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小西利行氏×倉本美津留氏トークイベント「超、すごい、国語と、メモの、話。」(全4記事)

糸井重里の「おいしい生活」はなぜすごい? 日本語の“発見”から生まれる新しい価値

『仕事のスピード・質が劇的に上がる すごいメモ。』の発刊を記念し、著者の小西利行氏と、昨年末に『倉本美津留の超国語辞典』を刊行した倉本美津留氏によるトークイベントが開催されました。クリエイティブの第一線で活躍する2人が、お互いの本や発想法について語りました。

メモを取ることが未来に繋がる

小西利行氏(以下、小西):次は、もう1つの僕の本(『仕事のスピード・質が劇的に上がる すごいメモ。』)を見てもらって。

仕事のスピード・質が劇的に上がる すごいメモ。

倉本美津留氏(以下、倉本):この本はやばい本ですよ。これ読んだら、みんなすてきな仕事ができるという。

小西:すごいざっくりした褒めですね(笑)。

倉本:でも、そうですよ。メモを取ることがいかに大事かということを、深く書いてくれてて。僕はメモを取るのが下手な人間なんですよね。だから「こうやって整理できたらええなー、もっとええ仕事ができたんちゃうかなー」と反省しましたよ、これ読んで。

小西:(笑)。

倉本:でも、無理な人もいてて。僕なんかはぜんぜんできないタイプなんです。でも、やっぱり日本の人たちは、わりと教えられたノウハウを上手に使って、いろんな物事が動いていたりする。そういう国民性あるじゃないですか。そういう人たちにめちゃめちゃよくて、これ。簡単でやりやすい。本当に「こんなこと教えていいんか?」というぐらい。

小西:そこまで言ってもらえたら、もう僕は死んでもいいです(笑)。

倉本:そうなんですよ。メモを取ることが、すべて自分の未来に繋がっていくという。未来をよくするために、過去を書いたほうがいいということで。

小西:本とか書く時に、倉本さんはちょこちょこ走り書きとかされてたりするという話があって。

倉本:落書きみたいなことばっかりで、むちゃくちゃになっちゃうんですよ。チョコレートの包み紙の裏とか、そんなやつなんで。むちゃくちゃになって、それを探すのが大変(笑)。でも、やっぱりコニタン(小西氏)はちゃんとメモ用紙、メモ帳ですよね。

小西:メモ用紙、メモ帳ですね。最近はiPhoneとかでもメモとったりしますけど。この本出す時にすぐ言われたのが、「コピーライターの人はやっぱりアレですか? 飲み屋とか行ったらいきなり“あ!”と思いついて、コースターの裏とかに走り書きするんですか?」とか。昔のコピーライターのイメージで、すごい言われて。昔、松田聖子さんがコピーライターのドラマをやってたことがあるんです。

倉本:ああ、あったかな。

小西:松田聖子さんが、ふつうにしゃべってる飲み会でいきなり「ハッ!」とかやって、コースターの裏にこうやって書いてたんですよ。そんなことせえへん、絶対。恥ずかしいし(笑)。

メモを使ってアイデアを作る

倉本:でも、テレビで見てたら、コピーライターはああいうことやるんだなと。

小西:倉本さんも、走り書き的なメモで、あんまりメモ取らないじゃないですか?

倉本:そうですね。

小西:この間、飲み会をやって、コルクという会社をやってる佐渡島(庸平氏)君っていう『ドラゴン桜』とか『宇宙兄弟』の編集をやってる人と、孫泰蔵さんという、孫正義さんの弟さんと、秋山具義さんといって、有名なデザイナーで、モジャモジャなのが僕とすごい似てるアニキみたいな感じの人たちと4人で飲んだんですよ。

この人たちにメモの話をしたら、3人から一斉に「メモ取らへんよ」と言われて(笑)。その瞬間に「えーっ」となって。ビビったんですけど。よくよく聞いてると、なにかを作りだす時に走り書きしてメモを取って、これをこうしてああして組み合わせたりとかしてたんですね。

泰蔵さんは、白いホワイトボードに自分の考え方をわかるようにしゃべりながら書いていって、みんなに見せるというやり方でしたね。普通、よく言うメモの取り方ってのは、昔の情報とか今の内容を残すために整理するというイメージがあるんですけど、今回の本は、基本的には「アイデアを作るためにメモを使いましょう」というのがテーマなんですね。わりとすごいと思いますよ。なかなかいい頭の使い方の本になってるっていうか……。

例えば、倉本さんもおっしゃっている通り、2つの事象を組みあわせたら、新しいことが生まれるということを、メモでやってみましょうみたいなことをやっているんです。

倉本:僕はホワイトボードが大好きで。

小西:ホワイトボードですか?

倉本:ホワイトボードが大好きなんですよ。だから、ホワイトボードとともに会議で人を凌駕していくみたいなことをしてますね(笑)。最終的には、このホワイトボードを写真撮って終わります。自分でしゃべりながら思いついて、バーッと書いて、それによってまた思いつくじゃないですか。

「このメモを、俺のメモをみんなで一緒に見ろ」と。見終わって「だから、こうやねん」「せやなー」「わかるやろー」と言って、「わかったー」「ほな、終わります」でパシャッてやるっていう。そういうことが多い。よく考えたら。

自分がホワイトボードなんですよ

小西:倉本さんの場合は、有名なお笑いの人とも仕事をされるじゃないですか。

倉本:うん。

小西:あれ、なんとなくダウンタウンの番組とかで(ホワイトボードを使った会議を)やってる雰囲気はしてるんですが、どんなふうになってるんですか?

倉本:基本、タレントが会議に出てくることはほとんどないですよ。彼らは特別ですよ。

小西:ないんですか?

倉本:特別です。

小西:そうなんですか。

倉本:思いつきを本当にラリーのように……。途中でミニコントみたいなことになったりとか。そんなことをバーッとしゃべっているのを議事録として取ってくれる人がいて。録音とかしてて。それを文字起こしして、次の週に持ってくるみたいなやり方です。でも、タレントがいない時の会議のほうが、もちろん多いですから。

小西:それは放送作家さんも、ディレクターもその場でやるんですか。

倉本:そうですね。宿題みたいな紙があったりとか、それを見ながら検討したりもするんですけども。僕はもう、ずっこいんで。

小西:ずっこい?

倉本:「ずっこい」というのは、大阪でいう「ずるい」です。それが一番自分に向いてるなと思ってやってきたんですけど。会議の直前まで、なにも考えて来ないんです。なにもない、真っ白です。

小西:真っ白!

倉本:真っ白。自分がホワイトボードなんですよ。

小西:(笑)。なにをうまいこと言ってるんですか。

会議はまさに格闘技

倉本:その状態で行って。真っ白といっても、日々なんかいっぱい溜まっているものがあるじゃないですか。おもしろい思いつきも、思いついてるのか思いついてないのかわからへんような、自分のなかにざっくりと溜まっている感じで行って。今日の会議でみんなが何をほしがってんのかなという感じのことを、その場で。

会議の中心人物がいるから、その人間の顔とか声とか言葉を聞きながら、「それやったら、これやんけ」というのを、その時に出すようにしてます。

小西:その場で。なんか、本当に大喜利なわけですね。

倉本:そうです。本当に大喜利気質で。「フリップ大喜利」というのがあるじゃないですか。お題があって、アレに書いて遊ぶという。そのシステムを最初に考えたのは、僕なんですけども。

小西:本当ですか?(笑)。

倉本:そうです。あれは僕がやってるスタイルをみんなにやってもらうというか、そういう感じだったんですよね。「こんなことを考えろ」と言われた時に、誰も思いつかないおもしろいことをいかに一番はやく言えるか。どれだけスピーディに一番いいトークができるかみたいなことが、自分の真骨頂なので。

小西:もう完全に格闘技じゃないですか。

倉本:まさに格闘技なんですよ。会議は本当に試合場だと思ってます。その会議で勝てるかどうかということで、やってるんです。勝てたら早々と「会議を締めましょう」と言うんですよ。できるだけ早く会議は終わらせようということで。それでなんとか今までやってこれてるんですけど。これ、いつまでもつか知りませんけど。

小西:じゃあ、ずーっとこれからも世界戦を戦い続けるみたいなことになってるわけですか?

倉本:そんな感じですね。だいたい勝つんですけど、戦い方がわからへんな、みたいな試合もありますよ。

大阪の時……。僕、大阪でこの仕事を始めて、大阪でやって成功した番組が評判になって、東京に呼ばれて(仕事を)やることになったんですけど。大阪から東京に移行する直前までは、大阪で百戦錬磨やったんですよ。全大会で毎回勝つ。そのやり方で東京でもやってたんですけど、イケるところとイケへんところがあって。「あれ? どんな戦い方やねん。よくわからへんぞ」みたいな。ちょっと悩んだことがあります。

小西:へえ。戦い方はわかってても、なんかへんてこな難しい人が入ってるとか、そんな?

倉本:人数がやたら多くて、暖簾に腕押し状態なんですよ。誰にジャブを打って、パンチを喰らわしたら一番カーッとなるのかよくわからなくて。しばらくしたらやり方がわかったんですけど。

伊坂幸太郎氏も大喜利気質

小西:なるほどねえ。そういえば、この間、本にも出てる伊坂幸太郎さんと。

倉本:(「すごいメモ」には)伊坂幸太郎さんとコニタンの対談も収録されてますからね。

小西:この間、お礼がてらに行ったんです。伊坂さんと話してたら、伊坂さんも大喜利気質です(笑)。何をするかというと、「これからこういうふうにストーリーが展開して、こうなったら、こことここのストーリーがつながってないけど、絶対につなげるアイデアがあるから、なにかない?」というのを編集者に投げるらしいんです。

倉本:なるほど。

小西:編集者の人が言ってくれるのを聞いて、「“ああ、そのやり方はあるな”と言いながら、違うおもしろいことを思いつくのが嬉しいと。でも、その時に伊坂さんが悲しいのは、ものすごく考えてくれて、まじめに正しい方向で言われると、やりようがないと言ってましたね。アホなことをバーッてしゃべってくれると、いろんなことが発想できるんだけど。まじめに正論で来られると、けっこうきついと。僕もコピーライターって仕事やってると、若手とかスタッフに、いっぱい疑問とか投げるんですけど。わりとふつうに、まじめに「これはこうだからこうだと思います」と言われると、それはそうなんですけど、なんかつまらんなあ……とか。

倉本:あるある。だから、「お前、なに言うてんねん! なんにもわかってへんな」みたいなやつが1人おったら、盛り上がります。

小西:盛り上がりますね。へこたれずにどんどん変なこと言ってくれるとなおいい!

倉本:「違うねん、だからこうやねん!」と言って、そいつに教えるたびに新しい物が出てきたりするからね。

小西:怒ってるうちに、いいアイデアが出たり……。

倉本:やっぱり新しいものを生みだすというのが基本で、「世の中にフィットする、みんなが心地よくなれるものはなんなのかな?」ということを探してる仕事なんですよ、コニタンはね。

僕は僕で、そういうことをテレビの番組とか、そういうのでやったりしてて。コニタンは広告でやったりしてるんですね。その時にやっぱりどうやって、ゼロから動くというかね、どうやってムニュッと出すか。ムニュッと出すかというその辛さ、気持ちよさがあるわけやね。

小西:ありますね。そのムニュッと出てくる感じの。

倉本:それをさっきの伊坂さんのパターンのように、「こことここはAとCがあって、Bの虫食いになにか入れたらおもしろくなるやんけ」というのは、めっちゃあるよね。

小西:絶対に繋がるはず感というのがあるんですね。「これは絶対にあるんだけど、見つかってないな、探しに行こう」みたいな。

倉本:そうそう。

小西:見つけた時のお酒は本当においしいですよね。

倉本:そうやねん。「わかったー!」と酔うからね。

小西:(笑)。すごいですよ。

本のタイトルを付ける難しさ

倉本:こうやって本のタイトルを付けるのも、結果的にこうやって物質になって、こんなふうな文字があって、本屋さんに並ぶわけじゃないですか。その前があるわけでね。「どんなタイトルにするねん」とか。いろいろ揉むわけですよね。比較的にこれは早く決まったんですけど。悩む時はめっちゃ悩みますからね。コニタンのは、わりとすっと決まりましたか?

小西:いや、けっこう後半ですね。最初はもっと、まじめなやつとかだったんですよ。それをもうちょっとクリエイティブに寄せたほうがいいなと思って。まあ、どんなタイトルでもビジネスのものに感じればいいなと……。半分ぐらい書いてから、タイトル決めました。いろんな言葉を掛けあわせてみたんで、時間がかかってましたね。

倉本:僕のこの本(『倉本美津留の超国語辞典』)、実は1990年代にこれの元になる本を出してるんですよ。同じ出版社から。その時に本当によくわからないタイトルにしてやったんです(笑)、いろいろと考えて。その時もたぶん、「超国語辞典」みたいなのもタイトル案に入れていたと思うけど。その時の担当者に「いや、倉本さんらしくないなー。もっとなにかあるでしょ、もっとなにかあるでしょ」とか言われて。

倉本美津留の超国語辞典

小西:おそろしい(笑)。

倉本:で、『どらごん』という名前にしたんですよ。

どらごん―道楽言

小西:えっ?(笑)

(会場笑)

倉本:なにが『どらごん』やねん!

小西:なんでですか? 「ドラゴン」?

倉本:それが、基本はひらがなで「どらごん」と書いてるんだけども。自分のなかでは「道楽」、「言葉」と書いて……。

小西:あー。

倉本:「道楽言」。言語で道楽するという。「道楽言」ということにして。

小西:それを聞くと、めっちゃいいじゃないですか。

倉本:めっちゃいいんですけど、でもやっぱり伝わってこないんですよ。『伝わっているか?』(注:小西氏の著書)じゃないですけど。

伝わっているか?

小西:ありがとうございます(笑)。

倉本:伝わっていかないと。だから、奇妙な本というだけでなんの本かわからなくて、あまり売れなかったんですよ。今回のは売れてほしいですけど(笑)。

小西:これはいい本ですよ。

倉本:改訂版でめちゃめちゃギュウギュウにしたんですけどね、いっぱい増やして。いろいろと繰って繰って。前の時もいろんな候補タイトルを出して「道楽言」で落ち着いたから、今回はもっとシンプルにしたいなと思って、その流れのなかでこのタイトルになったんですね。

小西:なるほど。本当に悩みますよね、タイトルとか短いやつは。長けりゃ書けたりするけど。短く言うのは本当に難しいなと。それが僕の仕事なんですけど。

倉本:そうでしょ。

小西:きついですよね。

糸井重里氏の「おいしい生活」はすごい

倉本:コピーライティングって、そんなに短くてもダメよね。ダメというか、違うよね。そういう仕事じゃないよね。タイトルを決めるだけじゃないもんね。

小西:ぜんぜん違いますね。

倉本:タイトラーでもないもんね。

小西:タイトルだと、もうちょっと長かったりするんですけども。コピーライターはなんですかね? 少なくとも、短くないと人は「その言葉」を使ってくれないじゃないですか。だから、できるだけ短くはします。ただ短かすぎると何を言ってるのか、ぜんぜんわからないので。

倉本:そうなんでしょうね。

小西:やっぱり適確に伝えるための言語体系、そういうのを考えますよ、一生懸命。(観客に向けて)まじめにやってますよ。意外にまじめにやってるんですよ。倉本さんも、ものすごいまじめなんですよ。ストイックですよね。

倉本:すごい基本的な話になるんですけど、コピーライターという名称が有名になったのは糸井(重里氏)さんからじゃないですか。

小西:糸井さんですね。

倉本:糸井さんというスターが出て、コピーライターが有名になって。糸井さんの仕事で、「おもろいな」と思ったのは「おいしい生活」ですね。「おいしい」という言葉を味以外でこれだけ広めたというのは、なかなかのことやなと。

小西:いや、すごいですね。コピーライティングの世界の中で「おいしい生活」は、若い人は知らないかもしれないですけど、知ってる人はけっこういますよね。

倉本:あれ、PARCOでしたっけ?

小西:西武(百貨店)です。

倉本:西武か。

小西:西武が1年に、お正月に出す広告で。しかもウディ・アレンというすごい人が「おいしい生活」に入った。

倉本:マジ、ウディ・アレンやもんね。

小西:マジっすよ。「おいしい」という言葉が、暮らしを表現するというふうに。今は「おいしいな」とか言うでしょ、ふつうに。あれ、昔はなかったんですよ。

倉本:そうですよ。

小西:広告からできたんですよね。

倉本:「今のくだり、おいしい!」とかね。

小西:「お前、おいしいなぁ!」というのは。

倉本:なかったですもん。その概念をたぶん始めたというので、ポイントを突くのは糸井さんなんですね。すごいですよ、やっぱり。

小西:すごいですよ、やっぱり。そこからコピーライターってのが有名になった。みんなが憧れて、なろうとして。でも、思ったより苦しいので辞めるみたいなことがありましたね(笑)。

「甘い」という言葉のおもしろさ

倉本:「甘い」という言葉があるやんか。「甘い」という言葉には、いっぱい意味があるじゃないですか。「考え方が甘い」とか「ブレーキが甘い」とか。「なんで味がそうなっていくねん」というのは、それをそういうふうなおもしろ使いを誰かがしてるんです、一瞬。

小西:昔やったんですね、それを。

倉本:そうそう。そのころは「そういう時に使わへんやんけ。でもわかるわー」となる。それができたらいいんですよ。

小西:発見ですよね。

倉本:発見なんです。その発見をわりとお笑い芸人がしてきてたりとか、僕らもそういう言葉をわりと作ってきたなと思うんですね。あまり、ふつうはそこに使わない言葉を使っていくということで、なにかおもしろいことができる。

小西:「甘い」だけでもけっこうありますよ、確かに。

倉本:ありますよ、ほんま。

小西:「甘噛み」とか。「甘い」の使い方が、そもそもまちがってる。

倉本:そうですよ。「ソフト」がイコール「甘い」になってるから。それはソフトクリームとかからきてるのか? とか。

小西:(笑)。

倉本:なんか「甘い」というのはおもしろい言葉ですよ。

小西:「ブレーキの甘さ」とか変ですもんね。「ブレーキが甘いね」と言ったら、「甘い」が味覚しか知らない人はすごいことになっているわけじゃないですか。舐めてみたくなる。

(会場笑)

倉本:そうそう。ブレーキが甘かったらアリがたかるかもしれないね、ほんまに(笑)。

小西:蟻がたかって、それで、ブレーキが滑るから「甘い」とか(笑)。

倉本:そうなんですよ。言葉はおもしろいんです、よく考えてみたらね。みんなその時その時で使い分けていますけれども。よく考えたらアホなんですよ(笑)。

「それ、おもしろい」があったらみんな動く

小西:僕らでいうところの広告企画の発見もそういうところが起点なんですよ。僕なんかは広告のアイデアも言葉からつくるんですよね。例えば「ブレーキも“甘い”しスイーツも“甘い”。これは変やなあ!」というところから、CM作ったりとかするんですよ。

倉本:でしょうね。

小西:「その甘いちゃうねんで!」というのがきて、そのあととってもいい甘さのスイーツとかになるんですよね。発見が絶対にある。その表現も発見だし。仕事のタイトルを付ける時も、会議体のタイトルを付ける時もやっぱり同じで、「それ、おもしろい」というのがあったらみんな動くんです。

倉本:そうなんですよ。だから、おもしろいと思わさないとダメなんですよ。「おもしろいとはなんやねん?」いう話でしょ。何、「面白い」とは? 「面に白」とか、なんやねん!? そこからおもしろいわけなんでね、ほんまに。

小西:「面に白い」ですからね。昔は、面に白いのがおもしろかったんでしょ。

倉本:そうなんです。だから顔が白くなるぐらいで、めっちゃ大笑いしたみたいなこととか言われますけどね。

小西:一種のバカ殿ですね。

倉本:バカ殿ですよ。バカ殿がおもしろいの象徴なんですよ。

小西:(笑)。

倉本:だから流行とかあったりするわけなんです。

小西:なるほど。

倉本:(この本には)そんな言葉がいっぱい入ってると。日本語のなかの、おいしいおもしろい部分をギュッとした物です。

小西:さっき話しましたけど、この後の発表とか、みなさんが言ったこととか、正しくなくても、ぜんぜんいいので。それのほうがおもしろい。

倉本:間違っていこうということなんですね。アホになろう!

小西:いい使い方ですね、アホになろう!

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