聞いたらお笑い芸人になるって言うやつ1人もいないんですよ。当時、「お笑い芸人になる」って言ってたやつは、今でいったら起業家とかになってるんですよ。
おもしろいことして、ちょっとやんちゃしようぜ、変なことしようぜ、みたいなやつ。当時だったらたぶん芸人になっていたのに、今は起業家のほうにいっちゃってて。それはたぶん、バレちゃってるんじゃないかなと思って。芸人が提供してるものがあんまり夢を与えられてない。
ほんで楽屋の話が、まあおもしろくないんですよ。これを見られちゃうと、俺本当に終わるんですけど(笑)。
石川:(笑)。
西野:でもなんか、外の人のほうが「あれ? この人のほうが芸人っぽいな」って思う。外の業界でおもしろい動きしてる人のほうが感じるんですよね。それもそうなんですか?
石川:絶対そうだと思います。やっぱり、もう嘘が通じないので。それはもう、業界関係なく全部そうだと思うんですよね。もっと本質的になっていかないと支持されないから。
今西野さんが言われたのって、業界だけの話だけじゃなくて、日本全体がそう。どの大企業もお客さん目線じゃなくて、出世するために上司を見てるとかそういう話なんですよね。
本当はこっちをやったほうが正しいんだけど、自分が評価されるためにはこっちだなとか。全体がたぶんそうなっていて。ただ今の若い子たちって、物心ついたときから世界とつながれるんですよね。
西野:ああ、そうですよね。
石川:スマホがあって世界とつながれるから、別に年上の人たちのことを気にしなくていいんですよね。対60億だから、余計本質的になってるというか。
「おじさんたちとか先生はそう言うけど、世界は違うよね」ってわかっちゃうから。どっちが正しいかは、今の若い子たちのほうが敏感というか、本質的にわかってると思うんですよね。
西野:石川さんが「こっちじゃないな」と思われたきっかけって、どこかにあったんですか?
石川:僕はちっちゃい頃からすごいあって。だから学校の先生とめちゃくちゃケンカして、ちっちゃいときから校長先生から睨まれるくらい(笑)。
西野:校長先生に(笑)。なかなかないですけどね。
石川:別にものすごい不良だったわけじゃないですけど、そういう納得いかないことがちっちゃい頃にいっぱいあって。でも小さい頃って、先生も親も「それができないとちゃんとした大人になれないよ」みたいな教育じゃないですか。日本って。
でもいざ自分が40歳になって、別に40歳になっても寝坊も忘れ物もするし、「ええ?」みたいな。「ちっちゃい頃に教わったこととぜんぜん違うじゃん」「ということは当時、あいつらも嘘ついてたんだな」って(笑)。
西野:それはあるでしょうね(笑)。
石川:そういうことですよね。でもよくよく考えたら、学校の先生なんて大学卒業して、先生になって。「お前らに人生のなにがわかるんだよ」っていう。
西野:それちょっと……言っちゃうと、本当にそうなんですよ。これで僕、よく炎上するんですけど。
石川:(笑)。
西野:要は、学校の先生って社会を知らないから。お金の仕組みとかぜんぜん知らないんですよね。だから、ぜんぜん説得力がないんですよね。
石川:そうなんですよ。だから、そういうのが確信に変わったというか。自分でビジネスをやってある程度の規模まできたときに、「大人が言ってたことは全部嘘だったな」「俺のほうが正しかったな」って。
西野:(笑)。
石川:自分がやったことによって確信に変わるというか。だから、常識的なことはあんまり好きじゃないかもしれないですね。
そっちにいったら、その他大勢と一緒だから。別にバカにしてるわけじゃないんですけど、常識という基準が、できなかった人たちの基準だから。
だから、そっちにはいっちゃいけないなというのがすごいあるんですよね。
西野:逆、逆という。
石川:逆というか、そんなに変な博打はしないんですけど。新しいプロジェクトというかアイデアが浮かんだときに、社内で「こういうのやろうと思うんだけど、どう思う?」って言うじゃないですか。
僕が言ったことが、だいたい反対されるんです。「それちょっと、自信ないです」みたいな。そういう反応が出たら、「絶対いける」って。
西野:超わかる! まず反対されるとか、鼻で笑われるとか、そういうアイデアじゃないともう時間費やしたくないというか。
みんながいいって言ってるものって、たぶんすでにあるし。というかもう、みんなのモノサシの内側に収まってんのが気持ち悪いんですよね。そんなことに時間をかけたくないんですよね。
石川:だから、「みんなが理解できてないってことは、これ絶対新しいな」みたいな。いつもそれではかって、「やるぞ!」って言ってやっちゃうんです。
西野:それでめっちゃ失敗したことってないんですか?
石川:失敗したことは忘れちゃうから(笑)。
西野:めっちゃいいですね!
石川:やってから考えないと、進まないんですよね。政治とかも、若い頃ぜんぜん興味なかったんですけど。テレビ見てても、日本の政治ってぜんぜん決まんないじゃないですか。ちょっと間違っててもいいから、進める人。失敗してから、ダメだったからこうしようって、なんでできないのかなって。いっつも思うんですよね。
西野:もういっちゃうみたいな、法案。
石川:もういっちゃったほうがいいですよね。
西野:でも、超わかります。
石川:結局、無難無難でやってて中途半端なものしかできないから、なにも解決しないんで。ちょっと変わっててもバーッていって、変わったのをみんなが感じたら、そっちもいいかもみたいな。そういうことをやっていかないと、たぶん変わんないよね。
西野:そうですよね。僕で言うと25のときに……。芸人だったらなにか(目標)あるじゃないですか? 冠番組持つとか。
石川:僕見てましたよ、若い頃。
西野:ありがとうございます。そういうの超あったんですよ。デビューが19歳なんですけど、20歳で『はねるのトびら』という番組がスタートして。
そのときは、とにかくレギュラー番組の本数と、あとゴールデンでバラエティやるみたいな、あれがもうゴールだったんですよ。
一通りいってたんですよ、朝から晩まで冠番組持って、ゴールデンで視聴率20パーセント狙って。これをやったけど、結局「スターにはなってないぞ」と思ったんです。
人気タレントさんにはなったし、知名度も上がったし、生活もよくなったけど、やっぱり上にはさんまさんがいて、たけしさんがいて、タモリさんがいてって順番がぜんぜん変わってなくて。
「この状態でスターになってないって、やばいな」って思ったんです。打席に立ってなかったら、もうちょっと言い訳できるじゃないですか。「打席立たしてもらったら打てるんやけどな」みたいな負け惜しみも言えたんですけど。
打席には立たしてもらってるし、追い風は吹いてるし、ピッチャーはもうストレートしか投げてこないしって。
全部条件が整ってる状態でホームラン打ってないって。これは「(自分は)打てないやつや」と思ったんです。これは1回、非常に絶望ですよね。言い訳が本当にないという。やばいなって。
でも、せっかくやるからには一番おもしろくなりたいじゃないですか。それで、このやり方じゃないなと思って。
自分はあんまり能力がないんだな、自分の能力は全体的に70点くらいなんやろうなと思って、そんときにまず、やらないことを決めようと思ったんです。俺はもうこれはやらないと。
その25のときにもう、「ひな壇やめる」「グルメ番組やめる」「クイズ番組やめる」って。ひな壇をやめるって、若手芸人のライフラインを断つようなことです。
確かにそのときは「もうやめる!」って勢いで言っちゃったんですけど。もしかしたら、それがカッコいいと思ったのかもしれないです。それで、「ちょっとほんまにやばいな……」となったんですけど。
そこから2ヶ月後くらいにタモリさんに呼び出されて、「お前絵を描けよ」みたいなことを言われて、「絵ですか?」みたいなことで描くようになったんですよね。それまで描いたことなかったんですよ。
なかったんですけど、それが今の自分の仕事のけっこう太い柱の1つになってるんですよね。あれをズルズルと「こうやったほうがいいんかな」ってうかがいながらやってたら、たぶん絵のほうにはいってなかったんですよ。
石川:まあ、そうでしょうね。
西野:そうなんですよ。だから、言っちゃうっていいですよね。言っちゃったら、直後に1回後悔するんですよ。「なんでこんなことやっちゃったんやろう」みたいなことがあるんですよ。
石川:(笑)。
西野:あるんですよ。でも、言っちゃうっていいですよね。
石川:いいです、いいです。
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