2024.10.01
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岡田武史が語るブラジルW杯と日本代表(全1記事)
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ジョン・カビラ:ワールドカップでは現地に……?
岡田武史氏(以下、岡田):行きます、行きます。
ジョン・カビラ:当然行かれるわけですよね。
岡田:これは4年に1回のね、僕ら外から見ると、最高のお祭り。中にいるとお祭りなんて簡単に言えないんだけど(笑)。
ジョン・カビラ:(笑)。
岡田:今回は気が楽だし、ザックにも言ったけど他人事だから(笑)。
ジョン・カビラ:なるほど(笑)。え、ザッケローニさんに他人事だからって言っちゃうんですか?(笑)
岡田:「俺がこう言えるのも、他人事だからね」っていう話をしたけど(笑)。
ジョン・カビラ:ザックさんはより高いレベルに連れて行ってくれますよね?
岡田:いくと思うよ。彼はね、僕が知ってるイタリア人のなかでは、最高に人のいいイタリア人。真面目だし。彼が一番良かったのは、まず日本に来た時、日本人の話を聞いたよね。
ヨーロッパから来るとね、「サッカーっていうのはこういうものなんだ! はい、お前ダメ!」ってこう押し付ける人もけっこういるんだけど、彼はやっぱり「日本人は今までどうしてたんだ」とか、選手にもコーチにも、いろんな事を聞く姿勢を見せてくれた。あれがものすごく良かったなと思って、だから今の選手達がほんとに成長したと思うし、チームも良い方向いってると思うんですよね。
だからベスト16、そこから先はやっぱり対戦相手によると思うんですよね。ただまあ、けっこう厳しいグループだけど、もうひとつ上に行く可能性は十分持ってると思ってますね。
ジョン・カビラ:ディフェンス陣、これやっぱり心配だったりするんですが。
岡田:まあだから、今本気で下がって守ろうという発想は持ってないチームですから、ようはいかにマイボールをしっかりキープして、相手の攻撃の時間を減らせられるかというところを考えたほうがいいかもしれない。
なぜなら、急に身長は大きくならないし、急に1vs1が強くはならないから、前からのプレッシャーが効いてるうちはなんとか大丈夫だと思う。でもプレッシャーが効かなくなる時間帯もあるでしょう、ピンチもあるでしょう。そこは「外してくれ」と(笑)。
ジョン・カビラ:(笑)。
岡田:そりゃあね、試合やってればね、ピンチもいっぱいあるしチャンスもあるし、それをどっちが入れてどっちが外すかなんて神様しか知らないんだし、その時はその時ですよ。
ジョン・カビラ:(笑)。
ジョン・カビラ:先日、小野剛さん(J2ロアッソ熊本の監督)とお話できたんですけれども、FIFAとかUEFAが日本の指導システムを気にしていると。なんで昨今、こんなに日本は上達してきているんだっていうことを、いろんな局面で質問されたと。
岡田:みんな、デル・ボスケじゃないけど、外からどう見えてるかってのはわかってないかもしれないですけど、これだけ順調に短期間で進歩した国ってないんですよ、今までに世界で。正直、僕ら含めてね、現場の指導者がみんな試行錯誤しながらやってきてるのが、成果がでてきてる。または日本サッカー協会の方針とかも、いろいろ試行錯誤しながら進歩してきていると思うんですけど。
僕はやっぱり一番のベースはね、子どもの世代、ほんとにグラスルーツ(草の根)のレベルで、子どもの世代のボランティアの指導者がたくさんいますよね。自分の週末をなげうって、やると。学校の先生でも、休みの日に顧問として教える。
やっぱりヨーロッパ・南米ではこういう事は考えられないんですよ。
ジョン・カビラ:基本的にプロチームがベースですから。
岡田:そう。日本がプロチーム、Jリーグ作って、有名な選手呼んで、パッとやったら強くなったと。でもその前に、そういうボランティアやいろんなこと、当時はサッカー協会の人もほぼボランティアでやってたんですよ。今みたいな大きな組織じゃなくて。そういう人たちの積み重ねがあって初めてできてるんで、そう一朝一夕にはできないですよ。
だから僕は中国でも言うんだけど、そんな上だけ見て、それをパッと真似しようとしてもダメですよ、その下にみんなが粛々と積んできたレンガの基礎があるんですと。
レンガっていうのは真上に積んでいったら倒れるわけですよ。高くなってきたら横に積んでいかなきゃいけない。ところが横に積んだ人っていうのは評価されないし、見えないんですよ。上に積んだ人だけがやっぱり見えてくるからね。だからそういう、横に積む人たちがたくさんいるっていうのが、日本の強みじゃないですかね。
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