2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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山田玲司氏(以下、山田):しかもだよ、(『おそ松さん』の最終回に出てくるのが)敵が謎の宇宙人(笑)。もう、これはあれですよ。使徒ですよ。で、『進撃の巨人』ですよ。つまり、もう誰と戦ってるのかわかんないんだよ。
乙君:あー、はいはいはい。
山田:ロボットだったり、顔が同じ人たちだったり。最後はほんとに、謎の光線を打つ謎の宇宙人と戦っている。だから、現実から遊離してるファンタジー空間。もう、あれ70年代だよね、ヤマト発進も。
だから、70年代っていうのは、4畳半からスタートして、ヤマト発進して、銀河の果てに飛んでいくんだけど、それのパロディをやっている。
そこで何をやっているかっていったら、天下一武闘会を甲子園のかたちで。全部がパロディなんだけど、辛辣なパロディをぶち込んでるね。すさまじいよね。
そこで最後にモチベーションを上げるのは、勝ったら自分と一発ヤラしてくれる女の子っていう。結局、リビドーかよっていうところで。
それで最終的にはどうなるかっていうと、宙をさまよう。着地できないっていう。
乙君:うんうん。
山田:宇宙空間をさまってしまうって、『ジョジョ』にあったらしいよね。宇宙をさまよい続けるキャラクターが、いるらしいじゃん。
しみちゃん:あー。
乙君:なんだっけ、それ。
しみちゃん:カーズだ。
乙君:カーズか。
山田:まあ、おれ見てないからわかんないけど。
乙君・しみちゃん:(笑)。
山田:つまり、ポストモダンっていうね。これ、後半の小山田いくさんの話につながる話なんですけど。
本当に、えっ、じゃあ、理想郷、終わらない日常、パラダイス、ディズニーランドみたいな国ニッポン、みたいなものの果てには、ずっと着地できない宙ぶらりんのなかで、最後終わりっていう全裸の兄弟がいるじゃん。あれ、終われないよね、あれじゃね。
だから、「あの状態におれたちいるよな」っていうのをぶち込んできたっていうので、「おいおいおい、ちょっとマジか!」って思って。「最高じゃねえか!」っていう。
そういう、なんていうのかな、1個1個つっこみどころは満載なんだけど、とにかく、けっこうな風刺としてのギャグ漫画っていうのを見たなっていう。昔はこれをいろんな人がやろうとしてて、「えっ、このタイミングでできんのか」っていうのが、ちょっとすごいなっていう。
着地できないっていうのはどういうことかっていうと……。しかも、あれね一発ヤるって言ってね、「すいません。無理です」って言って終わってんだよ。これ、あれですよ。2007年問題ですよ。乙君さん。2007年ですよ。
乙君:あーー! はいはいはい。
山田:なんですか? 繁殖は?
乙君:うん。
山田:できません。つまり、日本は終わりなんですよ。繁殖できないんですもん。だからこれ、なんかの一発が入ったなっていう、バーンと壁が入ったなっていう。
乙君:あのね、……なんかその、漫画が風刺だと。
山田:漫画は風刺だよ。
乙君:それはいいんですけど、『おそ松さん』を、途中からたぶん、ただただ『おそ松さん』が好きなふうに見てたんだな、と思って。
山田:あー。
乙君:別に風刺とかどうでもいいんですよ。
山田:キャラ萌え?
乙君:キャラ萌えっていうか、あの6人の、それぞれのなんかね、男の子たちのくだらない日常っていう。
山田:あー、いや、正しい見方だよ、それ。
乙君:いや、だからなんですよ。だから、おれ、最終回、はっきり言わなかったけど、あんまりおもしろくなかったんですよ。なぜなら、そんなにしっとりさせなくてもいいけど、人情ものとしてまとめてほしかったなっていうのがちょっとあって。
あれでバーンと打ち上げ花火みたいに、「着地点ないよね。おれたち、浮遊する子だよね」ってやってもいいけど、なんか、そんなことを求めてたのかなあという乖離は、たぶんあると思うんですよね。
山田:うんうんうん。
乙君:これは、おれ、何を言いたいかっていうのは別にないんですけど、さっきもコメントであって、「風刺はいいんだけど、おもしろくなかったら意味がない」みたいな。
たしかに風刺にしてはちょっと乱暴すぎて、玲司さんぐらい読み解けたら、まあ乗っかれるけど。なんか、そんなにそんなに、なんだろうな……、うん。
山田:最後だからできるっていうのはあるんじゃない。
乙君:最後だからできるっちゃできるんだけど、まあ、『おそ松さん』っていうのは、おまえらが思ってるようなものじゃないぞと。あとからね。腐女子とかも含めて、みんなが乗っかってきて盛り上がってるのを、全部裏切ったんだなと思ったんですよ、おれは。
山田:うん。
乙君:そういうアニメーションだったんだよ、風刺なんだよって。まあ、そのにおいはしたんですけど。
山田:最初からしてたでしょ?
乙君:最初からしてた。
山田:1回目からそうだもん。
乙君:そうなんだけど、なんかこう……。いや、これは、今おれが感じたことなんですよ。これって。だから、おれ、人情好きなんだなって思って(笑)。
『おそ松さん』の日常で、『おそ松さん』の1人ずつのキャラクターの。だから、一人ひとりの、やっぱりあの、十四松の恋とか、そういうあったかいやつ。
山田:花の精は?
乙君:花の精も良かったですよ。
山田:好きそうだもんね(笑)。
乙君:チビ太のやつでしょ?
山田:チビ太の花の精(笑)。
乙君:とか、なんかそういうので安心したいんだなって思って。
山田:いや、わかるわかる。
乙君:だから、着地点を求めてるのはこっち側なんですよ。
山田:そのとおり。
乙君:そんなことを風刺で言われなくても、別にみんなわかってて。
山田:まさにそのとおり。そういうことだよね。
乙君:古典のコンテンツがそれをやるから、みんなもそれに乗っかれたわけで。
山田:そうそうそう。
乙君:ってなって、そこらへんの見てる側とクリエイターのちょっとした乖離っていうのが、もうちょっとバシッと合っても良かったんじゃないかな、なんていうのが。
山田:いや、だから、おれがよく、前、『Cバージン』でよく言っているボケとツッコミなのよ。きみはボケが好きで、おれはツッコミが好きなわけだよ。だから、そんなわけねーだろっていう。
乙君:うんうん。
山田:だって、あのお父さん1人で、どうやって食わせていくのって。このあと、どうすんのって話もあるわけじゃん。でも、終わらない日常がいいに決まってるんだよ、やっぱり。っていうところの、強烈なツッコミを一発入れてたっていう。
でも、それも実はみんなわかってて、見てる側もわかっててさ。だから、非常に自虐だったなっていうか、大人だったっていう。
アニメの世界で、最初にびっくりするほどルックスがいい学園っていって、BLになっちゃったアニメ業界っていうのを、まず茶化すところから始まってるんだけど、あれって内部の人間が茶化してるからいいんだよね。
乙君:うんうん。
山田:内輪なんだよ。だから、同じ村の人間同士が「やってるよな(笑)」みたいに感じるわけだよ。だからいいんだけど、あれさ、外から言われたらムカつくでしょ、本来は。
乙君:まあね。
山田:「バカにしないでよ」ってなるんだけど、でも、違うんだよ。人気声優の人たちが、自分たちもやってんのにそれをつっこんでやってんだから(笑)。だから、自虐なんだよね。
それをずっとひたすらやり続けてきてたなっていうのと、でも、やっぱり秀逸なのが、おれが好きなのは、じょし松さんとトト子。やっぱり最高だなと思う。
だから、あの6人のニートたちを性的対象も込みでめでている、安全圏にいる女子たちっていうのを、同じステージに出してしまうっていうさ。で、そこで、また自虐の笑いをするっていうかさ。
だからもう、誰も逃げられないんだよね、あれね。見てる側を巻き込んで、みんなで自虐でアッハッハって。「痛いよね、うちら!」って言って笑うっていう、そういう種類の救いだったんだなって。
乙君:なるほど。つまり、こういうことですね。
乙君:あれっ? ない!
(一同笑)
山田:言ってや、そういうの!(笑)。これ、おいしいとこだったのに!(笑)。
乙君:そうだったねー(笑)。
山田:だから、それぐらいアニメ見てる人のリテラシーとか、レベルが高いんだよ。だから、今さら教育なんかされたくないんだよ。
乙君:いや、教育とかじゃないんですよ。
山田:ないんだよ。そうそうそう。だから、それぐらい自虐、みたいな。トト子のさあ、「石油王と結婚したいです」って言うのがさあ、でもあれ、ほんとにシャレになんないぐらいあのマインドってあるじゃん(笑)。
それでさ、「語学留学です」って言って、すぐホームシックになって帰ってくるとかっていうの。あれ、だから、ニートが自立しなきゃいけないっていうのと、トト子の自立っていうのの対比で見せてるんだけど。
乙君:だから、たたみに入ったあと思ったんですよ。前回の前回。最終回よりも1個前。トト子をたたんで、最後、6人をバラバラにして、そんで、それぞれの現場でもう1回、またいろいろあって、戻って来るっていう話かなって思ったら、バターンってやられたなっていうだけの話。
山田:そうね。
乙君:ぜんぜんいいんですよ。
山田:その前にさ、お笑い芸人になりたい人たちのパロディもあったじゃん。
乙君:お笑い芸人になりたい人……、あーー、あったあった! イヤミのやつ!
山田:で、「お笑いとかやりたいんす」「おれキャラでいきたいんす」とか、なんかありがちなお笑い芸人になりたい若者に対するツッコミっていうの。ああいうスタンスだよね。
見ている人たちすべてのいろんな属性について、いろんな痛いところをついて、「あるよね」って言って笑うっていうやつなんだよね。これって、やっぱりさ、大衆演芸っていうかさ。
乙君:うんうん。
山田:それであそこのところまで、最終回に至るところで、ややアート入ってますっていうさ、そのバランスがいい、すっごく。全力アートだったらついてこれないんだけど、最後ついてこれなくなるぐらいが、ちょうどいいっていう。
乙君:なるほどね。
山田:おれはそう思うね。そこでゴージャスなかんじになるというかさ。
乙君:ゴージャス?
山田:だから、ただの娯楽じゃなくって、ここまでいってくれたんだ、覚醒入ったなっていう。
乙君:あーー!
山田:そうそうそう。
乙君:好きなやつね。
山田:おれの、そう。だから、覚醒強すぎると薬くさくって飲んでもらえないから「娯楽も大事よ」みたいな話だよね。そんなかんじっすよ。
乙君:ありがとうございました。
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