2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
Why Are Some World Records So Hard to Break?(全1記事)
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人間が自分の足で1時間に35kmも走るなんて、なかなか想像ができませんよね、もしこんなに早く走ることができたら、ほとんど車みたいなもので、人間のスピードではありません。
しかしこれが、ジェシー・オーエンスが1936年のオリンピック競技100m走で優勝したときのスピードなのです。タイムは10.3秒で、当時の世界記録となりました。
映画『Race』では、ナチス政権下のドイツで行われたオリンピックで脚光を浴びた、アフリカ系アメリカ人であるオーエンスの姿が描かれています。彼の人種(race)だけを理由として、ナチス政権が彼にレースをさせまいと躍起になったにも関わらず、彼は4つの金メダルを獲得しました。
それから80年が経ち、2009年には、ウサイン・ボルトがオーエンスの記録を7パーセントも縮めた記録、9.58秒で世界記録を更新しました。しかし、水泳や棒高跳びなど、そのほかのスポーツでは記録はもっと更新されています。
この違いはどこにあるのでしょうか? これらの記録が更新されてきた理由は、スプリントや水泳、棒高跳びだけが得意な人種が存在しているということが考えられます。
しかし、世界記録を更新してきたもっと大きな要因は科学にあります。それは、アスリートが行う運動を助けるもので、あるスポーツはほかのスポーツよりも深く科学に関わっています。
まず、スプリント競技はあまり科学と関係がありません。なぜなら、100m走のトラックに沿って、できるだけ速く100mを移動するだけだからです。これは物理学から見てきわめて単純なものなのです。
100m走でスピードを上げるためには、どれだけ地面を強く蹴り、速く押すことができるにかかっています。昔のスプリント競技と比べて、現在はトラックの表面が硬くなったので、近年のランナーはさらに速く走れるようになっています。ただ、当時、オーエンスは灰の上を走っていたのですが……。
また、最近のランニングシューズも、グリップ力で記録に貢献しています。ですが、最も大きな違いは、ランニングテクニックの細かな改善です。特に、スプリンターが地面から足を離すまでの時間を短くするテクニックは改善されてきました。
ただ、100m走の世界記録は80年前と比べ、そこまで縮まっていません。100m走では走り方を改善するくらいで、あまりできることは多くありません。なぜなら、人間の身体がこなすだけだからです。
また研究者たちは、筋肉や関節の限界に基づいて、人間が100mを速く走るにはそろそろ限界が近づいているのではないかと考えています。その限界の記録は、9.27秒です。
一方、水泳選手はこの数年間でかなり記録を縮めています。1936年に100m自由形で、アメリカのピーター・フリックが56.4秒を記録しました。
2009年には、ブラジルのセザール・シエロフィリョが46.91秒を記録し、17%もの更新を果たしました。この記録はいまだに破られていません。
この記録更新の要因として、泳ぎのテクニックが関係してきますが、実は多くはテクノロジーにあるのです。もっと正確に言えば、スイムスーツに使われる素材に関係があります。
ランニングとスイミングには大きな違いがあるので、そこが重要になってきます。人間が走ると、大気中の原子と分子にぶつかり、引き戻される力が働きます。これはドラッグフォースと呼ばれています。
人間が泳ぐときも、水分子に同じことが起こりますが、水は空気よりももっと密度が高いので、もっと多くの分子にぶつかることになり、ドラッグフォースもその分強くなるのです。
つまり、この引き戻す力を軽減させることができれば、速く泳げるようになるわけです。
スーパースーツと呼ばれる特別なスイムスーツがあります。これは、引き戻す力を減少させる素材でできています。このスーパースーツを着て泳げば、身体のまわりの水をスムーズに流してくれるので、速く泳げるようになるのです。
また、体をより流線型に近づけて早く泳げるように、このスーツは身体を引き締め、人間チューブのようにしてくれます。
このスーパースーツのテクノロジーは、選手をあまりに速くしてしまったため、水泳連盟によって2010年に禁止されてしまいました。
しかし、それまでに、そのスーツによって130以上の世界記録が破られてしまったので、スイムスーツの素材やどれくらい肌を覆うかについて、新たにルールが決められました。
企業はこれらのルールにしたがって、より良いスーツをすでに作っているところです。そのため、新しいスイムスーツが完成したら、また多くの記録が更新されることになるでしょう。
世界記録が大きく更新されているスポーツは、もうひとつあります。それは棒高跳びです。この競技も科学によって大きく進化しています。
1936年にアメリカのジョージ・バロッフは、棒高跳びで過去最高の4.43mという記録を出しました。その後の2014年には、フランスのルノー・ラビレニが世界記録である6.16mを記録しました。39パーセントも記録が伸びています。
A地点からB地点まで、できるだけ速く移動するというランニングやスイミングとは異なり、棒高跳びはもっと複雑です。棒をもって走り出し、それを地面に突き立てて、棒のしなりを使って身体を持ち上げ、できるだけ高いバーを超えるのです。
棒高跳びの棒は、長く細いバネのように働き、走ることによる横向きの動力をジャンプする時の垂直方向の動力に変えてくれます。より強いバネの働きによって、より高く飛ぶことができるのです。
20世紀の前半、アスリートたちは竹の棒を使っていました。なぜかというと、竹の棒は軽くて柔軟性があるからです。しかし、壊れやすく危険で、良いジャンプを台無しにしていました。
1940年代前後に、スティールやアルミ製の棒を使い始めたアスリートもいました。これらは竹と同じくらいのバネを持ちながら、壊れにくいものでした。
それから50年代60年代に、グラスファイバーを強化したファイバーグラスプラスチックでできた棒の作り方を企業が発見したことにより、すべてが変わりました。
そのプラスチックによって、棒はより柔軟で丈夫になり、ほとんど背中が地面に着くくらい曲げることができるようになり、しかも壊れにくくなりました。これによって、アスリートはより高く飛ぶことができるようになりました。
しかし、1990年代初頭から、男性の棒高跳びの記録は伸び悩み始め、94年以来記録は破られていません。つまり、ファイバーグラスの棒を使って人間が飛ぶことのできる限界に、近づいているという可能性もあります。
しかし、そんなことは誰にもわかりません! なぜなら、まだ発見されていない素材によって、より良い棒が作れるかもしれないのですから。
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