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中2ナイトニッポンvol.3『猫と紅茶とヒロTと〜ex毛皮のマリーズ・栗本ヒロコの他愛ない話。』(全1記事)

包容力を持った大人になるには? 30代男性のお悩みに回答

漫画家・山田玲司氏が送るニコニコ生放送「山田玲司のヤングサンデー」。今回は、ロックバンド、毛皮のマリーズの栗本ヒロコ氏をゲストに視聴者からのお悩みに解答していきます。「包容力、許容力の鍛え方が今ひとつわかりません」といった、30代男性のお悩みに対し、栗本氏の答えは……?

包容力はどう鍛えればいいのか?

乙君:こんな質問が来ています。ペンネーム、カニヤマイモさん、男性32歳の方。

「包容力、許容力の鍛え方が今ひとつわかりません。優しさを最後までつらぬきとおすことができなくて、怒って大げんかになって別れることが多いです。自分はずっともてなかったので自信がないせいか、とことん女性に甘くしてしまいなんでも許してしまい、最終的には女性側が増長していって決定的な無礼を働き、そこで初めて怒ってしまいます。

逆DVを受けていたこともあります。義憤や不満を長い間蓄積させてしまうため、爆発する際は激しい怒り方をしてしまい、たった一度の怒りの表明でも人間関係が壊れることが多いです。小出しに叱ったり注意すべきなんでしょうが、それをやっても聞いてもらえないことが多いです。

こいつは攻撃しても反撃してこないとよく舐められるので、複数人の女性を同時に狙って、余裕を作る方法は取りたくありませんし、そんな小手先の手段では根本的な解決にならないと思います。本当の包容力や許容力を持った大人になりたいです」という相談なんですけど。

山田:本当の包容力や許容力。

乙君:そう、本当の包容力は何か、その鍛え方、人を許せる力。

山田:これね、32歳男性っていうのがポイントだと思うんだよ。35で目が開きますから。

(一同笑)

山田:32はまだ見えてませんから。

栗本:へぇー。

山田:20代の終わりにいるんです、まだ。で、20代っていうのは、五里霧中なんで。なんにも見えてませんから。で、10代は殻の中にいますから。

(一同笑)

35歳でようやく何かが見えてくる

山田:カリメロ状態になってからの五里霧中が20代で、それで30代になって霧が晴れてきたなと思ったら、実弾が飛んでくるみたいな。うわーみたいな。そういうやつですから。権利書とか。そういうすごいやつがいっぱい。それが30代なんです。

35ぐらいで、ようやく何かを見ることができて受け入れることができたり、あきらめることができたりとかするんで、まあ、もうちょっとかなっていうのがあります(笑)。

栗本:(笑)。

山田:あと3年ぐらいはがんばったらいいんじゃないのっていう。なんでかっていうとね、おれね、この歳になってくると、だいたい友達が、「こいついいかんじになったな」って思ったのが35ぐらい。

栗本:へぇ!

山田:そんで、周り見渡すと、「うわ、こいつわけぇなあ」って思ってる奴がいいかんじになったなっていうのが、「いくつ?」って聞いたら35ぐらい。ってのはあるなと思って。

乙君:ほう。

山田:だから、1つのなにか35っていうのはあるなと。

乙君:35歳達観説。

山田:達観というか、ようやく我に返る説というか(笑)。

栗本:(笑)。

山田:「あー、おれってこんな奴か」とか。「なーんだ」みたいな。「社会ってこんなかんじになってんのか」。で、いったんわかったような気になる。そのさきもあるんだけど。

乙君:あ、35で1回わかったような気になるんだ。

山田:いいかんじになる。で、40代の前半にまた1回折れますから、ちゃんと。しっかりと折れますから。

乙君:はいはいはい。

栗本:へぇーー!

山田:思いっきり折れますから。これがミドルエイジクライシスの時期で、いったんバーンってなるんだけど、そっからもう、ほうほうの体で目が覚めるみたいな。

40代の半ばみたいな。そんなかんじですよ。それでなんとか生きてるみたいなかんじですわ、40代後半。

乙君:そんなんまでして生きますか?(笑)

山田:おもしろいもん。

(一同笑)

山田:そう。「そんなんまでして生きますか?」って思いながらも、「うわー、おもしれーなあ!」って思ってんの、どっかで。生きてることを。で、この包容力に関して、君はどう思うの?

乙君:これね、今読んでて思ったけど、「やさしさって何か?」問題だとも思うんですよ。

山田:はいはい。

女の人の「やさしい人が好き」を信じすぎるな

乙君:「やさしい人が好き」って、よく女が言うじゃないですか。だから、それでがんばってやさしい男になろうとして、「いいよ、大丈夫だよ」とか、甘い言葉とか、そういうのばっかをやっちゃった人なんだと思うんですよ。

そうすると、この人はなんでも言うことを聞いてくれるっていうか、むしろそれがだんだんつまんなくなってくる状態。だから、舐められて、逆DVも受けたこともあるみたいな。

で、本音でバーッてぶつけると、そのギャップが激しすぎて怖くて、みたいなことでしょ、これ。

山田:なんかね、「なんでも言うことを聞いてもらいたい」って言う奴って、まあ、層 があって。「何が食べたい?」みたいなときに、中華とか和食みたいな話、どっちでもいいって意味で。

それを受け入れるっていう意味ではなく、「何か食べたい?」って言ったときに、「ほんとは何がしたいの?」みたいな。この質問は違うんだよね。

だから、その甘やかしてくれるっていうのはなんでも言うことを聞いてくれるんじゃなくて、もう一歩さきの「君はいったい何がしたいの? それに応えるけど」っていうこと。

これが包容力のラインで、実はなんでもイエス、イエスって言うのではなく、もっと奥にあるんだよね、そこはね。その本当の包容力っていうのはさ。

栗本:うん。

山田:そう。そこは「ちょっと言うこと聞きます」っていうのとはぜんぜん違う世界かな、っていう気がするんだよね。だから、ここは一発、いくつか作戦があるんですけど、包容力作戦は(笑)。

乙君:ほう!

山田:だから、それこそもめたときに、「ほんとはどうしたいの?」って相手に聞くっていう。で、反発、反駁しないっていうか、反論しないでいったん引き受けて1週間考える、っていうのが1個のやり方かなと思う。

乙君:あー。

山田:うん。そんで、「これを言ってるっていうことは、こういうことを考えてきたんだな」とか、それから「こういう暮らしをしてきたから、こういうことを言ってるんだな」って、いったん理解したうえでもう1回戻ると。だから、即答で物事って解決できないんだよね。

栗本:うんうんうん。

山田:で、「即答で返せ」って言う派の女の人いるんだよ。

栗本:(笑)。

山田:「なんで黙ってんの?」とか言う奴(笑)。「また、そうやってごまかす!」みたいな。でも、それは答えないほうがいいな、そのパターンは。だから、ケンカするためにケンカするっていうのがあるんだよ。

乙君:あー!

山田:ナパーム撃ち込まれて、で、「そう来るんだったら、こっち返すぜ」って言って撃ち合うのが好きな人いるんだよ。

乙君:答えを求めてるんじゃなくて、それでやり合いたいっていうことでしょ。

山田:それで実感求めてるみたいな人もいるんだよ。でも、だいたい不毛だよね、これは。

栗本:うんうん。

山田:で、いらぬやつを一発入れちゃって、それがトラウマとして残ってて、ほんでケンカのときに、「あんときさ、あんた、こういうふうに言ったじゃん」みたいな、奥の引き出しから出してくるみたいなさ、そんなことが起こるじゃん。

乙君:うんうん。

山田:これはやっぱり避けたほうがいいんで、もう相手から炎上してるときは、まあ、遠くを見てたほうがいいかなって思うんだよね、そこは(笑)。だから、この器が小さくてどうにもならないときの対処法としては、やっぱりしゃべらないっていうのがいいかなって思うんだよね。

乙君:ほーー。

山田:ただ聞くっていう。それで、村上春樹メソッドの「そうかもしれない」っていうのと「あるいは」っていうのでその場は収めて、帰ってから相手がいったいなにを本当に求めてたのかっていうのを考えるっていう。

これは1つのメソッドとして、やり方としてあるような気がする。そんなに簡単に、その場その場で、感情で自分がわけがわからなくなってしまっているときに、どうにかなるかっていったら無理だからね。

栗本:うんうんうん。

本当に「許す」ということ

山田:だから、喫茶去っていうのもあるしね、「まあ、お茶でも」っていうさ。っていう、とにかくいったん時間、何かを置くっていうのがありかなって。それ以外に、あんまりそんなに簡単に包容力なんてダメかな、できないよなっていう気がするな。

乙君:なんか、でも、この気持ちはすごいわかるんですよ。「自分はずっとモテなかったので自信がないせいか、とことん女性に甘くしてしまい、なんでも許してしまう」っていう。

山田:うんうん。っていうか、だから、これがさっき言ってた、許してないんだよ。ただ応えてるだけ。

乙君:あー。

山田:本当に許すっていうのは、その人が本当に何がしたいかっていうのをわかることが許すことだから、そこまで意識が回ってないんだよ。だから、そこの上っ面なところでやったら、そこはうまくいかないなって気がする。

あと、このマイナスの感情、過去にあったいろんなことっていうこと。これに関してはねー、……その場で相手に、相手との関係でそれが解決することではないよね。もっと長い時間かかっちゃうかな、って気がするんだよね。

だから、そこでまた不毛なケンカして、また「おれはやっぱりダメなんだ」みたいなことを繰り返していってもなかなか変わらないから、別の部分で解決するしかないかなって。ほかに自信をつけるなにかをやるとか。

あれだよ、こないだ乙君が恋愛至上主義の話してたじゃん。「おれはレースに出る前の男でそのレースのことを考えてるから、彼女のことを考えられなくなる」って言ってたじゃんか。

乙君:うん。

山田:やっぱりこのレースに出るって、すごい大事だと思うよ。だから、自分の何かが、自信がなかったら、なんかのレースに出ろよっていう話ね。

何かに挑戦して、彼女以外の、恋愛以外のことで本気になにかやって、そこでなにか達成したり自己実現したり、なんかあった場合、そこでつけた自信がバックするから。

乙君:あー、そこでね!

山田:何もそれがないのに彼女にそれをぶつけて、「おまえ、おれを認めてくれよ」って言っても、「じゃあ、あなたはなにをしたの?」っていう。結局、そこで答えられないからこうなっちゃう。だったらレース出ろよ、っておれは思う。挑戦してみる。

で、挑戦して成功するわけないよなって話よくするけど、まあ、11回はやれよっていう話(笑)。10回失敗して11回目やれる奴が、やっぱ次のステージ行くんで。10回以内でやめるんだよ、だいたい。挑戦を。

乙君:あー。

山田:で、10回やったときになにか区切りみたいなのを感じて、「やっぱりおれはこうなんだ」とか言うけど違うんだよ。11回目で勝負が決まる。11回目やったとき、なにか変わるんだよ。

で、ここで作ってったなにか自信みたいなものが、結果的に彼女との関係でなにかつかまるところになってるというか。「大丈夫だ」みたいなかんじになってるっていうか。たぶん安村くんもね、そういう(笑)。

(一同笑)

乙君:おれ、安村くんのことまったく知らないし。

山田:あー、そうなんだ?

乙君:(栗本を指して)この人が好きなだけですからね。

山田:あ、そうなんだ、そうなんだ。いや、じゃないと、あんな苦労できないなって思ったりしますね。

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