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第5回「はじめてのラピュタ」(全4記事)

「シータはオタサーの姫」 ラピュタに描かれた、男たちが望む「聖女」という檻

漫画家の山田玲司氏が『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』『風の谷のナウシカ』『千と千尋の神隠し』といった宮崎駿監督によるジブリアニメを分析します。トトロの中にいるのは宮崎駿氏自身であり、カオナシなどの嘔吐するキャラクターは「内面の醜い何かを受け止めてほしい」という気持ちの現れだと考察。また、ラピュタ作中でのヒロイン・シータの扱われ方は「まるでオタサーの姫」「吉永小百合のような聖女感があった」と語りました。

トトロのなかにいるのは宮崎駿氏!?

山田玲司氏(以下、山田):宮崎兄さんは最高に変態なの。だから、ぜんぜんエロいじゃん。やばいことやってるじゃんっていう。

おっくん:めっちゃハマるわ、それ(笑)。

山田:そして、カオナシですわ。要するに、異形のモノ、トトロもそうなんだけど、これ、みんな駿君ですから。問題はトトロですよ。トトロっていう着ぐるみのなかに入ってる、なかの人というのは駿さんだからね。

駿さんがトトロのなか入って、2人の少女がドーンつって「うおー」ってやってるわけよ。わかった、この感じ? 

しみちゃん:わかります(笑)。

山田:声かけ事案。もうダメだから。寸前だから。お縄頂戴寸前のやつなんだよ。こんな最高のアートだったんだなというのを、エコパッケージにして子供たちが見れるようにして、幼稚園で「歩こう、歩こう」「どこに歩くの? トトロのところ行くの? 怖いねー」みたいなやつですよ。だから、今考えると最高だったんだよ。ごめんなさいという話なんだよ。

おっくん:ほめてるの? けなしてるの? どっちなのっていうね(笑)。

「嘔吐物」は内面の醜い何かを受け止めてほしい気持ち

山田:当時のピュアなブルーハーツの俺は許せなかったの。チェルノブイリがこんなことになってるのにふざけんなって話だし。「パンチラをエサにエコとか語りやがって、本当は変質者のくせに」とかいう、いわゆるそういうやつよ。俺みたいなやついたんだ、少しは。

この異形のモノたちの話なんだけど、みんな吐くの。カオナシが吐くでしょう、千尋に。このいわゆるナントカ射的なやつをまあやってくれるわけ、異形のモノたちが。ガンガン吐くわけ。

これ、なにかに似てるなと思ったら、韓流ドラマの女の子。なんか知らないけど、みんな吐くんだよね。知ってる? 『猟奇的な彼女』とか思っきり吐いてるから。それを彼が受け止めるという。嘔吐物を。みたいなことが韓流多いんだよ。

なんでこんなことが韓流ドラマであるかつったら、「私のすべてを受け止めて。私の汚いものまで全部汚物を受け止めて。内面の醜い何かを受け止めて」というのの、韓流じゃないやつ版がジブリ作品になってるわけですよ。

おっくん:それを巧妙にメタファーにして。

山田:そうなんだ。だから、これが生理的にピンと来てしまうわけだよ。もう大人だから。カオナシが少女に向かってわ~ってやってる時に「うわ~」って思うわけ。「うわ~、やっちゃってるー」つって。まあ、だいたい液体まみれになるわけですよ。少女たちは必ずさ。みたいな感じですよ。

これね、醜くて悲しい異形のモノたちの悲しい気持ちで。実を言うと、パズーのほうにはいないんだよ。宮崎さんは。むしろロボットのほうにいるの。ラピュタでいうと。

おっくん:パズーに自分を乗っけたんじゃなくて。

手塚治虫も自分を異形もモノとして思ってた

山田:形的に。だから、パズーはどちらかというとアバターで。「宮崎を探せ!」みたいな感じになると、「はい、カオナシ見つけた!」みたいな。「はい、ロボット!」「トトロ、ここにいました」みたいな。「宮崎どこにいるの?」みたいな。その寂しい宮崎が。

だから、ロボットの時、シータが「かわいそうなロボット」って言うじゃん? 「かわいそうな駿」。これが正解(笑)。

これは手塚治虫もそうなんだけど、手塚治虫は自ら自分を異形もモノとして思ってるわけよ。これどうなるかというと、あの鼻のでかい「猿田彦」というキャラクター、何回も何回も「俺は醜い。俺は醜い」ってつって、あれを見るたびに「手塚先生かわいそう」って思う。だから似顔絵で鼻ブツブツに描いてるけど、本当は嫌だったという手塚先生。

だけど、手塚先生はそこのところあんまり巧妙に罠を仕掛けるようなことしないで、素直だったんじゃないかなって。変態も変態として出てるし。

おっくん:そうですね。

山田:なんかわかりやすい変態だったんだけど。俺は、非常にテクニカルに欲望を隠しているこの技に、「うう~」ってなった青春をおくりました。山田玲司です。いろいろすいません(笑)。

それでこのロボット。ロボットが大暴れしますね。なんでか? 寂しいからですよね。忘れられてたからですよね。それでシータがロボットの横に抱きついて「やめてー」って言うわけでしょ? この原型がいわゆるジブリとしてえんえんと続いていくみたいな感じですよね。

天使が降ってきてほしいという男子の願望

おっくん:さあ、これがメインです。

山田:これ最高だよ。

山田:まずね、「天使かと思った」。最高のセリフじゃん。「人間だったんだね。天使かと思った」つって。だから、「天使が降ってきてほしい」という男の子の気持ちを、もうセリフで言っちゃってるという。それは、天使が降ってきてほしい。処女でいてほしいみたいな、無垢でいてほしいつって。

しかもだよ、あんだけフワフワしながら落ちてくるんだけど、一度のパンチラもないわけ。ふとももも見えないわけ。絶妙に頭から降りて、途中でふっとこう。

おっくん:あと灰色ですね。ワンピースも。

山田:だから聖女感? 完璧な聖女感で、エロスを感じさせないようなところまでいってて。だから、天使の領域みたいなものということで、男の子が待ってますみたいなやつ。

シータはオタサーの姫

山田:あと、今話題のオタサーの姫ですよ。知ってる、オタサーの姫って?

しみちゃん:なんですか?

おっくん:オタクサークルのなかにキャーキャー言われる、君臨すると言ったら変だけど、女の子。ほか男ばっかりでみたいな。そんな感じですよね、みなさん?

山田:いわゆる理系のロボット研究会みたいなところに、1人女の子がいたりするじゃん?

しみちゃん:ああ、わかりやすい(笑)。

山田:もしくは小保方さん。小保方さんが完全に姫なのよ。オタサーの。あんなややこしいことになったんだけど、あれでみんな一般に「オタサーの姫っているよね?」って認知されたんだけど。もうやってました。さすが宮崎さん!

女の子が厨房に入って、男たちがぶわ〜って群がっていくという。あの感じというのがもう完全にオタサーの姫状態というか。というのが、ここからスタートしているというのがすばらしい。

それから、レイア姫なんだよな。だから、宮﨑駿は姫大好き。だから、高貴なものというのが好きなんだよな。レイア姫はいちおう冒頭かぶるんだよね。スターウォーズとラピュタって、戦艦がいて、敵に囲まれて、逃げますみたいな。

でも、スターウォーズは1回ロボットをはさんで助けにいくという、めんどくさいのがあるんだけど、これは冒頭でいきなり姫が降りてくる。何も苦労しないで捕まえられるみたいなね。そういうことになってるんだけど、まあ似てるよなという話で。

シータの聖女感はまるで吉永小百合

で、わかりましたよ。ここで吉永小百合説ですよ。シータとは何か? 「吉永小百合だ」っていって。よし、それで見せてあげよう。吉永小百合の破壊力を。これですよ。『キューポラのある街』。ダーン!

おっくん:美人だねえ。

山田:見てこの破壊力。シータでしょう? こっち、この髪型ね。これシータだよね? 

おっくん:そっちね。

山田:それがいわゆる。これはその頃の吉永さんの髪型なんだけど。

これ、見比べてほしいんだけど、当時の団塊世代のもっとも最強のアイドルがこの人なんだよね。宮崎さんは絶対にこれ通ってるに違いないし、通ってないわけがないの。今の石原さとみよりもすごかったわけだ。

おっくん:なんで石原さとみが(笑)。

山田:昨日考えたんだよ。「今いるかな?」って思って時に、「いないじゃん」って思って。上限を考えたときにぎりぎりみんなが納得してくれるのって石原さとみぐらいかなと思って。ほかにいるかって話ですよ。

おっくん:うちらの世代だと広末ですね。

山田:だからちょっと前じゃん?(笑)。

おっくん:今だと長澤まさみ?

山田:長澤まさみもありだけど、ちょっとビッチ感入る。

おっくん:堀北真希ですよ。清少女。

しみちゃん:綾瀬はるかは?

山田:お前ら、好きだな。そっちで盛り上がるなあ(笑)。

おっくん:巨乳派なんですよ。

しみちゃん:おいおい。

山田:でも、綾瀬はるかはギリOKな。聖女感というのがギリあるかな、というのは。だけど、この人は『おっぱいバレー』出ませんから。

おっくん:まあ、出ないですよね。

宮崎駿氏は献身的な働き者の少女が大好き

山田:そのへんのところの絶対性みたいなものがあるなというのと、工場とかで働く少女なの。献身的に働く。宮崎さんはやっぱり、献身的な働き者の少女が大好きという系譜があるよね。

それでみんなの世話をするという。だから、無垢な少女が唐突に母をやらされるというパターンがすごく多い。そのあいだの女の時期あるじゃん。あれはこれするんだよ。

おっくん:そこを描かないんだよね。

山田:そこのセリフをまた例の海賊軍団が「あの子もママみたいになるのかな」って言ってるじゃん? ちょっと待って、その前にいろいろあるから(笑)。いきなりショートカットして、マンマになっちゃダメだろ、というのもあるんだよ。

おっくん:知らないんだよな。

山田:彼らは知らないんだよな。ひげだらけなんだけど。で、「イイ……」とか言うんだよね(笑)。

あれはちょっとオタサーの、かわいい子が1人入ってきたときのあのやばい感じ? 「このサークル大丈夫かな?」みたいな感じっていうののいろんなものを象徴してて、とってもおもしろいよなと思って。

おっくん:なるほどね。吉永小百合だったと。

男たちが望む「聖女」という檻

山田:で、僕は思うんだけど、生活にいきなりいくんだけどさ。洗濯物するといういうさ、聖女を強要するんだけど、「聖女」という檻のなかにどうも入れられてるよなって思うね。この時代の。

男たちが望む「聖女」というもののなかに女を入れるから、俺はフェミニストなんで、ちょっとそれって「人権的にどうなの?」って思うわけ。「お前、ビッチだって人間なんだよって説ですよ!」って説ですよ。

おっくん:めんどくさ!(笑)。

山田:すいません(笑)。それで最後のいわゆるおさげが切れるところで何が起こるかというと、ショートカットになるんだけど。これは姫から個人へという、これが後に繋がる「女性の自立のテーマ」というのがジブリに入ってくるんだけど。これがそうなの。

おっくん:へー。

山田:よく見ると、洗い物する時にキリっとするんだよね。 

おっくん:キリっとしてますね。あそこが一番……。

山田:わかるでしょう? 自立の始まりですから。なんかぽよーんとしてるのがキリっとして、そのあと戦いだすから。そして、語りだすから。そして、いわゆるジャンヌダルク的なことになっていくという1つのパターンの土台になちゃってるよね、という。

ナウシカの場合は最初からでき上がっちゃってるんだけど、こっちは作られていく過程が描かれてる。

おっくん:たしかに。ナウシカはもう出てきた時からジャンヌダルクですもんね。

山田:そう、あれはジャンヌダルクなの。

おっくん:だから、俺、ラピュタのほうが好きなんですよ。

しみちゃん:僕もそうです。だからです。

山田:そうなの? 見つかった? ラピュタ大好きポイント。

しみちゃん:見つかりました(笑)。

おっくん:一生懸命探しました(笑)。見つかりました。

山田:おい!(笑)

おっくん:みんなロリコン。

山田:そうです。本当にどうしようもないですね。姫から個人へというね。

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