2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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曽和利光氏(以下、曽和):いろんなケースがありますけどね。「早いもん勝ち採用」みたいなこともやってたりしますので。
小林琢磨氏(以下、小林):へぇー、なんですかそれは?
曽和:一番最初に来た人から「はい、内定」みたいな。
鈴木:そういうとこもあるんですか?
曽和:めったにないですけどね(笑)。何工業さんだったかな。そういうところもあるんですよね。
これは、まだ実験中というか、経過中らしいですけど、某IT広告会社さんは、面接せずに合格を……。会うのは会うんですけれど、グループワークみたいなのをさせたり、適正検査をやってもらって。でも、面接は辞めて採用をしようっていう会社さんも実はあったりするんです。
小林:面接しないんですか?
曽和:一応、合理性があるなと思うのは、面接の研究っていっぱいあるんですけど、ほとんどすべての研究が言っていることってなにかというと「面接というのはいかに精度の低い選考手法か」っていうことなんです。
人間っていうのは基本的に見たいものしか見ませんし。簡単にいうと、自分に似てる人は好きだし、似てない人は嫌いだとか。好き嫌いで判断してしまうというのが、どうしても抜けないと。
それをなんとかする方法もあるんですけどね。「構造化面接」だったり。あるんですけど、だったら適性検査をもうちょっとちゃんと科学したり。最近はウエアラブルセンサーとかあったり。
鈴木みそ氏(以下、鈴木):僕もいろいろつけてます、右手も左手も。
曽和:それで例えば、わからないですけど、今後もしかするとそのときの動き方によって「こういう動き方するやつはダメだな」とか(笑)。
鈴木:心拍計ったよ、とかね(笑)。
小林:ビッグデータですね。
曽和:これ冗談の話じゃなくて、実は今度そういう会社の社長さんと会うんですよ。採用に応用できないかっていう話で。来週かな、お話するんですけど。
鈴木:どこでしたっけ? 6方向にカメラが付いてて、みんなが会社に入ったときに胸につけるプレートで、「誰と話してどこで動いたか、1日中、どこの人がどこで」っていうのを記録して、ビッグデータでずっと何ヶ月も取り続けると人間の関係性がわかってきて「この人がハブだ」っていうことがわかると。
鈴木:この人とこの人を合わせると社内の調子がよくなるみたいなことを……そうだ、日立だ。そういう研究をして、それを高く売ってるんですよ。これはおもしろいなぁと。
小林:採用でもそういうのありませんでしたっけ? ハブみたいな人を作って、その人からの評価だと評価が高いみたいな。Googleでしたっけ?
曽和:採用というよりは会社に入ったあとの評価で、上司が部下を評価するときに、あまりにも1人の人が1人の部下を評価するのに、バイアスがかかりすぎだっていうことで。
特に、ネット企業さんとかだと「360度評価」っていうので、いろんな人からの評価を集めて、それで1人の人の評価を決めるみたいなことっていうのがありますよね。
その中でGoogleさんみたいに、みんなからの評価が高い人の評価っていうのを高くするみたいな。はてなさんとか昔そうやってたことがありますし。Googleさんとかも確か、そうやってましたよね。
小林:みんなの評価が高い人の点数が高いみたいな。やってましたよね。
曽和:あまりこれを言いすぎるとマッドサイエンティストっぽいんですけれども、人間の評価を人間にさせないような状況を思考してる研究っていっぱいありますよね。
鈴木:ソーシャルを自動的に使って、みたいな。
曽和:古くは適性検査とかもそうかもしれませんし。実際、僕は昔いた会社で最後にやった仕事っていうのが、面接時の評価と5年後の成果の評価ですね。それのやつをやったんですけど、面接の相関、なかったんですよね。
鈴木:ないんですね!? すごい!
曽和:「僕はなにをやってきたんだろう」みたいな話ですよね。これを聞かれてたら僕、面接トレーニングとかの仕事がなくなっちゃうかもしれないんですけど(笑)。でも、適性検査は実は(相関が)あったんですよね。
たとえば、まず国語と数学だったら、数学は結構相関が高いとか。あるいはエネルギー量と活動意欲っていうSPIの項目があるんですけど、そこは結構あるとか。
結構そういうケースっていうのはよく出てきているので、人間のヒューマンエラーみたいなものを、いかに採用とか評価とかから除いていくかっていうのは、1つの流れですよね。
よく聞くのは、GoogleさんとかP&Gさんとか、ああいうところの人事って3等分されていて。3分の1がデータサイエンティストで、3分の1が心理学者で、3分の1が人事屋さんみたいなことを。
さもありなんって思うんですよね。そういう時代に徐々になりつつあるかなっていう気はしますね。
鈴木:ちょうど一昨日くらいのニュースで、アメリカのプロ野球のスカウトがどんどんレイオフされて、仕事がなくなったというのをネットで見たんですね。
それはデータが野球ではすごく蓄積されているから、本質的な打率やあれ(成績)よりも、別のポイントになってるやつを出してくると「この選手を集めたら勝つ」っていうのが。弱いチームが勝って、それが映画化されたわけですね。
これから大リーグがみんなそうなるんだったら、人間の判断いらないっていうことになって、次々GM(ゼネラルマネージャー)クラスまでクビを切られてるっていうんで、急激に進んでくるところがアメリカのすごいところだなぁって思うんですけど、これもビッグデータですよね。
曽和:5年10年とかっていうスパンでいけば、ちょっとSFっぽいですけど、ありうるんじゃないかなっていう気がするんですよね。選考っていう意味においてですね。
ただおそらく、まだしばらくいくのは口説きのほうは仕事あると思うんですよ。要は良い悪いはわかったとしても、その人がうちに入ってくれるかどうかわからないじゃないですか? それを「アナタハゴウカクデス」みたいな感じで出て(笑)。
鈴木:古いね(笑)。
小林:相当古い感じがしましたけど(笑)。
鈴木:こんな感じで出てきますよね(笑)。
曽和:ちょっとバレちゃうんですけど、いろいろ(笑)。みたいなことを(機械的に)言われても、たぶんそこは……。なので、人事の役割徐々に変わってきてるかなと。
基本的に売り手市場っていうこともあると思うんですけど、今はどう口説くかというか、入社に導くかっていうところがむしろ一番の役割で。
ジャッジはそういうテストだったりとか、いろんなものを科学してやってくかたちになりつつはありますね。
鈴木:会社の目的はいい人材を集めることだから、ずっと言ってることは変わらなくて。すごく優秀な子をできるだけ入れたいから新卒で入れるわけですよね。
僕はずっと、新卒は“処女信仰”だと思ってたんですけど。なんであれ、ほかのところにない……処女だけ高いっていうのは、中国人が高く買うみたいな。
本質的に「そんなとこ買いにいってもしょうがないじゃない」ってずっと思っているところがあったんですけど、いろんな人に聞くと新卒を採る意味は、ちゃんとあると。
曽和:新卒を採る意味っていうのはすごく単純な話で、1回いい人がどこかに入っちゃうと、なかなか日本の場合って出ないんですよ。
だから、最初の入り口でっていうのがあるのと。中途採用はやっぱり採りにくいし、高いんですよね。年収の3分の1ぐらい出さなきゃいけないっていうのもあったりしますし。
それなりの見合ったものがこっちになければ、やっぱり中途採用は、僕は「中途バツイチ説」とか言ってるんですけど、やっぱりもう結婚に幻想抱いてないですよね。だから会社との関係性において。
小林:世の中のバツイチ敵に回しません?(笑)。
曽和:すいません、バツイチも……僕も、バツ3くらいですからね。3回辞めてますんで(笑)。
小林:あぁ、会社を。びっくりした、いきなりなに言ってるのかなと思いましたけどね(笑)。
曽和:なんの話でしたっけ……(笑)。なので見合った、ちゃんとフィフティフィフティで自分が提供するものと、会社からもらえるものってちゃんと見るじゃないですか?
新卒ってお互いの5年後、10年後を見合ってやるので、下克上がやりやすいんですよね。可能性に賭けてくれやすいというか。こちらも、もちろん可能性に賭けるわけなんですけど。
たとえばそうですね、ベンチャー企業さんとか、これからいくぞっていうような会社だと、特に新卒採用のほうが、今いい人が採れるっていうのは、そういう背景があるからだなっていう気もします。
小林:うちの会社も実はちょっと新卒採用を始めたんですけど、新卒よかったですね。真っ白ですし、なによりも素直。素直というか、言われたことをやりますし。中途だといい悪いは別として、前の会社のやり方を持ち込むんですよね。
いいところもすごくあるんですけど、悪いところもあったりして。新卒だとそういうところもないですし。
鈴木:それは処女信仰ですか? 前の癖がついてないみたいな(笑)。
小林:まぁ、そうですね……でも、結局……。
曽和:処女信仰にしたい感じなんですね?(笑)。
鈴木:いやいや(笑)。それはまた違うじゃないですか?
小林:一人前になるまでのスピード感はあまり変わらないですね。新卒も中途も。であれば、新卒のほうが給料安いし。これがね。
まぁ、銭が安いんで。
鈴木:あとは(会社を)変わってきた人は、いつでもまた次のところに変わっていく危険性があるから、ある程度高くキープしなきゃいけないところもありますよね。
小林:そうですね、1回バツイチになっちゃうと、バツ2も変わらないだろうって思っちゃいますからね。
鈴木:そういう心理的なところはありますか? 1回目のところが大変でと。
曽和:正しいかどうかは別として、実際、現実的にあるのは「30歳までに3社経験しちゃってるような人はもうダメ」とか、書類選考の基準でリアルにあるんですよね。
ただそれは経営者の人って結構意思決定スタイルが、決断型っていうやつですけど、ちょっとの情報でバシッと決めるんで。
「過度の一般化」っていうんですけど、「1人目こうだった、2人目こうだった、3人目こうだった。じゃあもう全員」みたいな、そういう感じで思っちゃうんですね。
鈴木:わかりやすい!
小林:それありますね。
曽和:あまりそれをやり過ぎると、たとえば採用のコンサルティングをやらしていただくと、謎の書類選考基準っていうのがやたらある会社がいっぱいあって。謎っていうのは言い過ぎなんですけど、たとえばブランクがあるだけでもうダメとか。
鈴木:前の2人がダメだったからっていう、その人基準で。
曽和:社数とかもそうですし。それは傾向としてあるかもしれないんですけど。「見たらいいじゃないですか」っていうのも、デジタルに切るみたいな会社も結構あるので。
それって、たぶんそのルール決めてる経営者は……経営者は逆に、ちょっとの情報でバンバン決めていかなきゃいけないのでそれはそれでいいんですけど、こと人事に関すると、それはもったいないなっていう気がしますけどね。
鈴木:仕事っていうのが、大きく考えるとすごくたくさん多岐にわたるじゃないですか? 新卒や学生を採るだけでこんだけあるのに、転職も加わってくると、もうめちゃめちゃありますよね。
会社も、大企業から中小からベンチャーまでいろいろあって、それぞれがみんな全然違う方法論とやり方あるから。
僕が漫画で今回描きたいと思っているのが「この男の子はあまり優秀じゃないけども、君が狙ってるところは大企業ばっかりずっと狙って外れてるよ」と。もっと違う、本当は君はなにがやりたいのかと。
その持っている能力と、それを一番買ってくれる会社。このマッチングができたら、いろんな人にとって素晴らしいんじゃないかっていうときのモデルになれないかな、と思ってるんですよ。
だからなんとなく安定した大企業狙うような人もいれば、もっと全然違う考え方があるだろうし。
きっと自分の能力をもっと「こんなことがある」っていうことが、まだ若いからわからないのかな。わからないんですけど、学生は学生なりに売り方があると思うんですよ。
それと欲しい企業側が、どんな人間だったら欲しいのかと。こんな人間になりすましてしまうと、企業は思わず採ってしまうから、それは勝ちだろうと。
結婚と同じように相手をごまかして、「採っちゃえば勝ち」みたいなところがあると思って。相談所みたいな。
曽和:まぁ、入っちゃえば勝ちみたいな。
鈴木:そう、途中までは。
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