2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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質問者1:お金持ちになって生活を楽にしたいです。
呉京樹氏(以下、呉):お金は睡眠時間を削ればなんとかなりますよ。僕はちなみに、20歳のときから未だにそうですけど、平均睡眠時間1日2時間ですよ。
西野亮廣氏(以下、西野):えー!
呉:一番働いてたときは1日23時間労働を丸2年やって……。さすがにぶっ倒れたんですけど。そうすると、人間はなんの能力がなくても、僕の記録で1ヶ月100万ぐらいは絶対に稼げます。
一番稼いでたときは1日4件掛け持ちで仕事をしてました。朝4時から中央市場。みんなが寝てる時間に、果物が入ってきたり野菜が入ってきたり魚が入ってきたりするんですけど。それを捌いて9時に終わるんですよ。
中央市場はそれで日当1万円ぐらいもらえるんですよ。それで9時から朝飯を食って、次は10時から靴の工場で靴をずっと作るという。
結局「時給×時間」が生涯年収になるので、よく「どうやったら稼げます?」って言われるんですけど、時間をかけるしかないです。
いま能力がないんだったら、時間をかけるしかない。能力がある人は短時間でいいんですよ。結局、「時給×時間」の話なので。
僕は今、クリエイターの育成をずっとやってるんですけど。アーティストになりたい人は、「すいません、ちょっと手伝えないです」と。
なぜかというと、さっき西野さんが言っていたように、(ア—ティストは)結局自分が作りたいものを無限に時間をかけてやると。その期間の収入ってないじゃないですか? そこはもう自分で頑張ってもらうしかないです。
けど、クリエイターで生涯いくら稼ぎたいという人はある程度助けられるなと思ってて。それは結局、「時給×時間」の考え方で、現時点でみなさんが働いたときに、自分だったらいくら時給もらえるかをまず考えること。
例えば、今は1500円しかなくて、月に100万稼ごうと思ったら、時給4000~5000円くらい稼がないといけないんですよね。それで(時給)4000円ないんだったら、人より働く時間を3倍伸ばせばいいだけなんですよ。
1日の働いてる時間がだいたい7時間なんで、それの3倍やれば21時間じゃないですか。
僕はそれをずっとやってきて。まあ、単純計算なんですよね。たぶん究極な話、誰でもできるんだと思いますよ。意外と体が慣れます。
よく田中さんにもショートスリーパーって言われるんですけど、おそらくもともとショートスリーパーじゃなくて、体がそういう習慣になっていったというだけの話です。
田中研之輔氏(以下、田中):あれだね、楽しいことのためにゾーンに入ってるんだろうね。さあ、いきましょうか。盛り上がっていた話ですが、あと20分。
西野:早いですね。もうなんですね。
田中:そうなんです。クロージングに向けて話したいなって考えたことは、いま呉さんがお話ししたことともちょっと関わるんですけど。
やっぱりみんなにとって、どうやって食べていくかってすごく大事だと思うんですよね。
西野さんの活動や言葉でおもしろいなって思うのは、いきなり稼ぐことより、やっぱりやるべきことをやっていったときに、後々そういうものってついてくるんじゃないかと。その辺ってどう考えてらっしゃるんですか?
西野:僕はけっこう大学の講義に呼ばれるんですよ。美術の大学とか経済の大学とか、いろんな大学に行ったときに、「クラウドファンディング知ってる?」って聞いたら、経済の大学の人はけっこう知ってるんですけど、美術の大学の人はほとんど知らないんですよ。
本当はこっちのほうが知らないといけないのに、何かモノを作るときにあんまりお金の話をしないんですよ。「それはちょっと汚い」「俺はアートをやって、夢を追っかけてるんだ」とか言って、お金の話をあんまりしたがらない。先生もたぶんあんまり教えないので、これはすごくいい機会だと思うんですけど。
田中:しなきゃいけないですよね。
西野:しなきゃいけないです、絶対。だって作品を作るだけ作って、それを届けようと思ったときに、個展はやらないといけないし、いろんなところに応募もしなくちゃいけない。アートフェアみたいなところでもブース(の出展)を考えなきゃいけない。そのときにお金がいる。
それが「お金の話をしたくない」ということで、そういうのを放棄しちゃうというのは……作品を作るだけ作って届けるのを放棄するのって、俺はもう育児放棄みたいなものだなと思ってて。それは作り手はやっちゃいけない。
たぶん、お金の話はしなきゃいけないですよね。なんでしたっけ? マネタイズが早いという話でしたっけ?
田中:マネタイズが早いというのもそうですし、今のサロンもそうですけれども、素晴らしくうまくいってるなと思って。その秘訣とか……。
西野:1回、「お金って何かな?」と思ったんですよ。お金……本当に興味ないですけど。でもお金の正体にはすごく興味があって。「じゃあ、お金って何だろう?」って。貧乏でも幸せそうな人はいるし、すごいお金持ちでも首を吊ってる人もいる。
簡単に言ったら、我々の人生はお金にやたら振り回されてるなと思って。「お金っていったい何なんだろう?」というところから、すごい考えて。
1個、「お金は信用の一部を数値化したもんだ」って定義してみたんですよ。ややこしいこと言ってすみませんね。つまりどういうことかと言うと、(会場の)奥で赤い帽子を被ってるやついるじゃないですか? たぶんあいつのことを初めて見た人もいると思うんですけれども、あいつ無職なんですよ(笑)。ガチで無職なんですよ。
田中:必ずいらっしゃるよね。2人は付き合ってるの?
西野:付き合ってないですよ。
田中:2人で一緒に暮らして、この前(台湾で)UFOも一緒に見て。2人できてるとか(笑)。付き合ってないのね?
西野:付き合ってないですけど(笑)。ずっと一緒にいますけど。
田中:それぐらいぶっ飛んでるほうがおもしろいと思って。
西野:あいつ無職なんですよ。無職はみんな嫌じゃないですか。なるべくなりたくないじゃないですか。でも、あいつは無職になって……どれぐらいになるっけ?
小谷真理氏(以下、小谷):もう3年です。
西野:無職になって3年で、20キロ太って結婚しちゃったんですけど。超幸せなんですよ、あいつ。
西野:僕はあいつがたぶんすごいヒットになると思っていて。どうやって食ってるかというと、あいつは無職だから、バイトもできないんですよ。汚いし臭いし。
どうやって食ってるかと言ったら、自分の1日を50円で売ってるんですよ。「BASE」というサイトがあって、そのサイトで自分の1日を50円で売ってるんです。これはなにをしても50円です。
草むしりとか、iPhone5とか6とかの列に1週間並んだら350円とか。とにかく1日を50円で売ってるんですよ。でも普通の人の感覚でいったら、「1日働くなら、7000円とか8000円ちょうだい」みたいになっちゃうじゃないですか。そうじゃなくて、あいつは50円で売ってるんです。
例えばお兄さんが買って、「庭の草むしりして」って言ったら、あいつは本当に朝からすっげえ頑張るんですよ。朝から昼間まで頑張ったら、さすがに30回ったおっさんを50円で草むしりさせて申し訳ないってなるじゃないですか。
そしたらたぶん、昼ご飯くらい出すんですよ。昼ご飯を出して、「うまいっすね」って食うんですよ。それで食ったらまた「じゃあ、やりますわ」って言って、本当にものすごく草むしりして、夜までやるんですよ。
そしたら、朝から夜まで働かせてさすがに申し訳ないなって、たぶん夜ご飯を出すと思うんですよ。昼夜一緒にいたら仲良くなっちゃって、「じゃあ飲みにいこうか」となると。
50円で買ってるんですけど、昼飯代・夜飯代・飲み代まで出しちゃってる。けっこうお金を出しちゃってる上に、「50円で働いてくれてありがとうね」と言って、すげぇ感謝すると思う。
これが入り口で1万円もらってたら、昼飯代も出してないし、夜飯代も飲み代も出してない。そもそも、この「ホンマにありがとう」みたいな感謝はたぶん発生してない。それは「1万円出したから当たり前でしょ」ってなる。
あいつは自分に対して、とにかく超ブラック企業なんですよ。むちゃくちゃ過酷な条件で働いてるんですよ。50円で1日働くんですもん。
でも、その代わり何をもらってるかといったら、やたら感謝されてる。やたら恩がもらえて、恩をずっと積んでいって、それを毎日やっている。無職をやってからずっと、自分の1日を50円で売ってるんです。
あるとき、無職のくせに「結婚したい」とか言い出して。しかも(相手と)Twitter(経由)で2回しか会ったことないのに、「結婚したい」とか言い出した。それで「結婚したいんですけど、どうしたらいいですか?」って言われて、「結婚式挙げるんだったら派手にいこうぜ」ってなったんですけど。
でも、派手にいこうと言ったって結婚資金……あいつは毎月MAXで働いても1500円しかもらえないですから。結婚資金があるわけないんです、普通に考えたら。
でも、浅草の花やしきを貸し切って、クラウドファンディングをしたの。首から募金箱をぶら下げつつクラウドファンディングしたら、結局3週間で250万円ぐらい集まった。
誰があいつを支援したかといったら、これまで小谷のことを50円で買ってくれた人が「あの小谷くんが結婚するんだったら支援するよ」って言って、どんどんお金を入れて下さった。一気に250万円集まって、超ド派手な結婚式ができて。
(それで)100万円ぐらい余っちゃったんだよね。100万円は結局フィリピンに寄付したんですけど……。無職のくせに。
これってすごいおもしろいなと思って。やっぱりずっと恩を稼いで、信用の面積をすごく広げて広げて、超広げたから、お金がちょっと必要だってなったときに、今はクラウドファンディングという方法がある。マネタイズするときに、その信用の2割でも、すごい大きいお金がパって発生すると。
それを小谷で試してみて、すげーうまくいったの。結果的にあいつはその後クラウドファンディングを4回くらいやってるんですけど、4回全部成功してるんです。
だから、あいつは何百万円も集めてるんですよ。その代わりに毎日50円で働いて。そこで集まったお金を全部1人で使ってるんですよ。「これはおもしろい!」と思って。
お金を集めようと思ったら、さっきの呉さんみたいに、「徹底的にやるんだ」という。もう俺は震え上がったんですけど、あれはあれですごいなと思います。
でも、僕とか小谷みたいなクソみたいな人間は本当にすげーサボりぐせがあるし。
どうやってお金を集めようと思ったら、単純に信用の面積を広げていったらいいと思って。信用の面積をすっげえでっかくしたらマネタイズしやすいというのが、小谷で試してみてうまくいって。じゃあ次は、1回自分でやってみようと思ったんですよ。
僕、今年の8月の1ヶ月間仕事しなかったんですよ。4日間ぐらい働いたんですけど、残りの25日間ぐらいはもう本当に働かなかったの。
何をしてたかといったら、個展をやってたんですけど。毎日行って、毎日お客さんとべらべら喋って歌って。
その裏でクラウドファンディングをやってみたんですよ。要は、毎日働かなかったら収入が増えるのか減るのか知りたくて。その代わり、毎日ノーギャラで個展会場でお客さんを楽しませてドキドキさせようとやってたんですけど。
クラウドファンディングをやってる「WESYM(ウィシム)」というサイトの「チームで作る絵本」というのがあるんですけれども。
8月31日の最終日に個展が終わって、夜の21時ぐらいにツイートが1通きて、「西野さん、個展で楽しませてくれてどうもありがとうございました。お礼に支援します」みたいなのが1通きて、それを僕が「ありがとう」って返信を返したら、そこからツイートが止まらなくなっちゃって。
これまでその個展会場に来た人が、「僕も、私も!」支援します」となって、残り3時間で300万円ぐらい集まったんですよ。
サーバーがパンクして、結局その1ヶ月で1000万円以上集まった。これはおもしろいなと。だって、働いてないんですよ。でも、その1ヶ月でとにかく恩を作って、信用の面積を超広げて、その形でマネタイズした時にバッて爆発したんですけど。これはおもしろいなと。信用の面積をより広げたほうがお金を作りやすい。
田中:なにかヒントがあるかも。うちだと、学生のみんなは作れるんですよ。例えば講演会のポスターを作るというときに、得意な子が作れたり。発注されてお金をもらって作品を納入するのもすごい大事なプロセスだけど、「今回はお試しで使ってください」みたいなことも大事なのかもね。
僕もちょっと試して、来年本当に半年サボってやるんです。半年仕事して、半年ボランティアをやるんですね。
半年ボランティアをやったら、本当に収入が増えるのか減るのかちょっと試してみたいなと思って。とにかくその半年は人を楽しませてドキドキさせることだけをやって。これで収入が減らなかったり、増えたりしたらちょっとおもしろいなと思って。
なんか時間に対する対価がいただけるお金だと思っちゃうんだけど、そうじゃなくてそこに信用をかませるんだね。どう、呉さん? 信用を先に。呉さんは時間で。
西野:信用を先に。でもそれは本当にすごいですよ。
呉:まあ、いろいろな人生があるんで。僕も聞いててすごいなと。
田中:ヒントがあるよね。
呉:はい。ヒントはあるなと思って。でも、そもそもクラウドファンディングのあり方自体がどうなのかというのがあって、もともとはモノ作りをしたい人を支えるビジネスだったりとか。だから、その新しいかたちだなと思って。いわゆる人生に対して、クラウドファンディングで投資するんで。
それって出資した人たちは、何をもって投資効果があるのかなと思ったときに、普通だったらビジネスが成功して売上があがってというのがあるんですけど。
先行投資で、夢を与えてもらったものに対しての対価、感謝という意味でのクラウドファンディングはおもしろいし、新しい道なのかなと思って聞いてました。
ちょっと汚い話で、僕らはビジネスをやってるので、さっき言った結婚式の250万円に投資した人たちはその投資効果として何をもらったんだろうと思って。
田中:例えば、結婚式に一緒に出れるとか。
西野:出れる。
呉:なるほど。参加権というかたちですね。そこが明確にあればいいんですけど。うんうん。
僕らもそこら辺はITの世界で生きてて、クラウドファンディングってすごく今メジャーなんですけど、実はうまくいってないんですね。
今みたいな発想でクラウドファンディングを使う人たちが増えてくれば、もしかしたら違う方向で新しいビジネスが生まれていくのかなという。
田中:アメリカはドネーション文化なんで、寄付なんですよ。寄付というのは、得ている人が次につなげるように寄付していくという感じなんだけど、たぶん日本は寄付文化ってまだ根付かないでしょう?
呉:ないですね。
田中:ただ、さっきの話のように、結果としてお金が集まってるというのは、やっぱり感謝とか信用に対して「こういうことだったら」という文化気質がマッチした結果だと思う。新しい動きになりそうですよね。
呉:そうですね。今後もっと活かして、僕らがやってるビジネスの延長になってくれれば。さっき言った「時間×時給」がもっと上がればなというのはすごくありますね。あと、信用を広げるというのはまさにそうだと思ってて。
僕らも会社を10年やってこれてるというのは、信用商売で。そうなったときに、やりたくなかった仕事もお客さんのためにやると。
でもその人たちがまた転職して、新しい会社に移ったときに必ず呼ばれるという仕組みが作れないと、会社は10年成長できないなというのがあるので、そこの話はすごく納得かなという気がしますね。
田中:時間もそろそろ来たので、クロージングに入りたいと思います。最後のテーマを「社会との接点」と掲げたんですけど。もう今、お二人の話からけっこう出てるんだけど。
生きていかなきゃいけないし。とはいえ、お金はいるし。突き抜けすぎて本当の意味での四面楚歌になったら生きていけないから。
西野さんを見てておもしろいのは、全体のマップがちゃんと見えていて、自分の立ち位置と自分の方向性、僕は「戦略」という言葉をいい意味で使うんだけど、ビジュアリングがしっかりできてる人だなと思うのね。
先ほどの絵本の話もそうなんですけど、ただプロの絵本を書く人に対抗するんじゃなくて、自分の良さをうまくマッピングしていって、位置づけながら持ってるリソースを注ぎ込むのが卓越してる人なんだなと思います。
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