2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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パトリック・ハーラン氏(以下、パックン):とにかく、アメリカ人と日本人のお笑いの違いは、教育による影響が大いにあると思います。私は、学校でたくさん学びました。ハーバードでも、たくさんの情報を学びました。情報の使い方や、情報を変換して新しいなにかにする方法を学びました。論理的に自分の考えを言い、そしてさらに新しい情報を付け足す方法を学びました。
私が学んだことで最も重要なことは、読まずとも自分なりに“BS”する方法です。知らない人と、自分なりにBSをする方法です。BSは、英語のスラングです(注:嘘、でたらめの意)。BS朝日やBS-TBSのBSとは違います。私たちは、BSでわかりやすく伝えます。ハーバードの教育は、BSを重視します。日本は、冗談を言ったり、アドリブで冗談を言えるようになる必要があると思います。それらは、日本の芸能界においてはとても重要です。
日本の芸能界は、リアリティTVが中心です。アメリカでリアリティTVというと、一般的には普通の素人とクレイジーなスタッフによって作られる番組のことを指します。普通の素人は、本当は普通ではありません。彼らはクレイジーです。彼らは思いきっています。彼らは非常識なことをします。それが観客にウケます。
しかし、彼らはプロの俳優やタレントや芸人ではありません。観客を楽しませるために本当に非常識なことを行います。しかし、彼らはプロの俳優やお笑い芸人ではありません。これがアメリカでの定義です。日本の定義はこれとは異なってきます。
日本では、おおむね台本がない番組を「リアリティ番組」と呼びます。多くのバラエティ番組には、台本があります。転換点があります。キリのいいところや、パネラーに質問をするときに、場面が転換します。しかし、パネラーの反応には台本はありません。テレビで見られるやり取りの多くは、アドリブです。
その理由の一部は、日本にはとても多くの有名な芸人がいることです。しかし、彼らの多くはそのネタで有名なわけではなく、トーク芸人として有名です。テレビやラジオで話すことは、アメリカよりも重要です。
日本とアメリカの芸能界の大きな違いは、指導やリハーサル、指示の違いです。私は、アメリカでセミプロとして俳優人生をスタートしました。けっして大学でキャリアを築いたわけではありません。しかし、アメリカでは、演技の指導をとてもよく受けました。そして、リハーサルもかなりたくさんしました。舞台の前、10分のシーンのために、1時間もリハーサルをしました。
ここ日本では、俳優は彼ら自身らしい演技を求められます。一般的に、ほとんどの演技は特にしっかり指導されることはありません。これに、私はイライラしました。現場に来ていきなり演技し、監督が良いというまで何回も演技させられました。
「なにを変えたらいいんですか?」と聞くと、監督は、「んー……もっと早く歩いて。もっとゆっくり喋って」と言ってきます。演技についてじゃないんですね。動きの表現についてです。とてもイライラさせられました。昼ドラに出演したときなんて、指示は1つだけでした。
そしてこれは多分、日本に来て5年経ったときのことでした。私はしばらくの間、英語を教えていました。そして、日本人の妻がいました。私は、「アメリカ人で日本に5年住んでいて、英語を教えていて、なおかつ日本人の妻がいる男の役」にキャスティングされました。まさに私が最高のキャストでした!
私はできる限りいい演技をしました。演技が終わったあと、監督がやって来て、こう言いました。「パトリックさん、んー、もっと外人ぽく! んー! リアリティがない」(笑)。リアリティがないって、そのまま外人だけど、と。しかし、指示なしで演技することはとても難しいことです。
ほかにも、日本とアメリカの違いがあります。撮影が終わったあと、反省会が開かれます。これが、アメリカとの大きな違いです。アメリカでは、役者も監督もノートをとります。監督が「オーケー、みんな集まって」と言うと、役者たちはノートをとります。日本では、このプロセスが反省会と呼ばれます。
反省とは、個人個人が後悔することです。ノートはとりませんし、問題を修正することは、悪いことだという空気があります。びっくりしました。いい作品になったのに! それでも反省会が開かれます。「反省することはないんだけど、反省会ですか!?」って。しかし、これが芸能界で生きている日本人の考え方なんです。
人々は彼らに謙虚さや完璧ではないことを期待し、スタッフの迷惑になることを避けようとします。例えば、カメラマンや、照明さんに対してです。日本の芸能界全体に、この空気があります。これには驚きました。アメリカをモデルにするべきです。芸能界では特に、外国の言葉を取り入れると、かっこよく聞こえるんじゃないかと思います。
もう1つの芸能界における違いは、事務所の力です。日本では、事務所の力はとても強力です。番組のプロデュースにおいて、シーンに誰を配役するか、非常に支配的な力を持っています。マネージャーが、これらの大部分を担っています。そして、マネージャーがタレントを管理します。
アメリカでは、タレントがマネージャーや広報担当、弁護士を雇います。基本的に、マネージャーはそのタレントに対してのみ働きますし、マネージャーを変えることが芸能人生の終わりではありません。日本では、自分自身が事務所のオーナーになったり、小さな事務所に所属しているタレントはとても少ないです。
とんねるずやくりぃむしちゅーのサクセスストーリーも、もとは大きな事務所から始まりました。ほかにも、長い間生き残っている芸人がいます。テツandトモです。個人事務所、弱小事務所でここまで生き残ったことがなんでだろ~です(ネタの動きをしながら)。驚くべき話です。
(会場笑)
とにかく、芸能界には大きな違いがあります。マスターするのにかなりの時間がかかりました。
しかし、ほかにも大きな違いがあります。特に強調したい違いは、コミュニケーション技術の違いです。アメリカ人は、議論を通して成長します。小学校や、早ければ幼稚園の頃から、どのように人に見せて、どのように話せばいいかを学びます。子供たちは、家からなにかを持ってきて、授業で見せます。
例えば、「これはお父さんの時計です。彼が寝ている時に、腕から取ってきました。あとで質屋に入れるつもりです」という具合に。子供たちは、5歳より以前から、ほかの生徒の前でプレゼンテーションをします。そして、学校に通うようになると、ほとんどすべての授業で、議論に参加することを期待されています。
日本では、先生は「コロンブスは1492年、極東の香料諸島へのルート探しのために、アメリカへ旅をしました」と言うかもしれません。しかし、アメリカの先生は、「コロンブスがなにをした人か知っている人はいる?」と聞きます。そして、彼がなにをしたか、なぜそれをしたかを聞きます。
そして、もし子供が間違った答えを言っても「いい答えだね。私はその考え方が好きです。しかし、ほかの理由も考えてみて? そして、正しい答えを探してみて」と言います。双方向性があります。アメリカの教室には、相互通行のコミュニケーションがあります。
しかし、日本の場合、たいていは一方通行のコミュニケーションです。このようなやりとりを、芸能界やたいていの人々がしています。私は、日本人にコミュニケーション能力がないと言いたいわけではありません。
日本人は驚くべきコミュニケーション能力を持っています。事実、アメリカ人の視点から見ると、日本人は第六感を持っているように見えます。超能力ですよ。彼らは空気を読むことができます。これは、アメリカ人にはできません。日本人は、ノーと言えないことで有名です。「ノーと言えない日本人」というキャッチフレーズもあります。これは、数年前にとても人気になりました。
日本人が「ノー」と言えないことは、私はとてもややこしいことだと思っています。しかし、私は日本人が「ノー」とたくさん言っていることを学びました。アメリカ人には、気付けないと思います。例えば、仕事で新しいプロジェクトをクライアントに提案するとき、あなたは「新しく企画書を書いてみました。いかがですか?」と言います。そしてクライアントは、「ちょっと、持ち帰らさせていただきます」と言います。これは「ノー」という意味です。
または、「ちょっと、上と相談します」と言います。これも「ノー」です。あと「前向きに検討します」も、「ノー」です。前向きじゃないですよ。彼がもし「んー! いいですねー!」と言ったら、これも「ノー」です。いつもこう言います。
日本人も学んで、「今回はいかがですか?」と言います。相手は「スー(息を吸う音)」、これも「ノー」です。「スー」これだけで「ノー」ですよ。彼らはいつも「ノー」と言っています。これは、コミュニケーションの発信において問題ではありません。コミュニケーションは……(英語が出てこない)。
ジョナサン・ソーブル氏(以下、ソーブル):送信機。
パックン氏:送信機ではありません。送信機はレシーバーでもあります。ありがとう。助かりました。
アメリカ人にとって、レシーバーは受信機と同じではありません。これは、日本がグローバル社会に出ていく上で大きな問題です。たとえば政府の国際会議や、ビジネスや、メディアで、日本人は話すことを学ぶ必要があります。
アメリカ人は、最もローコンテクストな社会をもっています。日本人が発した、細かなサインを認識することはできません。あなたが発した機微はまったく伝わらないことを想定しておく必要があります。まったく別の惑星にいる気で話しましょう。場合によりますが。
日本人は「一を知って、十を知る」と言います。しかし、異なる文化を持つ人と話すときは、十を言って、一を知ってくれれば、嬉しいほうであるということを考えておく必要があります。
私は、これはメディアに出てくるコミュニケーションにおいて、異なることだと考えます。日本の人々は、議論をせずに育ちます。テレビでも、激しい議論をする番組はとても少ないです。人々はお互いに素敵なのです。それが、日本社会の象徴であり、また多くの外国人はそれを愛しています。非常に礼儀正しい社会です。非常に礼儀正しい話し方をします。しかし、礼儀正しいがゆえに、意見を交換しあうことが重要視されていないのです。
私は、強い記者団を持つ必要があると考えます。彼らは礼儀正しいがゆえに弱いのです。私は皆さんの多くがそう考えるように、日本の飛躍的な成長は、報道の自由がもたらしたものであることに同意します。数年前、ここでは名前を伏せますが、ある知事がある新聞を批判する発言をしました。その理由は、雑誌に書かれていた記事が、その新聞に使われていたからです。
最近では、あるテレビ局に対し、知事が報道番組用の台本を提供していました。アメリカでは、政府は台本に干渉します。政府はメディアの運営に干渉し、マスコミから自動的に信じられないような反応をします。ターゲットは1つだけではありません。すべてのメディアです。
数年前、Fox Newsがホワイトハウスの記者室から追い出されました。Fox Newsは、政府やオバマ政権に関する間違った情報を大量に報道したため、最前列から2列目に移動させられました。ホワイトハウスの記者団では、最前列の記者が真実のニュースを受け取ることができます。これは、大きな抗議運動を起こしました。Foxや、CNN、NBCそしてABCやCBSといった、すべてのマスコミが抗議しました。
クレイジーなFoxでさえ、多くの人々に対する情報源として、尊重されるべき権利があります。彼らは評価され、フォローされ、尊敬されるのです。そして、私はここ数年、報道のパワーに対する敬意や、報道の自由が失われつつあると考えています。あらゆるすべてのものから、流行のネタを見つけてきます。
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