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Why We Age - And How We Can Stop It(全1記事)

「見た目が若いまま長生きしたい…」 人類は不老長寿の夢を叶えられるのか?

老化を防いで長生きができたら……。そう考える人も多いかもしれません。今回のSciShowでは人が老いる理由と不老長寿を実現するための遺伝子研究の成果について紹介していきます。C.elegans(シー・エレガンス)という寿命が14日間の線虫を使った実験では、DAF-2と呼ばれる老化させる遺伝子を機能させなくすると寿命が2倍の28日間伸びることがわかりました。人間の場合には、IGF-1(インスリン様成長因子)という成長ホルモンをつくる遺伝子の研究に焦点が当てられました。IGF-1を使ったマウス実験では、ガンやその他の病気にかかりづらくなり、寿命も33パーセントまで伸びたんです。しかしこれらの結果はあくまで線虫とマウスによるもの。人間に当てはまるとは限りません。もしみなさんがマウスだったら、やってみてください。

人が年をとる理由 どうやって老化を防ぐか?

ハンク・グリーン氏:僕は死ぬのが嫌です。この惑星では、毎日15万人以上の人が死んでいます。うんざりですね。少なくともゲーム・オブ・スローンズシリーズが終わる前にジョージ・R・R・マーティン(ゲーム・オブ・スローンズ原作者)が死ぬのは困ります。

最終的に我々が死ぬというのは明らかな事実で、誰もに当てはまります。しかし、中にはめちゃくちゃ長生きできる生き物もいるんです。科学者はなぜ彼らが長生きできるのかじょじょに解明してきているので、それを僕らも学んでめちゃくちゃ長生きできるようになりましょう。

スクワットスラスト(両手を床につけ腕をまっすぐ伸ばしたまま、両足を屈伸させる運動)をしたり、ケール(栄養価の高い野菜・青汁の原材料)を食べたり、白ワインを毎日飲んだりといったことは、長生きに繋がるでしょう。

でもこれからお話するのは、なぜ人は死ぬのか、遺伝子がどのように我々を老化させるのか、我々は何をすればいいのかということです。科学者たちよ、どうか僕に永遠の命を!

みなさんも僕も細胞の集合体です。すばらしく複雑な集合体で、 幸いなことに生殖活動には十分な長さを生きることができます。たとえベストな人間でもワーストでも、その中間でも死んでしまうんです。

年をとるだけで死ぬわけではない

人間とその他のほとんどの動物に共通して起きる、年をとるプロセスには「老化」(senescence)というラブリーな名前がついています。我々の体が性的な成長を終えた後、オーガニズムレベルで老化が取って代わるんです。

それからフィジカルストレスを調整したり、ホメオスタシスを維持したり、臓器系や体液のバランスを調整したりする能力を失い始めます。 もっとも重要なのは病気から立ち直る能力を失うことです。

科学的に言えば、年をとるだけで死ぬなんてことはありません。誰もに何かしらの原因があって死ぬんです。ただし、良いお知らせです。全ての動物がそうだというわけではなく、特殊な動物もいます。

これは「無視できるほどの老化」(Negligible senescence)と呼ばれています。生殖の機能は失わず、しかも年齢を重ねることが死ぬ確率を高めるわけではないんです。

これらの動物は、何かひどいことが起こらないかぎりは、基本的にはあるレベルの健康状態を維持出来ます。病気とか捕食されるとか道路を渡る時にバカでかい高速トラックに轢かれるとかがなければ。

ガラパゴスゾウガメは170年生きると言われていますし、ロブスターは140年以上生きられると言われています。発見されている最古のホンビノスガイ(quahog clam)は405歳なので、シェイクスピアがハムレットを書いている頃に生まれたんですね。

人間の細胞は死のプログラムを持っている

ある動物は生殖が終わるとすぐ死に向かい始め、ある動物は死ぬ運命を乗り越えるなんて本当に不公平ですよね。科学者たちは老化を研究して、これを明らかにしようとしてきました。するとイカれた細胞が、死のプログラムを持っているということがわかりました。

精子や卵子などの細胞はコンスタントに分裂して自分のコピーを作ります。まさに今もみなさんの体内で細胞組織が作られているところです。

1960年代に、レオナルド・ヘイフリックが人間の細胞はある程度時間が経つと分裂が止まり、死んでしまうことを発見しました。約50個にわかれると、分裂が止まり、それには大体9ヶ月かかるということわかりました。

分裂中の健康な細胞を冷蔵庫に入れると、分裂は遅くなったり止まったりします。しかしまた温めるとどこから離れたのかを正確に覚えており、マジックナンバーに達するまで分裂を再開するんです。

このようにヘイフリックは、人間の細胞は死のプログラムを持っているということを発見しました。この細胞分裂の回数は「ヘイフリック限界」(Hayflick limit)と呼ばれています。人間の細胞は50回程度の分裂が限界ですが、他の動物は多かったり少なかったりします。

たとえばネズミの寿命は2〜3年で、分裂は14~20回です。一方ガラパゴスゾウガメのヘイフリック限界は125回です。だから動物の寿命とヘイフリック限界には関連性があるということが分かりますね。

しかし科学はそんなにシンプルではありません。80~90年代の研究では、細胞分裂はたったの約20回とされていましたからね。

これまで科学者たちは、その限界の原因は何かを調べてきました。その答えは、おそらく染色体です。人間の細胞は完璧なテロメアの複製を止めた後、分裂を止めます 。染色体の末端にある小さなキャップのようなもので、遺伝子をエラーやコピーから保護しています。

テロメアはテロメラーゼという酵素から作られています。その後毎回細胞がテロメアと染色体を分裂する度に、新たな細胞は親細胞よりも小さく小さくなります。細胞がヘイフリック限界に達すると、テロメアは短くなりすぎるため、染色体を守ることができなくなり、細胞は分裂できなくなります。

がん細胞は無限に複製することができる

では、なぜ生物学者はテロメアが永遠に染色体を守れるようにしないんでしょうか? 実はそれを上手くできている細胞があるんです。それはがん細胞です。がん細胞はテロメラーゼを作り出すことができるんです。そのため染色体を傷つけることなく無限に複製することができます。

だから腫瘍になるまで分裂を繰り返すんですね。実はがんの脅威にさらされる組織を守るために、そのプログラム細胞が発達したという説があります。

線虫の寿命を2倍に伸ばす実験が成功!

寿命を延ばす研究において、C.elegans(シー・エレガンス/カエノラブディティス・エレガンス)という線虫に焦点が当てられました。

この小さな虫は、とても良い実験対象なんです。なぜなら寿命が14日で、2万個の遺伝子を持っているからです。そのため科学者たちは、もっとも老化の原因となり得る遺伝子を特定することができたんです。

1993年に、サンフランシスコのカリフォルニア大の生物学者シンシア・ケニヨンが、たった1つの遺伝子がこれらの線虫を老化させるということを発見しました。DAF-2と呼ばれるものです。

これが機能しなくなると、線虫は14日ではなく28日生きるようになるんです。2倍ですよ! もしそれが人間にできたら160歳ぐらいまで生きられるんじゃ!?

ケニヨンはDAF-16と呼ばれる遺伝子も発見しました。これは逆の役割を持ちます。抗酸化剤の生産や細菌と戦うタンパク質を統制して、線虫を若く健康に保ちます。ストレスにも効果があります。虫になったらストレスがかりそうですからね。

老化遺伝子であるdaf-2は、長寿型遺伝子のdaf-16の効果を抑制することにより働くんです。Daf-2がダメージを受ければ、daf-16は機能し続け、線虫の若さを保ちます。これが虫にとってはすばらしいもので、長生きできるということはわかりましたが、我々の場合はどうなんでしょうか。

IGF-1によるマウス実験では寿命が33パーセントまで伸びた

哺乳類科学者は、線虫の老化遺伝子の2つのカウンターパートを発見しました。人間の場合には、とくにIGF-1(インスリン様成長因子)という成長ホルモンをつくる遺伝子の研究に焦点が当てられました。

ある科学者はこの遺伝子を研究しました。マウス実験ではガンやその他の病気にかかりづらくなり、寿命も33パーセントまで伸びたんです。

科学者たちは我々すべての遺伝子を調査する準備を整えています。マウスで機能したものが人間にも当てはまるとは限りませんからね。

カロリーの摂りすぎが老化を促進させる

もうひとつ科学者たちが調査している、老化の要因があります。カロリーです。たとえ生きていくのにカロリーが必要でも、それが老化を促進してしまうということがわかりました。

1940年代から科学界ではわかっていたことですが、マウスや他の動物の場合、低いカロリー摂取が寿命を長くするんです。ただ最近まではその可能性のある要因を特定することができませんでした。カロリー摂取がIGF-1を促進するんです。

いまだに完全に解明されたわけではなく、老化研究における最大の謎のひとつですが、IGF-1の究極の仕事は、食物のエネルギーを成長に向けることだという説があります。カロリーを摂取すると、新陳代謝がギアを変え、既存の細胞をメンテナンスし、ストレスや病気の耐性をつくります。

だから大きく強くなることは、生きていくためにはあまり関係がなくなってきているんです。

IGF-1の注射はしないでくださいね。なぜなら、繰り返しになりますが、マウスで機能したものがみなさんにも当てはまるとは限らないからです。もしみなさんがマウスだったら、やってみてください。

科学者たちは、より人間に近い動物でもカロリーと寿命の研究を行ってきました。たとえばサルとか。でもこれが難しいんです。なかなか死にませんからね。

人間の寿命の研究は1921年に遡ります。すばらしい研究が行われていた時代ですね。我々の被験者が10歳の頃です。その研究に携わっていた当時の子どもたちの中にはいまだに生きている人たちもいます。がんばってますね。

ただみなさんも想像がつくと思いますが、研究者たちも亡くなっているんですね。

もし時間があったら、みなさんの家族が何歳まで生きるか調べてみてください。おじいちゃんやおばあちゃん、ご両親が何歳まで生きるか。85歳を超える確率は20~30パーセントです。

食事、運動、喫煙といったライフスタイルの選択肢が寿命と関係があるのは明らかですね。キリスト教の一派であるセブンスデー・アドベンチスト教会は、定期的な運動や菜食主義、禁煙や禁酒を推奨していて、平均寿命は88歳です。これはアメリカの平均より8歳長いんです。

超一流の人たちが、これからも老化や遺伝、カロリーの研究を続けていくことでしょう。ケイト・モスみたいにタバコを吸ったり、暴飲暴食したりしないでくださいね。そうすれば少なくともそんな人たちよりは長生きできますよ。

もう1つみなさんができる長生きする方法は、SciShow.comに行ってチャンネル登録することです。我々は研究を行っています。約束します。コメントはコメント欄か、Facebook、Twitterにお願いします。それではまた。

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