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42.195kmを走りきる! フルマラソン完走の世界 鈴木莉紗トークイベント(全5記事)

“ド笑む”ランナー・鈴木莉紗が教える、タイムがみるみる縮む「マル秘練習法」

フルマラソンを走りきるために必要なことは? 市民ランナーの鈴木莉紗氏が、新著の発売を記念し、代官山 蔦屋書店にてイベントを開催。「フルマラソン完走のための10か条」として、自身の経験から導き出したメソッドを惜しみなく語ります。大会前に心配になって長距離を走ってしまう人がいますが、直前の走り込みはNG。鈴木氏は、「3週間前からの練習は引き算で考えることが必要」と釘を刺します。ほかにも、給水の大切さやラップを気にしすぎないことなどが挙げられました。本パートの後半では、鈴木氏がタイムを縮めた効果的なマル秘練習法を紹介。坂道ダッシュやインターバル走など、自身を追い込むハードなプログラムが挙げられています。

直前の走り込みは控えめに

司会:なるほど。ここでは念入りに準備の項をお伝えさせていただきました。10ヶ条に戻りましょう。まだ2ヶ条しか進んでおりませんので、このままだと12時をまわってしまう恐れも(笑)。若干巻き目でいきましょう。3つ目、直前の走り込みNG。結構いらっしゃいますよね、直前に走る方。

鈴木莉紗氏(以下、鈴木):マラソンは試験勉強と一緒で、一夜漬けでは走れません。1週間前に25キロ走っちゃう方とか、結構いらっしゃるんです。直前になると不安になるんでやり過ぎちゃうんですけど・・・・・・。レースの3週間より前の練習は、足し算でいいと思います。でも、レース3週間前からは、引き算の練習が必要になります。

司会:じゃあ30キロ、20キロ走るんだったら、3週間前まで。莉紗さんだったらこれから練習を抑えてゆっくりと調整していく時期になるってことですね。わかりました。そして、最初の5キロはゆっくりと。

鈴木:スタートしてから、混雑などでイライラした経験のある方?

司会:あれなんで、肘を当ててくるんですかね。

鈴木:痛いですよね、肘鉄とか。

司会:肘鉄とかする人いますよね。

鈴木:それからすっごいゼーハーして全速力で走っちゃったり。最初の5キロっていうのは、結構混雑するんですよね。後ろの方は特に混雑するんですけど、そこで蛇行運転やハイスピードで走ると脚を使ってしまいまして、グリコーゲン、糖を余分に使ってしまいます。ですので最初の5キロはウォーミングアップだと思ってゆっくり、焦らず走ったほうがいいです。

司会:そうやって抜いていった男性に限って、後のほうでお見かけするケースが結構ありますよね。

(会場笑)

鈴木:そうですよね。特に上り坂とかでこうやって、こうやって。脚つってるんですよね。

司会:ああやって抜いていった方って、たいてい脚つってますよね。あれなんでなんですかね。やっぱり使ってるんですかね。

鈴木:筋肉使いすぎちゃうんでしょうね。

定期的な給水は絶対!

司会:その理由が、次の項目にもあるかもしれませんね。5キロごとに必ず給水。最初のほうって、時間もったいないからってとらない人結構いますよね。

鈴木:実は、実験で明らかになってるんですけれど。給水を好きなリズムで自分の好きなぶんだけとっちゃうと、運動開始してから2時間後にパフォーマンスが下がるんです。逆に、同じリズムですね、5キロごとに給水のリズムをとっていくと、2時間たってもパフォーマンスの下がり具合が低いっていう実験結果が出ています。ですので、のどが渇いてなくても、5キロごとにある給水ポイント。5キロじゃないこともあるんですけど。給水ポイントでは、のどが渇いてなくてもお水をとることをおすすめします。

司会:ポイントですね。のどが渇いてないと、5キロポイントだとレース直前にも飲んでますから。今飲まなくても大丈夫ってなりがちですけど、そこはちょっとでも飲んでおく。

鈴木:ちょっとでも口に含んでおく。

司会:あと僕も悩むんですけど、水とスポーツドリンクがあると思うんですけれど。莉紗さん、普段はスペシャルドリンクだと思うんですけど、あれはどっちとったらいいんですか? それは好き好きでいいんですかね?

鈴木:スポーツドリンクがいいんですが、あんまりのどが渇いてないなっていうとき、あんまり甘いのとりたくないなってときは水でいいんですけれども。それは実験結果が出ていて。とり方のコツなんですが、最初はお水でも大丈夫です。中間地点で、糖質の高いものをとるんです。

15キロから20キロか25キロくらいまでは、甘いモノをとる。後半は電解質の入ったスポーツドリンクをとると、パフォーマンスが落ちないっていう実験結果が出ています。

司会:ということは、さっきのここに潜ませたジェルは、20キロ25キロくらいでちゅるって飲むのがいいってことですね。

鈴木:そうですね。

細かいラップは気にしすぎない

司会:そしてその6。これがちょっとわかんないんですけど、ラップはどんぶり勘定。

鈴木:1キロごとにチェックしている人、いらっしゃいますか? いいですよ、恥ずかしがらずに。

司会:最近のやつは鳴るんですよね、1キロごとにピロピロンとかって。

鈴木:マラソンやハーフマラソンなんですけど、10キロは1キロごとに見たほうがいいんですが、5キロごとに見てください。というのも距離が長いので、やはり1キロで上り坂があったり曲がり角があったりしますよね。なので、5キロごとで帳尻を合わせる。

1キロごとだと疲れてしまいますし、精神的な混乱も招きますので、見たいのを我慢して、5キロごとにピッピッピッと押してあげるといいと思います。

司会:そしてその8、20キロ過ぎで必ず補給。これがさっきのお話ですかね。

鈴木:そうですね、グリコーゲン、糖ですね。筋肉や内臓で蓄えた糖がどこで枯渇するのかというと、だいたい30キロ地点っていうデータが出ているので。30キロに来てから補給してもエネルギーに変わるまで時間がかかりますので、その手前で補給することが大切。

エネルギージェルとか、あと大会でアンパンとかバナナが用意されてると思うんですけど、そこでかならず甘いものをとってあげると、後半も走れます。

35キロに魔物が潜む

司会:そして、やっぱりいるんだ35キロの魔物。

鈴木:30キロの壁って聞いたことある方いらっしゃいますか?

司会:いますね、結構いますね。

鈴木:私も初マラソン走る前から、なぜか30キロの壁っていうのは知っていたんです。30キロ怖いな怖いなって思っていたら、練習をしていれば、意外と30キロまでは持つんです。でも、35キロ地点っていうのは、本当の壁だと思います。

そこからがフルマラソンだと思うんですけれども、35キロに来たら、どんなトップ選手でも足が重くなってるなって感じることがあるんですね。と言いますのも、タイムリーな話だと、今回の大阪女子マラソンで福士加代子選手が2時間20分代を出しましたよね。彼女ハイペースで走っていて、元々スピードのあるランナーなので、スピードには余裕があるはずなんです。

彼女のラップタイムを見ると、35キロから落ちてるんですね。瀬古利彦さんも渡辺康幸さんも、35キロから足が重くなるからっていうのを伝えていたみたいなんですね。実際、私も今走っていて、35キロから本当に足が急に重くなって。そっからがメンタルの勝負になるので、本当の敵は35キロ以降だと思って、マラソンに臨まれたほうがいいと思います。

司会:逆にいうと、今まで伝えてきましたけど、そこまで我慢してろってことですね。

鈴木:どんなに行きたくなっても、我慢する。

司会:ボスキャラはそこにいるんだっていうことで、そこまであんまり体力を使い過ぎないように。

鈴木:そうです、35キロ地点からいかに戦うかっていうので、体力を温存しておくほうが大切です。

あれこれ考えすぎないこと

司会:そして最後、いっぱい考えてきましたけれども、あれこれ考え過ぎない。

鈴木:はい。「ラップが落ちた」とか「前の人の“はあはあ、ゼエゼエ”すごい気になる」とか、いろいろあると思うんです。

(会場笑)

鈴木:私も息乱れてる人見たら「あっ」って思うんですけど、あれこれ考えれば考えるほど、脳にあるグリコーゲンが枯渇していくんです。だから本当に細かいことだと、「ピッチがうんぬんかんぬん」とか、気になる人結構いると思うんですね。「心拍数が」とか。そういうのを考えすぎてしまうと、糖分をどんどん使ってしまいますので、リズムで気持よく走っていたら、そのリズムで行ったほうがいいですね。

司会:35キロまでは我慢して、あれこれ考えずに、魔物に挑むと。わかりました、マラソンの10か条ということで。

観客:7番飛ばしましたよ。

司会:お、大変失礼いたしました。大事な、10キロ地点に戻りますよ。10キロ地点にだまされない。

鈴木:これは、10キロで急にふわって足が軽くなる感じがするんです。ふわって。

司会:でも、なにかわかります。軽くなりますよね。

鈴木:なりますよね。それは走り始めて体温が上がり始めて、血液循環がよくなり始めるんですね。体温が上がると運動のパフォーマンスが上がりますので、身体が動くような気がするんですが。そこからペースを上げますと、ハーフマラソン過ぎたあたりからガクッと落ちますので。10キロでも我慢してください。

司会:その9に向けて、その7でだまされてはいけないと。

鈴木:だまされてはいけません。

司会:私もその7の給水を忘れていました。ご指摘ありがとうございました、すいません。

レベルアップのためのコツ

それでは、このマラソン10か条の後には、皆さんもうマラソン走られた方も結構いらっしゃると思いますので。さらにここからは、練習をしながらレベルアップをするという、項目に移らせていただきます。

練習をレベルアップのコツその1はこちら、GPSと友達になろう。こちらですね、莉紗さんが着けているのが。

鈴木:エプソン、リスタブルGPS。

司会:リスタブルGP。皆さん一番使われている方が多いと思いますけれども、ガーミン。これは1代前のやつですね。結構皆さんGPS使わてれいる方も多いと思いますけれども、やっぱこれとお友達になるのがいいですか。

鈴木:そうですね、自分の走っているペースとかがわかりますので。あと私はダイエットのために走っているので、消費カロリーがモチベーションのひとつになっております。

司会:なるほど(笑)。それを見ながら、「私今720キロカロリー」みたいな感じで見てるわけですね。

鈴木:レース中にも余裕があるときはちょっと見て、「よし」って。

司会:レース中にも消費カロリー見てるんですか!

鈴木:余裕があるときは見てます(笑)。

司会:わかりました。これ着けておいたら、自分がだいたい5キロでどれくらい走れるんだとか、結構わかりますもんね。

鈴木:結構わかりますね。

目標時間別に5キロのタイムを算出

司会:ということで今日は、こんな数字もご用意をしていただきました。フルマラソンの目標は、5キロの走力を目標にということで、こちらの数字を出していただきましたけれども。5時間、4時間、3時間をそれぞれ切りたい人。これを切るためにイーブンペースでまずこれくらいという表ですよね。

鈴木:このペースで走りきれればギリギリ完走できるっていうペースですので。実際はもっと速く走らないと、完走は難しいかなと思います。

司会:これは機械的に最初から最後まで、35キロの魔物も関係なく。イーブンペースで本当に行けた人の場合です。ちなみに、5時間を切りたい人の場合、5キロはどれくらい。

鈴木:31分30秒を目安に。

司会:31分30秒、キロ6分ちょっとくらいですね。

鈴木:6分11秒くらいですね。

鈴木:初マラソンの方って、自分がどれくらい走れるのかもわからないですよね。ゴール地点の家族に、「俺どれくらいで帰ってくる」って言えないですもんね。よくあるんですよね、10時スタートだからだいたい2時くらいに帰ってくるからって言って、4時まで待たすとかね。家族激怒っていう。

鈴木:(笑)。ですので、目標タイムをまず設定するのではなくて、初めてのマラソンの方は、普段のジョギングで無理なく走れるペースから、これくらいで行けるんだっていうタイムを設定することをおすすめします。

司会:なるほど。ちなみに4時間を切りたい人は、5キロで言うと。

鈴木:5キロで言うと、25分12秒です。

司会:25分12、キロ5分ちょっと。この辺りがちょっと、切れるかどうか。キロ5分って結構ね、結構速くなってきますよね。

鈴木:結構速くなってきますね。

司会:そして、サブスリーとなると。

鈴木:これはかなり速くなってきます。18分40秒。

司会:これはちょっと速いですね。3分40くらいってことですか?

鈴木:そうですね、でも安心してください。18分40秒っていうのは、スピードのある方ですね。私はサブスリーをやる前のベストのタイムは5キロで19分14秒でした。スタミナがあるタイプなんで、女性でしたらそれくらいを目安にしていただけたらいいんですけれども。18分40秒で走れていれば、サブスリーはほぼ間違いなく完走できるだろうという目安になります。

司会:19分14秒ですね、それでサブスリーやっちゃったってことですね。

鈴木:やりました。

司会:本当に持続力が。男性より女性のほうが持続力がある気がしますけれどね。このタイムはですね、皆さんぜひ参考にしていただきたいと思います。さらに、月間どれくらい走ったのかね、気になる方いらっしゃると思うんですけども。

大切なのは質の高い練習

続いての項目はこちら、月間走行距離よりも大事なこともある。やっぱり質。

鈴木:やっぱり質が大切です。何キロ走ったっていうよりも、結果的にこの練習をしてこのくらい走れるようになりましたっていうほうが大切になるので。距離にとらわれないことが大切です。

司会:さらにですね、これはブログで書かれていましたけれども。今日はですね、1年間で5キロをあっという間にタイムを縮めた、マル秘練習法を教えていただけるということなんですけれども。この内容はですね、全員が等しく真似をできるわけではないということをまず、ご確認の上ご紹介ください。それでは、1からお願いします。

鈴木:坂道ダッシュ。やったことある方? 結構いらっしゃいますね。私は速く走れば速くなると信じていたので、朝40分くらい結構ハイペースで、起伏のあるところだけ走ったあとに。一呼吸置いて、100メートル代の坂道を、頭が真っ白になるまで走ってました。無酸素まで追い込まないと、強くなれないんじゃないかと思っていたんですね。

司会:だいたいそんな人いないですけどね、真っ白になるまでやってた!

鈴木:そして毎朝、「今日も白くなった」って言って出勤してました。

司会:白くなったって、あしたのジョー以来久々に聞きましたけどね。2、インターバル走。

鈴木:これはこちらにも載せてます、第1弾本ですね。速く走ってゆっくり走ってっていう練習を繰り返して、心肺機能と脚筋力を付けて行きます。メリハリを付けることが練習では大切なんですけれども、こういう速く走る練習も大切になってきます。

司会:そして3が、トラック。

鈴木:トラック、陸上競技場。私はなにも知らなかったんで、陸上競技場は素人は行っちゃいけないもんだと思ってました。ですが、そんなことはなくて。どんな人でも陸上競技場はマナーを守れば入っていいので、走ってる人の前を無理やり横断するとかそういうことをしなければ誰でも使っていいので。もし近くに陸上競技場があったら足を運んでみて、少し400メートル1周ダッシュしてみたりすると良いかなと思います。

司会:今回の練習では、400メートル走を20本やったんですって?

鈴木:20本やりました。それも理由があって、年末の忘年会と大晦日に私すごい頑張ったしって言って、夜中にケーキを食べたんですね。それの罪滅ぼしで、400メートルを20本やりました。

司会:我慢できたかもしれないですね。そして、しんどい朝にタイムトライアル。

鈴木:これがポイントです。初マラソンから半年後に、3時間15分を切ったんですけど。その前にやっていた練習がこれなんです。朝走って皇居など行って、1周ダーッてハイペースで走るんです。皇居って1周5キロなんで。それのタイムを計測して、自分の成長度合いを見てたんですけれども。それが、自分のスピード練習になっていたのかなと思うんです。

5キロっていうのがポイントで、10キロだと精神的に持たないのと、時間がかかりますよね。でも5キロだったら、長くても40分くらいで回る練習ですので。最後は無酸素に近くなるくらいまで追い込んで終わったので、筋持久力ですね、スピードを維持する筋持久力を鍛えられた練習じゃないかなと思うんです。

司会:結構朝、つらいんですよね。

鈴木:つらいんです。つらいときにやるから、強くなるんです。

“ド笑む”な鈴木氏ならではの追い込み方

司会:去年のトークショーでですね、「鈴木さんはドMですね」って言ったんですけど、片仮名のドに微笑むと書いて「ド笑む」だなと。今の笑顔で私思いました。そして最後5つ目が、スイミング。

鈴木:私25メートルも泳げなかったんです。

司会:今は泳げるんですか?

鈴木:今はやってないんですけど、実は、努力で人は変わるんですね。2千メートルまで泳げるようになったんです。水泳嫌いだったんですけど、マラソン速くなりたいと思って。走ったあとに泳ぐと身体がほぐれていいよって言われてやっていたんです。嫌いだったんですけど。でも身体がほぐれましたし、あと心肺機能が強くなったので、早いペースで走っても疲れにくくなりました。

司会:水泳ってやっぱりいいんですか? ランニングしてる人って、結構水泳しない。

鈴木:水泳しないですよね。

司会:水泳してる人は、俺は走らないとか。水泳されてる方って、ランニング毛嫌いしますよね。

鈴木:毛嫌いしますよね。走ってばっかりの練習もいいんですけど、ちょっと足の調子が悪い時とかは、代替練習で、水泳は非常におすすめです。

司会:たしかにこれをやると、1年間で5キロのタイム縮められそうですね。これ全部っていうのは難しくても、どれか1個っていうのもいいかもしれませんね。

鈴木:どれが1個やるだけでも、かなり速くなると思います。

休む勇気が早くなるためには必要

司会:そしてそんなドMの莉紗さんですけれども、こんな言葉を実は思っています。こちら。練習と休息にメリハリをつける。休む勇気も大切。休んでますか?

鈴木:休んでます、今日休んでます。走ってません。

司会:今日はちゃんとお休みしてるんですね。

鈴木:ハーフマラソンで疲れてしまって、もうすごい眠たくなったりしてるので。

司会:今、だいぶ眠たいですか?

鈴木:今はエキサイトしてます。眠いなっていうときは、それは身体が疲れているときですので、走らなくていいです。

司会:よく、走らないことに罪悪感を感じるみたいな人結構いますからね。

鈴木:いますね。休む勇気も、強くなるためには必要です。

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