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Extreme Animal Cannibalism (全1記事)

時には親子同士でも… 進化のために“共食い”する生物たち

「共食い」と聞くとなにか嫌な感じがしますが、生物界を見渡してみると、けっして特殊なことではなさそうです。実は、隣人や自分の家族の一員を食べることは、進化的には非常に筋が通っている場合もあるのです。スナザメのような種のサメは、生まれる前からすでに子宮のなかで共食いを始めています。また、カマキリ、サソリ、クロゴケグモなどのように求婚者に自分の体を差し出す生物もいます。さらには、親が自分の体を子に食べさせるシシリアンという生物までいるのです。

共食いは進化に関わる?

ハンク・グリーン氏:人類がみんな同意できることってそんなにないけど、人食い人種が好きな人はいない。何年もの間、生物が同類を食べるのは、通常、深刻な飢餓や精神的短絡といったストレスの多い状況下での究極的な行動の一種だと一般的に考えられていたね。

これも1つの真実かもしれない一方で、近年科学者たちは生物の共食いについて新しい見方をしはじめているんだ。隣人や自分の家族の一員を食べることは、進化的には非常に筋が通っている場合もあるってことがわかってきた。

進化にとって倫理は重要じゃないからね。進化にとっては、できるだけたくさん子孫を残して生き残ることが重要なんだ。そしてその観点からすると、いくつかの生き物にとって共食いはとてもいいアイディアに思えることもあるだろう。

繁殖する権利や食べ物の縄張りを争う相手が減るのは都合がいいよね。それに栄養もついてくるんだからね。

ところが、生物たちが同類を食べるのに選ぶあらゆる方法のうちで、極端に訓練を要する戦略がいくつかあるんだ。例えば、スナザメのような種のサメは、生まれる前からその競争に人より早く取りかかっているんだよ。

スナザメは、オアファジー(OOPHAGY)またはアデルフォファジー(ADELPHOPHAGY)としても知られる、子宮内共食いを練習するんだ。

さて、オアファジーまたは食卵は、未受精卵上にある肧が母親の子宮を通るときに起こる。

アデルフォファジーは、文字通りに訳すと、兄弟食いだ。

そしてサメにとってそれは子宮のなかにいる20の肧同士の大乱戦であり、そこでたった1つの大きな肧が残るまでお互いを食べるんだ。

サメの母親には2つ子宮があるから、実際は2人の子どもが残ることになって、その2人の生存者はお互いをやっつけることはできないという、いい戦略だね。

いったいどうやってこんな不快な問題を知ることになったんだろう、と思っている人は、サメ生物学者のスチュワート・スプリンガーに感謝しなきゃならなくなるだろう。1940年代の終わり頃、スプリンガーは妊娠したスナザメのお腹を突っついていたところ、彼は手をむしゃむしゃ食べられて震え上がったんだ。

求婚者を食べてしまう昆虫も

性的共食いは、メスが交尾の前、最中、または後にオスの求婚者を殺して食べてしまうときに起こるものだ。まあこれは次のような生物の間ではよくあることだ。例えばカマキリ、サソリ、あとクモのいくつかの種類、クロゴケグモ(邪悪な未亡人)なんかだね、今きみを見て言ってるんだよ。

オスの求婚者は食べられずに逃げたいという意志がない、というわけじゃないんだ。わかるよね、ハエを欲しがってるもう何人かの女性を誘いに出かけたりしたいよね。

ところが、子の利益のために親が支払うあらゆる資源、すなわち親の投資を極限まで持って行ったオーストラリアのセアカゴケグモはそうじゃないんだ。

熱狂した宙返りを含むシミーなんかの精巧な求愛ダンスと、うまくいくことを願って行われた受精の後、セアカゴケグモはシェークスピア風の自滅的なやり方で、自らの意志で直接愛する女性の前に自分のおいしそうな腹部を差し出すんだ。

なぜだろう?

まあ、彼はこの女性の200分の1の大きさだし、もう別の女性のところへ逃げ込むことはできないことがわかっているのかもしれないね。進化論的に言うと、彼はただ自分の遺伝子を渡したいだけなんだろう。

だからもし彼が彼女の注意を留めておくのに十分なほどうまくダンスを踊ることができれば、彼は自分の精子を彼女の受容器官に注入し、そして彼女に食事を提供することで彼女の時間をもう少し占有するんだ。

そうすればその子どもは彼の子であり、その子を育てる別の求婚者の子ではないという可能性が大きくアップして、最終的に彼の死を価値あるものにするんだ。

親子で共食いをする生き物も

最後に我が子食いは、より少数のより健康な跡継ぎに全精力を注いで育てられるように同腹の子を減らすという目的、またはストレスの多い状況下での損失を切り捨てて恋愛ゲームに戻るという目的のいずれかのために、親が自分の子孫の一部あるいは全部を食べるときに起こるものだ。

ところがある生物はお腹の減った親との形勢を逆転したんだ。シシリアン(CAECILIAN)。この人たちと混同しないで欲しいんだけど。

彼らはカエルやヒキガエル、サンショウウオを含む両生類の仲間ではもっとも知られていない。

これらの熱帯地方に生息する地を這う手足のない生き物はミミズにとてもよく似ているけど、彼らのなかにはヘビと同じくらいの大きさに育つものもいるんだよ。

彼らの食べ物についてはあまりよく知られていないんだけど、最近の科学者たちが2つのシシリアン種について特殊な発見をしたんだ。子どもが生まれてから約3ヵ月の間、母親はまさに自分の肉をくり返し彼らに食べさせるんだよ。

彼女の皮膚の外層は必要以上に脂肪がついて膨れあがっている。

飢えた子どもたちは飛びついて、そのために特化されたとがった小さな乳歯で母親の皮膚を生で急いでガツガツ食べるんだ、まるでプロメテウスの実写版みたいにね。ママは3日経つと回復して次の食事を再生するんだよ。

そんなことをしてくれて、母の日のプレゼントにはいったいなにをあげたらいいのかってことで頭がいっぱいだ。

人類の共食いっていうテーマについてはゾッとする感じがあるけど、生物の王国では共食いはそれほどタブーじゃないってことがわかったね。実際、生物学者のなかには、どうしてもっと多くの種が同類を食べないのか不思議に思っている人もいるんだ。

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