2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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和田:私、林さんとの対談がとても待ち遠しくて。気持ちを抑えきれず、今朝のFacebookに「今日は林雄司さんとの対談です。わくわくわく」ってアップしちゃいました。
林:まじめなこと言えない僕が、ダイヤモンドさんに出て大丈夫かな(笑)。かなり異質な存在だと思うのですが……。
和田:だからおもしろいのですよ! どうぞかしこまらず、いつも通りの林ワールド全開でお願いします。
林:よろしくお願いします。
和田:林さんをはじめて知ったのは、個人で運営されているWebサイト「Webやぎの目」がきっかけでした。それがとてもおもしろくて、Twitterをフォローしようと思って調べたら、プロフィール写真がインド人の格好で、「この人何なの!?」って(笑)。
林:あの写真は、当時流行っていたウェブサービス「Akinator(アキネイター)」のパロディです。
和田:そうなんだ! Webも書籍も、林さんが書いたものはいちいちおもしろいですよね。“インターネット界の奇才”なんて呼ばれるだけあって、着眼点がすばらしいです。
林:はは、ありがとうございます。
和田:表紙に大きく「ビジネス書」と書かれている本(正式名称は、『世界のエリートは大事にしないが、普通の人にはそこそこ役立つビジネス書』)なんて、もう笑いっぱなしで。本のタイトルからしてふざけてる(笑)。
林:ほら、『サザエさん』のカツオの部屋に「マンガ」って書いてある本があるじゃないですか。あれをイメージしています。
和田:なるほど。林さんの魅力はなんといっても、言葉のひとつひとつが秀逸なこと。たとえば、「あとで見ると意識高い系みたいなことが書いてあって、自分の中の意外な一面に戦慄することがある」とか笑っちゃう。
林:ははは。
和田:この本は6月に文庫化されていますけど、タイトルは、『会社でビリのサラリーマンが1年でエリートになれるかもしれない話』ですよね。思い切り“ビリギャル”のパロディでしょ! よく出版社さんが許可してくれましたね(笑)。
林:いえ、あれは編集者のアイデアなのですよ。おもしろいからOK出しちゃいました。ちなみに表紙の僕の写真は、ピケティを意識しています。凛々しい眉の感じを出すために、こめかみにセロハンテープ貼って、眉毛も整えて……。
和田:あ、本当だ。よく見ると、写真で遊んでる。堂々と旬なものに乗っかるところはさすがですね(笑)。しかも、本の帯に「書店様へ“置き場所注意”」とまで書いてあります。
林:そりゃそうですよ。だって、タイトル見れば、サブカル本とわかるじゃないですか。ビジネス書のコーナーに置いてあったら読者に怒られてしまう。
和田:いえ、着眼点やものの考え方などいろいろとビジネスシーンに活かせると思いますよ。林さんにしか書けない天才的なノウハウが満載でした。
林:そうだ。和田さんにリクエストしていただいたものを持ってきましたよ。
和田:あ? これこれ! めちゃくちゃうれしいです! 中央に三角の矢印が書いてあるだけのシンプルなクリアファイルなのだけど、画面の中央に合わせて写メを撮るとYouTubeの再生ボタンに見えるという(笑)。
林:カメラ目線じゃないほうが、リアル感がでます。
和田:あははは、最高! これ、絶対に販売したほうがいいです。みんなネタに飢えているので、きっと売れますよ。
林:イベントの会場なんかでは販売してたんですけど。こういうのは、絶対SNSにアップしてくれますからね。
和田:するする。私も今日アップします。どうやってこんなおもしろいことを思いつくのですか?
林:これはね、取材で所沢にいったときに、たまたまこういう看板を見かけまして。試しに撮影してみたら再生ボタンぽく映ったので、クリアファイルを作ることを思いつきました。
和田:う~ん、すごい。日々何千万人という人が動画をクリックしているはずなのに、林さんにかかればこうなってしまう。なんでもおもしろがる姿勢は、仕事をする上でも絶対に必要ですよね。
林:ははは。
和田:だって、つまんないと思いながら仕事に向かうより無邪気に楽しんだほうが、アイデアも想起されやすいと思うのです。
林:それはそうですね。
和田:こんなにたくさんの「笑い」を提供されている方なのに、なぜ芸人さんにならなかったのですか? バラエティ番組の放送作家とかシナリオライターとか、まさに林さんにぴったりだと思います。
林:いやいや、僕は芸能界みたいな世界じゃなくて、普通のサラリーマンになりたかった人なので。
和田:あはは、本当に? 林さんはフリーランスのような自由な空気感をまとっていますけど、れっきとしたニフティの社員さんなのですよね。
林:クリエイティブプランナーという肩書きですけど、課長職のようなものです。
和田:入社してすぐは、普通にスーツを着て、サラリーマンしていたのですか?
林:そうですね。
和田:今は金髪にジーパンですね(笑)。一体、なにがあったのですか?
林:普通の社会人としてはダメだったのです。新人のころ、オレの酒が飲めないのかって部長に言われて「飲めるわけねえだろ」と答えちゃったり……。
でも、インターネットの世界は1から10まで全部自分でコントロールできますよね。だから、個人サイトで誰に遠慮することもなく自分が楽しいと思うものを追求していました。そしたら徐々に……。
和田:つまり、プライベートでおもしろいサイトを制作するうちに、段々エスカレートしていったという感じかな?
林:そうですね。それを本業でも生かして、今に至ると。
和田:なるほど。そもそも「Webやぎの目」の投稿企画「死ぬかと思った」が書籍化されて、それが大ヒットしたのですよね。シリーズでばんばん出版されて、いまやベストセラー作家ですよ。
林:そう、ばんばん売れたんですよ(笑)。個人サイトを立ち上げてから5年後に本になって、その反響が大きかったので、ニフティでも似たようなサイトを立ち上げたという流れです。
和田:それが、「デイリーポータルZ」だったわけですか。
林:そうそう。
和田:私もいくつかお気に入りの記事がありますけど、よくあんなこと思いつくなと感心しちゃいます。どれくらいの頻度で更新されているのですか?
林:1日3本ペースです。外部ライターさんが40名ほどいて、僕も月に2本はライターとして書いています。
和田:編集長として全体を見ながら、プレイヤーとしても活躍されているわけなので、かなりお忙しいでしょう。スケジュールはどうやって管理されていますか? 「Webの人」だから、手帳は使ってなさそう(笑)
林:そうなのですよ。月並みですが、Googleカレンダーを使っています。ノートは、たまに持ち歩くかなあ。
和田:思いついたネタを書きとめているのですか?
林:はい。それ以外にも、ブレスト会議でネタを膨らませるときに使うこともあります。
和田:どれどれ、見せて見せて。……あ、宇宙人の絵がかいてある(笑)。林さんはイラストレーターでもあるから、イラスト付きで解説していただくほうが断然イメージしやすいですね。
林:そう。これらのイメージをもとに具現化していきます。自分で作ることもあるので、「あ、1ピクセルずれた!」みたいな地味なことを夢中になってやっています(笑)。これは、専門のデザイナーさんにお願いしたのですが、最近作った僕のドル札です。
和田:すごいよくできてる。
林:「札束風呂」というイベントで使うお札です。バスタブのなかにお札を詰めて、お客さんにそこに入ってもらって写真を撮ってSNSにあげてもらうというイベントなのですけど、これを8月にサンフランシスコでやるのですよ(既に終了)。
和田:はあー。どうしてサンフランシスコでやることになったのですか?
林:日本のポップカルチャーを紹介するイベントだとか。ゲスいでしょ(笑)。入るだけだとつまんないから、Facebookで「いいね!」してもらうとお札が飛び出る装置「札束風呂2.0」を作りました。
和田:おもしろいこと企画して、参加させて、広がっていくという流れですね。
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