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『本当は結婚したくないのだ症候群』北条かや×青春出版社×ログミー(全3記事)

女性にとっての結婚は社会的承認? 独身インタビューから見えてきたもの

2016年1月に『本当は結婚したくないのだ症候群』を出版した北条かや氏、担当編集者の青春出版社・石井氏が書籍出版にいたるまでの裏話を語ります。「結婚したい若者は多いが、収入が不安定なために結婚できない」とよく言われていますが、独身者が増えた理由は実際のところそれだけなのか。北条氏は「口先だけで『結婚したい』と話す人が一定層いる」「結局は『社会に認められたい』というところに行くつく」と、インタビューから見えてきた女性の本音について振り返ります。

地方出身者が実感する、東京に対する印象の変化

――本日は1月28日に『本当は結婚したくないのだ症候群』を出版された、ライターの北条かやさんと担当編集者の石井さんに書籍出版にいたるまでの裏話についておうかがいしたいと思います。どうぞよろしくおねがいします。

北条・石井:よろしくおねがいします。

本当は結婚したくないのだ症候群

北条かや氏(以下、北条):あの本の企画が出たのは、昨年(2015年)の7月でしたよね。

石井氏(以下、石井):7月でした。

北条:最初にお会いしたのが7月で、石井さんと東京駅の大丸東京店でコーヒーを飲みつつ、3~4時間しゃべるっていうね。

石井:そうですね。いっぱいおかわりしましたよね。

北条:本当にいっぱい飲んじゃった。なんだろう、あのときにすごく「本が出るぞ!」という気持ちになったんです。その前、5月に相当真摯なメールを送っていただいてて、いいなと思ったんですけど。それからなんで2ヶ月も空いちゃったんでしょうね。なんでだろう。

石井:どうでしたかね。私は北条さんの下北のイベント(注:B&B『整形した女は幸せになっているのか』出版記念トークイベント)に行ったんですよ。それがたしか5月で。そのあとに、企画の相談をしたいと連絡させていただいて。

北条:そうでしたよね。B&Bでいろいろしゃべったことももとにして、今回の企画を出していただいて。7月お会いしたときは、最初は互いの個人史みたいなところをしゃべったんですよね。編集の方ってわりと何度か転職されてる方が多かったりして。

石井さんがどういう経歴でお仕事をされてきたのか。それから、大学時代にさかのぼって、お互い話しあって。同じ女性として、石井さんっていう女性の生き方に興味があって、いろいろご家族のことまで聞いちゃった記憶があります。

自分も、2個下の妹がいるとかそういう話をして。私と石井さんでけっこう共感したのが、「地方出身で地方から見える東京の風景と、東京に出てきて働いて見える風景が違うよね」っていう話をちょっとしたりして。

――違いますよね。自分がいる場所によって東京の見え方はかなり変わります。外からはキラキラして見えるけど、東京に住んで働いてみると、けっこう殺伐としたところも見えてきますよね。

一部の人は本当は結婚したくないんじゃないか

北条:そういえば山田さん(インタビュアー)って何年生まれでしたっけ?

――85年です。

北条:じゃあ、私の1個上で。

――本当に近いですよね。

北条:そうですね。感覚とかも近い。今回出した『本当は結婚したくないのだ症候群』で考察した層も、年齢層がちょうど30前後の女性たちです。

――自分もこの歳になると、周りから「結婚しなさい」とすごく言われて。ここまで言われると「したほうがいいのかもしれない」って思うときもあって。

北条:そうです。そうです。

――でも、よくよく考えると「それは本当に自分の願いなのかな?」とか。

北条:もう、まさにその通りですね。最初に石井さんとブレストしたときに、たぶん直感でこの仮説が出てきたような気がするんですよね。「本当は結婚したくない」というか「しないほうがいい」って思ってるけど、口先だけで「結婚したい」って言ってる人が一部いるんじゃないかと思って。

調査して、なにか見える結論までたどりつくっていうよりも、自分の直感があって。「本当は、一部の人って結婚したくないんじゃないかな」っていう直感があり、そこから演繹的というか、詰めていった部分があるんですよ。詰め切れていない部分は、書きながら石井さんと相談したり。

「インタビューした女の子がこんなこと言ってたな」とか思い出して。それを考えると、これ絶対「結婚したくないだろう」ってところにたどりつくんですよね。

――人によっては、別に結婚が不必要だったり、そこまで焦る必要がなかったりしますもんね。

結局は「社会に認められたい」というところに行きつく

北条:「子供は絶対、若いときに欲しい」というのがあって、そのために結婚する必要がある。「事実婚は嫌だ」っていう。だったら、法律婚したほうがいいんだろうけど。そこまで子供が絶対欲しいっていう人もそんなにいないんですよね、東京で働いてると。なんか「漠然と欲しい」みたいなことを言う子が多いんですよ。

――「絶対にほしい」というのは見かけないですよね。「いつかはほしいけど」みたいな。

北条:「いつかは……」ってみんな言うんですよね。それで、国の調査とかだと安倍政権が誕生したぐらいから、女性の活躍と少子化対策を同時にやるっていう雰囲気がすごい強くなって。それにも「結婚したがってる女性は多いぞ」っていう調査結果をすごく見せられるんですけど、それにも違和感があって。

統計データだけ見てると「みんな結婚したがってて、それでも結婚できないのは若者の収入が不安定なせいだ」って結論になるんですけど、それだけじゃないだろうとか思うんですよね。

だから、若者の賃金あげるっていうのも、もちろん大事なんですけど。それを結婚促進のためにやるのはやめてほしいなと。

「家庭を持ちたい」っていうのは、本のなかでもだんだん考えながら最後に出てきた結論なんですけど、結局は「社会に認められたい」ってところに行きつくのかなーっていう。石井さんと原稿のやり取りしながら、だんだん結論の輪郭がはっきりしてきた。

――わかります。なんでこんなにつらいのかなって考えたときに、社会からのけ者にされてるというか、「子供を作って結婚していないと、お前は一人前じゃないよ」って言われているような。

北条:そうそうそう。インタビューでもね、「半人前思想がつらい」みたいな声があって。「家庭を作ってない人は半人前だ」というアレです。

「独身女子の気持ち」はすでに別の作家が書いてきた

北条:「独身の意地」みたいな感じで書きたくなかったんですよね。たぶん、これを冷静に書けたのも「独身の気持ちをわかってよ」みたいな本ではなくて、冷静に事実を積み重ねていった結果、独身女性の姿があぶりだされていくみたいなイメージだといいな、というか。「わかってくださいよー」みたいな、そういう本にはしたくなかったんです。

それはもう、ほかの人がすでに言っているというか。おこがましすぎるんですが、当事者の声は『負け犬の遠吠え』とかでじゅうぶん、周知されている。「独身女子が何を考えているか?」みたいなことは、わりと当事者がエッセイで綴るようなことで、これまでも林真理子さんをはじめとした作家の方が話されているので。

でも、「データはどうなの?」とか。市井の人々というか、「エッセイストじゃない人たちは何を考えているんだろう?」っていう。それをもうちょっと拾いたかったので、インタビューを石井さんに頼んで実施しました。

もう、ツテをフルに活用していただいて。けっこうバラエティ豊かでしたよね。

石井:そうですね。いろんな方に聞きました。

『東京タラレバ娘』を読んで焦る人たち

北条:インタビューは職業いろいろでしたよね。あえてバラバラにしていただいたんですよ。実家ぐらしの方もいらっしゃれば、一人暮らしの方もいて、地方出身の方もいれば、東京生まれの方、横浜育ちとかの方もいてね。

グループインタビューだったんで、初対面の方同士がしゃべったりする場面もあったんですけど。けっこうみんな『東京タラレバ娘』を読んでたんですよ。

「『タラレバ娘』を読んでから、本当に結婚しなきゃって思って、焦る」みたいな声はありました。

――私も最近『タラレバ娘』を読みました。あれけっこう、あとがきで作者の意図を入れていますよね。「そっか、作者はそういう視点で書いたんだ」という、そういう発見がありました。

「結婚こそ女の幸せ」という価値観を押し付けている漫画だと思われていることが多いですよね。

北条:そういうふうに見られてますよね、あれね。

石井:読んだ人が「婚活しなきゃヤバいと思った」とか、「私も絶対30までに結婚する」とか言ったりしてるのが、なんか私としては「え?」って違和感がありました。

主人公たちが33歳ですでに仕事で自立してて、飲みたいときにすぐ集まれる友達もいて、なのに結婚してないというだけで即不幸であるかのような描かれ方なのが納得いかなかった。ギャグ漫画としては最高におもしろいんですけど。2~3巻はとくに描かれ方がきつい……。

――自分の今いる状況に照らし合わせちゃうんで、解釈も読む人によっていろいろになってしまうのかなって私は感じました。あれを読んで焦ってしまう人は、結局は1つの価値観に流されてしまっているだけなので、ちょっと冷静になろうよ……と思うところもあります。

北条:たしかに、そういうふうに冷静に見られる時期の人もいれば、人によって、読む時期によって、仕事が微妙にうまくいってない人とかが読んじゃうと焦るんですよね、あれは。

作者の東村アキコさんも、あとがきでちゃんとよい言い訳をしてらっしゃるんですけど。それはやっぱり結婚した人だし、子供もいるし、成功した漫画家さんっていう高みから言ってる感じはありますよね。こんなこと言っていいのかあれなんですけど。

未婚の娘に「育て方を間違えた」と言う父親も

北条:石井さんとこの本(『本当は結婚したくないのだ症候群』)を書いてる途中に、石井さんと私、両方で身近な人が結婚したんですよ。結婚式に呼ばれて。石井さんは地元で呼ばれたんですよね。その感想とかももっと詳しく聞きたかったんですけど、忙しくてお互い聞けなくて。どうでした、地元の結婚式?

石井:私、福岡出身なんですけど、福岡のなかでも田舎のところだから、まだ「結婚してなんぼ」みたいのがすごく強くて。同じ高校だった、同じテーブルに座った子がちょうど婚活中で、人の紹介とかお見合いで真剣に出会いを探してるところで。

でも、うまくいってない、と。その子は実家暮らしなんですけど、家に帰るたび父親から「できそこない」とか「育て方を間違えた」とか言われるって泣きそうな声で話してくれたんですけど、これはつらいだろうなあって。

北条:すごく賢い高校なんですよ。だから、同級生は真面目な方が多いのかなという印象だったんですけど。

石井:そうですね。真面目な、いい子が多いです。

北条:そういうイメージでした。

――石井さんが地元に帰ったときに、結婚について聞かれたりしましたか?

石井:私はほとんど言われなくなったんですけど。

北条:けど、こんなタイトル(『本当は結婚したくないのだ症候群』)の本を出しちゃうと、なんか……。

石井:自分のFacebookに「こういう本を担当しました」って書いてPRしたいけど、Facebookにはすでに結婚して子育てしている人もけっこういるなかで、この本を「ポンッ!」って出すのは、うーんとか思っちゃって。

この本のメイン読者は独身の女性で、結婚しようかどうしようか迷ってるみたいな人に届けるためには、このタイトルはすごくいいなって感じてるんですけど。Facebookで私が「こういう本を担当しました」っていうのは……言い訳書かなきゃと思って。

北条:このタイトルだけで判断しないでっていうか。

石井:結婚してる人を否定するとかそういうわけじゃなくて、ただ、「結婚したいと積極的には思えないような人に向けた本なんです!」って言い訳を長々と書かなきゃいけない。

専業主婦のとらえ方は専門家によって意見が分かれる

北条:一時期、『くたばれ!専業主婦』という本が90年代に流行って。専業主婦叩きが流行る時期があったんですよ。『くたばれ!専業主婦』の「専業主婦論争」というのも、けっこうフェミニズムの通史としてあって。

「専業主婦をどう評価するか」っていうのは、女性のなかでも評価が分かれていて。学者の間でも意見が分かれている。「専業主婦の家事労働に対して、賃金をどう評価するのか」みたいな話とかも含めて、いろいろな意見があります。

「そもそも専業主婦制度自体が、女性を奴隷みたいなケア労働に押し込めてる」って言う人もいれば、「男性こそサラリーマン社会の奴隷」だとか、「家事労働に賃金払えばいい」とか、いろんな立場があって。

――結局、専業主婦論争って思い出話を語り出す人がいて、それぞれが広い視点を持てなくなってるから、もうぐちゃぐちゃなんですよね。

北条:ぐちゃぐちゃなんですよね。その間にエッセイストみたいな感じの方が私感で、『くたばれ!専業主婦』とか言ったりするから、論壇がもうぐちゃぐちゃになってて。

今もたぶんそうだと思うんですけど、安易にFacebookとかにあげちゃうと危険なタイトルですよね。「これ買いました」とかってFacebookとかに独身女子があげちゃうと、周りの人の心をすごくざわつかせちゃう本ですよね。タイトルが。

――うーん……。たしかにFacebookに載せるのは勇気が(笑)。友達が「いいね!」押すと、ほかの知人にも伝わりますからね。「いいね!押しました」みたいな。

北条:誰々の写真に「いいね!」しましたって出ますよね。

石井:北条さんがFacebookで新刊のPRをしてくださってたんですけど、それに私が「いいね!」したら、「いいね!しました」が、ほかの友達のところに流れていって。みんな、この本に興味を持ってくれて。それで買ってくれた人が2人はいるんですけど。

北条:めっちゃうれしい! 買った方は独身?

石井:買った方1人は独身女性で。もう1人は既婚男性で最近お子さんが生まれたっていう方。この本のインタビューに参加していただく独身女性を探すとき、協力してくれた方なんですが。

北条:けっこう独身女性に対して厳しい方でしたよね。

石井:厳しいです。「半分読んで、今のところは“本当は結婚したくないのだ症候群の女に説教したいのだ症候群男子”」ってLINEが届きました(笑)。グサッとくるけど、そういう声があるのもおもしろいし、ありがたいですね。「どう着地するのか楽しみ」とも言ってくれてます。

北条:ぜひ感想を聞きたいですけどね。

既婚男性は独身女性に厳しい

石井:なんかやっぱり男性は、結婚してない女性を批判したがる人が多い気がします。

北条:そうですね。本のなかでもまさに独身女性への目線が厳しいみたいな。本当厳しいなと思ったんですよね。改めていろんな資料を読み返していて。独身女性の風当たりって強い。「負け犬」って自ら言わないといけないぐらい風当たりが強いんだと、痛感しました。

その負け犬がまた論争を呼んじゃうあたりがもう、しんどい。独身女性の自虐芸すらメタな視点で見れない人がいるっていう。それが負け犬論争なんですね。

とくに既婚男性とかって、一部、めっちゃ独身女性に厳しい層がいるんですよ。ともかく「自由を謳歌しやがって」みたいなですね。

――「俺は一人前なんだ」って言って。じゃあ、部屋の掃除、片付け、家事、育児は全部やっているのかって。

北条:「本当に奥さんと分担してやっているの?」とか。まあでも、それが理想かどうかもわからないですよね。なにが理想かっていうのもわかんないので、たぶん叩きたくなるんだと思うんですけど。

――男性の人ってけっこう追いつめられてるところもあるのに、それを言い出せないし。女性はまだいろんな本が出て、「私だって結婚したいのよ」っていう主張も自由だし。なんだかんだいって「男の人が家事をしないなんて許せない」ってことを言っていい風潮ができつつあると思うんですよね。男性の場合は……。

北条:「働きたくない」ってあんま言えないみたいな。

――新卒から定年まで働き続けるのが当たり前のように見られる。そのなかで「イクメン」という言葉が出てきて。だけど、子育てしたくても、仕事もあるからじゅうぶんに協力できるわけじゃないとか。

北条:本当は子供そんな好きじゃないとかね。女の人も言いづらいですかね、それは。

――「子供が好きじゃない」っていうのは言うこと自体がタブーになってますね。私は他人の子供にそれほど興味がなくて、「赤ちゃんって本当にかわいいよねー!」って言われたときに「かわいいかどうかは、赤ちゃんの顔によるんじゃない?」って答えたいんですけど……答えにくいです(笑)。

北条:子供の容姿とかも批判しちゃダメみたいな空気ないですか? ぜったい「子供かわいいね」って言わないとダメみたいな。

――あります。あります。「かわいくない子供もいる」はタブーですよ。

モヤモヤを言語化させたかった

――青春出版社ってビジネス本を多く出されていますよね?

石井:新書は年齢層高めの、男性向けのコンテンツが多いです。私のなかで北条さんの書かれるものがおもしろいと思って「北条さんの本を出したいです」って、企画を何回か編集長に話したりしてたんです。

「たしかにおもしろいけど、この方に書籍で何を書いてもらうかが大事」みたいなことを言われて。ちょうど、シンデレラ・コンプレックスの話を書いているのを見かけて、電通のウラハラ・マインドの記事も読んで。

「結婚してない女性は何を思っているのか」みたいな企画だったらどうかなって考えたんです。北条さん、これまでに新書を2冊(『キャバ嬢の社会学』『整形した女は幸せになっているのか』)出されているから次も新書で出すのが自然、って話になって。

で、新書で出すときって年齢層が高めなのでそういう人がどういうことに興味あるのかというと、「イマドキの女が何考えてるかわかんない」みたいな。

北条:(笑)。一言で言えば、そうですよね。

石井:企画会議用の仮タイトルも『どこにもいない王子様を探さずにはいられない人々』っていう端から見たタイトルにして。それで、企画は通ったんです。最初に社内で企画を通してから著者にお話するって流れが多いんですけど、それで北条さんにこういう企画が通ったので、お願いしたいと打診をして。

ただ、上の世代の男性向けってなると、どうしてもやっぱり批判的になっちゃうから、そういうのがちょっと私自身も気になると。1回会ってお話しして、どういう感じでいくかを相談したいっていうのをメールでやり取りしてて。

お会いしたときに、こっちがなんとなく「これでよいのかな? こういう出し方でよいのかな?」と感じていたことを北条さんもやっぱり考えていらっしゃって。

女性批判とかやりたくないし、応援するような同じ目線でなにかメッセージを伝えるとか。みんながモヤモヤしてることを、同じ世代のライターさんに言語化してほしかった。

「結婚」をテーマにした書籍というと、「結婚するには、どうしたらいいか?」というような、上の世代の人が書いたハウツーはけっこう多いと思うんですけど、同じ目線で言うのがなかなかない。

あとは、自虐的なものとか、「結婚しない私」を笑いに転化したものとかが多いから。そういうのじゃなくて、「モヤモヤを言語化する」だけでもじゅうぶん、読み手としてはけっこうスッキリするだろうって話で、そういう感じでやっていきましょうと。

なので、社内の会議では新書として企画が通ったんですけど、女性エッセイの棚に並ぶように判型を四六に変更して、タイトルもガラッと変えて。

北条:180度、目線が変わりましたよね。遠くから分析するっていうよりも、声を普段発さない独身女性達の声をすくいとる、みたいな企画になりましたよね。

恋愛をしたくない人もいる

石井:恋愛とか結婚とかに関する本ってたくさん出てるんですけど、大前提としてみんな「恋愛したい」「結婚したい」ってなってて、「じゃあ、どうするか」って具体論になるんですけど。そのへんの前提の部分って、どうなのかなって。

北条:個人的には全然「恋したい」とか思わないんですよ。昔はアイドルに恋い焦がれるとかはあったんですけど、それって憧れとかの感情であって。高校の時、先生を好きになるとかもありましたけど、今思えば恋愛感情より、憧れの感情が多かったのかなと。

それと結婚したいとか、恋愛を繰り返していたいとかっていう感情とはまったく別だと思うんですよ。恋愛の自己啓発本とかも、サンプルとしては読んでいたんですけど「じゃあ、このテクニック使おう」とか自分はならなかったのに、そういう本はいっぱいあるわけじゃないですか。

「自分みたいに、恋愛をあんまりしないタイプもいるんじゃないか?」って思って石井さんとお会いしたら、石井さんもけっこうそのタイプ……タイプって言ったら失礼かも知れないですけど、似たものがあったんですよね。

「恋、しなさいよ」って言われると「えっ」と思ってしまうところが(笑)。

――「恋をしなさい」は、バブルを経験した人が言う場合が多いですね。「若いうちはさぁ……」というふうに。

北条:そうなんですよ。

本当は結婚したくないのだ症候群

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