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数理最適化のエキスパートが断言「AIブームで見落とされがちな重要技術」 1,300社が導入した「演繹的AI」が意思決定を変える
Altruism (全1記事)
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人間がなぜお互いに助け合うのが好きなのか考えたことはありますか? 例えば、嫌なのに友達が引っ越すのを手伝ってあげたり。
また、蜂はなぜ自分を犠牲にしてまで侵入者を刺し、巣を守ろうとするのでしょうか? なぜ吸血コウモリは今日なにも食べていない仲間の口のなかに逆流させた血液を入れてあげるのでしょう? きっと、優しいコウモリなんでしょうね。いろいろな意味で気持ちが悪いですが。
実はそれはとても大きな疑問に繋がるのです。長い間科学者たちを困惑させてきた問題です。
チャールズ・ダーウィンは、この利他的な態度は彼の自然淘汰の理論を崩す可能性を持っていると考えました。

もし適者生存のゲームならば、自分が生き残る可能性を低くしてしまうような自然淘汰は行われないはずです。ダーウィンは蜂の巣を研究して、働き蜂は彼らの血縁者、とくに女王蜂を助けていたのがわかったので、自然淘汰は関係する集団のなかでの利他主義を好むのだろうと気づいたのです。
100年後の1964年、イギリス人科学者のウィリアム・ハミルトンはとうとう答えにたどり着きました。

もし遺伝的関連性とその行動によって得られる利益の相乗効果が、支払う代償よりも大きいのであれば、彼は利他主義がその特質を発展させることができると考えました。
言いかえると、行動のいくつかは遺伝と関わっているので、遺伝子はその個体の価値がほかのどんな代償よりも高ければ、利他的な行動を発展させることができる役割を持つということです。なぜなら、その個体が血縁者を助けることは十分価値があることですからね。
ハミルトンは、ダーウィンの唱えた適応性の考えを発展させ、ほかの血縁者の子孫も含めて基本的に何匹の子供を作るのかという考えを提唱し、これを包括適応度と呼びました。まず手始めに、それは蟻の巣のようなものだと説明したことで、ハミルトンの考えはほかの科学者に衝撃を与えました。

蟻は実質的には自分の人生というものを持っていません。すべては巣のための行動なのです。そして働き蟻は、自分たちの遺伝子の4分の3を共有しています。実際、彼らは自分の子孫よりも姉妹蟻のほうがより関係性が近いのです。
ハミルトンの説によれば、それぞれの蟻は巣の生き残りのなかで、非常に大きな遺伝的権利を持っています。
それでも、ハミルトンの考えでは「なぜ動物が血縁関係にもない相手を助けることがあるのか」を説明してはいません。
人間を例にとってみましょう。人間とはとても社会化された動物です。そして非常に利他的でもあります。
実際、多くの科学者たちは人間が無私無欲の行動をとった場合に得られる利益に応じて、自分たちの大きくて、とても賢い脳を発達させることができると考えています。
分け与えることや協力し合うことは精神的にとても重い負担になるためです。本当ですよ。どこかの3歳児に聞いてみるといいでしょう。
でもよく考えてみれば、私たちがどうやって利他的になっていったのか、その自分勝手な理由はわかるはずですよね。
友達の引越しを手伝うことは最悪なのに、あなたが友達を手伝うのは、いつかあなたが引越しをするときにその友達が手伝ってくれるだろうと考えているからでしょう。
もしくは、その友達が君の車のパンクしたタイヤを交換しに、田舎まで車で来てくれるかもしれないと考えているからなのです。
コウモリに関しては、仲間に血を与えてあげれば、いつか自分がなにも食べられない時に、誰かがやってきて自分に血を与えてくれるかもしれないと考えるからです。彼らは同じことを誰かにしてもらえて、そしてまた自分が与えて、また誰かにしてもらって、と予想しているのですね。
ハミルトンの説はそういった物事を複雑にするような行動を説明できていません。彼の理論は、科学者ならわかるように、とても素晴らしくて心地よいものだからです。でもあなたたちは、あとで褒美がもらえるとわかっていて、他者と協力して資源に群がる本能に対抗できれば、きっと蟻や蜂、コウモリのように行動できるでしょう。それで私の心は温かくなるのです。
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