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数理最適化のエキスパートが断言「AIブームで見落とされがちな重要技術」 1,300社が導入した「演繹的AI」が意思決定を変える
How Tall Can Skyscrapers Get?(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:40年近くの間、ニューヨークのエンパイアステートは世界で一番高いビルとされてきました。

高さは381メートルのこのビルの栄光は現在過去の遺物となりつつあります。現在世界で一番高い建物は現在建設中です。サウジアラビアのキングダムタワーは、計画通りにいけばエンパイアステートの2.5倍の高さになります。

そうです、1キロメートルの高さの建物です! そんなことが可能なのでしょうか? 私たちはどのくらいの高さまで建物を建てることができるのでしょうか?
2番目の質問に簡単に答えるならば、答えは「誰も知らない」です。しかしキングダムタワーをはじめとする摩天楼をよく見てみるならば、ものすごい高さまで挑戦していることがわかります。ここから近くのスターバックスまでの距離ほどの高さなのです。
キングダムタワーは、初めは1マイル=1.6キロの高さの摩天楼として建設されることになっていました。しかし土壌テストをした結果、弱い通水性の石灰石と砂岩が層になっていることが判明し、高さが縮小されることになりました。
この巨大な建物にしっかりした土台を据えるために、「支柱」と呼ばれる270メートルの長さのコンクリートのシリンダーが設置されました。それは直径1.8メートルで、深さは110メートルになります。
そのような土台を設けた後は、ビルの材料を考慮しなければなりません。30年前に世界最高の高さと言われたビルは鋼鉄でできていました。

しかし鋼鉄は非常に重いので、現代の超建設構造では主にコンクリートや、鋼鉄とコンクリートを合わせたものが用いられます。
さらに、コンクリートを地上から800メートルの高さまで運ぶにはクリエイティブな技術が要求されます。この問題は、もしかしたら人類が1キロを超える建設物を建設するにあたって乗り越えなければならない、最も難しい問題のうちの1つと言えるかもしれません。
例えば、ドバイにある828メートルの高さのブルジュ・ハリファは、現在世界一高い超高層ビルですが、これを建設するにあたり、技術者たちは、乾いていないコンクリートを最上階まで運ぶために、幅15センチの真空のチューブを開発しなければなりませんでした。

また、163階までの途中で、太陽熱によってコンクリートが固まってしまうことがないように、この作業は夜間に行なわれなければなりませんでした。
ある技術者たちは、将来の建設材料はカーボンファイバーの混合物になるのではないかと予想しています。

軽量かつとても丈夫なカーボンファイバーはすでに、高級な自転車や最新の飛行機を作るのに用いられています。
問題は費用です。カーボンファイバーは非常に高額です。それに、もし建設する人が1キロの高さまでカーボンファイバーを運ぶことができるとしても、ほかに問題が生じます。
その建物が立ち続けられるように支えられるかどうか。超高層ビルは高くなればなるほど、支えるのが難しくなるのです。
ビルのデザイナーが日々直面しなければならない問題は、「風」です。ただ土台が強ければ大丈夫というわけではありません。現在の超高層ビルは常に時速150キロメートルを超える強風に持ちこたえなければならないのです。
そのために、ほとんどのビルの角の繋ぎ目の部分には、伸縮可能なスチールの梁が入っていて、ビルが揺れることができるようになっています。
これは良いアイディアですが、旋風についても考えなければなりません。旋風が流れ、ビルから素早く旋風が離れていくとき、それぞれが建物を引き寄せるのです。

このような空気の渦は結果的にビルを左右に、そして風向きと垂直に引っ張ることになるのです。この事を「渦の離脱」と言います。もしかしたら、このおかしな現象をあなたも、風の強い日に旗竿や電柱を通して見たことがあるかもしれません。
風洞テストは、このような現象を解決する方法を見つけるために、技術者たちの助けとなってきました。風圧を吸収するためにビルの角を丸くしたり、表面に刻みを入れたりしてきました。
しかし、実際的にはほとんどの超高層ビルの建築家の悩みは、エレベーターの問題です。考えてみてください。世界一高いビルを建てられたとしても、人々が上って頂上階で記念Tシャツを買うことができないなら、何の意味があるでしょう?
エレベーターに関係する問題は2つあります。1つは、エレベーターのシャフトは600メートルの長さを超えることはできません。超えてしまうと、エレベーターを動かすケーブルが重すぎて動かせなくなってしまうのです。
ブルジュ・ハリファでは、技術者たちがこの問題を解決するために「スカイロビー」と呼ばれるロビーを作りました。頂上階に向かう乗客は、そのロビーにいったん降りて、もう1つのエレベーターに乗り換えるのです。
しかし最新の超高層ビルは、エレベーターのスピードの面でも限界に直面しています。120階に行くために15分間エレベーターに乗りたいと思う人はいません。しかし、もしスピードが速すぎるなら、気圧のせいで耳が詰まったり、乗客は酔ってしまうかもしれません。
そのため、ほとんどのエレベーターは秒速10メートル以上の速さにはならないようになっています。それに、揺れを抑えるために気圧調整やローラーガイドが設置されています。
速度をさらに早めるための1つの選択肢は、エレベーターを電磁式に運航することかもしれません。そうすればケーブルが必要になりません。ある会社はすでに最新の電車システムに使用されているような、電磁浮力推進システムを使った試作品を作っています。

早ければ2019年には、世界は1キロメートルの高さのビルを見ることができるでしょう。そしてどのように技術者たちがこのような問題のいくつか、またはすべてを克服することができたのかを学ぶことができるでしょう。
我々はさらなる高みに挑戦していくでしょうか? おそらくそうでしょう。しかし誰かが安価なカーボンファイバーを発明し、電磁式エレベーターを完成させられるまでは、進歩はそこまで早くはないでしょう。
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