2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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荒川和久氏(以下、荒川):すみません、時間押しちゃってるんですけど、最後に。一番最初に言いましたけど、人口の半分は独身者の時代が必ず来ます。半分ですよ。
杉山豊氏(以下、杉山):恥ずかしいことじゃなくなる、と。
荒川:はい。これでもなおかつ、結婚することが当たり前だという概念から脱却できない、ガラパゴスな人たちがいるわけですよ。この人たちは、今言ったようなソロ男的な生き方は決して認めないです。
何かあると人類は有史以来とか、アダムとイブ以来、男女が結びついて子を成し、繁栄してきたのである、と。お前がやってるのは、人類に対する冒涜であるというわけです。このまま、高齢化もそうだけど少子化も大変な問題なのに、非婚化みたいな社会になったら、国が滅びるだろう、と。
杉山:言う人いますね、わかります。
荒川:「滅びねーよ!」という話なんです、実際は。
杉山:滅びねーよ、と。
荒川:そういう人たちは知らないんですけど、江戸時代。江戸時代は、生涯独身という男性はたくさんいたんです。もっと言うと、ある時代は女性の倍、男性がいたんです、独身の男性が。長屋とかにいるのは、独身の男性ばっかりなんです。
杉山:いい若いもんばっかり。
荒川:これは武士じゃない、町人の話です。そういうことがあったことも知らないで、勝手に国が滅びるとかいうことを言わないでほしいんです。今だけの話じゃないので。
ガラパゴスな人たちというのは、だいたい男は外で仕事をして、女は家庭を守るものである、と。高度成長期の役割分担を守りたいんです。さっきも言ったように、既婚男性が専業主婦を求めるというのがいまだにあるので。だから、育休を申請する男性社員を決して認めないし、マタハラもしちゃうし。
ソロ男に対しては、「お前は人間的に欠陥があるんだ」と言っちゃう。信じられないんですけど、「お前は独身だから、40になっても管理職にしねーぞ」というようなことを言っちゃう企業もあると聞きました。なぜかというと、子供も育てたことのないやつが、部下を育てられるか、と。
杉山:めちゃくちゃなやつ、あるある(笑)。
荒川:「お言葉を返すようですが、あなたは子供が生まれて、育児したんですか?」と。「してねーだろ!」という話ですよ。奥さんに任せっぱなしじゃないかということなんですけど。そういうこともあって、こういう「ソロハラ」という言葉も出てくるんじゃないかと。ソロ男へのハラスメント。
(会場笑)
杉山:それは、特に女性に対してそういう人いるでしょうね。
荒川:男性に対しても、出てくるんじゃないかなと思ってるんです。そういうことにならないようにしていかないとな、と。いずれにしても、従来家族を作る人とか、生涯ソロで生きる人とか、はたまたさっき言ったような新しいかたちの週末婚とか、そういう新しいかたちのパートナーシップで生活していく人とか……。
生き方のかたちが多様化していくわけです。これ、本当がどうかわかりませんけど、30年後は人工子宮で赤ちゃんを生むことが広く利用されている時代になると言われてます。今から30年後ですね。30年後は、たぶん私たち生きてないんですけど(笑)。
杉山:わかんないですよ、まだね(笑)。
荒川:人工子宮だと、結婚とかそういうの関係なく、女性は10カ月の負担もなく子供を生むことができるし。逆に言ったら、男性は結婚もしないで卵子を購入することによって、子供を生むことができるかもしれない。そういうSFみたいな話、おもしろくないですか?
杉山:わかる。でも、アイドルの卵子とか売りだされちゃったりする、そういうことですよね。そういう商売も出てくるかもしれない。
荒川:もう一方で、人工知能、AIってあるじゃないですか。人工知能を持つロボットが、人間一人ひとりのパートナーになる時代が来る。全世界の総単身世帯化みたいな。結婚しなくても子供が作れるようなテクノロジーが発達したら、別に普段コミュニケーションする相手はロボットでもいいわけですよ。みたいな話を、夜飲みながら話すと朝までしゃべれるんです(笑)。
(会場笑)
杉山:それは何か、すごい話だなあ。
荒川:いずれにしても、ソロ社会化が進んだ先には、今までになかった社会が待ち構えてるんです。予測してない未来もいっぱいあるはずで。マーケットも、社会生活のあり方も、もしかしたら人間の価値観さえも、劇的に変わる可能性を秘めている。そういうことがあると思うので、ソロで生きるということに関して、今以上に理解が深まっていただければなと思います。
杉山:最後にお聞きしたい。この本(『結婚しない男たち 増え続ける未婚男性「ソロ男」のリアル』)、書きましたよね。これはもともと、ソロ男で生きることがいい悪いという話じゃなくて、マーケットとして注目しなさいという、そういう視点で書かれてる本なんですけど。
これ書いたことで、逆に本来マーケティングの本なんだけど、ソロ男の人から「よくぞ言ってくれた」みたいなのは、聞きました?
荒川:残念ながら、ほとんどないです。
杉山:ほとんどない(笑)。あまのじゃくだから?
荒川:サイレントマジョリティなんですよ。クレームもないです。逆に言うと、読んでるのか、読んでないのかもわかんない。反響があったのは、女性ですよ。「私はこういう奴と5年間をムダにした」とか。
(会場笑)
杉山:そうかもしれないね(笑)。
荒川:あと、東京に1人暮らしで子供を送り出した地方の親御さん。「孫の顔が見たいんだけど、うちの息子もう35なのにぜんぜん結婚の気配ないんだけど」という人が、読んでてくれたりとか。
杉山:ソロ男に振り回されてる人が。なるほど(笑)。
荒川:単純に「結婚しない男」や「結婚しない息子」の周りにいる人たちが読んでくださっています。本来一番反応してほしかったソロ男の人たちは、何も言ってこないです。
杉山:さっき、あまのじゃくだとか言うから、絶対に自分だとは言わないですよね。これ、なかなかおもしろいかもしれないですね。
荒川:むしろ、「あるある」と盛り上がってるの、かつてはソロ男だった既婚男性だったりするんですよね。「だから、小遣い上げてくれ」とか言うつもりなんですかね。
杉山:言うつもりでしょうね。
荒川:鏡のようなものだと思うんですけど、ソロ男みたいな生き方をしている女性の方がいらっしゃるのであれば、たぶんソロ男とすごく仲よく暮らしていけると思うので。そういう考え方で、要するに結婚しない男と結婚しない女は、合わさると結婚するカップルになるんです。
杉山:確かにね。男か女か、結婚してるかしてないかという4現象でしか見てこなかったけど、ものの見方が変わる感じですかね。こういう人たちが増えてくるんだな、やっぱり。そこは大きなことかなと思いますけれども。
荒川:はい。今日のお話は以上でございます。ありがとうございました。
(会場拍手)
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