2024.12.02
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岡田斗司夫氏(以下、岡田):さて、じゃあ、今日1つ目の話ですね。「ギャンブルやってる奴に生活保護は不要」という話をするね。Facebookのほうにリンクを貼ったんだけれども、どっから話せばいいのかな。まず、アンケートからいこうか。
「生活保護をもらいながら、ギャンブルに入り浸ってる人っていうのに生活保護を払う必要はない」っていう議論があります。別にリンク先とか読まなくて、この部分だけ聞いてどういうふうに思うのか、アンケートを出してください。3択です。
ギャンブルに入り浸ってる奴には生活保護を払う必要はない? 1. その通り。払う必要はない。2. かもしれない。全額払う必要はないかもしれないというやつ。3. いや違う。ギャンブルに入り浸ってるやつでも、生活保護費を全額払うべきだ。
これでアンケートをとってみたいと思います。では、結果出してください。
おー、おもしろいね。ギャンブルに入り浸ってるような奴は生活保護を払う必要はない。1の「その通り」が54パーセント。2の「かもしれない」が25パーセントですね。両方合わせて80パーセント。
男子のうんちチビリ率と同じだよね。今後は8の法則は男子うんちチビリ率という呼ぶことに(笑)。「いや違う」が2割ぐらいだと。
(コメントにて)「締め切り早いよ」。ごめんね。
実はさっきの言論オーディションの話なんだけれども、昨日、大阪でもやってきたんだよね。大阪でやった時には、大阪は大阪で、不思議な人が多くて。なんかね、とにかく「有名になりたいです。有名になりたいです」っていうことしか話さない人とか。
あと、「馬鹿よ貴方は」っていうお笑い芸人の変なほうってわかる? イエス・キリストみたいな奴。あんな感じでひげとか髪の毛がもじゃーとした奴が来てて。で、「周りに溶け込めないんです」というふうに言うんだけども。
まず、そのイエス・キリストをなんとかしろって思ったんだけれども。本人は「周りに溶け込めないから、引きこもってるからこうなるんです」って言うんだけれども、絶対違うと思ったね(笑)。
まあ、その中の1人に、人種差別撤廃施策推進法案が廃案になりそうだと。今、国会で廃案の危機にあるということを訴えてる、在日韓国人2世の人がいたんだよね。
その人が、在日韓国人に対する人種差別・ヘイトスピーチとかそういうのがあるので、そういう差別を禁止するような法案が今の国会でちょっと流れちゃいそうだ、というような話をして、僕に訴えかけた。
僕のほうはですね、言論スターと言っても、そういうことを訴えるんじゃなくて、それを切り口に自分はどんなふうにいろんな事象を語っていくのかというふうなことを考えてくれ、みたいなことを言ったんですね。
差別の不当性を訴えるだけじゃだめだよと。差別する側というのは実は多数派で。差別という問題があったら、必ず差別する側って9割ぐらいで、差別される側が1割ぐらいじゃん。
1割の駄目なやつらを9割の、なんだろうな、優秀とは言わないけれども、その時、たまたま立場が上な奴が差別をするわけだよね。ということは、差別する側には差別する側の得というのかな、メリット。例えば、差別してたら安心するとか。スッとするみたいなメリットがあるわけなんだよね。
じゃあ、それに対して1割の人が訴えかける時に「差別というのはいけないものでしょう?」という訴え方だったら、それはちょっと弱いよと。9割の人がそれまでのメリットを捨ててまで、差別やめるような、何か別の言い方みたいなものを考えなきゃいけないんじゃないの、という話をしてました。そういうふうなことを助言してたんだけれども。
さっきの「ギャンブルやってる奴に生活保護は不要」という話に戻ります。稲葉剛さんという人の公式サイトからの引用なんですけれども。
稲葉さんという人は69年生まれの被爆2世ですね。お父さんかお母さんのどっちかが広島で原爆の被爆受けた。そのあと東大入った。そのあと、ホームレスとか派遣とかの生活向上を目指す運動をずっと続けてるというですね。
基本的に、僕とか皆さんのような8割うんこちびってるような奴らよりはずっと立派な人なんですよ。なので、本来はこの稲葉さんの言ってることを軽々しく批判すべきではないんだけども。この人のブログがおもしろいです。あ、そうですね。(コメントにて)「もやい(自立生活の支援を行うNPO法人)の人」ですね。
自民党に根強い人権制限論があると。これが今日の議題だ。自民党の生活保護に関するプロジェクトチームの座長の世耕(弘成)さんという議員が生活保護というのを見直したいと。でも、それに反対する人がいると。生活保護の見直しに反対する人たちの底辺にある考え方は「フルスペックの人権」。
つまり、人権のすべてを認めてほしいというものだと。「生活保護を受給しても、パチンコをやったり、お酒を頻繁に飲みに行くことは、個人の自由だ」とそういう人たちは言うと。
しかし、我々、政府の議員は税金で全額支給をみてもらっている以上、憲法の権利を保証した上で、一定の行動の制限があっても仕方がないと考える。この底辺の考え方の違いがある、というふうなことを言ってるんだよね。
つまり、生活保護の支給を受けているんだったら、別にその金でパチンコ行こうが、酒を飲もうが自由じゃないかというのに対して、行動の枠でもいいし、何か設けたいという考え方があると。
そこで議論があるというふうなことに稲葉さんはすごい反論をしてると。さっきまでの僕らが取ったアンケートでは、8割ぐらいの人がたぶん、今のこの議員の考え方に近いと思うんだよね。これを「利用者バッシング」だというふうに稲葉さんは言ってると。
「制度利用者のモラルの問題を言い立てることで、制度自体の縮小を模索するという政治的手法」というふうに言っててですね。2年前の麻生総理が糖尿病の患者に関してこんな発言してると。
「食いたいだけ食って、飲みたいだけ飲んで、糖尿病になって病院に入るやつの医療費は、俺たちが払ってるんだから、これは公平じゃない。こいつが将来病気になったら、医療費を払うのかというと無性に腹が立つ時がある」というふうに麻生副総理は言ったそうです。
これを、稲葉さんは、糖尿病患者への偏見を悪用して、利用者のモラルハザードを焦点化することで、つまり、「糖尿病患者の自身の生活のモラルが下がってるからなんだ」という、モラルが低下しているというふうなことに焦点を当てることによって、医療費全体の抑制へと社会保障政策へ舵を切ろうとしていると。
「生活保護バッシングと同様に、制度利用者を叩くことで制度自体を利用しようとしている」というのが稲葉さんの主張だ。これを、さらに稲葉さんは論を続けてて、3年前に報道ステーションに出演した石原議員が何を言ったのかというと。
「一言だけ言わせていただくと、私はね、尊厳死協会に入ろうと思うんです。尊厳死協会に。やっぱりね、ターミナルケア、つまり死ぬ時にどういうふうにするのか。日本だけです。私は誤解を招いたんですね、この発言で。
私はやっぱり生きる尊厳、そういうものをですね、いったいどこにおくのか。そういうことも考えていく。そこにいろいろな答えがあるのではないでしょうか?」というふうに言って、個人的意見だというふうに言ったんだけれども。
その直前には、公営住宅を活用することで生活保護費を8000億円減らせるという話をしてるということで、石原議員が生活保護費、そういうふうなものを削減しようとしている。老人医療を削減しようとして、(日本)尊厳死協会であるとか。
もしくは、よりよく生きるためには、死ぬというふうなことを決定させることもありなんじゃないか。いつまでもいつまでも医療費をかけるばっかりで、寿命を延ばしてばっかりっていうのは間違ってんじゃないのか、というふうなことを言おうとしていることは明らかだ、というふうに稲葉さんは結論しました。
稲葉さんはこのあと、TPPの交渉に正式参加したので、このままでは日本はアメリカ型の医療制度になってしまう。それは何かというと、民間の高額な医療保険に加入しなければ、病気になることもできない。健康が自己責任ということになってしまう、というふうに稲葉さんは発言しました。
ここまでの発言を、ちょっと長くなったので、ギュッとまとめます。
まとめると、世耕議員というのがいました。この世耕議員というのが最近の発言で、「生活保護を受けてるのにギャンブルやってるやつがいるぞ」。国民の自由のという言い方も変なんだよね。この場合なんて言えばいいんだろうね。「人権というのを本当に全部保証すべきであろうかどうか」というふうなことを世耕議員が言ったと。
それに対する、ずっと社会運動やってる稲葉さんの主張は、「ちょっと待ってよ。それ言い出したら危険だよ。確かに、生活保護を受けてギャンブルをやっている奴がいると言ったら、みんな反感持ちやすいんだけども、そこのところに焦点当てて人権制限論言ったらヤバイことになるよ。
どんなふうにヤバイことになるのかというと、証拠1、麻生副総理がかつてこんなこと言った。「自分のせいで糖尿病になってる奴らのために、なんで国家は医療費払わなきゃいけないんだ」ということが証拠1。
証拠2、石原議員がこう言ったよ。「尊厳死という選択肢があるじゃん。なぜいつまでも老人を生かさなきゃいけないんだ」というようなことを言った。
結論、TPP参加の議論に日本参加する。これから日本ってアメリカ型の医療になるんじゃないの。健康が自己責任になって、結局、自分の責任でアル中になったり、自分の責任で糖尿病になったようなやつらというのに、そんなの面倒みなくてもいいじゃないか、というようなかたちになるんじゃないのか?」ということを言ってると。
大枠で言ってるのは「生活保護者へのバッシング」だよね。生活保護を受けていて、そのお金でギャンブルやってる人たちをバッシングすることは、我々自身、普通の人間の首を締めますよ、というアピールをしていると。
稲葉さんは、さっきも話したように、僕たちみたいに8割うんこ漏らしてるような大人たちに比べれば立派な人なんだけども、なんかね、政治家を批判する時は政治家と同じような手法を使うよな、と思ったんだよ。
つまり、そういう証拠を並べて、別に相手が言ってないことを「明らかである」っていうアピールをするという。なんか政治家とか小汚いマスコミを同じような主張を組み立て方をするので、そこはちょっと引っかかったんだけども。
でも、これを手法と割り切れれば、発言の正当性はわかりやすい。つまり、ある政治家がこんなことを言った。だから、「政府自民党もしくは日本国は弱者切り捨ての方向へ向かってる」というようなことを言いたくて、今のような議論の組み立てをするわけだよね。
それぞれの議員は議員で、ひょっとしたら、そういう思惑があったかもわかんないけども。本当に自分の気持ちとして「生活保護って本来そんなものじゃないでしょう?」って気持ちでやったのかもわかんない。それは僕らにはわかんないんだ。なので、僕らはこの生活保護の議論にあんまり乗らなくてもいいんだけども。
俺、メディアリテラシーってこういうもんだと思うんだよね。メディアリテラシーというのは仕掛けをどれぐらい知ってるかとかさ。メディアの中で、例えば、ネットとかそういうふうな裏情報に通じてるから「だから、俺は違う」というふうにしてるんじゃなくて。
あることを主張する人たちというのは、結論ありきで立論をするから、自分たちに有利な証言や証拠をバーっと持ってきて、さもありそうな感じで組み立てるじゃん。
なので、そこのところは差し引いて、それはもう石原議員の発言であろうと、麻生さんの発言であろうと、稲葉さんの発言であろうと、ちょいと差し引いて考えたほうがいいよ、というふうに僕は思いました。
で、最初に言ったですね、言論スターで出てきた、在日韓国人の活動家にはこのしたたかさがないよな、というふうに思ったんだよな。他人の発言を利用して、自分に有利なようにどう組み立てるのかだよね。
僕らはそれを受益者として受ける側だから、あんまり、そういう操作されたらかなわないんだけども。出る側だって、自分のことを考えるんだったら、いかに自分の利益になるように、相手の発言の揚げ足取ったり証拠を並べていって、さもそれが立証できるようにするというような「したたかさ」も本当はちょっと必要なんだな、と思いました。
テレビに出る人間、メディアに出る人間、ものを書く人間というのは、だいたいそういうしたたかさというのを持ってるというのをわかってもらうのが、僕はメディアリテラシーの基礎だというふうに思います。
ということで、もう34分だよ。さてさて。
受給額というか、例えば、生活保護をチケット化して、それを食料のクーポンにしか使えないとかさ。あとは、家賃とかそういうふうなものにしか使えないとか、いろんなやり方あると思うよ。
でも、そういうふうな仕組みを多くすればするほど、それによって不当な利益を得ようとする人がいるから、これは現金で渡すのが一番いいと思う。その結果、その人がギャンブルに使おうが酒に使おうが、かまわないんじゃないかなというのが正直な僕の感想だよね。
それの使い方までを制限しちゃうと、システムが複雑になって。結局、酒で身を持ち崩す人よりも、それを利用し利益を得て、迷惑を受ける人の数のほうが多くなっちゃう。というのが俺の直感的な考えなので、できるだけこういう税制とか生活保護というのはシンプルにするのがいいと思います。
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