2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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はあちゅう氏(以下、はあちゅう):今日は熱気があってうれしいですね。
経沢香保子氏(以下、経沢):今日のゲストは鈴木おさむさんですが、はあちゅうは、どうやって出会ったの?
はあちゅう:『伝え方が9割』の佐々木圭一さんと、あと○○という子と、おさむさんでご飯を食べたのがきっかけです。
おさむさんはとにかく顔が広くて、私の知り合いと全員がつながってるぐらい仲よしな人が多いんですよ。ラジオにも何回か呼んでいただいて。
今回は、おさむさんもなんですけど、もう1人この本の担当編集者さんともつながっていて。『編集会議』、みなさん読まれました? 私、ちゅうつねにいちおうリンクを貼ったんですけれど、『編集会議』で特集もされた箕輪(厚介)さんという編集者がいるんですね。
経沢:噂の、堀江さんとかも手掛けた。
はあちゅう:イケダハヤトさんのマガジンでもコラムを書かれてるんですけど、新人編集者って売れっ子の作家や大物著者を担当するのってすごい大変なんですよね。
そんななか、最初にアタックしたのが見城(徹)社長で。次、堀江(貴文)さん。そのあと、おさむさん。どんどんどんどん。私よりたぶん若いんですけれど、超大物の本をどんどん作ってヒットさせている編集者で。
経沢:私のところにも来ないかな?
はあちゅう:あ。来てくれるんじゃないでしょうか。今日は、そのおさむさんがお話してくれて、箕輪さんがお手伝いをしてくれるので、みなさんちょっと気合いを入れて聞いてください。
経沢:そうですね。楽しそうです。じゃあ、鈴木おさむさん、よろしくお願いします。
(会場拍手)
鈴木おさむ氏:僕は昨年子供が生まれまして、今「父勉(ちちべん)」って言って、お休みさせてもらっているんですけれど。
ようやく半年ぐらい経って、自分のなかでもペースがつかめてきまして。それで、この本(『新企画』)を今回作ったんです。
なぜこれを書いたかというと、僕、今放送作家業というのをお休みさせていただいてます。で、毎日料理を作ったり、育児をやってます。そういうなかで、妻と子供がだいたい夜に寝るんですけれど、寝たあとに自分でなにかできないかと思って、たまたま本の話を箕輪君からいただいたので、書いてみようかなと。
僕は放送作家をして25年経つので、今回この本『新企画』は、企画術の本ですが、それだけ出すとすごいインチキ臭いので、実際に僕の新企画も本のなかで発表して、それとともに企画術を紹介しています。
今回はこの『新企画』を教科書に、企画術講座をします。この本で発表している新企画の内容と、それにまつわる企画術を伝授していきます。
では早速、企画2「恋愛再現バラエティ『50キュン—GOJUKYUN』」。この本のなかで一番好きな企画。これが一番技術としては使いやすい技術を使っています。先にどんな企画かを言いますね。
僕が今年44歳になるんですけれど、気づくとドリカムの吉田美和さん、ダウンタウンさん、ウッチャンナンチャンさんがいよいよもう50代に突入。桑田佳祐さんとかユーミンさんになると、もう60歳過ぎてる。
でも、そういう50代の人たちというのは非常に元気がいいんですね。バブルを経験している人たちなんです。
そのなかで僕は50歳こそ胸キュンしたいんじゃないかって思ってるんです。つまり、恋したいということですね。
どうしても50代の恋愛って取り上げると、ドロドロした、それこそ不倫とか重めの恋愛を取り上げそうなんですけれど。この企画は違います。
これを作ったきっかけが1個ありまして。僕がとあるバーに行ったら、51歳の女性がずっと付き合っていた年下の男と別れたという話をバーで大号泣しながら喋ってるわけですよ。
それを見た時に、「50代でもこんなに普通に恋をして、こんなに目を腫らして泣くんだ」って思ったんです。
その時に「50キュン」といって、50歳の人がキュンとできる恋愛再現ドラマを作って見せていくという企画を思いつきました。
出演はトレンディドラマ全盛の、W浅野さん、三上博史さん、陣内さん、賀来千香子さん、布施博さんなど、そういう人たちがいっぱい出てきて、曲もその頃のユーミン、サザン、達郎さん、ミスチル、ドリカム、渡辺美里とかそのへんがいっぱいかかるというものなんですけれど。
例えば、この本のなかに簡単な例も書いてあるので、読みますね。少し恥ずかしいんですけれど、これは全部、僕が書いたものです。
「同窓会」。テーマ曲、サザンオールスターズ「涙のキス」。
20年ぶりに高校の同窓会が開かれる。50歳記念で開かれた同窓会。アツコ。これは浅野温子さんのイメージです。アツコは、昨年離婚したばかり。心労の多い1年だったが、なぜか同窓会にワクワクしてしまい、ダイエットして体を細くしたりする。
そして同窓会当日。みんな歳をとった。が、野球部のキャプテンだったヒロシは、メタボな体型でもなくカッコいい。あの当時の雰囲気が残っている。ヒロシは仕事一筋できたため、結婚するタイミングを逃したのだ。
みんなお酒を飲みながら懐かしい思い出話に花が咲き、アツコはついに言ってしまう。「私、あの頃のヒロシ君のこと好きだったんだよ」と。すると、ヒロシは言う。「えっ、俺も」。
同窓会は終わり、みんなで慣れないLINEを交換。アツコとヒロシも慣れない“ふるふる”で送り、ちょっとドキドキ。
帰りの電車。スマホのLINEにヒロシからのメッセージが。そこには書いてあった。「今でも好きかも。いや、今日また好きになった」。「涙のキッス」を聞いて、恋していたあの時の気持ちが蘇る。
これ43歳のおじさんが書いたんですけれどもね(笑)。もう1個。
「元カレ」。テーマ曲、松任谷由実「リフレインが叫んでる」。
ユウコは惣菜屋でパートしている。結婚して20年。旦那は不倫しているようだが、それに腹を立てる気持ちすらなくなった。子供も大きくなり、つまらない日々。
すると、ある日惣菜屋にやってきたのは、大学時代の元カレ、ユウジ。2人、目が合い気づく。ちょうどユウコもパートを上がる時間。家までの帰り道、ユウコとユウジは話しながら帰ることにした。
ユウジは離婚して引っ越してきたのだ。離婚は奥さんに一方的に切りだされ、自分の浮気が原因ではない。
この日、ユウジが買ったのは肉じゃが。ユウジは昔から肉じゃがが好きだ。ユウコは言う。「まだ好きなんだね、肉じゃが」。あの時、結婚する約束までした2人だったが、彼のたった1回の浮気で別れてしまう。
歩きながら付き合った時の思い出話をして笑う2人。ユウコ「あの時別れてなかったら、どうなったんだろうね」。ユウジ「結婚してたかもな」。
ふと彼の家の前に着いた。小さなマンション。ユウコは思い切って言う。「今度は家で作ってあげようか、肉じゃが」。30年ぶりに恋のリフレインが叫び出す。
はい。こういうのを、書いてあるんですけれど。こんなストーリーを10分15分ぐらいで作って見せられないかという番組企画です、簡単に言うと。
この本は、こういった企画のあとに解説と称して企画術を明かしています。この章の説明ブロックでは「器を変える技術」という企画術を紹介しています。
みなさん企画を作る時に0から1というのにこだわり過ぎてるんです。0から1って確かに大事なんですが、僕はそれよりも、0から1の、その1で生まれたものをどう見せるか、というのにすごくこだわるんですね。0から1作ったのはいいけど、それが認められないこともすごくあるんです。
僕がこの「器を変える技術」というのを学んだのは、始まって20年になりますけど、『SMAP×SMAP』という番組が1996年に始まって。あの頃はまだジャニーズのアイドルの人たちが、ゴールデンで番組をやって当たる、ということがなかったんですね。
「光GENJI」のブームもあったんですけど。ジャニーズの人たちがゴールデン番組で自分たちの冠番組をやって当たる、ということがなかったところで、SMAPという当時ものすごいぐわーってきた、世間を席巻した人たちで番組を作ることになった。
ですが、プロデューサーの荒井(昭博)さんという方がいるんですけれど、その時に言われたんですね。
僕は、お笑い番組とかをやってたので、やはり0→1という「見たことないものを見せてやろう」という感じのことをすごくやっちゃうタイプだったんですけれど。「おさむ、違うんだよ」と。
SMAPという人たちが世のなかに出てきたと。当時は90年代です。スノボが流行り始めてました。それまではスキーがあったんですけど、「ダサいから、スキーやんねーよ」ってところから、ちょっと変えたスノボが爆発的にブームになった時で。
ディスコを80年代にやって、「ディスコ、ダセー」というところからクラブというものができ始めた。クラブのブームはそこからずっと続いてます。
でも、要は「器が違うだけじゃん?」ということなんですね。だから、今までいろんな芸人さんがやってきたバラエティをSMAPという器に乗せることで、おもしろさだけじゃなくて、かっこよく見えたり、おしゃれに見えたりしたいんだと。
だから、「SMAPという器に、どんなものを乗せたらいいかを考えてほしい」って言われたんですね。
なるほど、と。それを聞いてから、「じゃあ料理やったらどうなるんだろう?」「歌もこういうふうに見せたらどうなるんだろう?」普通だったら歌を見せるんだけども、「そこにCG足したらどうなるんだろう?」とか、器を変えて見せるということを学びました。
器を変えて見せると、もう本当にありふれたものが変わって見える。僕はよく言うんですけれど、みんな本当に0→1にこだわってるところがあるんですが、同じほうれん草でも、和食の器にのせるのと中華っぽい器にのせるのではぜんぜん違いますよね。だから、「器を変える技術」ということが非常に大事なんじゃなかと思って言っています。
水は、僕らが中学の時はとてもじゃないけど買うものじゃなかった。「水なんか買うか」と。ようやく80年代、烏龍茶というのが商品で出てきて、お茶を買う時代になった。そのあと、水を買う時代になった。
僕は個人的に一番器勝ちしてる商品は、「い・ろ・は・す」だと思う。「い・ろ・は・す」をつい買っちゃう。「い・ろ・は・す」の水をそんなに求めてるかというと、そうでもない自分がいるんですけど、くしゃっとなったり、あのしゃれた感じというところに手が出ちゃう。
それが「器を変える技術」ということでございます。
次は、企画3「究極の人生クイズ番組『クイズ最高の一問』」です。これは、簡単に言うと、みなさんの人生で1問だけクイズを作ってくださいというもの。
4人で麻雀テーブルみたいなところに並びます。いろんな人生を背負ってきた人が。例えば、30年間脳外科として働いたスーパードクターもいれば、最高裁判官をやっていたり、巨額の脱税で捕まった人とかね。堀江さんみたいな。堀江さん脱税じゃないけど(笑)。
そういう人もいれば、例えば50年間サラリーマンとして普通に生きてきました、という人たちが4人並んで、あなたの人生で1問だけクイズを作ってくださいと言うんです。それで、その人たちがクイズを作るまで1週間追いかけます。多分1問と言われると、悩むと思うんですよ。
その人たちが集まって、「クイズ最高の1問」といって、みなさんが人生のなかから1問だけクイズを出して、どの問題が一番素敵だったかというのを品評しあうという番組です。
この企画のいいところは、スーパードクターとか、芸能人とかよりも、もしかしたら普通に50年間生きてきた人のクイズのほうが素敵かもしれない。人生の価値、人生の意味とは、見方によって違うんだよ、ということを見せられるというところです。
僕はブログで「みなさんのクイズの最高の1問を教えてください」と書いたことがあったんです。そしたら1個おもしろいのがあった。
奥さんが、ずっと病院で付きっきりだった最愛の旦那さんがいた。でも、最期には死んでしまった。そしたら、家に帰ってくるじゃないですか。
「家に帰ってきた時、最初に思った気持ち。さあ、これはなんでしょう?」これが問題。
正解は、「やっと布団で寝れる」という。これ、やはりどれだけ愛していても、どれだけ悲しくても、ずっと看病してずっと寝れないから、人間の本能で睡眠欲というのがあって、それはやっぱり本能が勝つんだというのを、その人は出題してくれた。1人の主婦です。すごくおもしろいですよね。
ほかの人でこんなのもありました。病院で出産した時、有線が流れているんですって。それで、「子供を産んだ瞬間に有線で流れていた曲はなんでしょう?」というクイズ。当たるわけないんですけど、その曲を聞いた時に「なんでだよ!」と思うような曲ですと。
正解は、「蛍の光」という(笑)。生まれた瞬間に閉店になっちゃったというのがあった。非常におもしろいですよね。
そうやって、クイズを出しあう番組なんですけれど。これ、僕が一番大事だと思うのは「制限をつける」ということ。一番簡単なテクニックですが、例えば、買い物の企画でも1時間でしてくださいとか制限をつける。テレビの企画の基本中の基本です。
この企画でいえば、クイズの問題を1問に絞る。これが多分10問だとおもしろくないんですよ。でも、1問だと、普通の主婦の問題が最高裁判官の問題に勝つ可能性がある。それがやっぱりすごくおもしろいところ。制限をすることで非常におもしろくなるということですね。
これはテレビのことだけじゃなくて、例えば旅に行くとみなさん本当にどこに行っても、スマホでずっと撮ってる。もう目で見てるのか、カメラで見てるのかわからない方が多いですけれども。
そんなときに思うのが「1ヵ所1枚しか写真を撮っちゃいけないルールにしない?」とすると、まずそこで会話が生まれますよね。
1枚と言われると、写真を撮りたい気持ちは変わらないけど、ずっと「こうじゃないかな? こっちにしようかな?」となる。1枚と言われたことで見方が変わるし、人との会話が生まれたりする。
だから、テレビもそうですけど、ゴールデンで予算が無尽蔵にあった時代よりも、今みたいに制限をつけられるからこそ、おもしろくなるっていうのがすごくあります。
僕は今、『お願い!ランキング』という番組をやっていますが、始める前、極秘で呼ばれたわけです。「ちょっとお願いがあるんだ」と。1時間の番組を帯で作る。月曜日から金曜日。ただし、条件がある。芸能人は出さない。予算はすごく安いです。
そう言われた時、僕は「無理です」と言ったんですね。「そんな予算も安いし、芸能人も出ないなんて無理ですよ」みたいな話をしていた。
でも、すごく考えました。僕はそこで1個だけ聞いたんです。「スポンサーはどうなってるんですか?」と。で、「スポンサーは気にしなくていい」と言われたんですよ。そんなことはなかったんです、今まで。
僕が非常に好きな雑誌に『家電批評』というのがあるんです。見るとわかるんですが、新発売したテレビとかについて、好き勝手に書いてあるんですよ。いいものはいい、悪いものは悪い。
僕があれをすごく好きなのが、毒が入ってるだけじゃなくて、いいものはいいと言ってるんですよね。だからすごく信じたんです。
『家電批評』は非常におもしろいんですが、テレビではできない。なぜなら、スポンサーがあるから。だいたい電化製品は入ってますよね。だから、それができない。
こんなにおもしろくて、世のなかが求めてるはずなのにできない。だったらということで、そのグルメ版ができないかということで、『美食アカデミー』というのを考えたんですね。
例えば、セブンイレブンのお弁当を全部美食家の人たちが食べて、それで好き勝手言ってランキングをつけるとう。
以前の番組だとランキングをつけたとしても、上位ベスト3とかなんですよ。でも『美食アカデミー』では10品食べて、10品の順位をつける。つまり最下位が決まるんです。
普通、それまでのテレビでは「なんで最下位をテレビで言わなきゃいけないんだ」という話になるんですけども、僕はそこにこだわりまして。
要は『家電批評』と同じで「悪いやつを言うから、いいやつを信じるんじゃないか」というのを僕は非常に強く言ったんです。
それまでのテレビって、商品のランキングを発表する時、いいやつしか言わないから、多分、世のなかの人は「どうせこれは、いいやつしか言わないんだろう?」と感じていたと思うんです。だから「悪いものもを言うからこそ、いいものを発表した時に信じるんじゃないか」というのを僕はすごく強く言ってました。
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