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The New Superbug! (全1記事)

抗生物質が効かない「超強力な細菌」が発見される

先日アメリカで、抗生物質耐性を持つ超強力な細菌が発見されたと発表がありました。これは世界初だそうです。もっとも強い抗生物質の1つであるコリスチンに耐性を持つ、大腸菌と同じ菌株とのこと。どんどん細菌が強力になっていってしまう原因の1つは、過剰な抗生物質の処方だと言えます。病気の原因がはっきりわかる前から、感染症の症状が出たとわかると抗生物質を処方されることがあります。これは患者にとって、正しい薬物投与を受けているとはいえません。 こうして不必要な抗生物質を服用すれば、体内の比較的無害な細菌まで全滅させることになり、抗生物質に耐性を持つ菌が取って代わることができるのです。では、それに対応するためにどんな策が残されているのでしょうか。

超強力な細菌が発見された

先日アメリカで、抗生物質耐性を持つ超強力な細菌が発見されたと発表があり、いくつかの記事の見出しに「世界初」と書かれました。

もっとも強い抗生物質の1つであるコリスチンに耐性を持つ、大腸菌と同じ菌株だそうです。

この発見は、医薬の未来にとって、いくつかの重要な暗示が含まれており、そのほとんどは、いいことではありません。しかし思ったよりも、最悪な状況ではないかもしれないのです。

抗生物質は、人類にとって大変優れたものです。1930年代に医師が処方し始めて以来、死に至らしめる感染症を防ぐことで、数え切れない命を、世紀をまたぎ、救ってきました。

しかし、私たちは抗生物質に対し、本来注意深く扱うべきなのにそうしてこなかったため、細菌が以前よりも強力になってしまったのです。

抗生物質は、細菌の細胞壁を破壊したり、タンパク質の産生を防いだり、DNAを壊すことで、細菌を確実に殺すことができます。

問題は、細菌は非常に早く再生することが可能であり、それは短期間で大量の細菌を生み出すことができるということなのです。

そして再生の度に、生まれたばかりの細菌には突然変異が起こる可能性があり、それにより、抗生物質への耐性ができてしまうのです。

ですから、たとえば、患者の感染症はペニシリンで治療しますが、突然変異によって、ペニシリンに耐性を持った細菌が存在します。

ペニシリンにより、細菌はすべて死に絶えますが、突然変異の細菌のみは生き残り、繁殖し続けます。そして、その子孫たちもまた耐性を持っているため、抗生物質が、将来的に感染症を防げなくなってしまうのです。

過剰な抗生物質の処方が原因

こうした現象は何度も繰り返し起こり得ることであり、その結果、現状の抗生物質すべてに耐性を持つ細菌になりかねないのです。

こうして状況を最悪にしてしまっているのは、何十年にも渡って、患者に過剰な抗生物質を処方していることにも原因があります。

たとえば、原因がはっきりわかる前から、感染症の症状が出たとわかると抗生物質を処方されることがあります。これは患者にとって、正しい薬物投与を受けているとはいえません。

こうして不必要な抗生物質を服用すれば、体内の比較的無害な細菌まで全滅させることになり、抗生物質耐性菌が取って代わることができるのです。

さらに、患者のなかには症状が改善すると、処方された薬のフルコースを終える前に、服用をやめてしまう人たちもいます。

そのため、すべての細菌を殺すことはできず、このまま成長し再生する、もっとも強い細菌が残ってしまうのです。

そして先週ペンシルバニアで、こういった現状の影響と見られる出来事がありました。

抗生物質の時代は終わるのか?

尿路感染症の治療を受けていた患者が、MCR-1と呼ばれる、突然変異した大腸菌の菌株に感染したのです。

この突然変異種は、抗生物質のなかで最後の砦と考えられるコリスチンにも耐性を持っていました。そして、この突然変異をとりわけ厄介にしたものは、プラスミドにあります。

プラスミドは小さなDNAで、近くの細菌同士でその性質を簡単に受け渡しできる特徴があります。つまり、より簡単に分散することができるのです。

このプラスミドの突然変異は、以前にほかの場所でも見られました。中国で、動物や一部の人間の患者に同じ現象が起こったのです。

しかし、アメリカでプラスミドが発見されたのは今回が初めてであり、非常に早く感染が広がる可能性がありました。

今や、アメリカの病院で超強力菌が現れるのは初めてではありません。

2009年デトロイトでは、コリスチンやカルバセフェム、ほかの頼みの綱である抗生物質にまで耐性を持った、肺炎菌株の大流行がありました。そして2011年には国立衛生研究所で、これと同様の菌に、18人が感染しています。

これらの菌の対策は、とても難しく、感染は命取りです。先述の18人の患者のうち、11人は亡くなっています。

では、医薬の未来にとって、これらはなにを意味しているのでしょうか? 一部の情報源は、抗生物質の終わりを予言していますが、それは違います。

細菌が耐性を持てない理想の新治療法を研究中

先ほどの大腸菌株は、カルバセフェムのような薬に影響を受けやすいことが判明したので、今のところは異なる抗生物質の組み合わせで対応するべきでしょう。

そして新しい抗生物質の開発に関していえば、限界に達しているわけではありません。研究者の一部は、細菌が耐性を持てない理想の新治療法を必死に研究中です。

たとえば2015年、研究グループが、テキソバクチン(テイクソバクチン)という、細菌が細胞壁を形成するのを防ぐ抗生物質を発見したと発表しました。

これは細菌の多くが持つタンパク質を2種結合させることで発見され、テキソバクチンに対して、細菌が突然変異を発生するのはほとんどなく、耐性を持つことが難しいため、喜ばしいニュースとなりました。

そしてこのグループの研究によると、異なる2種の細菌株にも、耐性が発見されなかったため、テキソバクチンが新しい治療法になり得る可能性が出てきたのです。

超強力菌に追いつきたいのならば、まだ多くのやることがあります。

先述した大腸菌株にはまだ治療法があるかもしれませんが、ほかにも成長している手強い菌はたくさん存在しており、耐性を持った感染症による死は、近年増加しています。

なので、現状は決していいとは言えません。しかし、効果的な抗生物質が開発されるまで、よく言われている方法で自分の身を守ることはできます。

食事の前に手を洗い、ちゃんとした食事を作り、抗生物質の服用については医者の指示に従うのです。

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