2024.10.10
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A History of Earth's Climate(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:私たちは、以前の地球の気候がどんなものだったのかをあまり気にかけていません。今日は、「地球がいつも同じ気候ではなかった」ということについて改めて整理してみましょう。
氷河期はいつも氷に覆われていて、火山の噴き出ていた時期にはメタンやアンモニアが大気中に溢れていました。
気の遠くなるほど長く続いたり、たった数千年程度で終わったりする気候変動サイクルが、数億年、いずれは人間がいなくなった後も地球をかき回し続けていくのです。
今の地球の気候とは大きく異なるかつての地球の気候を調べることで、私たちが今直面している気候問題に必要な視点を得ることができます。
では、地球の気候の歴史をたどって、はるか昔の、人間がとうてい住めなかった時代を見ていきましょう。
過去5億4,000万年の間に、地球の環境には2つの大きな変動がありました。温暖期と寒冷期です。
温暖期には地球上には水がたくさんあり、氷はほとんど極地にしかありませんでした。一方寒冷期には、地球全体の気温が、氷に覆われる極地と同じほどに下がってしまいました。
最後にこの気候変動が起こったのは5,500万年前で、温暖期の最後に気温はもっとも高くなり、極地でもカメやヤシの木があるほどに住みやすい環境だったようです。それから、長く続く寒冷化が始まり、私たちが知っている氷河期に突入したのです。
もちろん、こういった地球の気候変動には原因があります。それは一体なんでしょうか?
1つの説は、北極海がアカウキクサというシダ科の植物の大量発生の影響を受けた、というものです。
この説によれば、温室効果ガスである二酸化炭素を大量に吸収するアカウキクサによって、大気中の二酸化炭素濃度が下がり、寒冷期に突入したのです。結果、地球はヒトの祖先が地球に生まれるまで冷凍庫のような状態が続きました。
シダは、生物が長期間にわたって気候から受ける影響を調べる上でいい材料です。植物によって酸素が作られ、それを動物が消費する。動物から二酸化炭素が排出されて、それを植物が使うというサイクルを何度も繰り返すからです。
空気中の二酸化炭素やメタンガスといった温室効果ガスが相対的に増えると、熱を吸収するため温室効果をもたらします。もし二酸化炭素のような温室効果ガスが大気中から少なくなれば、地球は冷えていくというわけです。
しかしこのサイクルが極めて長いサイクルで起こるということは、気候に影響を与える最も大きな要因は太陽であるということになります。太陽が気候に与える影響は数多くあります。
まず挙げられるのは、昔の太陽は今ほど明るくなかったということです。地球も太陽も10億歳に満たないほどのまだ若かりし頃、太陽の明るさは今の70パーセントほどしかありませんでした。
現在、太陽は極めて安定していますが、それでも多少の変動はあります。太陽から放出されるエネルギーは、黒点周期に基づいて11年ごとに変動します。最大の時と最小の時で、0.1パーセントほど放出量が異なるのです。
大きく変動するわけではありません。黒点周期が地球の温度に与える影響は微妙なものなのです。
また、太陽に対する地球の軌道と傾きも、温度の変化に影響を与えます。数百万年かけて、地球の公転軌道は真円から楕円へと変化してきました。
公転軌道上で地球と太陽の距離が変わることで、受け取る太陽エネルギーの量も変わるのです。これを軌道離心率と言います。およそ10万年周期で起こります。
研究者たちは、おそらく今はエネルギー量の変化が最小になる軌道にあるのではないか、と考えているようです。
今の軌道では、地球が軌道上のどこにいるかによって、受け取る太陽エネルギーは6パーセント程度変動しますが、変化がもっとも大きい時にはなんと年間30パーセントもの違いがあったようです。これでは気候変動にとんでもない影響を与えるのもうなずけます。
軌道が変化する一方で、地球が自転する太陽に対する角度も、4万2,000年周期で変わっています。今この瞬間、地軸の傾きは23.4度ですが、過去には22.1度から24.5度の間で変化しているのです。
傾きが大きくなれば、極地はより太陽に向くことになり、季節の変化も急激になります。夏はさらに暑く、冬はさらに寒くなるのです。
人間が誕生する前に、地球の軌道に関係した数多くの変化が同時に起こったようです。確かなことはもちろんわかりませんが、近年発見された証拠などから、多くの専門家たちはこうした地球の軌道に関係した周期が、気候に多大な影響を及ぼしたのではないかと考えています。
現在考えられている、こうした気候変動の要因は、最初から起こっていたわけではありません。
気候問題を論じる人がまだ生まれていない、45億年前から38億年前の地球ができて間もない頃、地球の表面は溶岩でできており、とても熱い状態でした。ようやく大気が冷やされて、雨で固まって陸地が現れます。太陽はこの頃すでにいい感じにでき上がっていて、地球の大気はほぼアンモニアとメタンの温室効果ガスで覆われたとても暖かい状態でした。
25億年から5億年前の間に嫌気性生物、つまり酸素を必要としない生物が地球にはびころうとしていたところ、酸素濃度が劇的に上昇しました。生物の進化が起こったことと、藍藻と呼ばれる藻類が光合成を行い、誰のためでもないのに酸素を供給してくれたのです。
大気の組成が大きく変わることで、嫌気性の生物が環境に適応できなくなったことは、酸素災害とも言うべき絶滅を起こした、地球史のなかでも重大な出来事の1つでした。嫌気性生物にとっては災難でしたが、20億年ほど後の私たち生物にしてみれば、うれしい出来事ですね。
次に大きな冷却サイクルが起こります。大気中で高くなった酸素とメタン濃度が下がり、赤道付近の温度が現在の北極圏ほどの温度になりました。地球全体が凍ってしまったため、巨大な雪球のようになっただろうと言う研究者もいます。
5億年前から2億5,000万年前の間に、地球の中心部の温度は現在と同じほどに下がって、火山の噴火はたまに起こる程度になりました。
多細胞生物が海中に一気に発生した、カンブリア爆発と呼ばれる現象もこの時期に起こりました。地上で光合成を行う生物が酸素を発生させましたが、嫌気性生物が二酸化炭素を吸い上げられなくなるほどの量ではなかったので、穏やかな状態が続いていました。
しかし、2億5,000万から2億6,500万年前、すべてが変わりました。地上にたくさんの生物が表れ、二酸化炭素濃度が高まりました。さらに、パンゲアというひとかたまりだった大きな大陸がいくつかに分かれ、そこに海水が入り込んで湿度が上がったため、温暖化が始まったのです。
今より10度ほど高い気温になるまで温暖化は進み、地球全体にその状態が広がりました。
さらに気候変動を加速させた要因で現在有力な説は、6,500万年前に200キロもの大きさの隕石が現在のメキシコに衝突し、90京キログラムもの燃える土砂が巻き上がったのです。これによって「強烈な冬」が起こってしまい、巨大な恐竜たちが絶滅し、哺乳類が取って代わる結果となったと考えられています。
そこからたった1,000万年後に私たちの祖先が登場し、温暖化はさっき言ったように最高潮を迎えます。5,500万年ほど前に、地球は突然の温暖化を迎え、2万年ほどの間に地球の気温は摂氏5度から8度程度も上昇します。
その原因がなんなのかは長い間、議論の的になってきましたが、地質学によって大量の炭素が含まれていた証拠が発見されました。極地の海底にあったメタンを含む氷が突然溶け出し、それが大気中に放出されたのではないか、というのが有力な仮説です。
氷が溶け出したのは、おそらくは海底火山の活動や、前述の太陽活動周期がピークを迎えたことが原因かもしれません。一度大気中に放出されれば、地球は温暖状態となります。
このように氷がなくなった状態の地球は、雪玉と言われていた状態だったのがウソのような、ビニールハウス状態になりました。ヒトを含む哺乳類のような温血動物にとっては理想的な気候になると同時に、アカウキクサのような藻類の増殖も助けます。
結果、温室効果ガスの吸収が始まり次の寒冷化サイクルが始まります。
3,500万年前、それまでは海流でかき回され続けていた北極に、氷河が形作られました。大陸は依然として地球上で動き続けており、南極大陸が出現することでようやく南極にも氷河が形成されました。
一方で、いまだに形成されていなかったヒマラヤ山脈や大西洋などができると、それらが寒冷化を加速したり、冷気を循環させていきました。こうした時代の氷は今でも残っているため、この時代が一般的に氷河期と言われる時代です。
この氷河期は一貫して寒い状態が続いたわけではなく、時折温かくなる時期もあったようです。それでもこの寒冷化によって、現在の気温に比べると5度程度下がりました。
過去250万年の間に25回程度、氷河が作られるほど寒い期間がありました。これらは小氷期とよばれ、そのあいだ間氷期とよばれる比較的温かい期間も散発的に起こりました。
ここまで考えてみたところで、気候が10万年周期で変わっていくことが、はじめにお話しした軌道パターンと一致していることにお気づきでしょうか。
こう考えてみると、1万2,000年などは地球史でみるとたかだか昨日の出来事ですね。
このホッケースティックのようなグラフは、過去2,000年間で、検証できる範囲での地球の平均気温をグラフ化したものです。
20世紀に入ってから、急激に平均気温が上がっていますね。これは化石燃料を燃やすことに、人類の生活が依存し始めたからです。
このグラフは1999年にペンシルバニア州立大学のマイケル・マンが収集したデータに基づいて作成されました。彼は15年にわたり、この分野の研究に並外れた情熱を燃やしたのです。
しかし地球の気温についての新しい研究が試みられています。さらに古い11万1,300年前のプランクトンの化石を、世界各地70ヶ所から海洋学の知識を用いて掘り起こしたのです。すると、その時代の20パーセントほどの期間で温度が現代より高かったことが明らかになった一方で、現在の温度の上昇率がこれまでわかっていた以上に早いことも明らかになりました。
過去100年の間に気温が劇的に増加した分は、過去6,000年の間に起こった寒冷化の影響をすっかり打ち消してしまうほどです。
さらに重要なことに、このデータは今私たちが超長期の寒冷期のまっただ中にいるということに加えて、数千年にわたる寒冷期の一番底にいる、ということも示していると考えられます。
この現象が自然の要因によるものなのかどうか、現在見つかっている証拠ではっきりしたことはわかりません。人間は地球をだいぶ散らかしてきましたが、1つ確かなことは地球の気候はなんとかそれに対処しようとしてきていることです。
人間はこれからも生き延びて行くとは思いますが、そのためにどんな努力が必要なのでしょうか。まだまだ調査が必要ですね。
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