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42.195kmを走りきる! フルマラソン完走の世界 鈴木莉紗トークイベント(全5記事)

ランニングで膝が痛くなるのはシューズの寿命かも あなたの靴は大丈夫ですか 

フルマラソンを完走するためにはどんな準備をすればいいのか? 2016年の東京マラソンでは、2時間40分切りを達成。日本人女子として7位に入賞した市民ランナーの鈴木莉紗氏が、新著の発売を記念し、代官山 蔦屋書店にてイベントを開催。「ジョギングは頑張りすぎない」「ランニングシューズの寿命は半年」など、レベルアップのためのコツを惜しみなく話します。ほかにも、マラソンを続けるためにはウェアにこだわることや、ニンジン大作戦として好きなものを食べてそのぶん頑張って走ることなど、我慢しすぎず楽しくやる気を出す方法が伝受されました。練習後のクールダウンに効果的なスペシャルストレッチも実践で紹介。これから走り始めたい人も、もう一歩上級者へステップアップしたい人も、必見の内容となっています。

ジョギングはゆっくり

司会:そして次、莉紗さんいわく、かなり重要なポイントだとおっしゃるのはこちら。ジョギングは頑張り過ぎない。これはどういうことですか?

鈴木莉紗氏(以下、鈴木):ジョギングがポイント練習、負荷の高い練習の代替になっちゃってる人がけっこういるかもしれないですよね。というのも、私が昔そうだったんです。ですが、ジョギングというのはあくまでもジョギングです。

負荷の高い練習をやったあととか、体力を回復するための繋ぎのものですので。その繋ぎのときに、疲れているのに無理してハイペースで走ると、余計に疲れがたまってしまいます。ゆっくり身体をほぐすような気持ちで、話ができるくらいのペースで走ることが大切です。

身体が元気で調子がいいときは、少しペースを上げて、最後は少し息が上がるくらいまでペースを上げて終わったほうが、体調も調子も上がります。体調に合わせて、ジョギングの速度は変えたほうが良いです。「普段のジョギングは、キロ何分でやったらいいんですか?」ってすごく聞かれます。そのキロ何分っていうのにこだわらないことが、ジョギングのコツだと思います。

司会:たしかに、人によってジョギングのペースは全然違いますよね。箱根ランナーにジョギングどれくらいですかって聞いたら「3分50秒くらい」って。3分50ですかみたいな(笑)。

鈴木:人によって違います(笑)。

司会:走ってみて息が乱れないとか、目安はあるんですか? ジョギングが自分に合ってるっていうのは。例えば、人とおしゃべりできるくらいとか、どれくらいのペースが良いんですかね?

鈴木:そうですね、人とおしゃべりできるくらいですね。信号とかで赤になって、急に立ち止まれるくらいが目安って感じです。

司会:一生懸命だと止まれないっていう、わかりました。

靴の寿命は最長で半年

そしてもう1点はこちら、シューズのメンテナンスを怠らない。

鈴木:走り始めて間もない方に「膝が痛い」って相談を受けることがよくあります。「靴はどれくらい前に買ったものですか?」って聞きます。そうすると「1年前です」って答えが返ってきたり、そもそも走るのに適さない靴で走ってる方が多いんですね。あとはアウトソールがすごく削れて、ミッドソールが見えちゃってる人とかもいるので、靴が古くなっていないかっていうのを定期的に見たほうがいいです。

靴の寿命なんですが、足通して走り始めてから、だいたい最長で半年なんです。走っていなくても、ゴムの柔軟性がなくなるので、半年経った靴は履かないほうがいいですね。

司会:シューズを定期的に買い換えることももちろんそうなんですけれども、やはり自分の足に合ってるかどうかは、専門店とかに行って見てもらったほうがいいですかね。

鈴木:そうですね、見てもらったほうがいいと思います。

司会:初めて走った後に爪が割れたなんて方も結構いらっしゃいますよね。

鈴木:私もそうなんですけど、専門店で見つくろってもらう前はシューズのサイズが小さくて、足の爪に血豆ができちゃって、爪が剥がれちゃったんです。そういう経験ある方、多いと思います。ちゃんと専門店で見つくろってもらったほうがいいです。

司会:膝が痛くなったりすると、急にやる気をなくしますよね。

ランニングを楽しく続けていくために必要なこと

ということで、最後の項目なんですけど、ランニングを楽しく続けていくために、鈴木莉紗流のモットーを書いていただきました。ご紹介いただきましょう。

鈴木:3時間15分切る前の私のモットーは、「無理なく楽しく」でした。無理はしないっていうのを、心掛けていたんですが、まずは見た目から固めちゃうと。

司会:かたちから入る!

鈴木:かたちから入る、大事です。かたちから入るとやらざるを得ない状況に追い込まれるので、今回、ライフハッカーというWebサイトのコラムにも書いたんですけど、自分が気に入ったウエアやシューズを選ぶっていうのが大切です。あとは、好きな場所を走る、ですね。私の好きな場所は六本木のミッドタウンの公園とか。

司会:ミッドタウンの公園。

鈴木:そうです、あそこは距離表示もあって、走っていると“都会を走ってるブルジョアな私”みたいな雰囲気にひたれるので、よく行っちゃいます。あとは仲間を作って走るっていうのも大切で、つらくなったときにも仲間がいると励まし合えますし、1人じゃ走る気にならないけど、友達と走ると楽しくなるので。練習会や、SNSも今は発達してるので、そういったところで走る仲間を見つけるのも大切だと思います。

司会:ずっと1人はしんどいですもんね。

鈴木:ずっと1人はしんどいです。私も1人じゃここまでこれなかったです。

司会:そして、2番目が莉紗さんにとって一番大きい。やる気を上手に引き出そう、「ニンジン大作戦」ってなんですか?

鈴木:青学の原監督が「ワクワク大作戦」ってよく言ってるんですが、私はニンジン大作戦でここまで来ました。というのも、ごほうび、食べたいものや飲みたいお酒があったら、走る前にそれを食べるために頑張ろうって決めちゃうとか。私は今から言う後者のほうなんですけれども、食べたいものの飲みたいものを飲んだ後に、罪滅ぼしで走る。

司会:なるほど、最初に人参食べちゃうんですね。ぶら下がってるんじゃなくて、食べちゃう。

鈴木:食べた分走って燃やせば、罪悪感なくなるんでいいですね。

司会:今回も見ましたよ、ブログ。僕びっくりしました。新宿シティハーフマラソン、終わったらこれ食べるんだって、キャラメルポップコーンかなにかの写真上げてましたよね。ああやってニンジンをぶら下げて。

鈴木:はい、苦しくなったときに思い浮かべたのはキャラメルポップコーンです。

司会:食べたかったんですね。

鈴木:食べたかったんです。

司会:そして2つめの、パン屋さんに立ち寄る。お買い物だ。

鈴木:パン屋さん今、いっぱい美味しいところがありますよね。雑誌とかで気になったパン屋さんが家からどれくらいの距離にあるのか調べて、行けそうな距離でしたら、なにも入れてないリュックを背負って、お金をちょっとだけ入れて、その好きなパン屋さんまで走るんです。

目的があると人間はできるので、その目的を設定してパン屋に着いたら、パンを買ってリュックに詰めて、背負って帰ります。背負って、走らざるを得ない状況に追い込むんですね。帰巣本能っていうのがありますよね。「家に帰らなきゃ」っていうのがあると、つらくても走れちゃうので、お買い物ランっていうのを私はよくやってました。

司会:とりあえず行けるだけ行っちゃうと。帰ってこざるを得ないからと。

鈴木:どうしてもつらくなったら、パスモを使うんです。電車を使う。

(会場笑)

司会:パスモはじゃあ、重要ですね。

鈴木:大事です。

鈴木流、スペシャルストレッチ

司会:そして最後ですね。楽しく続けるためには怪我をしない。

鈴木:ここではとっておきのストレッチ、本でも紹介してないものを紹介したいと思います。

司会:今ですか?

鈴木:今。

司会:いいですね、ちょうど1時間くらい座ってましたから。

鈴木:皆さんできますかね、ちょっと立てますか?

司会:どこらへんのストレッチなんですか?

鈴木:お尻なんですけど。女性でスカート履いてる方は、少し気にしながら。もしできなかったらやらなくてもいいです。まず、お尻の付け根の部分を伸ばすんですが、両足を肩幅くらいに開いてください。そして、息を吐きながら、しゃがんでください。

司会:結構しんどい作業ですね。

鈴木:しゃがんで、両手を床に付けてください。付けて、そのまま息を吐きながら立ち上がります。手は離さないでください、ギリギリまで。そうすると、お尻と背中が伸びてるのがわかりますか? そのままちょっと苦しいなってなったら膝を伸ばして、手を離してください。上半身は足から離さないでくださいね。息吐いて、足伸ばしきってください。裏腿伸びてますね。

司会:伸びてますね。

鈴木:そしたら立ち上がってください。これを走り終わった後にやると、ほぐれます。

司会:相当これ後ろに、ここらへんにきてるってことですね。

鈴木:そうですそうです、お尻に。

司会:もう1回やりますね。こうやって。

鈴木:しゃがんで、手をついて、息吐きながら膝をゆっくり伸ばして。「うーん、きついー」って思ったら手を離してください。それで、立ち上がってください。

司会:逆につりそうな感じが若干ありましたね。

鈴木:無理せず(笑)。

司会:わかりました。皆さん練習はされるんですけど、練習後のケアに熱心じゃない方多いですよね。

鈴木:多いですね。ケアがなによりも大切なので、しっかりケアしてあげてください。

体のバランスは大切ですか?

司会:今日は、ここまで進行が6分押しくらいの感じですけれど、6分押しのわりにはかなりガッツリと、かなりのメニューをご紹介させていただきました。実はまだまだ、こちらの2冊にいろんなメソッドがご紹介されていますが、まだ全部ご紹介しきっていません。

フルマラソンを最後まで歩かずに「完走」できる本 一番やさしい42.195kmの教科書

せっかくですので、ここで2、3質問タイムといたしましょう。莉紗さんに聞いてみたいこととか、プライベートでも結構でございます。言える範囲でお答えしていただこうと思いますので。挙手にてお願いいたします。

鈴木:格好いい質問とかじゃなくても。

質問者1:よろしくお願いします。僕はフルマラソンとかに参加したことはないんですけれど、Wii Fitあるじゃないですか。あれでバランスとるゲームがあって、自分で体幹を調べると左右のバランスがかなり悪くて。マラソンを走る上ではやっぱり体幹とかって重要なのかなと思って。まず、バランスボールとかに乗りながら、身体の左右のバランスを整えたほうがいいのかなと思ったんですけれど、どうでしょうか?

鈴木:非常に意識が高いですね。私、そういうの全然測らなかったんですけど。もし、どちらかの筋力が明らかに弱いとわかっているのであれば、片足のスクワットですとか、そういうので筋力の強化をされたほうがいいと思います。

あと、腹筋の脇腹とかをひねってやるやつだと、腹斜筋という筋肉が鍛えられるので。どちらかに偏りがあるようでしたら、片方の種目でやる筋力トレーニングで鍛えていくっていうのと。あと筋力じゃなくて柔軟性に問題がある場合もありますので、硬いほうの部位をしっかり伸ばして、柔らかくしてあげたり。股関節を伸ばして柔軟性を高めてあげるのも、大切だと思います。

あと起伏のあるところを走ると、走る筋トレになります。平坦なところではなくて、少し坂道が多いところを走ってあげると自然に筋力が鍛えられていくので、非常におすすめです。

司会:そしてバランスをまたWii Fitで確認していただければ。

(会場笑)

司会:バランスをWii Fitで、これは新しいですね。

鈴木:新しいですね。

司会:新しいメソッドに入れておいていただいて、3冊目では、Wii Fitでバランスを確認と。ありがとうございました。

質問者1:ありがとうございます。

鈴木:ありがとうございます。

朝4時半、仕事前に走る

質問者2:今日は、ありがとうございます。

鈴木:ありがとうございます。

質問者2:朝は何時頃に、仕事前に走られてるんですか?

鈴木:前の仕事のときですか、朝4時半です。

質問者2:5時半くらいまで。

鈴木:そうですね。5時半くらいまでやって、そこから出勤して。受付の仕事なので、フルメイクしなきゃいけないんですね。あと髪の毛もボッサボサじゃいけないので、髪を巻いたりすることもあったので。身支度に時間がかかったので、4時半に起きざるをえませんでした。

質問者2:加圧トレーニングをされてるとうかがったんですが、けっこう高いんですけれど、週にどれくらいされてるんですか?

鈴木:週に1回ですね。今もやってます。

質問者2:最後、日焼けにすごく悩むんです。全然焼けてらっしゃるように見えないんですが、対策はどうされていますか?

鈴木:3つくらいあるんですけれど。1つが、もし夏場だったら早朝か夕方ですね、日が落ちてから走る。あと日焼け止めを塗るのと、帽子とサングラスですね。目から紫外線が入ってくるので、サングラスを付ける。美白化粧品とかは使ってないんですけれど、日焼けした後は、パックしてケアしてます。

質問者2:ありがとうございました。

大会3週間前からの練習法は?

司会:じゃあ後ろにいらしゃる方で、最後の質問とさせていただきます。

質問者3:質問が2つあるんですけれど。1つが僕、サブ3.5とか4くらいを狙いたいなと思うんです。そういうときってペース、今日だと5分40秒くらいって書いてありましたが、実際レースのときって、どれくらいのペースで走ればよろしいんですか?

司会:5時間切りだと、31分代。

鈴木:31分代ですね。実際スタミナがあるタイプかによっても違うんですけれども、だいたい3.5切りだと、キロ5分がいっぱいいっぱいだと苦しくなってくると思います。ただキロ5分弱でずっと押していけば、切れるので。4分55秒から45秒くらいの間でずっと走っていけば、3時間半は切れるかなと思います。

質問者3:サブ4だったら5分30秒くらいで、走っていければ大丈夫。

鈴木:そうですね、後半落ちることも考えて。

質問者3:ありがとうございます。もう1点なんですけど、マラソン大会の3週間前くらいになったら、どれくらいの練習量に下げるのがいいのかなと。

鈴木:私は3週間前に、ゆっくり30キロやります。ゆっくりというのがポイントです。速くレースのペースで走っちゃうと、レース1本終えたくらいの疲労度になってしまって、3週間後の大会の時には疲労で走れなくなっちゃうんです。スタミナを溜めるという意味で、3週間前に余裕のあるペースで30キロ走ってます。そこからなんですが、これは身体の調子に合わせて練習の内容を変えていくんですが。本には、2週間前に15キロペース走、って書いてあるんですけれども、今でしたら千(1000メートル)10本とか、5キロ2本とか。そのときの身体のキレ具合や調子に合わせて変えています。20キロ以上は走りません。1週間前なんですが、やはり5キロ走って調子を確認するということをやっています。

1日10分も走れなかった私がフルマラソンで3時間を切るためにしたこと

司会:3週間前を切っちゃうと、とにかくロングはやらないと。

鈴木:そうですね、距離を縮めて質を高める練習をしていきます。

司会:そのあたりは私も熟読しましたけれども、1年前に発売された本にメニューが全部しっかりと載っていまして、今日も発売をしています。

(会場笑)

鈴木:3時間半切りのタイムも載っています。

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