2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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荒川和久氏(以下、荒川):いわゆるペット型ロボットとかサポートロボットって、やっぱり高度なAI(人口知能)がないとできないもんなんですか?
青木俊介氏(以下、青木):いえ、そんなことないと思います。Amazon Echo(注:声で操作する円筒型の人工知能スピーカー)って最近売れているみたいですけど、あれも音声で決まった言葉は認識してくれるので。最初はそういうところからじゃないかなと思いますね。
自由に会話するって今の技術だとじゅうぶんな物も作れないので。会話を楽しくする、盛り上げるって相当ハードルが高いので。そういう個人向けのアシスタントロボットみたいなものは近い将来出てくると思います。
荒川:単身世帯が増えていく中でそれが増えていくと、よりパーソナル化しますよね。据え置き型でもいいんですが、一番その人を良く知っている存在になるじゃないですか。データの使い方にもよると思うんですけど。
そうなってくると、コミュニケーションはすべてロボット同士がやってあげて、人間がそこに乗っかるだけみたいな形も出てきたりしないですかね?
青木:それは超アリだと思いますね!
荒川:例えば、口下手な男性がいたとして、だけど自分のロボットには全部正直に言える。うれしいことも辛いことも、何に興味があって、何をやりたいと思っているか、とかも。だからロボットは彼のことは全部わかっている。
で、こっち側にまた口下手な女の子がいて、彼女のロボットみ彼女のことを全部わかっている。すると、ロボット同士が「お前と俺、合うんじゃね?」と、その男女のマッチングができるという。
青木:あはは! いや~それ良いと思いますね。昔だって近所のおばちゃんが若い男女の仲を無理やり取り持ったら、お互い実はまんざらじゃなくて、結局くっつくみたいな形がありましたもんね。たぶん、全員が全員恋愛に積極的じゃないじゃないですか。
だから、なんかもう流れでくっついちゃう、ってたくさんあったはずなんで。そういう役割をロボットがやれたらめちゃくちゃおもしろいですよね。
荒川:そうですよね。家にはこのロボットがいて、1年、2年付き合えばその人間のことを一番よく理解しているロボットになっている。
それが、ネットを介して他のロボットとコミュニケーションしてくれる。ロボット同士のオフ会みたいなものでつながってくれて、「お前と俺合うね」と。ロボットなので嘘もつかないし、見栄も張らない。で、もし本当に気が合えば実際に会えばいいし。
青木:ロボットが勝手にミーティングをセッティングしてくれるということですね。
荒川:そう、ロボットが勝手にやってくれる。しかも日本だけではなく、全世界から見つけてくれるみたいな。「あなたの一番理想的な人はアフリカにいました」とか。
青木:偶然の出会いまで装ってこう、勝手に(笑)。
荒川:逆にそれは男女の仲だけでなくても、友人や仕事仲間とかいろいろあると思うんですよ。趣味の仲間とか。そういうのがあると絶対楽しいと思うんですよ。
青木:いや~それは絶対良いですね。
荒川:青木さんが以前に答えていらっしゃったインタビューで全く共感するなと思ったのが「大切なのは技術ではなく人。人が心地よいと感じるものは何百年も変わっていない」という言葉で。
要は心地よいと感じるものを技術でどうにかしなければいけないのに、技術優先というのは違うんじゃないかという話をされていて、まさにその通りだなと思いました。
青木:そうですね。
荒川:Pepperを開発したソフトバンクロボティクスの吉田(健一)さんも同じことをおっしゃっていて、「人間が幸せになるためにロボットはいる」と。感情を理解できて、かつ自分の感情を持っているロボットが理想なんです、と。
青木:なるほどなるほど。そっか、おひとりさまもやっぱり「異性とつながりたい」という気持ちはあるんですよね?
荒川:あります。
青木:でも、それを行動には起こさないと。
荒川:はい、行動に起こせない。起こすのがめんどくさい。起こし方がわからない。
青木:なるほど。そうですよね、だって学校で習いませんもんね(笑)。
荒川:先ほど青木さんがおっしゃっていた“おせっかいおばさん”って、今、圧倒的にいなくなっていますし、昔は会社がそういう役割を担っていた部分もありましたよね。
良いか悪いかは別にして、大企業が採用するのは大卒の男性と短大卒の女性で。女性に対しては「腰かけでいいから男性社員と結婚してください」という。
青木:そうですよね。そういうシステムがなくなったのは大きいですよね。
荒川:かなり大きいです。それってある意味、本人は恋愛結婚だと思っているんですけど、結局は社会的見合い結婚だったわけですよね。そういうのが今なくなっているんです。
青木:それないとめちゃくちゃ辛いですよね。自分でゼロから合コンとか行って相手を探すってかなりしんどいじゃないですか。
荒川:1割くらいのそういう肉食系男子は自分でできるので大丈夫なんですけど、残りの9割はどうしたらいいんだという話ですよね。
青木:これは、もう何かシステムを作った方がいいです。
荒川:新たなお見合いや出会い方というとかまえちゃうんですけど、さっき言ったみたいな勝手にロボットがやってくれるやり方が世間に広まってくれると、受け入れやすいと思うんですよね。昔の職場結婚も、本人たちは社会的なお見合いだと思っていなかったから良かったんですよ。
青木:そうですよね。その職場結婚もたくさんするほど、その上司の評価が上がっているわけですよね。
荒川:一部の会社では、結婚しないと昇進できないということもあったらしいですから。
青木:いや、本当ですよね。
荒川:なので、そういうロボットの可能性は考えていて、コミュニケーションはいろいろな形があるんじゃないかなと。例えばワンルームで1人の部屋なんだけど、遠くに住む相手の女性とコミュニケーションができるロボットと一緒にいれば、それこそ大きな意味でシェアハウスになるんじゃないかなと思うんです。
青木:「斉藤さん」という、同時にアプリを起動させている人同士を無作為に繋いでテレビ電話ができるおもしろいアプリがあるんですけど、誰かと出会いたいのではなく、ただ暇だからしゃべりたい、つながりたいという人は相当数いるんですよね。
やっぱり寂しい人はかなり多くて、その寂しさをなくせるテクノロジー、ロボットがあればすごく良いなとは思いますね。
荒川:言い換えると、「お膳立てロボット」ですよね。お膳立てがないから人が動きにくくなっているんじゃないかなと思うんです。
青木:人間ってそういう生き物だと思いますよ。お風呂がわいてた時、「早くお風呂入りなさい」と言われるより「ビール冷えてるよ」と言われた方がお風呂入りたくなるとか。
お膳立てされているとうまく乗りたくなっちゃうので、お膳立ては本当に重要だと思います。子どもの時は親がやってくれるものだけど、大人になってロボットができたらおもしろいなと思うんですよね。ロボットの言う通りにしていたら、いつの間にかお金が貯まったとか(笑)。
荒川:本人がふとした時に言っていた潜在的な欲求をちゃんとロボットが拾ってくれて、そのためにするべきことをお膳立てしてくれたら良いですよね。
青木:それ、最高ですよ!
荒川:ロボットが言うわけですよ。「今日の昼飯このメニューを食べましょう」と。その真意はわからないんだけど、2か月後には痩せていましたとかね。
青木:そうそう。毎日の食べるメニューを自分できっちり決めたい人なんてほとんどいないわけですからね。何か決められていたり、お膳立てされていたりした方が人間は絶対に幸せなはずなんですよね。
荒川:それが管理するためのお膳立てじゃなくて、その人の幸せのためにされているというのが素敵ですよね。
青木:そうですよね。BOCCOはコンセプトが、「座敷わらし」なんですよ。家にいるとなぜか幸せになる。大事にしておくと良いことが起きると。
それはお膳立ての一種だと思っていて。究極はBOCCOが家にいるとなぜかお金が貯まるとなると、みんな欲しくなるじゃないですか。そういうのをやりたいなと思っているんですけどね。
荒川:よく、「幸せ探し」とか「自分探し」とかいう本が売っていて、みんな求めるじゃないですか。もちろん本を読むだけで行動しなければ何も変わらないので、それを変えてあげる存在としてのロボットがいたらすごく良いと思いますね。
青木:それは理想形のロボットですね。やっぱり皆幸せになりたいですもんね。それはソロ男もですか?
荒川:ソロ男もです。未婚は既婚より幸福度が低いという結果も出てるんですよ。
青木:そうなんですね。そういえば、幸せかどうかって人間関係がうまくいっているかどうかとほとんどイコールという統計も出ているらしいですよ。家族がいるとか家族とうまくいっているということと幸せは大きく関係しているんでしょうね。
荒川:コミュニケーションが取れているかどうかはかなり大事ですよね。
青木:荒川さんとしては、ソロ男はどうしたいとかあるんですか?
荒川:まず、間違いなくあと30年ぐらい先までソロ男は増え続けると思っています。そうなってくると、今一人暮らし向けの商品やサービスが少なすぎるんですよ。
青木:そうなんですか? 日本は多いんじゃないんですか?
荒川:増えてきてはいるんですよ。例えば2人以上じゃなきゃ行けなかった旅行が1人でも行けるようになっていたり、家族がいないと意味なかった生命保険のサービスも変わってきつつあったりしています。
でもこれからもっと1人が増えてくるので、企業側はもっと1人向けのサービス開発や商品開発をしていくべきだと思っています。もうひとつは裏テーマなんですけど、今ってソロの女性も多いんですよ。そしてソロ男とソロ男的な女性って実は合うんです。
青木:ですよね。お互いが干渉し合わないから。
荒川:そうなんです。お互いが働いて1人の時間を大切にする。そういうソロ男とソロ女が結婚すりゃいいじゃんという思惑もあります。私は別に結婚を推奨するわけではないんですけど、「結婚しないんだ!」と意固地になるのも意味がないと思っていて。
さっき言ったようにロボットの力を借りた結果、良い人がいたら結婚すれば良いし、子どもができたら親になれば良い。結婚するかしないかは二の次だと思うんですよね。
青木:なるほど。
荒川:40歳になるとソロ男って、突然「結婚しようかな」と思う傾向がありまして。「このままだと自分の子どもを持てないんじゃないか」という危機感が出てくるのが40歳超えたあたりなんです。
青木:男性もそうなんですか?
荒川:そうなんです。例えば45歳で子どもができたら子どもが20歳になるころには、自分は65歳で定年ですよね。そういうことを考えるんですよ。子どもが一人前になるまで働くとしたら、40歳の今、誰かと出会って結婚し、数年後には子どもを作っておかないといけない、と。
青木:なるほど。女性の場合はもっと早いですよね。
荒川:女性は逆に40歳を過ぎると結婚をあきらめてしまう人が多いようです。この子どもや結婚の男女問題って、法律や制度とも絡む話なので、そうそう簡単には解決しないと思うんです。
でも、20年後、30年後を考えた時に、さっきお話したような人間の幸せのために「お膳立て」をしてくれるロボットがいたら、ずいぶんと違う未来が開ける気がしています。
結婚しない男女がこれから増え続けるのはしょうがないことなんですけど、その先にロボットと一緒に生きていく未来が彼らの救いになるんじゃないかと思うんです。
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